特集 内科エマージェンシー
総論(CPA+バイタルサインにかかわる異常)
5.ERから始める人工呼吸管理とNIV/HFNC—呼吸補助導入時の決断とその後の戦術
井上 彰
1
Akira INOUE
1
1愛仁会明石医療センター 救急科
pp.703-715
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900721
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[要点]
●救急外来では限られた情報のみで判断しながら呼吸不全に対応せねばならず,常に診断や治療内容が正しいかを再評価しなければならない。
●人工呼吸自体はあくまで「対症療法」であって「治療」ではない。呼吸不全に至った原因の評価と治療が大事である。
●重症呼吸不全には侵襲的人工呼吸器で対応すべきだが,心原性肺水腫か慢性閉塞性肺疾患(COPD)が疑われる状況であれば,重症例でも非侵襲的換気療法(NIV)を試みる価値がある。
●「結果的にNIVで対応できなかった症例にNIVを試みた」ことが問題なのではなく,「NIVで対応できなかったときに気管挿管に移行するタイミングを逃す」ことが問題である。
●人工呼吸管理を開始したあとも,分単位での変化に対応が必要である。
●重症呼吸不全の管理は専門的な治療であり,精通したチーム/施設が治療しないと予後に影響し得ることを認識しておかなければならない。
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