特集 Hospitalistのための画像診断—③腹骨盤部編
Part 2 各論:臓器ごとの読影方法
6.消化管—層構造を意識して読み解くことで病態を理解しよう
谷掛 雅人
1
Masato TANIKAKE
1
1藤沢市民病院 放射線診断科
pp.511-521
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120030511
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消化管の画像診断は難しい,苦手だ,という声をよく耳にする。その理由はおそらく2点あり,1点目は消化管は動き,形が変わるという特性にある。他の臓器のように形態の比較での評価がしづらく,正常か異常かの判断がそもそも難しい。もう1点は,消化管の異常所見はその壁,内腔,腸間膜に現れるが,variationに乏しく,非特異的なものが多い,すなわち1つの所見に対し多数の鑑別診断が挙がる,という点である。
これらを解決するには,まず消化管の異常所見とその反映する病態を知ることが必要である。「この消化管は異常ではないか?」と感じた際にいきなり病名を考えるのではなく,どのような異常所見で,そこで何が起こっているのか,を考えてみる。そのうえで臨床所見から疑われる疾患と対比することで,診断を絞り込んでいく。
本稿では,消化管のCTにおいて認められる頻度の高い異常所見を取り上げ,その反映する病態,そして鑑別の進め方について解説する。

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