日本内視鏡外科学会雑誌 11巻4号 (2006年8月)

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 1996年1月〜2005年12月に当院で経験した急性胆嚢炎306例のうち,発症96時間以内に腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われた190例(早期群)と発症5日目以後に腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われた116例(待期群)とを比較検討した.早期群と待期群との間には手術時間,出血量に差はなかった.また合併症の発生率,内容にも特に大きな差はなかった.開腹移行は早期群で有意に高かったが重症例が多く含まれており,その影響も考えられた.また術後在院日数に差はなかったが,在院日数は早期群で有意に短かった.開腹移行は合併症ではなく特に早期手術のマイナス面にはならないと考えられ,医療経済的にはむしろ早期手術を推奨すべき治療と考えられた.

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 急性胆嚢炎手術の時期(早期か待機か)や術式〔腹腔鏡下手術(laparoscopic cholecystectomy:LC)か開腹手術(open cholecystectomy:OC)か〕について多くが論じられている.過去10年間の急性胆嚢炎手術症例211例を検討した.LCが52例,OCが159例(うち14例はLCからの移行)であった.早期手術(発症後7日以内)が133例(63%),待機手術(発症後14日以上)が30例(14%)であった.手術時間,出血量,術後在院日数とも早期OCが待機OCより少なく,LCも同様の傾向があり,手術時間で差が認められた.開腹移行の原因はCalot三角の剥離困難や解剖の曖昧さが最も多かった.211例中,胆管損傷は1例もなかった.術後合併症や術後在院日数は,重症例の割合が高いためか,OC症例がLC症例より多かった.発症後早期には剥離操作も比較的容易で,LCが完遂できやすいと考えられたが,困難例では開腹移行を躊躇せず,安全性を重視することが必要と考える.

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 急性胆嚢炎に対する経皮経肝胆嚢ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage:PTGBD)後の腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparoscopic cholecystectomy:LC)において,PTGBDのLCへの影響は明確でない.LC自験2,910例で,LC通常例,急性胆嚢炎早期手術例と待機手術例と比較し,その影響を検討した.PTGBDは,挿入の時点で胆嚢炎症を停止し,急性胆嚢炎による癒着,組織硬化や易出血性を軽減すると考えられた.しかし,開腹移行や合併症を減少させるには至らず,PTGBDに起因した合併症も少なからずみられた.以上から,発症後3日以内は基本的に早期手術を行うが,発症後3日を超えた高度炎症例やハイリスク例にはPTGBDを留置した後1〜2週間でLCを行うべきと考えられた.

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 急性胆嚢炎に対し,待機的に腹腔鏡下手術を行った82例を対象に,術前に経皮経肝胆嚢ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage:PTGBD),あるいは経皮経肝胆嚢穿刺吸引(percutaneous transhepatic gallbladder aspiration:PTGBA)を施行した27例(PTGBD(A)群)と非施行例55例(非PTGBD(A)群)の治療成績について比較検討した.平均年齢はPTGBD(A)群:61歳,非PTGBD(A)群:54歳で,性別,腹部手術既往,術前併存疾患には有意差は認めなかった.PTGBD(A)までの平均期間は4日,PTGBD(A)群,非PTGBD(A)群それぞれの発症から手術までの平均期間は27.4日,24.5日,平均手術時間は174分,184分,平均出血量は115ml,143ml,開腹移行は4例(15.4%),9例(15.8%)で,術中および術後合併症,術後平均入院期間,総入院期間にも有意差は認められなかった.以上より,重症胆嚢炎にPTGBD(A)が施行されていたにもかかわらず,PTGBD(A)群は非施行例に比べ手術成績は遜色なかった.急性胆嚢炎例に対し,待機的に腹腔鏡下手術を安全に施行するためには,重症例にPTGBD(A)を施行することが有用である.

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 急性胆嚢炎に対する保存的加療後の胆嚢摘出術の手術適応を検討した.過去6年間に経験した94例中,76例は経皮経肝胆嚢ドレナージが施行され,18例は絶食,抗生物質投与にて加療された.4例は多臓器不全およびドレナージ後出血のため死亡退院した.60例に腹腔鏡下胆嚢摘出術,6例に開腹胆嚢摘出術を施行した.手術までの平均待機期間はドレナージ施行例はドレナージ後14日,非施行例は入院後13日であった.腹腔鏡下胆摘施行例のうち開腹移行は7例に,術後7日間以上の入院を要する合併症は16例に認められたが,再開腹例や周術期死亡例はなかった.24例は胆嚢摘出術を施行せずに退院し,7例は後日胆嚢摘出術を施行し,17例は平均18.7か月の間に4例に再燃を認めたが保存的に加療した.

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 腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparoscopic cholecystectomy:LC)が導入され10年以上を経た現在,かつては禁忌であった急性胆嚢炎に対しても積極的にLCが施行されている.さらに最近発表された「急性胆管炎・急性胆嚢炎の診療ガイドライン」では早期LCが推奨されているが,実際の臨床の現場では重症度判定やLCの適応(早期vs待機)については依然不明な点が多い.自験例の検討では,待機LCは急性胆嚢炎による高度肝機能障害を有する症例に施行されており,早期LCと比較して総入院期間は延長するものの術後在院期間は同等であり,手術時間はむしろ短縮する傾向がみられた.これらのことから肝機能障害を有する症例や炎症が高度な症例においては,症例の個々の病態に応じた(オーダーメイド)治療として早期LCに固執することなく,保存的加療を行ったうえで待機LCを行うことも重要な選択肢になりうると考えられた.

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 急性胆管炎と胆嚢炎の診療ガイドラインとなる「科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン」が発売された.これにより急性胆嚢炎に対して科学的根拠に基づく治療法が示され,広く適切な治療がなされることが期待される.しかし,急性胆嚢炎患者のすべてがガイドラインの治療法にあてはまるわけでないことを理解しなければならない.その前提において,急性胆嚢炎に対する胆嚢摘出の術式については,治療にあたる外科医の得意な術式を選択することが重要であることを示し,可能ならば腹腔鏡下胆嚢摘出術が望ましいことを示した.その適切な手術時期については,入院後早期の胆嚢摘出術が望ましいことを示した.一方,急性胆嚢炎に対するガイドラインに記載された治療法とは別に標準的治療法という概念があり,ガイドラインにおける治療法のみが急性胆嚢炎の治療法でないことを概説する.

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 症例は55歳の女性.交通事故にて腹部を強打し,当院に救急搬送された.腹部CT検査にて脾損傷による腹腔内出血と診断し,選択的脾動脈塞栓術を施行した.受傷後14日目より腹痛が出現し,増強するため,受傷後19日目に腹部CT検査を行った.受傷時の右下腹部圧痛点に一致する限局性の回腸壁の肥厚,狭窄を認め,腹部外傷による遅発性小腸狭窄と考えられた.保存的加療を行ったが軽快せず,腹腔鏡補助下手術を行った.回盲部より約30cmの回腸に約10cmにわたる肥厚性狭窄を認め,小腸部分切除を施行した.病理組織所見では広範な潰瘍形成と特に粘膜下層での線維増生を認めた.外傷後遅発性小腸狭窄は稀ではあるがCTによる術前診断が可能であり,治療として腹腔鏡補助下手術が有用な選択肢の1つと考えられた.

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 腹腔鏡下根治術を施行した尿膜管遺残症の1例を報告する.症例は24歳,男性.下腹部痛を主訴に来院し,身体所見や腹部CT検査にて臍下から正中腹壁に膿瘍を認めることから感染性尿膜管遺残症の診断となった.切開排膿術および抗生剤による治療後,待機的に腹腔鏡下切除術を施行した.手術は気腹法,4ポートにて行い,膀胱頂部から臍側へ剥離を進め,臍部直下にて瘻孔を切離,摘出した.手術時間は130分で,出血はごく少量,合併症は認めなかった.術後経過は順調で,6病日に退院となった.検索する限りでは,尿膜管遺残症に対する腹腔鏡下手術の本邦報告例はわれわれの報告を含め39例である.腹腔鏡下手術手技を中心に文献的考察を加えて報告する.

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 虫垂粘液嚢腫に対し腹腔鏡下盲腸部分切除術を4例に行った.全例大腸内視鏡で盲腸内腔に粘膜下腫瘍様病変を認めた.症例4は,胆嚢胆管結石を合併していたため,腹腔鏡下経胆嚢管的胆道鏡下切石術を同時に行った.いずれも虫垂は緊満し黄白色ゼリー状の内溶液を認めた.術後の病理組織学的検索では,全例良性で悪性の所見は認められなかった.術後平均入院期間は9.3日であった.虫垂粘液嚢腫は術前に良・悪性の鑑別は困難であるため治療法の選択に苦慮することがあり,組織学的に良性でも半数以上に回盲部切除以上が選択されている.術前・術中に明らかな悪性所見がない場合は,腹腔鏡下盲腸部分切除術を第一選択にしてよいと思われる.

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 患者は,50歳,女性.S状結腸癌の診断にて,腹腔鏡下にS状結腸切除を開始した.癌浸潤が疑われた著明な腸間膜肥厚を認めたため,通常よりも深い層で腸間膜処理を行った.腸間膜肥厚が骨盤低位まで連続するため,同部の術中迅速病理診断を行ったところ,脂肪織炎の診断を得た.腹腔鏡下に下腸間膜動脈根部の処理は可能であったが,骨盤腔内の処理は困難であったため開腹術に移行し,低位前方切除術を行った.結腸癌が並存する腸間膜肥厚において,脂肪織炎か癌浸潤かの鑑別が困難である.また,腸間膜肥厚が存在する状態では,視野の問題や剥離が深層に及ぶ危険性があり,腹腔鏡下手術から開腹手術への移行のタイミングが重要であると考える.

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 軸捻転を伴う腸回転異常症の9歳,男児例に対して,腹腔鏡下Ladd手術を施行した.時計方向に360度の軸捻転が認められ,十二指腸を巻き込んでいた.まず盲腸を起点として小腸を順にたぐり捻転を解除し,その後,十二指腸から順に遠位側に腸管をたぐり局所の捻転解除操作を続けていき,軸捻転の解除を完了した.その後,Ladd靱帯を切離し腸間膜根部の拡幅による軸の解除を行い,臍部創を用いて体外法にて虫垂切除を行った.血行障害をきたしていない症例では,軸捻転を伴っていても腹腔鏡下Ladd手術の適応となりうると考えられる.

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 61歳女性.主訴は心窩部痛.2004年12月に腹部CTで脾腫瘤を指摘され当院に紹介された.腹部は平坦,軟で腫瘤は触知しなかった.血液一般検査に異常はなく,腫瘍マーカーはAFPが12.4ng/mlと軽度の上昇を認めたのみであった.腹部CTで脾腹側に内部が不均一に造影される境界明瞭な円形腫瘤を認めた.なお4年前のCTでは病変は認めなかった.Gaシンチグラフィで腫瘤に一致し強い集積所見を呈し,悪性リンパ腫の術前診断のもと用手補助腹腔鏡下手術(hand-as-sisted laparoscopic surgery:HALS)を行った.手術は計4ポートで行い,脾を剥離脱転ののち脾門部をlinear staplerを用い切除した.術後経過は良好で,術後第7病日に軽快,退院となった.病理組織検査で脾過誤腫と診断された.脾腫瘤は術前診断がしばしば困難で,術式に関してはHALSはよい適応と思われた.

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 粘膜下腫瘍の形態を示し胃アニサキス好酸球肉芽腫の1例を経験した.症例は54歳,女性,胃体中部前壁に20mm径の中心に陥凹をもつ粘膜下腫瘍が存在した.超音波内視鏡検査では,第3層および4層に径18mmのhypoechoic(低エコー)な腫瘤を認めた.形態に異型がみられたので,悪性疾患を否定するために腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.組織診断では,粘膜下層に虫体を認め,その周囲には肉芽腫を形成するアニサキス好酸球肉芽腫であった.Retrospectiveに超音波内視鏡検査所見をみなおすと,hypoechoicな腫瘤部の中心にアニサキスの虫体と思われるhyperechoic(高エコー)な部位が認められた.胃アニサキス症は,劇症型(急性アニサキス症),中間型(vanishing tumor),緩和型(好酸球肉芽腫)に分けることができる.中間型は,いくつかの報告では7〜45日の間に消失するといわれている.そして,感染早期においては,時として中間型と緩和型の鑑別は容易ではない.今後,形態に異型を示す粘膜下腫瘍に遭遇した際には,unnec-essary surgeryを防ぐ意味で,手術までに2か月間経過観察を行うことが望ましいと考えた.

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 完全直腸脱に対する腹腔鏡下直腸吊り上げ術について報告する.側方靭帯を切離することで直腸剥離を十分に行い,吊り上げは仙骨面へのシンプルな縫合固定で行った.症例は7例で,全例女性,平均年齢78歳であった.5ポート法で施行し,平均手術時間183.4分,平均術中出血量12.1 mlであった.術後初回排ガスは平均1.6日目に確認,術後合併症は1例もなかった.現在まで術後再発症例は認めていない(平均観察期間947.1日),直腸脱に対する腹腔鏡下直腸吊り上げ術は,会陰式および従来の開腹式では両立が難しかった低侵襲性と根治性を兼ね備えた術式といえる.

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 肺動静脈瘻に対する外科的治療として,胸腔鏡下手術が行われることが増えてきた.本疾患に対する術式においては,(1)確実な流入・流出血管の処理可能であること,(2)本来良性疾患であるため術式は低侵襲であることが重要と考えられる.今回,あらかじめ瘻中枢部を腸鉗子で把持し血流遮断することにより,比較的容易かつ確実に流入・流出血管の露出,処理が可能で,正常肺の切除を最小限にするように胸腔鏡下に肺動静脈瘻を切除しえた1例を経験したので紹介する.

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 自動縫合器装着後の待ち時間の必要性について,豚小腸で(1)止血効果:6か所をNo Wait群(クランプ後すぐファイヤ)とWait群(クランプ1分後にファイヤ)に割り当て,切離断端の出血点数を1分ごとに計測し,(2)組織量:各群10か所とし,フォーク内に挟まれた組織の湿重量,乾重量を測定した.結果は,(1)Wait群で縫合切離後3分,4分で出血点が有意に減少した.(2)湿重量の差は認めず,乾重量/湿重量比はNo Wait群vs Wait群=0.524±0.039 vs 0.412±0.035(p<0.001)であった.水分移動だけではなく組織量減少が示唆された.待ち時間を設けることで,フォーク間に挟み込まれた組織量は減少し,早期のステイプルラインからの出血は減少する可能性が示唆された.

教育セミナー 消化器一般外科領域における技術認定—審査基準と採点のポイント

基本手技の共通基準 森 俊幸
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はじめに

 日本内視鏡外科学会では,内視鏡外科手術に携わる医師を共通の基準によって評価し,所定の基準を満たしたものを認定することにより,本邦における内視鏡外科手術の健全な普及と進歩を促し,ひいては国民の福祉に貢献することを目的に,平成16年度から技術認定制度を導入した.

 技術認定審査取得には,各領域における主要な内視鏡外科手術を独立した術者として遂行できる技量を持っていることに加え,指導者としての資質も十分に持ち合わせていることを要件とした.申請者は手術ビデオを提出し,2名の審査員が共通基準(60点満点)と臓器基準(40点満点)に基づき審査に当たった.

縫合・結紮の共通基準 瀧口 修司
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はじめに

 消化器一般外科分野における内視鏡外科学会技術認定試験では,結紮・縫合技術も評価の対象となっている.研修医時代に糸結びの練習に励んだように,内視鏡下の縫合・結紮手技も最低習得すべき技術の1つとして捉え,十分に練習をした上でのビデオ提出が望まれる.もちろん実地臨床ビデオでの評価が基本であるが,臨床ビデオがない場合は,ドライボックスでの手技でも評価を受けることが可能である.本稿では,結紮・縫合手技の基本とビデオ提出における留意すべき点について解説する.

腹腔鏡下胆嚢摘出術 松本 純夫
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はじめに

 腹腔鏡下胆嚢摘出術は胆嚢結石の治療として広く標準化されている.日本内視鏡外科学会が平成16年度から施行している技術認定のポイントについて,審査基準を示しながら概説する.

 基準の要点は腹腔鏡下胆嚢摘出術において遭遇する偶発症,合併症である出血,胆道損傷,血管損傷,他臓器損傷を回避する安全な手術ができているかどうかを判定するものである(表1).実際のビデオ判定で重視されるのは,容認できるような時間の中で視野の確保,血管,胆道の解剖確認,胆嚢回収が安全に行われているかどうかである.そのための術者,助手,内視鏡保持者の協調操作の巧拙,鉗子やエネルギー処置器具操作の巧拙が問われている.また,手術の熟練度としては指導者にふさわしいと判定されたものが評価される.

腹腔鏡下総胆管結石手術 徳村 弘実
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はじめに

 胆嚢摘出時に10%以上に総胆管結石を合併する.そのため,腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparo-scopic cholecystectomy:以下,LC)が開始された直後から,総胆管結石症に対する腹腔鏡下手術が始められた.腹腔鏡下総胆管結石手術はいまだ十分普及してはいないのが現状であるが,十二指腸乳頭機能が完全に温存できること,胆嚢・胆管結石の治療が1回の手技で同時に完結できること,そして開腹手術に比べ創が小さく低侵襲性であることなど,腹腔鏡下手術の中でもメリットの大きい手術である.

 今回の内視鏡外科技術認定審査改定で,胆道の技術審査術式に独立して取り上げられるようになった.経胆嚢管法が新たに審査手技として加えられた.また,臓器別の審査上の配点が,以前は胆嚢摘出30点に総胆管結石手術10点の計40点であったが,胆嚢摘出15点と総胆管手術25点に変更された(表1).ここでは,それぞれの審査基準に則り,提出ビデオの手技上のポイントを述べたい.

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はじめに

 日本内視鏡外科学会の技術認定制度は個々の内視鏡外科医の手術技能を評価し,一定の技術に到達していることを認定することによって,より安全な手術が患者に提供されることを一義的な目標として平成16年から開始されたが,その実践が全国の内視鏡外科医の手術技能の改善に大きく貢献している.

 胃手術にはいろいろな種類があり,癌や間葉系腫瘍などの悪性腫瘍に対する切除術式としては局所切除術,幽門側ないし噴門側胃切除術,幽門保存胃切除術,分節的胃切除術,胃全摘術などがあり,そして同時に施行される所属リンパ節郭清術も審査の対象としなければならない.加えて,胃潰瘍,十二指腸潰瘍穿孔に対する大網充塡術式もあり,それぞれに合わせた審査基準を作成するのは必ずしも容易ではない.さらには,同一術式でも症例によって難易度が微妙に異なるのが通常であり,それが異なった疾患や,違った術式の場合でも同じ審査基準で判定できるのかといった問題も無視することはできない.

腹腔鏡下S状結腸切除術 関本 貢嗣
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はじめに

 腹腔鏡下大腸切除術の審査においては,腹腔鏡下の確実な剥離,血管処理や腸管離断・吻合手技を示す必要がある.S状結腸切除術(D3)を例に挙げて注意点を示す.

 なお,本稿の内容は,審査委員会で出された意見などを参考にしているが,あくまで筆者個人の意見に基づくものであり,審査委員会の見解を代表するものではないことをお断りしておく.

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はじめに

 日本内視鏡外科学会が平成16年度から開始した技術認定制度は,内視鏡下手術の技術をビデオにより評価する点で画期的な制度である.本稿では認定制度で審査の対象となる胸部食道癌に対する胸腔鏡下手術,胃食道逆流症と食道アカラシアに対する腹腔鏡下手術に関して審査基準と採点のポイントについて解説する.個々の具体的な手術操作については最近の外科系雑誌に解説されているので,それらを参照されたい1-3)

腹腔鏡下脾臓摘出術 万代 恭嗣
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共通基準における審査のポイント

 共通基準には,内視鏡下外科手術の基本的操作が列挙されており,これらはいずれも信頼性のある安全で確実な手術を実施するために,クリアされるべき必須の基準である.共通基準であるから,どの臓器の手術であっても,1つ1つの操作手順について,カテゴリーⅠからⅢまでのすべての項目が審査され,最終的に術式全体を通してこれを包括して各カテゴリー項目の点数づけが行われる.例えば,非優位側の鉗子の動きとして,脾の授動,脾の脱転などそれぞれの場面で適切とすべき手技があるが,どれか1つの場面だけを取り上げて判定されるのではないことは,当然である.各場面での操作の積み上げが,カテゴリー別の得点となる.逆に,全体からみて少数のやや不的確と思われる操作がみられたとしても,内視鏡下外科手術の特殊性から,必ずしもそれだけで不合格となるのではないことをご承知いただきたい.不合格となりやすいのは,あちらでも,こちらでも,あるいは,さっきも,今度も,といった形で共通基準をクリアしない状態を続けながら手術をしている手技である.したがって,申請者は,良好な技量が手術全体の流れのなかで発揮されていることを示すようなビデオを提出していただければよいこととなる.

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編集後記 清水 一雄
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 第18回サッカーワールドカップがドイツで行われ,イタリアの通算4回目の優勝に終わった.われらの日本代表は,残念ながら1勝もすることなく予選敗退となった.国民の多くは,この4年に一度開催される地球レベルの大イベントにテレビを通して観戦し一喜一憂したことであろう.それと同時に,世界のサッカー一流国と日本サッカーとの実力の差を感じた方々も多いと思われる.

 では,世界におけるわが国の内視鏡外科はどうであろうか.内分泌外科,特に甲状腺を主体とした内分泌頸部内視鏡外科を専門とする私が,わが国の内視鏡外科全体を論じるのはいささかおこがましいが,感じたことを述べたい.

基本情報

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日本内視鏡外科学会雑誌
11巻4号 (2006年8月)
電子版ISSN:2186-6643 印刷版ISSN:1344-6703 日本内視鏡外科学会

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