LiSA 28巻3号 (2021年3月)

徹底分析シリーズ パルスオキシメータ:世界の患者安全を変貌させた発明

巻頭言 宮坂 勝之

  • 文献概要を表示

この度,青柳卓雄博士の追悼特集企画を委ねられ,身に余る光栄だと感じるとともに,博士の人類への偉大な貢献を歴史に残す機会を,時期を失せずに実行に移したLiSA編集委員会の賢明な判断に敬意を表したい。この機会に寄稿を依頼した海外の執筆者は,日本語への翻訳に要する時間に思慮して6日間ほどで40年近く前の記録と記憶を想起してくださったDr. David J. StewardやDr. Jeffery B. Cooperなど,多くが高い関心を寄せてくださった。本特集の内容は多くのLiSA読者にとって初めて知る事実の連続だと思う。その一つ一つが博士の足跡であることに思いを馳せ,博士が私たちに残された財産の大きさを改めて認識し,博士追悼の機会にしていただきたいと願うものである。

  • 文献概要を表示

青柳卓雄博士の訃報に接し,私は深い悲しみに沈みました。博士のその類まれな才能が,私が人生のほとんどをその研究に費やすことになった機器(パルスオキシメータ)を生み出してくれたのです。温和でとても謙虚な方でした。

  • 文献概要を表示

われわれが麻酔を始めた半世紀前は手術室に心電計が1台のみで,視診,触診,打診,聴診,そして血圧を間欠的に手動で測定し,それに動物的勘を加えて危機の発生に備えていた。パルスオキシメータが導入されてからは,ビジランスを前提に科学的指標を用いて,酸素化・換気・循環・体温・筋弛緩状態を評価できるようになった。例えば,心停止に至る危険の察知が心電図で10秒前のところが,SpO2では1分前後のゆとりができ,ETCO2では数分間を見込めるようになった。

  • 文献概要を表示

開発から製品化までの長い道のり

1974年の青柳卓雄博士によるパルスオキシメータの発明は,その後,明確な目標設定のもとに企画されて成し遂げられた典型的な医療機器開発事例につながった。何といっても,現在の全世界での普及がその成果を実証している。多品種少量の産業として知られる医療機器産業界にあって,これほど幅広く医療に貢献している医療機器はまれであり,これぞ「医療機器開発の手本」というべきであろう。

 結論を先に書いてしまったが,博士をリーダーとするプロジェクトに関し,折しも同時期に日本光電工業社(以下,日本光電社)の開発部に身を置いていた筆者からすれば,隣の課で進行中のテーマがこれほどまでに進展したものになるとは,予想さえできなかった1)。当時,所属部門は同一でも各課に与えられる使命はまったく別物であり,隣同士の課はよきライバルであり切磋琢磨するべき存在でもあった。その頃の筆者の担当は,すでに実用化が進んでいた生体情報モニターの無線化などの改良であり,新規パラメータを開発した青柳プロジェクトとは異質のものであった。つまり,実用的な製品改良と革新的なテーマとは,開発内容が異次元のものであったのだ。

  • 文献概要を表示

2007年頃,青柳卓雄博士が社内の研究室会議の場に新聞の切り抜きを持って出席したことがある。アラーム見逃しによる医療事故を伝える記事であった。開口一番,「根本原因は機器性能にある。性能改善は医療の現場にとって必須である。計測技術を改善し医療事故を減らさなければならない」と主張した。そして「理論を構築することでパルスオキシメータの性能を抜本的に改善すれば,採血による患者負担を軽減できるだけでなく,医療従事者のアラーム疲弊1)によるアラーム関連事故の予防にもつながる。さらに,血中吸光物質濃度の無侵襲連続測定の手法として,医療に寄与できる応用の可能性が広がる」との強い使命感を示した。

 今日,closed loop制御機能を搭載した機器が活躍し始め,パルスオキシメータに求められる精度の要求レベルも変わりつつある。博士は,当初から「医療の究極の姿は,治療の自動制御である」という明確なビジョンをもち,性能改善に邁進していた。

 本稿では博士の取り組んできた理論構築と多波長化の研究を紹介する。

  • 文献概要を表示

パルスオキシメータは,今や世界中で血圧計や心電図などと同等の必要欠くべからざる医療機器となっている。その基本原理を発明し,世界で初めて脈波を利用した非侵襲的な血液酸素飽和度測定機器を開発したのが青柳卓雄博士である。

 2020年4月に青柳博士のご逝去を知り,基本原理の発明にとどまることなく直近まで偽アラームの起きない真のパルスオキシメータ開発に情熱を注ぎ続けた博士を想い,寂しいかぎりである。謹んでご冥福をお祈りいたします。

 筆者らとそれぞれの共同研究者らは,博士と同様の原理にもとづく光ファイバー指先型パルスオキシメータOXIMET MET-1471(ミノルタカメラ社,以下OXIMET)の開発にかかわった。当時の光ファイバー式OXIMETは現在の医療現場には影も形もないが,青柳型パルスオキシメータと現在世界中で使われているパルスオキシメータとの橋渡しの役割を担ったと考えられる。

 本稿では,ミノルタカメラ社(以下,ミノルタ社)でのパルスオキシメータ開発の経緯とその臨床応用への試みについて述べる。当時の資料が散逸しており,記憶が定かでない部分もあるがご寛容いただきたい。

  • 文献概要を表示

青柳卓雄博士の名前は米国ではそれほど知られていないものの,簡便に血中酸素飽和度をモニターするという博士の発明(パルスオキシメータ)は,医療,特に麻酔科学に大きな貢献をした。博士の逝去を追悼するにあたり,数えられないほど多くの命を救ってきた,博士の創造力と弛まぬ努力が世界にもたらした贈り物に思いを馳せ,感謝を捧げたい。

  • 文献概要を表示

非侵襲的に動脈血の酸素飽和度を測定する装置は,早くは1942年に臨床導入されていた1)。当時の麻酔中の使用評価の報告はほとんどないが,小児扁桃腺摘出時の使用が1951年にモントリオールから報告されている2)。また同様の装置は1950年代のトロントでも,黎明期の乳児心臓外科手術で麻酔中のモニターとして使われていた3)

 しかし北米では1982年に至るまで,麻酔中のヘモグロビン酸素飽和度はルーチンでモニタリングされるものではなかった。経皮的酸素分圧(TcPO2)モニターが1976年に市販され,NICUではすぐに使われ始めたが,麻酔中の使用には適さなかった。麻酔導入による皮膚血流変化の影響や,使われる揮発性吸入麻酔薬の酸素電極への直接の干渉があり,信頼できる精度が得られなかったからである4)

  • 文献概要を表示

パルスオキシメータの基礎的な原理や開発の経緯などは,すでに他稿で各専門家により論じられているところから,本稿では日本の新生児医療への導入の歴史を紹介し,さらに新生児,特に未熟児に特化した血液酸素濃度モニターの意義,とりわけ未熟児網膜症retinopathy of prematurity(ROP)と低酸素性脳障害の予防の臨床的重要性などを解説する。

  • 文献概要を表示

1974年,生体工学者の青柳卓雄博士は,患者モニタリングに重大な意義をもつ発明をし,患者安全に貢献した1)。博士は,非侵襲的心拍出量計の開発をしていたが,その過程で偶然にパルスオキシメトリの発明に至った。博士の発明以前の酸素飽和度の測定は,ヒューレット・パッカード社の耳型8波長オキシメータ*1のように大型の装置を必要とし,その存在は研究室に埋没していた。博士は,動脈波形をフィルターにかけ,光センサーが受けたすべての情報を周波数分解し,除算することで,8波長オキシメータが処理しなければならないさまざまな要因(皮膚の厚さや色,その他)を標準化した2)。これが,有名な青柳博士のAC/DC発明である。「酸素化ヘモグロビンで吸光が変わる」特定の波長での光量の比を,「酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの両方で吸光が変わる」別の波長での光量の比で除算する(つまり「比の比」)と,実験室条件で計測した動脈血酸素飽和度とが相関する。博士の先駆的な実験と研究によりパルスオキシメトリが発明され,今では“第5のバイタルサイン”と呼ばれる。

 青柳博士のパルスオキシメトリの発明は,患者モニタリングと患者安全にとって重大な進歩である。パルスオキシメトリ以前の麻酔関連死と脳傷害は非常に多かったが,それは麻酔科医が患者の酸素飽和度を評価する方法が,間欠的な動脈穿刺による採血検査か,低酸素の指標として口唇色のチアノーゼを観察するしかなかったからである。麻酔中のパルスオキシメトリ使用の有無で死亡率が変わるかを調べた2万人の患者の研究3)で,死亡率に差はみられなかったが,パルスオキシメトリが使われ始めて以降,麻酔関連死は1万例に1件から100万例に1件へと大幅に減少した4)。臨床医は,すぐにパルスオキシメトリの価値に気づき,手術室や集中治療室での標準的医療に組み込み始めた。

  • 文献概要を表示

2015年6月20日,私はニューヨークのWaldorf Astoriaホテルのボールルームで歴史的な瞬間を見守っていた。パルスオキシメトリの発明者である青柳卓雄博士が,古くはトーマス・エジソンも設立にかかわった世界最大の電気電子工学会IEEEから日本人として初めてMedal for Innovations in Healthcare Technologyを受賞することになったのだ。タキシード姿の博士は当時79歳であったが,毅然とした態度で壇上に登り,流暢ではないが,明瞭かつ力強い言葉で受賞の挨拶を述べ,盛大な拍手に包まれた1)。青柳博士,そして日本が生んだ発明が,世界中の医療安全に多大な貢献をしたことが世界に認められた瞬間であった(図1)。

  • 文献概要を表示

パルスオキシメータは日本光電工業株式会社(以下,日本光電社)の青柳卓雄博士が発明した技術である。日本発の装置であったが,当時(1970年代後半から80年代中頃),日本製品はほとんど売れていなかった。人工呼吸器や麻酔器などの販売で国内・外の麻酔科医との接触の多かった弊社は,米国のパルスオキシメータ市場の動向に注目はしていた。しかし開発に臨床医の関与がなかったためだろう,機能やデザインも含めて垢抜けず,日本の麻酔科医のパルスオキシメータへの理解と関心は高くなかったと思う。

 本稿では,株式会社東機貿60周年誌『樹齢60年父が植えた木を育てて』を紐解き,パルスオキシメータが日本の現場に普及していく過程で弊社が果たした役割を紹介する。

  • 文献概要を表示

1936年2月14日,青柳卓雄博士は青柳紋七とタツのもとに生を受けた。1958年,電気工学の学位を取得して新潟大学を卒業し,島津製作所に入社し医療機器業界に入った。1971年,日本光電工業に入社し,以後50年近く勤め上げた。「体内組織透過光の脈動に基づく血中吸光物質濃度の無侵襲測定(脈波分光法)の研究」により東京大学で工学博士号を取得した。

  • 文献概要を表示

青柳卓雄博士によるパルスオキシメータの発明は,世界中で数百万人もの命を救ってきた。Dr. Atul Gawandeが世界の外科手術の転帰向上を目指して四つの主要な医療関連組織とともに設立した非営利団体「Lifebox」は,青柳博士の訃報に接し哀悼の意を捧げ,博士が遺した業績ならびに博士の活動によって医療現場にもたらされた進歩を称える。

  • 文献概要を表示

低酸素血症の早期発見を可能にした青柳卓雄博士の発明が契機となり,麻酔時の患者の安全に関する認識が高まり,その中で麻酔のモニター基準も作られた。博士の粘り強い不屈の活動は最も称賛されるべきであり,患者安全を改善する有効な技術を生み出すモデルとなっている。

  • 文献概要を表示

パルスオキシメータは,肌の色,人種,成人・乳児,体型,測定部位,機種などの違いを超えて利用でき,しかもスイッチを入れるだけで0%から100%の単純明快な数値が表示され,多くの健康人では「それらしい」数値が安定して表示される。しかしその数値は,青柳卓雄博士の言葉を借りれば,「たまたまそれらしい数値」なだけであり,数値は読むのではなく,数字が表示される背景も含め,臨床家は解釈すべきである。すなわち,装置としての安全性や安定性,使いやすさとは別に,表示される数値の正確性と信頼性にかかわる測定理論,そして数値の正しい解釈には生理学と医学的な理解が必要であることが見落とされてはならない。

 パルスオキシメータは,酸素化のモニターであり換気(呼吸)のモニターではないことは,一般人はもとより医療者でも看過しがちである1)。酸素投与を受けている鎮静中の患者では100%表示が安心値ではない。経皮的な測定であり,さまざまな要因の影響を受けやすい。体動のない安定状態で確実に測定されている場合の信頼度は高く,極端に低い値でも患者の臨床症状よりは表示値を採用して対処すべき場合がある。しかし,医学的な理解の欠如が不幸な結果をもたらす場合が知られる2)。COVID-19パンデミックで自覚症状のない隠れた低酸素症の見落とし3,4),あるいは自宅や病院外で観察中の患者にみられる予期せぬ死亡や行き倒れなどの背景である可能性が示唆されている5)

  • 文献概要を表示

「あれ? ここに写っているの何?」

 集中治療室で人工呼吸管理中の患者の胸部X線写真には,喉頭付近に「何か」がはっきりと写っている。気道異物だろうか? 気管挿管中なのに? 食道内? 気管チューブの中…? 頸部のCTを撮影したところ,気管内かつ気管チューブの外側に,もともと前歯にあった冠橋義歯(ブリッジ)がはまっているようだ。ブリッジはチューブに押され,気管に食い込んでいるようにも見える。しかも場所は声門の直下。さて,どうやって取ったものか。呼吸状態はイマイチだが,抜管するしかないか…,いや,抜管したら気道を傷つけてしまうのでは? 呼吸状態もイマイチなのに気道からの出血なんて起こったら…。

 合併症や問題点が複数ある患者における声門直下の気道異物,皆さんの施設ではどのようなアプローチで,どのような麻酔法で取り除くプランを立てるか,誌上で議論してみたい。

予告編
  • 文献概要を表示

次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。自施設にこのような症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えておいてほしい。次回,各施設のPLANをお楽しみに!

特別企画 東日本大震災から10年

  • 文献概要を表示

2011年3月11日から10年が経過しようとしています。この10年で地震に対する備えや知識は格段に向上したと感じています。例えば,BCP(business continuity planning)という概念は一般人にも浸透し,このCOVID-19という災害下に多くの組織や個人がBCPを実践しています。今回の特別企画は,第一線でご活躍の震災を経験していない世代へ災害時の医療を伝えるだけでなく,当時を知る者にとっても記憶を新たにしてもらうためのものです。

 今回,元 弘前大学医学部附属病院副院長の福田 幾夫 先生と石巻赤十字病院副院長の植田 信策 先生に執筆いただきました。DMAT(災害派遣医療チーム)以外の一般医療職者が全国的な情報を共有をすることが当たり前ではなかった震災当時,福田先生はいち早く情報収集し,有益な情報を発信されました。また植田先生は,急性期以降にも多くの方が亡くなった避難所にて肺血栓塞栓症予防に駆け巡られました。そのようなご経験を踏まえ,福田先生には,今後予想される南海トラフ地震や首都直下型地震が発災した際に病院はどのような事態になるのかを,植田先生には,震災関連死は発災直後から長期にわたり続くこと,震災の影響はがん医療にも強く影響するという大変興味深い内容を執筆いただいています。あの震災時の状況を伝え,起こり得る次の災害に対する新たな仕組みを作ることを半ば使命と思っている私たちですら,忘れていること,新たに教えられることも多くあり,東日本大震災から10年という節目に気持ちを新たにした次第です。

 本企画が,災害時に手術や集中治療という重要な部門を担う麻酔科医の糧になれば幸いです。

  • 文献概要を表示

2011年の東日本大震災から10年が経過したが,その後も2016年熊本地震,2018年大阪府北部地震,北海道胆振東部地震と大きな地震災害が相次いでいる。また,2015年には常総市水害,2018年に中国・四国地方豪雨災害が起こり,これらの災害でも病院は被災した。南海トラフ地震が30年以内に70〜80%の確率で発生すると予測されており,その被害は最悪で死者12万〜23万人と予想されている1)。30年以内に70%の確率で起こるとされている首都直下地震では,建物倒壊による死者最大約11000人,揺れによる建物被害に伴う要救助者最大約72000人,火災による死者最大約16000人と予想されており2),都内の病院には多数の災害負傷者が押し寄せるだろう。被災中心地の病院では,建物の倒壊によるクラッシュ症候群,多発外傷,骨折,火災による熱傷などにより集中治療,手術の医療ニーズは高まるが,病院が被災すれば医療供給能力は低下する(図1)3)。交通網の寸断は患者搬送に支障をきたすとともに,物流の障害をきたす。日頃の準備により医療供給力の低下を最小限にして医療需要を賄わなければならない。

 本稿では,筆者の前任地の弘前大学医学部附属病院手術部で行った東日本大震災における手術室の運営に関する調査結果を紹介し,今後起こり得る大災害に向けて手術部・ICUでの備えについて述べる。

  • 文献概要を表示

2011年3月11日の東日本大震災から10年がたとうとしている。日本ではこの10年間で五つの地震と十の水害・土砂災害で犠牲者を出している。自然災害が多発する現代において,大きな災害が医療に与えたインパクトを知ることは,現場レベルでは次の被災地での医療提供を考えるうえで,また行政レベルでは被災地の保健医療福祉体制を考えるうえで,今後の参考になるものと思われる。

 本稿では,その影響について災害医療と被災地でのがん検診について述べる。

温故知鍼灸〜目に見えない世界を覗く〜

6 気滞と太衝 原田 明子
  • 文献概要を表示

ストレスの原因は対人関係だけではない

現代はストレス社会といわれています。クリニックを訪れる患者さんにストレスの原因を尋ねると,仕事や家庭の問題,親子関係など人間関係に関する返答が多いのですが,実際は,身体にストレスを与える要因はたくさんあります。人間関係などの社会的な要因のほか,病気やけがなどの身体的なもの,不安や緊張,悲しみといった精神的なものもあります。

 また,中国医学には「天人相応」という言葉があります。自然の一部である人の生命活動と自然環境は密接に関係しているため,自然環境の変化が人体に影響を及ぼすというものです。暖冬や冷夏,集中豪雨など異常気象や,気温や湿度の急激な変化が,身体にストレスを与えているのです。

こどものことをもっと知ろう 第23回

急性脳症 青木 一憲
  • 文献概要を表示

麻酔科医:

急性脳症のこどもの全身麻酔の担当になったのですが。「AESD」って何だろうとか,わからないことが多いです。取りあえず,麻酔中は頭蓋内圧を上げないように管理すればいいのでしょうか。抜管したら集中治療科の先生に怒られそうだから,挿管のままICUに帰そうと思っているのですが。

小児科医:

急性脳症にもいろいろなタイプがあり,後遺症もさまざまなんです。急性期を過ぎれば,後遺症の程度が麻酔管理上は重要になるので,一緒に急性脳症のタイプや経過,麻酔前に確認すべきことを勉強していきましょう!

連載 研修医・初心者のための〜Dr.DのおもしろTEE講座 第6回

  • 文献概要を表示

PLSVC

みなさん,こんにちは。TEEしてますか。今回は,左上大静脈遺残persistent left superior vena cava(PLSVC)のお話です。上大静脈(SVC)は通常,心臓の上方から右側を走行し,右房と結合しますが,PLSVCは左側から右房に結合します。PLSVC自体で症状がないため,偶然発見されることがほとんどです。先天性心疾患の心臓手術だけでなく,成人の心臓手術でも遭遇することがあります。比較的単純な先天性疾患ですが,遭遇機会が少ないためか,見過ごされてしまうこともあるようです。しかし,見落とすと重篤な合併症をまねいたり,心臓手術の手技や人工心肺の運転を妨げる場合がありますので,麻酔科医も注意を払う必要があります。

連載

THE Editorials
  • 文献概要を表示

Anesthesiology

Editorial:

Matava CT, Gálvez JA. Aerosol retention barriers:roles and limitations. Anesthesiology 2021;134:9-10.

Article:

Fidler RL, Niedek CR, Teng JJ, et al. Aerosol retention characteristics of barrier devices. Anesthesiology 2021;134:61-71.

■飛沫とエアロゾル

新型コロナウイルスSARS-CoV-2の伝播経路として,接触感染,飛沫感染,そしてエアロゾルを介したものがある。エアロゾルは挿管・抜管や酸素のネブライザを用いた投与などで発生する。20μm以上の飛沫は,重力により秒単位で落下する。100μm以上の飛沫は安静な呼吸では1mも飛散しないが,くしゃみでは6m,咳でも2mは飛散する。エアロゾルは,1〜10μm未満の大きさのものは長期間空気中に浮遊する。エアロゾルの振る舞いは気流や湿度,温度など多くの要因に影響される。

 術中の挿管や抜管時を中心に飛沫やエアロゾルが飛散しないように多くのバリアデバイスが使用されている。しかしながら,これらのデバイスの有効性のエビデンスは豊富ではない。

時短・簡単・驚嘆レシピ 夕ご飯 何にする?

  • 文献概要を表示

長芋は,とろろにするのが定番ですが,煮物や炒め物など,いろいろな方法で美味しく食べられる野菜の万能選手です。今回はそんな万能選手の長芋と,もう一つおまけに春の定番菜の花を使ったレシピを紹介します。コロナウイルス感染拡大の影響で,お家ご飯を頑張っている読者のレパートリーアップに,少しでもお役に立てれば嬉しいです。

diary

奈良県西の京 松田 智明
  • 文献概要を表示

当院は外科(開腹手術,腹腔鏡下手術など)や整形外科(人工関節,脊椎,外傷など),血管外科,眼科を中心に,年間約1200例の手術を行っています。地域に密着した病院であることはもちろんですが,奈良の南部(吉野,十津川方面)や大阪・京都などからも手術を受けに来る患者がたくさんいます。

 私は2018年4月に赴任してきました。それ以前は,常勤麻酔科医がいなかったため,麻酔科医による術前・術後診察はなく,麻酔の説明や同意書取得も主治医が行っていました。そこでまず,麻酔科外来を立ち上げ,術前診察と麻酔の説明をし,術後には病棟回診をするようにしました。もうすぐ3年になりますが,何とか満足のいく周術期管理ができるようになってきたところです。症例数はまだ多くないですが,超音波ガイド下神経ブロックや硬膜外麻酔などの術後疼痛管理も積極的に行っています。

新説 浮世鑑

  • 文献概要を表示

先ごろ,東京オリンピック・パラリンピック組織員会会長の森さんの発言が女性蔑視だと非難を浴び,IOCが火消しに動くなど,世界的な問題になりました。「失言」といえば森元首相,というほど彼には多くの武勇伝があり,どうして一言多いのだろう,森さんこそ(ご本人によるところの)「おしゃべりな女みたい」ではないか(くれぐれもご了解いただきたいのですが,これは私ではなく森さんの言葉です)とテレビに向かって毒づいてしまいました。もっとも,その直後のニュースでは,言葉が少なすぎると評される菅現首相の「失言」が問題になっていたわけで,どうも,失言は言葉の多寡によるものではなさそうです。

--------------------

from LiSA

目次

LiSAカレンダー

基本情報

13408836.28.3.jpg
LiSA
28巻3号 (2021年3月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

文献閲覧数ランキング(
4月5日~4月11日
)