症例ライブラリー 腰背部痛のレッドフラッグを見逃すな
巻頭言
若泉 謙太
1,2
1慶應義塾大学医学部 麻酔学教室
2慶應義塾大学病院 痛み診療センター
pp.653
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320070653
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- 文献概要
腰背部痛は,ペインクリニックを受診する患者で最も多い主訴の一つである。そのため,疼痛診療に馴染みのない麻酔科医であっても,医者というだけで腰痛についての相談をされることがあるだろう。「最近,持病の腰痛がひどくって,これって年のせいかなぁ」といった感じだ。そんなときに「しばらく安静にしていれば(少し軽い運動をしていれば)そのうち治りますよ」という安易な返事は禁物だ。悪性腫瘍の椎体転移や化膿性椎体炎など,早期に治療方針を決定し対応しなければならない病態が潜んでいる場合があるからだ。しかし,「いや〜,痛みのことはちょっと…」というのも,痛みに精通しているはずの麻酔科医としてはいただけない。そんなときはまず,レッドフラッグを意識してみるとよいだろう。
今回の症例ライブラリーでは,腰背部痛に潜む見逃せない疾患について,疼痛診療の専門医たちに解説していただいた。このような疾患を見逃さないための戦略や考え方は疼痛診断学の面白さでもある。普段は疼痛診療をしていない読者にも,この魅力を知っていただき,知識を深めるきっかけにしてもらいたい。
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