LiSA 32巻1号 (2025年1月発行)

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症例ライブラリー　危機管理「発災」

巻頭言江島　豊 32巻1号 , 2025年1月 , pp.15

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術中，地震や火災が発生することはめったにないことだが，万が一発生した場合，どのように対応するかを発災してから考えたのでは遅きに失する。傷病者が多数押し寄せてきてからトリアージを考えたのでは，救える命も救えなくなるかもしれない。

　本症例ライブラリーでは，人工血管置換術中の地震，人工心肺中の突然の停電，術中火災，大規模地震直後のgrade A帝王切開，近隣での鉄道災害の五つの場面について考えてもらう。まずは冒頭の症例部分だけを読み，自分ならどうするかを考えてほしい。すなわち，誌上シミュレーションである。同じ災害でも，昼間なのか夜中なのか，夏なのか冬なのか，平日なのか休日なのかで状況は変わり，唯一の正解はない。まずは提示された状況から，自分で考えることが重要である。そして自分の考えが整理できたら読み進め，エキスパートたちが，災害の原理原則や豊富な知識からどのような事態を想定し準備しているかを吸収してほしい。さらに，麻酔科医はもちろんのこと，手術部看護師や臨床工学技士らスタッフ，そして受付や事務も巻き込み，災害シミュレーションを実行していただけたら本望である。

Yグラフト置換術中に震度6の地震阿部　望 32巻1号 , 2025年1月 , pp.16-19

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■症例

78歳の男性。身長168cm，体重74kg。腹部大動脈瘤に対してYグラフト置換術を実施中，大動脈遮断前に震度6強の地震が発生した。内陸の大学病院で建物の被害は少ないが，近隣家屋の倒壊がニュースで報じられている。市中では電気，水道が止まっている。

さて，あなたならどうする？

手術中に突然電源が喪失した!?手術室における停電対策佐藤　仁 32巻1号 , 2025年1月 , pp.20-25

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■症例

某大学病院の8番手術室。78歳の男性。身長168cm，体重55kg。大動脈弁狭窄（AS）に対して，大動脈弁置換術を施行中。機械弁による人工弁置換術が順調に進行しており，外科医は大動脈遮断を解除し，人工心肺からの離脱を試みていた。

　病院の外では，昨今の気候変動の影響か，ゲリラ豪雨と激しい落雷に見舞われていた。

　突然，近隣に大規模な落雷があり，病院への外部からの送電がストップした。8番手術室は，非常灯（小さな電球）と手術灯のみが点灯した状態になった。麻酔器に目を向けると，電源が落ちて人工呼吸装置は停止していた。麻酔器に据え付けられた生体情報モニターも電源が落ちて真っ暗になっていた。臨床工学技士（ME）によると，人工心肺装置も停止しているという。

さて，あなた（シニアレジデント）ならどうする？

手術中，術野から突然火の手が！谷口　巧 32巻1号 , 2025年1月 , pp.26-30

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■症例

64歳の男性。身長164cm，体重72kg。腹部大動脈瘤切迫破裂に対して緊急Yグラフト術施行中，突然，術野から火の手が上がり，一面が火の海になった。

さて，あなたならどうする？

大規模地震直後，グレードAの帝王切開が申し込まれた生田　義浩 32巻1号 , 2025年1月 , pp.31-33

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■症例

29歳の女性。1妊0産。身長165cm，体重81kg（BMI 29.8kg/m²）。妊娠36週6日。腹部緊満感で，安静入院中である。血圧128/75mmHg，脈拍80bpm，経皮的末梢動脈血酸素飽和度（SpO₂）97％で，妊娠経過に特に異常はなかった。朝食は全量摂食済みである。既往歴もない。

　朝のカンファレンスが終了し，各部屋で入室準備中に震度6強の地震が発生した。とりあえず揺れは収まり，スタッフへの被害はなさそうである。念のため，朝の入室時刻を遅らせ，手術室内のチェックを行った。手術室内の機器の損傷はなさそうだが，被災の全貌は確認できていない。この状況で重度の胎児徐脈のため，本症例へ超緊急（grade A）帝王切開術が申し込まれた。

さて，あなたならどうする？

いつもの手術中，近隣で大規模列車事故との報が入った櫻井　淳 32巻1号 , 2025年1月 , pp.34-37

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■症例

ここは地域の中核病院。病床数は600床ですべての科がそろっており，手術室は8床である。本日は平日の午前10時。麻酔科部長は出張中で，若くして麻酔科医長になったあなたは，医師の職位としてはトップであり，張り切ってあれこれ指示を出している。5例の予定手術の麻酔導入が終わり，それぞれ手術は始まった。施行している手術は胃癌の胃全摘（4時間予定），大腿骨頸部骨折の骨頭置換（2時間予定，その後2列でもう一例予定），頭頸部癌（10時間予定），冠動脈バイパス術（CABG）（6時間予定），産婦人科の緊急帝王切開（2時間予定）であった。臨時手術として，78歳のヘルニア嵌頓と，抗菌薬治療中の12歳の虫垂炎の症例の手術が申し込まれている。

　そこへ救命救急センターから，近所で列車の脱線事故が起こり，多数の怪我人がいると連絡を受けた。

さて，あなたならどうする？

まとめ：BCPとは試験対策である?? 江島　豊 32巻1号 , 2025年1月 , pp.38-39

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災害対策は試験対策に例えられる

BCPとは，business continuity planningの略であり，事業継続計画または業務継続計画と日本語に訳される。businessという一語が入るため，医療とは関係が薄いと思われがちだが，医療におけるBCPを一言で表すとすれば，それは試験対策だ（ビジネスでは違うかもしれない）。出題範囲は地震，火災，台風，大雨，大規模交通事故など大変広い。CBRNE災害^＊1も含まれる。試験対策は短時間でより多くの正答を導くことが目的だが，BCPは災害が生じた際に，少しでも多くの人を救命する・治療する・ケアすることが目的だ。

　試験対策として，過去問を解いて出題傾向に合わせた対策を講じ，模擬試験を受けるように，われわれは過去の災害から多くのことを学び，BCPを策定し，そのBCPに抜けがないか，正しい方向の対策かを確かめるために災害訓練やシミュレーションを実施する。そして答え合わせを行い次に備える，すなわちBCPを改定する。この一連の流れをbusiness continuity management（BCM，業務継続マネジメント）と呼ぶ。試験科目ごとの勉強をするように，災害でも個々の災害ごとの対策，例えば「地震」「術野火災」それぞれの初動を示したマニュアルは必須である。試験対策に終わりがないように，災害対策にも終わりはない。

症例カンファレンス

予告編 32巻1号 , 2025年1月 , pp.41

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次号の症例カンファレンスの提示症例を，一足先に紹介する。自施設でこのような症例と遭遇したらどうするか，事前に考えておいてほしい。次号をお楽しみに！

特集　きみたちは麻酔界をどうするのか

巻頭言 32巻1号 , 2025年1月 , pp.49

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新たな年を迎えるこの時期は，目まぐるしい日常とは少し離れることができる時期でもあります。そこで，麻酔と医療の行く末について思考してみてはいかがでしょうか。現在の麻酔科臨床や麻酔科学は，先人たちの努力の積み重ねによって切り開かれました。そのバトンを受け取った一人一人が，どのような麻酔界を後進に渡すのか。まずは，麻酔業界をとりまく現在の状況を冷静に見つめ，そして，少しでも明るい未来となるように，自身ができることは何か，やりたいことは何か，そのためにはまず何をするのか，麻酔科医としての2025年の目標や課題を設定するきっかけにしてください。

日本医療の未来予想図—きみは麻酔科医として生き残れるか？宮津　光範 32巻1号 , 2025年1月 , pp.50-56

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はじめに

2025年，今年はどんな年になるだろう？　それは，かつて国内総生産（GDP）第2位の経済大国であった日本が，インドに抜かれて第5位に転落する年^1）である。日本の借金は歳入の9.5倍以上ある。経済がダメで財政も火の車だから診療報酬点数は上げられない。昨今のインフレにより，医療材料は幾度となく値上げされ，病院の経費は嵩む一方だ。もはや保険診療で利益を出すのは不可能に近い。若い医者はこぞって美容などの自由診療に行ってしまう。日本の医療はお先真っ暗だ。

Choosing Wisely Campaignがもたらす未来—価値・認知を高めてWin-Win-Win 小原　崇一郎 32巻1号 , 2025年1月 , pp.58-64

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はじめに

かつて，こう諭す麻酔科医がいました。「麻酔科医はキャバクラ嬢やホストと一緒だからね。お客さんによい気分になって帰ってもらおうと彼女たちや彼らが努力するのと同じく，麻酔科医は外科医にいい気分で手術を終えてもらわなければならない」。なるほど，あながち間違いではありません。ただ，とてもタイセツなことが欠けている気がします。果たしてそれは何でしょうか？

Choosing Wisely Campaign（CWC）は，2012年に米国内科専門医機構American Board of Internal Medicine（ABIM）財団のイニシアチブで開始され，そのエッセンスは不必要な医学的検査/治療/処置を回避して医療リソースの過剰使用を抑制し，患者と医療従事者との対話を促進することにあります。全米のほとんどの専門医学会がそれぞれ，ABIM財団の呼びかけに応じて「有限の医療資源を適正配置する」観点から見直すべき主な五つの診療行為を「トップ5リスト（top 5 lists）」として公表したことから大きな注目を集めました。

　本稿では，さまざまな領域のCWCのこれまでについてまとめ，CWCが日本の周術期医療で展開・実践されたらどのような未来が期待できるのかを探ります。

麻酔による地球環境負荷は軽減できるのか—きみの麻酔は地球にも優しいですか？水谷　光 32巻1号 , 2025年1月 , pp.66-70

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はじめに

多忙を極める麻酔科業務に就いていると，理想的な仕事ができないこともある。それでもプロの麻酔科医であれば，患者にはもちろん職員にも優しい麻酔を追い求めているだろう。しかしそれだけでよいのだろうか。足元や空を仰ぎ見てほしい。地球環境の悪化により，すでに大勢の人々の生命と健康が侵されている。麻酔科医は目の前の患者の生命と健康を守ることに精一杯ではあるが，その医療活動自体が地球環境を汚している。

Academic Anesthesiologistたれ—きみのモヤモヤは何ですか？田村　高廣 32巻1号 , 2025年1月 , pp.72-75

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はじめに

近年，日本の研究力低下が問題視されており，麻酔領域における学術活動も例外ではなく低迷してきている。実際に，2016年までの日本麻酔科学会年次学術集会への演題登録数は，毎年約1250件超を推移していたものの，2017年から年々減少を続けている。ここ数年の演題登録数は2016年頃と比べ半分未満に低下しており，新たな知見を積み上げる学術活動が危機的状況に向かっているといえる。

　それでは，なぜ演題登録数が減ってきているのか？　臨床研究法が2017年4月14日に公布された影響があるのだろうか，研究費配分の問題なのだろうか，専門医取得や更新のための学会発表要件が緩いからなのだろうか，研究を実施する意義が若手世代に伝わらないからだろうか，……研究力低下の原因を考えても枚挙に暇がない。

　本稿では，読者が経験した貴重な症例報告や実施した研究成果が学会での演題報告や論文発表につながることを期待して，特にリサーチマインドについて述べる。なお，本稿での「研究」は，基礎研究および臨床研究をも含めた学術活動全般を含む用語とする。

機は熟した—クリニカルクエスチョンから論文量産化への道筋坪川　恒久 32巻1号 , 2025年1月 , pp.76-80

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はじめに

アカデミックな階段を上るには業績を積み重ねなければならない。業績＝論文であり，論文を生み出すためには，ネタとなる仮説とそれを検証するデータが必要である。業績の評価は質×量で行われ，インパクトファクターの高い雑誌に掲載されるような吟味された内容の論文が望ましいが，そのようなレベルの研究はそう簡単にはものにならない。

臨床医がなぜ基礎研究をするのか？—きみが解明したいことは何ですか？神里　興太 32巻1号 , 2025年1月 , pp.82-86

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はじめに

日々の業務に追われ臨床をしながら基礎研究を続けることは必要なのだろうか。基礎研究は基礎研究者に任せればいいのか。大学に勤務しているから基礎研究をしないといけない時代はもう終わった。勤務時間が制約されていく中，なぜ「ツライ」研究に充てるのか。そうではない。「楽しい」基礎研究は自ら手を挙げて行うものなのである。

これからの麻酔科医としてあるべき姿とは—日本と米国での臨床と研究を通して考えたこと結城　公一 32巻1号 , 2025年1月 , pp.88-91

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はじめに

現在，週の半分は心臓麻酔のスタッフとして臨床に従事し，残りは自分のラボで周術期の炎症，感染をテーマに研究を行っている。学生時代から留学に興味があり，医学部を卒業後早期に臨床留学をすることができたが，現在のように米国で仕事を続けるとは考えていなかった。これまで，日本と米国で，臨床と研究にかかわってきたが，常に自分の立ち位置を意識してきた。改めて，麻酔科のあり方について考えてきたことをまとめる。

さてきみは，2025年の学術活動をどうする？—学会開催情報まとめ 32巻1号 , 2025年1月 , pp.92-95

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2024年12月5日時点で公開されている主だった学術集会情報をまとめた。

2025年の学術活動計画の参考にしてほしい。

ちょっと拝見となりのDAMカート

札幌医科大学附属病院の巻立花　俊祐 , 中山　禎人 32巻1号 , 2025年1月 , pp.1-3

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基本情報

手術室15室に対してDAMカート1台

W 50cm（天板拡張時92cm）×D 44cm×H 98cm（支柱を含めると138cm）

麻酔科控室と手術室エリアをつなぐ廊下の手術室エリア入口に配置。

手術室エリアのほぼ中央に位置しており，各手術室からもアクセスしやすい。

最も遠い手術室からは16秒で到達でき，そこからDAMカートを押して35秒で運搬できる。

こどものことをもっと知ろう第68回

小児の便秘児玉　和彦 32巻1号 , 2025年1月 , pp.4-7

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小児科医：あ，先生，鎮静をしていただきありがとうございました。おかげさまでうまくいきました。

麻酔科医：内視鏡をしないといけないくらいひどい便秘症って初めてみました。

小児科医：ああいう最重症の便秘症はめったにないのですが，今回のケースは長い間治療を受けないまま自宅で様子をみていたようです。もっと早くに治療できていればこんなことにはならなかったのですが……。

連載　医学教育お悩み相談室あなたも教え上手になれる！第4回

教えるのは好きですが，今の自分の教え方でいいのでしょうか？谷　真規子 32巻1号 , 2025年1月 , pp.8-14

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麻酔科専門医です。初期研修医や専攻医に指導することが最近増えてきました。教えること自体は嫌いではないし，どちらかというと好きな方だと思うのですが，研修医たちにとって自分は良い指導医なのかどうかといつも不安です。（卒後11年目，臨床研修病院勤務）

連載

みんなのプロフィール帳牧戸　香詠子 32巻1号 , 2025年1月 , pp.47

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麻酔科専門医を取得して，さてこれからどうしよう。

サブスペシャリティ？　研究？　麻酔は楽しいし，どれもやってみたい。

結婚や出産はどうしよう？

先輩たちは，どうしてきたんだろう…？

THE Editorials 32巻1号 , 2025年1月 , pp.104-105

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The New England Journal of Medicine

Editorial：

Ostermann M, Shaw AD. Amino acid infusion to protect kidney function after cardiac surgery. N Engl J Med 2024；391：759-60.

Article：

Landoni G, Monaco F, Ti LK, et al. A randomized trial of Intravenous amino acids for kidney protection. N Engl J Med 2024；391：687-98.

■心臓手術後の急性腎障害の頻度が高い

心臓手術では急性腎障害（AKI）の発症頻度が高い。AKIは慢性腎臓病（CKD）を起こしたり，死亡率を上昇させたりするなど，予後を悪化させる重大因子である。人工心肺使用時には，腎血流量が50％以上減少したり腎髄質低酸素症や糸球体濾過量低下が起きたりする。アミノ酸の投与により，輸入細動脈の抵抗減少による腎血漿流量の増加や，尿細管糸球体フィードバックの活性化，腎皮質における一酸化窒素合成酵素活性の上昇，糸球体濾過量の増加が起こり，腎予備能が増加することが示唆されている。アミノ酸輸液により心臓手術後におけるAKI発症の抑制を示唆する日本からの報告（Kazawa M, et al. JA Clin Rep 2024；10：19）もあるが，対象症例数はわずか66例であり，対照群のAKI発症率も56％と高く，その効果についてはさらなる検証が必要である。

連載　2025のシェヘラザードたち　第10夜

ライン確保—麻酔科医の真骨頂とプライド八木原　正浩 32巻1号 , 2025年1月 , pp.99-102

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われわれ麻酔科医の仕事，見せ場はさまざまある。術前評価，麻酔計画，ライン確保，気管挿管，区域麻酔，経食道心エコー，輸液管理，術中術後鎮痛，質の高い麻酔覚醒，考えればきりがない。ただし，ライン確保以上に麻酔科医が重要視すべきことはないと考える。どんなに優れた麻酔薬，血管作動薬，麻酔計画も，ラインが確保できないと始まらないのだから。そこで今晩は，私の経験をふまえてこの基本的な手技を振り返りたい。

　末梢静脈ライン，動脈ライン，中心静脈ラインなど，常日頃行う手技であるが，その多くは麻酔導入時に行われる。これらは外科医や手術室看護師に注視されるため，彼らの評価に直結する。つまり麻酔時間のほとんどが，手術を裏から支える役割であるわれわれが最も輝く時間なのである。洗練された手技で，素早く高確率にライン確保を行う麻酔科医は周囲の評価が上がり，信頼を得るとともに，麻酔科医としてのプライドを自負できるのである。麻酔科医になって24年目になるが，末梢静脈ラインの確保でさえ，成功すると今でも幸せを感じる。

連載　ブックレビュー

『フキダシ論—マンガの声と身体』/『谷根千文学傑作選』/『都市に侵入する獣たち：クマ，シカ，コウモリとつくる都市生態系』 32巻1号 , 2025年1月 , pp.96-98

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ぶらり研究室探訪記17

Mouse embryonic stem cells embody organismal-level cold resistance 東條　健太郎 , 吹田　晃享 , 砂川　玄志郎 32巻1号 , 2025年1月 , pp.42-46

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基礎研究をする仲間を求めて，全国のラボを訪れます。今日の訪問先は…

diary

大分県別府市中島　優志 32巻1号 , 2025年1月 , pp.48

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別府医療センターは大分県中部の地域中核拠点病院で，麻酔診療には，常勤麻酔科医5名のほか，非常勤医師や大分大学病院からの応援，診療看護師であたっています。手術は幅広く，消化器外科や呼吸器外科だけでなく，小児や心臓外科，超緊急帝王切開の症例なども行います。業務のほとんどは手術麻酔ですが，まだ症例数は少ないものの，産婦人科と連携して，無痛分娩にも携わっています。また当院では超音波ガイド下末梢神経ブロックによる鎮痛を非常に積極的に行っており，術後痛を抑え，安全で質の高い麻酔を心掛けています。最近では2024年の夏に，消化器外科や呼吸器外科でロボット手術が導入され，手術室は活気づいています。業務が忙しく手が回らない日もありますが，おおむねゆとりをもって働くことができ，仕事終わりや休日には育児に参加する時間を多く取ることもできます。

時短・簡単・驚嘆レシピ　夕ご飯　何にする？

—57th recipe—七草がゆのアレンジ川真田　美和子 32巻1号 , 2025年1月 , pp.103

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お正月のごちそうに疲れた胃をいたわるという七草がゆ。

今では七草をそろえて食べる人は少ないでしょうか。

現代版の簡単で胃に優しい野菜のおかゆをご紹介します。

餅は香ばしく焼いて，野菜はお好みのもの，冷蔵庫に残っているものを入れましょう。

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スキまTimes 32巻1号 , 2025年1月 , pp.91

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掲示板 32巻1号 , 2025年1月 , pp.106

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Back Number 32巻1号 , 2025年1月 , pp.108

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from LiSA 32巻1号 , 2025年1月 , pp.109

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目次 32巻1号 , 2025年1月

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LiSAカレンダー 32巻1号 , 2025年1月

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基本情報

LiSA
32巻1号
(2025年1月発行)

電子版ISSN：1883-5511 印刷版ISSN：1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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症例ライブラリー 危機管理「発災」

症例カンファレンス

特集 きみたちは麻酔界をどうするのか

ちょっと拝見 となりのDAMカート

こどものことをもっと知ろう 第68回

連載 医学教育お悩み相談室 あなたも教え上手になれる！ 第4回

連載

連載 2025のシェヘラザードたち 第10夜

連載 ブックレビュー

ぶらり研究室探訪記17

diary

時短・簡単・驚嘆レシピ 夕ご飯 何にする？

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連載　医学教育お悩み相談室あなたも教え上手になれる！第4回

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