特別企画 東日本大震災から10年
東日本大震災から10年
江島 豊
1
,
山内 正憲
2
1東北大学病院 手術部
2東北大学病院 麻酔科
pp.215
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201913
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2011年3月11日から10年が経過しようとしています。この10年で地震に対する備えや知識は格段に向上したと感じています。例えば,BCP(business continuity planning)という概念は一般人にも浸透し,このCOVID-19という災害下に多くの組織や個人がBCPを実践しています。今回の特別企画は,第一線でご活躍の震災を経験していない世代へ災害時の医療を伝えるだけでなく,当時を知る者にとっても記憶を新たにしてもらうためのものです。
今回,元 弘前大学医学部附属病院副院長の福田 幾夫 先生と石巻赤十字病院副院長の植田 信策 先生に執筆いただきました。DMAT(災害派遣医療チーム)以外の一般医療職者が全国的な情報を共有をすることが当たり前ではなかった震災当時,福田先生はいち早く情報収集し,有益な情報を発信されました。また植田先生は,急性期以降にも多くの方が亡くなった避難所にて肺血栓塞栓症予防に駆け巡られました。そのようなご経験を踏まえ,福田先生には,今後予想される南海トラフ地震や首都直下型地震が発災した際に病院はどのような事態になるのかを,植田先生には,震災関連死は発災直後から長期にわたり続くこと,震災の影響はがん医療にも強く影響するという大変興味深い内容を執筆いただいています。あの震災時の状況を伝え,起こり得る次の災害に対する新たな仕組みを作ることを半ば使命と思っている私たちですら,忘れていること,新たに教えられることも多くあり,東日本大震災から10年という節目に気持ちを新たにした次第です。
本企画が,災害時に手術や集中治療という重要な部門を担う麻酔科医の糧になれば幸いです。
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