徹底分析シリーズ パルスオキシメータ:世界の患者安全を変貌させた発明
産業として見たパルスオキシメータの日米企業の役割分担 The Different Roles of Japanese and US Industry in the Clinical Introduction of Pulse Oximeters
久保田 博南
1
Hironami KUBOTA
1
1ケイ・アンド・ケイ・ジャパン株式会社
pp.246-251
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201923
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開発から製品化までの長い道のり
1974年の青柳卓雄博士によるパルスオキシメータの発明は,その後,明確な目標設定のもとに企画されて成し遂げられた典型的な医療機器開発事例につながった。何といっても,現在の全世界での普及がその成果を実証している。多品種少量の産業として知られる医療機器産業界にあって,これほど幅広く医療に貢献している医療機器はまれであり,これぞ「医療機器開発の手本」というべきであろう。
結論を先に書いてしまったが,博士をリーダーとするプロジェクトに関し,折しも同時期に日本光電工業社(以下,日本光電社)の開発部に身を置いていた筆者からすれば,隣の課で進行中のテーマがこれほどまでに進展したものになるとは,予想さえできなかった1)。当時,所属部門は同一でも各課に与えられる使命はまったく別物であり,隣同士の課はよきライバルであり切磋琢磨するべき存在でもあった。その頃の筆者の担当は,すでに実用化が進んでいた生体情報モニターの無線化などの改良であり,新規パラメータを開発した青柳プロジェクトとは異質のものであった。つまり,実用的な製品改良と革新的なテーマとは,開発内容が異次元のものであったのだ。
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