看護管理 28巻4号 (2018年4月)

特集 新任看護師長必読! 変化の時代を生き抜く—人と組織のレジリエンス

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毎春の「新任看護師長必読」企画として,本年は「レジリエンス」を取り上げます。病棟にはさまざまな診療科の患者が入り乱れ,退院支援や地域連携の体制づくりは喫緊の課題です。組織の在り方も診療報酬の体系も目まぐるしく変わり,看護の仕事をめぐる変化のスピードはどんどん速くなっています。現場をリードする看護管理者に求められる役割も増え,ストレスやプレッシャーに心が折れそうになることもあるでしょう。

そのような中で,「変化や困難に向き合い,乗り越え,適応する力」として,「レジリエンス」という概念が注目されています。本特集では,変化の時代を生き抜くための個人と組織の「レジリエンス」について,考え方を整理するとともに,その高め方を提示します。特に,問題解決過程(PDP)を共通言語に組織としてのレジリエンスを高めるための実践を紹介します。

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本稿では,困難な状況下でもへこたれずに生き抜く力(レジリエンス)を,「人がへこたれてしまうメカニズム」についての心理学的知見をもとに読み解きます。そして,そのメカニズムを止め,レジリエンスを高めるための具体的なアプローチを紹介していきます。

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本稿では,レジリエンスの核である「支援とケアの関係」を,組織にどう組み込んでいくかを考えていきます。そのキーワードとなるのが「困る力」。困難やストレスを解消していく「はじめの一歩」であり,支援を受けるための重要なコミュニケーションでもあります。ここでは,「困る力」に焦点をあてて,互いに問題解決を支援し合えるレジリエントな組織づくりの具体的な方法を紹介します。

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日本赤十字社医療センターでは,2015年度から実施された文部科学省の「成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進」の事業委託を受け,看護管理者の院内継続教育の推進に取り組んできた。本稿では,その取り組みを概観しながら,看護管理者の院内継続教育の内容と成果について紹介する。

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JCHO東京新宿メディカルセンターではこれまで,病棟の混合化が進み,急患の受け入れや重症患者ケアなどの業務が煩雑化する中,安全な行務進行のための人員配置などの課題を抱えていた。現場の管理的な問題が多様化,複雑化する今,看護師長・副看護師長がへこたれずに,「レジリエンスを高める」にはどうしたらいいのか。

本稿では,従来からの看護管理研修に問題解決手法を取り入れ,業務改善に結びつけた取り組みを紹介する。

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前橋赤十字病院では新病院への移転を前に,経験から互いに学び合える看護管理者教育の機会を意図的に提供する必要性を感じ,その方法を模索してきた。

本稿では,問題解決過程を活用し,看護係長研修・看護師長研修を活性化させた取り組みを紹介する。

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三重大学医学部附属病院では,病院内で行った臨床看護マネジメントリーダー(CNML)を養成する取り組みを行い,院内の学びを三重県内で広める実践を行っている。

本稿では,研修を県内に広める経験を通した,多施設の看護管理者が学び合う関係の構築や,県内での看護管理者のネットワークづくりの取り組みを紹介する。

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レジリエンスの高い「しなやかな組織」は,なぜ今求められるのでしょうか。また,しなやかな組織づくりのために,看護管理者には何ができるでしょうか。看護職の人材育成や看護部の組織開発に関わる立場から,「対話」「問題解決」「ピアサポート」「創造性」などをキーワードに,経験を踏まえて語り合っていただきます。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために・15

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大学院および教室の特徴や魅力について,教員からご紹介いただきます。

「べっぴんさん」を生んだ自学自習の教育方針

 NHK朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」(2016年10月から放映)を覚えておられる方も多いと思う。主人公のモデルとなったベビー・子ども服「ファミリア」の創業者坂野惇子さんは,甲南女子大学(以下,本学)の前身である甲南高等女学校の卒業生である。坂野さんは学生時代を回想し「表校長先生(当時)の自学自習の教育方針は新しく」と甲南女子学園創立70年誌に文章を寄せている。坂野さんは卒業後,新しい教育方針で育まれた先進的な思考を生きる知恵に変え,戦後の困難な時代に子供服の質を大きく変える製品を世に送り出した。

 本学は大正モダニズムの中で設立され,2020年に100周年を迎える。設立時の自学自習の教育方針は現在の「自学創造,個性尊重,全人教育」へと受け継がれ,坂野さんのほかにも数多くの優れた女性を輩出した。小説家の佐藤愛子さんや朝井まかてさん,政治家の近藤三津枝さんなどである。

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背景と目的

 医療事故情報収集等事業2016年年報1)では,ドレーン・チューブ類に関する報告が15.5%を占め,これは薬剤38.8%,療養上の世話20.3%に次いで3番目に多い。種類別では末梢静脈カテーテルが36.7%で,内容別では56.4%が自己抜去・自然抜去に関するものである。今回調査を行ったA病院の末梢静脈カテーテル抜去事故報告数は,2015年1〜12月で355件であった。

 自己抜去に関与する患者行動に基づく研究では,不眠,不穏,せん妄などの精神症状を把握するスコア評価票を使用して自己抜去を予防し,抜去件数が減少したと示されている2)

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・1【新連載】

旅の始めに 清水 広久
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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアログを軸にしながら,読者の皆さんとともに追い求めていきます。

第1回では,この「進化するチーム医療への旅」が,どこへ向かおうとしているのか,その航海図をご紹介します。

連載 キャリア形成に悩むあなたのためのリレーエッセイ わたしの師長時代・12

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 私の看護師長としてのスタートは,看護相談室(現在の地域連携センターの前身)である。看護相談室が1看護単位として独立し,私は初代の看護師長となった。副看護師長として5年半病棟に勤務する中,看護相談室を活用する機会が多くその存在意義の大きさを痛感しており,看護師長としての重責に不安が大きかったことを覚えている。1つの組織を管理する責任,経験のない退院調整や転院調整,在宅支援という業務の習得,地域医療機関や地域のケアスタッフとの関わりなど,戸惑うことが多かった。

 そんな私を見て,尊敬する先輩からいただいた言葉が今も忘れられない。「新しい組織をつくる,やりがいのある仕事だね」。そして恩師には「初めから100%の力を出さず60%の力でやれば,あなたなら大丈夫」。これらの言葉で私は前を向くことができ,「できるだろうか」から「苦しみは成長の機会であり,どんな状況でもできることはある,自分ができることをやろう」と考え方が変わった。その後は,意欲的に看護相談室が目指す看護の言語化,体制整備に取り組み,スタッフとともに院内外の多職種と連携しながら患者の希望する療養生活を支援した。

連載 プログラムデザインで変わるファシリテーション あなたのスキルを現場に活かそう・7

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前回に引き続き,プログラムデザインをする際の筆者の頭の中を書き出すことで,起承転結の流れを組み立てていく方法をお伝えします。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・4

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本連載では,看護管理者として私自身が取り組んできた「看護の可視化」の実際について,事例と解説を通してひとつずつ紹介していきたいと思います。

第3回では,看護師の配置状況をどのように測り評価するのか,その方法論の一端を紹介しました。第4回からは,看護師の配置状況の評価を受けて,実際の看護師の過不足の問題をどのように解決していくのか,その方法論について考えていきたいと思います。

連載 コーチングと組織の関係性システムから考えるコミュニケーション 1人ひとりがイキイキ活きるチーム創り・4

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 第3回(3月号)では,「関係性システム」についてご紹介しましたが,実際に皆さんの組織,チームの健康状態をイメージしてみていかがでしたか? とても健康的な組織であると感じられた方もいると思いますし,一方で,組織が閉塞していたり,疲れていることを認識された方もいるのではないでしょうか。今回は,どんな要素があれば健康的な組織,チームになれるのかを考えていきます。

連載 今さら聞けないビジネスフレームワーク・4

PDCAサイクル 石井 富美
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実行(D)の後には評価(C)と改善(A)を

 「PDCAサイクルを回しましょう」という表現を使うことは多いと思います。PDCAは業務改善の基本ツールとしてよく使われる手法です。

 現状を分析した後に,どのように改善するかを考え計画を立て(Plan),実際に実行してみます(Do)。計画時に定めた期間を経た後に,計画通りにできたか,期待通りの改善成果を得られたかを評価し(Check),計画に沿っていない部分や成果が出ていない部分を明確にして改善策を考えて(Action),修正された計画を立案し(Plan),再試行します(Do)。この手法の繰り返しが「PDCAサイクルを回す」ということです(図1)。

連載 ID×課題解決 インストラクショナルデザインを活用した教育プログラム開発・4

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この連載では,インストラクショナルデザイン(ID:Instructional Design)を活用した教育プログラムを作成し現場の課題解決を行った取り組みを,実践事例を交えて紹介していきます。

第4回からは,東京医科歯科大学看護キャリアパスウェイ教育研究センターの履修生が,IDを使ってどのように教育プログラムを組み立て,実践したかを解説します。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・4

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香さんは94歳の父親を,長年かかっていた急性期病院で見送りました。看護師でアドバンス・ケア・プランニングに関心があり,両親の意思を聞いていたので「ここで実行しなきゃ!」と動いた,香さんの物語です。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・142

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 ターシャ・テューダーと言えば,アメリカ東部の初期開拓時代からある,丘陵のうねる田園風景の豊かな田舎で,生涯,畑仕事や家畜の世話をしながら,絵本作りをしていた女性として,日本でも多くのファンを持っている。あのように木々の四季折々の変化を楽しみ,好きな花を育て,ゆったりと絵を描いて暮らすなんて,何とすばらしいことかとあこがれる女性が少なくない。

 20世紀のはじめ頃に生まれ,10年前の2008年6月に92歳の高齢であの世に旅立つまでに,描いた絵本は100冊をこえ,さらにターシャの自然を愛する暮らしを記録した写真集もあって,亡き後も人気は衰えない。

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これからの認知症看護の重要な方向を示す1冊

“認知症と共に生きる人”という捉え方

 高齢による認知機能低下をはじめとする身体諸機能の衰えは,日本の長寿社会の中で受け入れられつつあり,今求められているのは,そのことも含めて成り立つ社会につながる一歩一歩の取り組みである。特に,本書の中での“認知症と共に生きる人”という表現は,人への一面的な見方ではない,広がりのある捉え方を促してくれる。

 本書は,人や人生の幸福を基本に据えた深い想いを以て,読み手の理解を進めてくれる。重要な事項を分かりやすく整理し,詳しい説明へといざなってくれ,「そういえば」と思い当たるような身近に本当に考えさせられる事例を用いて紐解いていく。そして,その人の体験している世界がしみじみとわかり,「嗚呼,そうだったのか」と思いを馳せることができたとき,それをいつの日にか自分自身にもありうることと感じ,少しでも助けになりたいという気持ちが湧きあがるのだろう。

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今月の新刊紹介

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次号予告・編集後記 石塚 小齋

基本情報

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看護管理
28巻4号 (2018年4月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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