看護管理 28巻5号 (2018年5月)

特集 医療事故調査制度と看護管理者の役割 将来の安全な医療を目指して

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医療事故の原因究明と再発防止を図ることを目的に,2015年10月に「医療事故調査制度」が開始されました。約2年半が経過し,徐々に事例が重ねられつつあります。

本特集では,「予期せぬ死亡事例」を対象とした同制度の概要やこれまでの成果,医療事故調査の必要性についての考え方を共有し,看護管理者の具体的な取り組みにも学ぶことで,今後の医療安全体制の構築につなげていきます。

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医療事故調査制度において医療事故調査やその支援を行う第三者機関が,医療事故調査・支援センターである。その役割を担う日本医療安全調査機構の看護職の立場から,医療事故調査制度の概要や,これまでの実績を報告する。さらに,医療事故調査を安全な医療の提供に生かす上で必要な看護管理者のリーダーシップについても期待を述べる。

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 2015年10月から開始された医療事故調査制度(以下,本制度)のもと,私は,医療事故調査・支援センター(以下,センター)の調査支援看護師の1人として,調査支援事業に従事しています。センターには,現在,約30名の調査支援看護師が勤務しています。

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筆者は医療事故調査制度を運営する日本医療安全調査機構の再発防止委員を務め,また北里大学病院で医療安全管理者として活動している。その経験から,医療事故調査制度の活用に関して医療安全管理者および看護管理者に期待されること,また再発防止に向け,予期せぬ死亡事例だけでなくインシデント報告を分析することの重要性などについて述べる。

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群馬大学医学部附属病院において医療安全管理に関わり,2014年に報道された腹腔鏡手術死亡事例の医療事故調査,遺族対応,および院内改革を経験した立場から,医療事故調査の必要性について報告する。また,自施設・他施設の医療事故調査の結果を組織としてどう活用すべきか,看護管理者に望むことも含めて述べる。

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杏林大学医学部付属病院産科病棟では,過去に経験した予期せぬ死亡事例の院内調査,および再発防止の取り組みを踏まえ,緊急時の体制整備や看護記録の改善など,医療安全のための組織的取り組みを行ってきた。それらの取り組みの報告とともに,看護師長の立場から考える平時および事故発生時の役割について述べる。

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日本看護協会は医療事故調査制度設立の議論に当初から関わり,設立後もさまざまな形で支援を行っている。そこで,同協会の医療安全担当理事である熊谷雅美氏に,医療事故調査制度への関わりや現在までの評価,また,医療安全に関する話題として,今後予定されている医療機器の国際規格への切り替えについてうかがった。さらに,看護管理者が平時および事故発生時において果たすべき役割についても述べていただいた。

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看護系各学会の連携を目的とする日本看護系学会協議会(JANA)は,医療事故調査等支援団体として医療事故調査制度を支援している。JANAにおける担当理事の立場から,医療事故調査制度における学術支援団体の役割と,制度の総合調査委員会委員としての活動から見えてきたことについて述べる。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために・16

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大学院および領域の特徴や魅力について,教員の立場からご紹介いただきます。

本学のあゆみ

 宮城大学(以下,本学)は,1993年に,宮城県総合計画の戦略的プロジェクトの1つとして整備が明示され,1997年に,「県立宮城大学」として開学されました。その年の5月に,天皇皇后両陛下の視察を受けています。2009年に「公立大学法人宮城大学」となり,2017年には開学20周年を迎えました。また,2017年度には,学生が自分の目標や興味などに合わせて学びたい学問領域を自由に選択できる教育システムとして,学群制が導入されました。学群の構成は,看護学群,事業構想学群,食産業学群の3学群です。

 看護学研究科は,2001年に修士課程,2010年に博士後期課程が設置されました。宮城大学は,看護系大学,大学院看護学研究科としては,宮城県で初めて設置された大学です。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・5

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本連載では,看護管理者として私自身が取り組んできた「看護の可視化」の実際について,事例と解説を通してひとつずつ紹介していきたいと思います。

第4回では,患者の安全を担保し,質の高い看護サービスを提供するために,緊急入院の振り分けを“ベッドの空き具合”ではなく“看護師の手の空き具合”で決めることの重要性を解説するとともに,“看護師の手の空き具合”を評価する指標として「看護師充足率」の算定方法を紹介しました。

第5回からは,この「看護師充足率」という指標をどのようにモニタリングし,実際の病床管理や看護師配置にどのように活用していくのかについて考えます。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・2

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアログを軸にしながら,読者の皆さんとともに追い求めていきます。

「なぜ医療現場の問題は解決が難しいのか?」というテーマで,医療現場における問題の特性を見ていきます。

連載 キャリア形成に悩むあなたのためのリレーエッセイ わたしの師長時代・13

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 私は,管理者になってから看護単位(病棟など)の責任者を経験してはいない。

 私はキャリアのほとんどを集中治療室(ICU)で過ごしてきた。ICUの看護は生命の予備能力の非常に少ない患者を看ることである。負荷を最小限に抑えてこの時期を無事に切り抜けることは,患者の生命予後や社会的予後に大きな影響を与える。ナースの果たす役割は大きく,何のために自分(ナース)がいるのかと考える癖が付いたと思う。

連載 プログラムデザインで変わるファシリテーション あなたのスキルを現場に活かそう・8

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今回はプログラムデザインの「結」パートについて解説するとともに,3回にわたって解説したプログラムデザインマンダラを使う手順について確認します。また,アクティビティの内容を詰めながら,細かい時間の使い方を調整する方法を紹介します。

連載 コーチングと組織の関係性システムから考えるコミュニケーション 1人ひとりがイキイキ活きるチーム創り・5

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 看護チーム内での人間関係が気になる5月。リーダーはチーム内の不協和音に気づくと,当事者から情報収集し,原因究明と行動改善のための指導に意識を向けがちです。高いチーム力を育てていくためには,ニュートラルに「チームの声」を聴くことから始めることも大事です。今回は「チームの声」を聴くためのポイントについて考えます。

連載 ID×課題解決 インストラクショナルデザインを活用した教育プログラム開発・5

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この連載では,インストラクショナルデザイン(ID:Instructional Design)を活用した教育プログラムを作成し現場の課題解決を行った取り組みを,実践事例を交えて紹介していきます。

前回に引き続き東京医科歯科大学看護キャリアパスウェイ教育研究センター第1期履修生の山下直美さんが取り組んだ,「時短勤務の看護師を対象とした,アナフィラキシーショックに対応できるためのシミュレーション研修」について解説します。

連載 今さら聞けないビジネスフレームワーク・5

ポートフォリオ評価 石井 富美
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 個人目標管理の評価手法として,2000年頃からポートフォリオ評価が導入されています。病院でも看護部を中心に個人ファイルを作成し,目標設定,プロセス設定などが盛んに行われました。現在もポートフォリオ評価を継続している病院は多いと思います。最近では介護職員の教育評価にも用いられており,個人面談時やスキルアップ研修への参加の指標にしているところもあるようです。医療業界では教育ツールの1つとして導入されていますが,本来のポートフォリオの使い方について説明をしていきます。

 ポートフォリオは書類を運ぶためのケースのことで,「ひとかたまり」とか「目的を持った書類の束」という意味合いがあります。主に「金融・投資系」「クリエイター系」「教育系」の3つの場面で使われています。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・5

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今話題の“地域包括ケア病棟”の原型のような,地域密着・医療連携の看取りを見つけました。岩手県の山中のこの地域は,30年前は医療機関がなく,住民はいよいよとなると町を出なければなりませんでした。「この町で死ねるようにしたい」という首長の願いでできたのが,一関市国民健康保険藤沢病院(以下,藤沢病院)です。

 この地域唯一の医療機関の責任を果たすべく,病棟(10対1看護で54床),2次救急を担い,手術室やCT・MRIなど最新の医療機器,健康増進外来(糖尿病の生活改善),フットケア外来,物忘れ外来,退院支援,訪問診療,訪問看護など,生活を支える医療をフル装備。医療者と住民が一緒に学びつくってきた,創業院長の佐藤元美さんと看護師長畠山貴江さんのお話です。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・143

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 詩人の工藤直子さんの詩は,言葉が自然体でやわらかく,思春期の少女のようなみずみずしさがあり,それでいて思わず微笑んでしまうユーモアとしっとりとしたペーソスがまぶしてある。私の好きな「あいたくて」などは,まさにそうだ。

 その工藤さんが愉しい“おはなし”を書き,和田誠さんがそのユーモラスな“おはなし”にぴったりの絵を描いて絵本『密林一きれいなひょうの話』を創りあげた。何しろ絵本の表紙に,通常は「工藤直子作」とか「工藤直子文」と表記するのに,「おはなし=工藤直子」と記してあるのだから,それなりの思い入れがあるのだろう。

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患者にどう接してよいか迷っている時,接し方を間違えたと落ち込んでいる時,明日を指し示してくれる1冊

がん患者に,医療者は何ができるか

 丸田俊彦先生は,精神科医として米国メイヨ・クリニックで32年間臨床実践を続け,とりわけ「がん患者」の心のケアに取り組まれた医師である。自らも「がん」を患いながら,最後まで患者の心とともに生きることを実践した方である。

 2人に1人ががんになり,男性は4人に1人,女性は6人に1人ががんで亡くなるという時代。家族や職場,学校で周囲を見回せば,必ずや「がん」を抱えた人がいる。「がん」であることを表明している人もいれば,ひっそりと闘病している人もいる。「がんの告知」が「死の宣告」と同義と思われていた時代と違って,近年は「がん」は不治の病ではなく,治癒も可能な病気となってきており,治療しながら仕事を続けることも当たり前になりつつある。とは言え,「がん」を告知された患者が受ける衝撃は,未経験者には計り知れない。そうした衝撃を受けた患者に,医療者は何ができるであろうか。

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まるで講義を受けているような奥深さ

 統計解析の解説本・指南本はこれまでにたくさん購入してきました。自分が研究をする際に,理解不足のまま多変量解析をして見当はずれな結論を導くのは怖いと思っていましたし,論文を読む際も,図表を読み取れず書かれていることを鵜呑みにするのは避けたいと思っていたからです。

 多くの書籍を購入してきましたが,書店で本書を見つけてパラパラとページをめくった瞬間に購入を決意しました。感想を一言で言えば,「買ってよかった!」「読んでよかった!」。本書は,変数の種類と組み合わせで機械的に正しい解析方法を選ぶといった,従来の入門書とは全く違います。著者の講義を受けるかのように,丁寧により深く,しかも面白く多変量解析を学ぶことができます。

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これまで以上に,誰かの役に立てるという幸福感を生む1冊

いのちの終わりに,こんなにもたくさんの“できること”がある

 木澤義之医師が中心となって編集・執筆した本書を,医師のみならず,その他の医療者にもぜひ読んでもらいたい。

 私は看護師という立場で読んだとき,医師の視点や判断を知り,その上で医師とは異なる看護の役割も再認識した。例えば,死前喘鳴への対応では,「本書には書かれていないけれど,この時期の家族に私はこうする」と思いながら読んだ。

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自身の看護観や看護管理実践を振り返る機会に

 2009年に看護基礎教育カリキュラム改正で「国際看護学」がクローズアップされてから10年近く経ち,著者の近藤麻理氏をはじめ「国際看護学の教員」に出会うことも珍しくなくなった。言うまでもなく,私の学生時代には「国際看護学」の講義はなかったが,看護職に国際的視点は欠かせないと思う。

 うん? 本当にそう「思う」? 「将来は海外で保健医療活動をしたい」という看護学生や若い看護師に「頼もしいね」とほほ笑みつつ,「海外に行かなくても,当院には多くの外国人患者さんがいらっしゃる。そこに積極的に取り組んでくれるといいなあ」と調子のよいことを考えながら,自らはそこに積極的に取り組めていない看護部長である。私の「看護職にとって国際的視点は欠かせない」ことへの理解は怪しい。そんなことを考えながら,本書を読み始めた。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
28巻5号 (2018年5月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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