書評
—パーソン・センタード・ケアでひらく—認知症看護の扉
小藤 幹恵
1
1金沢大学附属病院
pp.342
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200950
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これからの認知症看護の重要な方向を示す1冊
“認知症と共に生きる人”という捉え方
高齢による認知機能低下をはじめとする身体諸機能の衰えは,日本の長寿社会の中で受け入れられつつあり,今求められているのは,そのことも含めて成り立つ社会につながる一歩一歩の取り組みである。特に,本書の中での“認知症と共に生きる人”という表現は,人への一面的な見方ではない,広がりのある捉え方を促してくれる。
本書は,人や人生の幸福を基本に据えた深い想いを以て,読み手の理解を進めてくれる。重要な事項を分かりやすく整理し,詳しい説明へといざなってくれ,「そういえば」と思い当たるような身近に本当に考えさせられる事例を用いて紐解いていく。そして,その人の体験している世界がしみじみとわかり,「嗚呼,そうだったのか」と思いを馳せることができたとき,それをいつの日にか自分自身にもありうることと感じ,少しでも助けになりたいという気持ちが湧きあがるのだろう。
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