看護管理 26巻12号 (2016年12月)

特集 現場の変化を捉えた「転倒・転落」予防 患者の高齢化・重症化に伴う新しいケア環境を考える

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病床機能分化が加速する中,急性期病院では重症患者や高齢患者がこれまで以上に増加している。これに伴い,転倒・転落のハイリスク患者も増加しており,新たな予防策を検討する必要に迫られている。

そこで本特集では,近年の現場の変化を捉えた新たな「転倒・転落」予防を取り上げる。JCI認証や全個室化,患者参加型,人工知能との協働といった最新のキーワードをもとに,知識と実践を紹介する。

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急性期病院では,入院患者に占める重症患者や高齢患者の割合が増えており,それを踏まえた医療安全対策が求められている。また,がん化学療法をはじめとする外来機能の充実から,病棟以外での転倒・転落対策の必要性も高まっている。本座談会では,こうした変化を踏まえた転倒・転落対策について,リスクアセスメント,療養環境,多職種連携などの視点から検討していただく。

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高度な医療を提供する急性期病院では,転倒・転落予防と身体拘束とのジレンマに日々苦悩している。筆者は全国の地域医療支援病院の看護師を対象に,高齢患者への身体拘束の現状に関する質問紙調査を行った。本稿では,調査結果の中から自由記述「高齢患者に身体拘束を行わないためのケアの工夫」の内容に焦点を絞り,報告する。

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人工知能が患者1人ひとりの転倒・転落リスクを予測して看護業務を支援する。夢のような話の実現がそこまで近づいている。

2015年2月,NTT東日本関東病院は株式会社FRONTEO(フロンテオ)と共同で,人工知能「KIBIT(キビット)」を用いた転倒・転落予測システムの実証研究をスタートさせた。看護記録を基に,暗黙知を含む「看護師の判断」を学習した人工知能が転倒・転落のリスク患者をスクリーニングする試みである。この概要と成果,今後の展望について話を聞いた。

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大阪大学医学部附属病院では,病院内での転倒予防に,医療者が患者と一緒に取り組む必要性に注目している。このたび,転倒のインシデントレポートを患者の視点から分析し,患者向けの転倒予防パンフレットを開発した。転倒の発生場所やきっかけとなった行動をイメージしやすいイラストをふんだんに使ったオリジナルツールである。本稿では分析,開発の一連の取り組みについて紹介する。

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足利赤十字病院は2011年に一般病棟全室個室の新病院に移転した。これに伴い,全科混合のベッドコントロール体制に移行したほか,緩和ケアや回復期リハビリテーション病棟を開設するなど,現場の変化を捉えた新たな転倒・転落対策を講じる必要に迫られた。2015年にはJCIを受審し,転倒・転落対策を含む継続的な改善活動に取り組んでいる。本稿では,同院の近年の転倒・転落対策を紹介する。

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聖隷浜松病院はJCI受審を契機に,これまで以上に安全管理活動の推進に努めている。特に,6項目に及ぶ国際患者安全目標の達成には組織一丸となって取り組んでいる。このような中,外来患者の転倒・転落発生件数が年々増加していたことから,専従安全管理者を務めてきた筆者は外来スタッフとともに外来での転倒・転落予防プロジェクトに取り組んだ。本稿では取り組みの実際と成果を報告する。

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入院患者の重症化・高齢化が進む中,患者の個別性を踏まえた転倒・転落対策を実施する必要がある。旭川医科大学病院では,転倒・転落を起こした患者が持つ障害別に過去事例を再分類し,新たな予防策の方向性を検討。その結果から,患者特性に応じた先取り介入の実施に取り組んだ。本稿ではそのプロセスと成果を報告する。

国民健康保険小松市民病院は,石川県南加賀医療圏における中核病院としてがん医療,救急医療,生活習慣病対策を重点医療に掲げている。がん医療においては,終末期における体力低下に加え,患者層の高齢化が進み入院治療中の転倒・転落のリスクが増大している。本稿では,同院で実施したがん終末期にある高齢患者の転倒・転落の実態調査の結果と対策について報告する。

巻頭 うちの師長会・主任会 学習する組織をめざして・36【最終回】

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全看護師が病棟・外来・訪問看護を兼任し,島の住民の人生を支える

瀬戸内海の温暖な気候に恵まれたしまなみ海道の生口島(人口約1万人)にある尾道市立市民病院附属瀬戸田診療所は,50床の病院から19床の有床診療所へと転換し,2009年に開業した。14名の看護師が病棟・外来・訪問看護を兼任する一元化された看護体制で,在宅療養移行を積極的に支援しながら島の住民の人生を支える。

本巻頭企画の最終回は特別編として,宇都宮宏子氏による同診療所の看護管理者へのインタビューでしめくくる。

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2016年春,筆者らは看護継続教育に関する調査のためイタリア・国立がん研究所継続教育センターを訪問した。本稿では同センターで推進されている「ナラティブ教育プログラム」の実際について紹介するとともに,ナラティブ・アプローチを継続教育や,新卒看護師の自己主導型学習に活用する可能性について考察する。

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はじめに

 大阪市立総合医療センター(以下,当院:表)は,大阪市の中核病院として急性期医療および小児医療を提供する1063床の高度急性期病院である。2014年10月に経営形態を地方独立行政法人に移行したが,「大阪市民の生命と健康を守る」という基本理念は継続している。2025年問題を見据え,医療の機能分化が進められる中,効率的で質の高い医療の提供と同時に在院日数のさらなる短縮が求められている。そこで当院でも,適正期間内に患者が地域・在宅へと安心して移行できるよう,2014年10月よりPatient Flow Management(以下,PFM)を導入した。

 PFMとは,元東海大学医学部付属病院の田中豊氏が開発した手法で,入院時に病棟で実施していた問診やオリエンテーションを外来段階で実施することによって,入院前から患者個々の退院に向けた問題を明確化し,その情報を早期に多職種で活用し組織的に退院を支援していくシステムである。それにより在院日数が適正化されるとともに,患者・家族が安心して在宅や地域の医療機関へ移行することが可能となる。

 当院においても,PFM導入によってそのような情報が関連職種へ早期につながり,目標が共有され,多職種協働の退院支援体制が徐々に確立していった。2016年3月でPFMの導入から1年半が経過し,予想していた成果を可視化し一定の評価を得ることができた。本稿では,当院での導入のプロセスとその成果,今後取り組むべき課題を報告する。

連載 ポジティブ・マネジメントの航海術—組織変革の波を越える・17

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 前回は,これまでに考察してきた5つの組織変革事例のうち,最初の2事例において新たな「活動」が生まれる条件を明らかにしました。まず,「活動」に潜む矛盾が明らかになり,十分に認識されること。そして,この状況を生産的に打開するために,新たなアイデアや技術に基づいた取り組みが行われることによって,新たな「活動」を生み出すプロセスがつくり上げられていくのです。

 今回は,エンゲストロームが説く,「活動」に潜む矛盾の4つのレベルを詳細に検討しながら,前回考察したプロセスへの理解を深めるともに,後半の3事例において新たな「活動」が生み出される条件とプロセスを明らかにしていきます。

連載 やすらぎとひらめきの場づくり マインドフルネスとファシリテーション・5

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バイオニアーズ

 米国で開かれた「バイオニアーズ」(Bioneers)というユニークなカンファレンスに参加してきた。サンフランシスコの少し北のサンラファエルという街で毎年開催される会議で,もう27回目を迎える。もともと,“bioneers”という言葉は,“biological pioneers”を合わせた造語で,「自然」を人間のための「資源」として見るのではなく,「先生」「助言者」「判断基準」として見る人たちのことだという。傷めてしまった環境や格差の広がる社会を修復しようと奮闘する生物や生命を尊ぶパイオニアのことだ。

 ケニー・アシュベルとニーナ・シモンズという夫婦が,ニューメキシコ州サンタフェで先住民の大事にしてきた伝統植物の「種」の貴重さに出会い,それらを守り交換する場を創り始めたところから発展してきたという。1993年からサンフランシスコ・ベイエリアに移り,今や,持続可能な世界を築くためにさまざまな形で環境や社会の問題に第一線で取り組む多彩な活動家や研究者らが,全米や世界から毎年集う場になっている。湖畔の素敵な会議場で3日間開かれ,午前中は全体会での講演,午後はさまざまな分科会でのワークショップ,そして野外展示やブース出店,音楽やアートなどが展開する複合的な大イベントだ。

連載 Happy Nurses=Happy Patients 看護力の高い組織を育む・5

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 今回は急速な発展を遂げる医療情報システムと看護実践がいかに関わり合っているのかを臨床ナースの視点から考えていきたいと思います。

連載 病棟運営上の意思決定に活かす! ケースで学ぶロジカルシンキング・2

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 ロジカルシンキングとは,「全体像を把握して,問題の要因について筋道を立てて説明していくこと」であると前回お伝えしました。今回は少し具体的な内容でロジカルに考えてみましょう。

 看護部に限らず,病院で働く専門職には一定の割合で離職者が出ますが,これは専門職の特性であると思います。1つの病院だけでは全ての領域の症例に携わることはできないのが一般的ですから,スキルアップのために特色が違ういくつかの病院で経験を積むという働き方を選択される方も多いようです。そのような前向きな転職については積極的に応援したい気持ちにもなりますし,大きく成長してまた帰ってきてくれれば,という期待も込めて送り出すこともありました。しかし,職場環境や人間関係が要因でやむなく転職していく方もあり,何らかの対策を講じる必要を感じることもしばしばあります。スキルアップのための離職は必要ですが,体制や職場環境が要因の,気分転換的な離職は本人にも病院にもダメージが大きいのではないでしょうか。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・126

不条理な悲しみの深い意味 柳田 邦男
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 人がこの世に生まれてからあの世に旅立つまでの長い歳月の中では,「ああすればよかった」「こうすればよかった」と悔やまれることや,「なんで私が」とか「そんなつもりじゃなかったのに」と無念の思いや悲しみに駆られて落ち込んでしまうことが少なくない。

 もともと人生というものは,「こうすればこうなる」というぐあいに,思い通りにはならないほうが多いと考えたほうがよいのだと,私は思っている。そのことを学んでいくのが人生というものだろう。そういう学びは,実は子ども時代から始まるのだということを,絵本や童話を読む子どもたちの反応を見ているとよくわかる。

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当事者,家族,支援者の実践知がつまった難病の「快」をささえるケア指針

 本書は,「変わろうとしなければ,何も始まらない」というコンセプトの下,「快」の保障を目指し,難病の方々とその家族の支援に携わるひと向けに,ケアの指針として刊行されました。2015年には難病法,2016年4月には障害者差別解消法が施行された「今だ」(JR東海のキャッチコピー)のまさにタイムリーな著書といえます。

 編集は,長年筋ジストロフィー当事者の強い味方として,病院現場でユニークな活動をしてこられた河原仁志医師と,難病看護の現場のために長年尽力されている中山優季看護師です。私は河原先生にお会いして以来,その強烈なメッセージ「何がしたい?」「自己の願いや意思をもって,楽しみながら自律的に生きろ」に刺激を受けてきました。

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次号予告・編集後記 小齋 宇津井

看護管理 第26巻 総目次

基本情報

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看護管理
26巻12号 (2016年12月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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