連載 やすらぎとひらめきの場づくり マインドフルネスとファシリテーション・5
自分に,周りに,そっと拍手を—カリフォルニアで感じた「讃えあう文化」
中野 民夫
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1東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院
pp.1122-1125
発行日 2016年12月10日
Published Date 2016/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200604
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バイオニアーズ
米国で開かれた「バイオニアーズ」(Bioneers)というユニークなカンファレンスに参加してきた。サンフランシスコの少し北のサンラファエルという街で毎年開催される会議で,もう27回目を迎える。もともと,“bioneers”という言葉は,“biological pioneers”を合わせた造語で,「自然」を人間のための「資源」として見るのではなく,「先生」「助言者」「判断基準」として見る人たちのことだという。傷めてしまった環境や格差の広がる社会を修復しようと奮闘する生物や生命を尊ぶパイオニアのことだ。
ケニー・アシュベルとニーナ・シモンズという夫婦が,ニューメキシコ州サンタフェで先住民の大事にしてきた伝統植物の「種」の貴重さに出会い,それらを守り交換する場を創り始めたところから発展してきたという。1993年からサンフランシスコ・ベイエリアに移り,今や,持続可能な世界を築くためにさまざまな形で環境や社会の問題に第一線で取り組む多彩な活動家や研究者らが,全米や世界から毎年集う場になっている。湖畔の素敵な会議場で3日間開かれ,午前中は全体会での講演,午後はさまざまな分科会でのワークショップ,そして野外展示やブース出店,音楽やアートなどが展開する複合的な大イベントだ。
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