作業療法ジャーナル 50巻13号 (2016年12月)

特集 臨床実習での到達点を考える

德永 千尋 , 澤 俊二 , 山本 伸一
  • 文献概要を表示

特集にあたって

 作業療法養成教育において臨床実習の占めるウエイトは,時間でいえば約1,000時間,単位数としては最低18単位であるが,1,000時間以上の臨床実習で,単位も20を超える養成校が多く存在している.しかし,理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則に記載されている教育内容93単位から換算すると,臨床実習はそのうち約2割でよいことになる.

 今後,OTの業務が地域で大きく展開されることが期待される中,新卒者の臨床力,即戦力がますます求められてくるのは自明の理である.

総説:その先を見据えて 德永 千尋
  • 文献概要を表示

Key Questions

Q1:作業療法教育(養成)の歴史的流れとは?

Q2:養成施設の集合体とその歴史とは?

Q3:臨床実習の将来的予測とは?

はじめに

 本邦において作業療法の養成教育が本格的に始まったのは,1963年(昭和38年)5月1日,東京都清瀬市に創設された,国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院においてである.国立療養所を中心とした附属の専門学校であり,理学療法においては盲学校も加わって,少人数教育で国公立主導の印象であった.その後,私立の養成校も新設され,臨床実習施設,実習指導者,支払額等に関する情報交換も各地区ブロック単位で調整を含め行われた時期もあった.そして2000年代初頭の小泉規制緩和路線に乗り,養成校乱立といわれた時期を経て現在に至っている.

 この間,日本作業療法士協会(以下,OT協会)による実習に関する取り決め事項や作業療法臨床教育手引書,標準的実習評価表等の紳士協定が,さまざまな社会状勢の変化により形骸化し,実習謝金等とも併せて一気に多様化していった.地方厚生局による見解も多少異なった印象を受け,解釈の統一化が困難であった時期もあったように記憶している.

 いずれにせよ,臨床実習に関しては養成校の教育と実習指導者の協業に負うものである.今までの慣習的方法の堅持か,あるいは革新的変化を受け入れるか,相当な覚悟が必要になろう.

 今回,歴史的概観から臨床実習に思いを馳せ,教育内容,臨床実習にかかわる諸事情,実習地確保,実習指導者の質の担保,教育評価の面,養成校と臨床実習地(指導者含む)の関係,臨床実習の実施方法,国会質問,世界作業療法士連盟(以下,WFOT)による最低教育水準とOT協会の話題等を述べる.

  • 文献概要を表示

Key Questions

Q1:3年制専門学校における臨床実習の実体とは?

Q2:3年制専門学校の課題とは?

Q3:3年制養成校における取り組みと工夫とは?

はじめに

 関西総合リハビリテーション専門学校(以下,本校)は,医療法人立で定員40名の,3年制の養成校である.2000年(平成12年)4月に開校し,16年目を迎えた.筆者(長倉)は,「医療現場で働くOTも必要であるが,地域で働くOTの役割も重要であることを卒前教育で伝えたい」という想いから,臨床現場から教育現場である本校に入職して15年になる.養成教育における臨床実習体系を考えた場合,臨床実習指導者と一体となり学生を指導するため,養成校と同一法人で,病院もしくは施設を有している専門学校であることを重視した.

 学校の教育システムを構築することは楽しくもあるが,一方で臨床実習施設の不足,学内における学生知識の習得に向けてシラバスの調整,教員間の連携や個別の学生指導等,次々に噴出する学内の課題への対応に追われ,臨床実習に対しても問題意識をもちながら,養成校としての体制はようやく整ってきた状況だ.また,養成校の増加による学生数の増加は,実習地確保の困難さに拍車をかけ,「教員の質」,「臨床実習指導者の質」に関しても,個人の努力だけではなく組織としての指導・育成の機会を担保することが重要と感じている.さらに学生の質の変化を問題視する声が聞かれるが,経験の乏しさから社会性,いわゆる対人交流技能の未熟な学生も多いことは事実であり,社会人入学の割合によってもクラス運営に差が出ることもある.そして臨床現場もまた,社会ニーズの変化によりOTの就労環境も著しく変化してきている.今回,3年制専門学校における臨床実習について,その実体と今後について養成校の立場から述べてみたい.

  • 文献概要を表示

Key Questions

Q1:臨床実習における課題は何か?

Q2:トップダウンアプローチに基づく積み上げ型教育の特徴は?

Q3:クリニカル・クラークシップ型臨床実習のメリットとは?

はじめに

 OT養成教育の大きな役割は,未来の実践を担い,変化に対応できるOTの育成にある.OTの実践は,医療職としての心身機能の回復に焦点を当てた従来の介入から,対象者を生活者として支える包括ケアの提供者へと役割が変化している.その中で,意味ある作業の実現や生活行為向上マネジメント(MTDLP)等,作業ベースの実践が推奨され,臨床実習のあり方も大きく変わりつつある.

 一方で,学生の質の変容や効果的教育法の模索から,臨床実習でも従来型の経験主義的な,あるいは伝統的徒弟制による教育法にも限界が生じ,客観的臨床能力試験(objective structured clinical examination:OSCE)や,課題解決型学習または問題解決型学習(project-based-learning or problem-based learning:PBL),クリニカル・クラークシップ(clinical clerkship:CCS)等の臨床的な課題解決型学習法を導入する等,多くの教育的な工夫もなされている.OTは臨床的な技術の習得とともに,生活者として支援する論理的な思考が求められることから,実践的な技術習得訓練という視点のみならず,思考できる人材を「教え育てる」視点が重要と考えられる.

 東北福祉大学(以下,本学)のリハビリテーション学科は設置して9年目と比較的新しいが,養成校や臨床実習での教育経験豊富な教員が揃ったことから,開学時より学生教育の方向性や臨床実習のあり方に関して議論を重ね,共通認識をつくってきた.学科設置4年後の完成年度には新カリキュラムを導入し,トップダウンアプローチに基づく積み上げ型でコンピテンシー重視の臨床実習を構築してきた.

 本稿では,臨床実習における課題や,本学の臨床実習の形態や取り組み,到達点の考え方を紹介するとともに,その影響についても若干触れたいと考えている.

  • 文献概要を表示

Key Questions

Q1:臨床実習での学生のもつ課題と解決策は?

Q2:指導者側の要因により生じる学生側の問題はないのか?

Q3:教育の効率性と有用性を引き上げる指導方法は?

作業療法を取り巻く現況

 本邦における作業療法が50年を迎えるこの契機にあって,OTを取り巻く状況は診療報酬制度の改定,医療と介護の連携に付随する相互理解,さらに国民による医療ニーズの多様化等,日々刻々と変化している.2015年11月に財政制度等審議会より提出された「平成28年度予算の編成等に関する建議」1)の中では「教育の『質』を確保するために真に必要な施策はなにかについて,エビデンスに基づく総合的見地から検討すべきである」と提言された.また四病院団体協議会の調査2)によると,2025年に向けてOTの雇用を増加させるとした病院は約42%に上り,PT,STに比して有意に高い結果となっている.臨床力に対する質が担保された多くの臨床家が医療の場で活躍することを切望する声が高まっている裏づけといえる.国,各職能団体での議論を通して,教育の中核を担う臨床実習のあり方をしっかりと再考いただきたいと思う.

 日本作業療法士協会は『作業療法 臨床実習の手引き〜第4版〜』3)の中で,臨床実習の目的を「実習生が臨床実習指導者の指導のもとに,対象者の全体像を把握,作業療法計画,治療・指導・援助などを通して,作業療法士としての知識と技術・技能および態度を身につけ,保健・医療・福祉にかかわる専門職としての認識を高めること」としている.本稿では,この目的を受けて,総和中央病院(以下,当院)での実践を紹介したうえで,実習生・指導者・対象者それぞれの成果につながっていくことを願って,医療分野における臨床実習のあり方を論述させていただく.

  • 文献概要を表示

Key Questions

Q1:後進育成が専門職種の未来を左右するのではないか?

Q2:地域包括ケアの推進,暮らしを支援するOTの専門性をどう伝えたらよいのか?

Q3:臨床実習で学生が対象者の暮らしをアセスメントし,支援する力を身につけるために,私たちは現場でどんな工夫をするのか?

はじめに

 介護老人保健施設(以下,老健)は,2016年(平成28年)6月時点で全国に4,954施設が開設(全国老人保健施設協会機関紙より)され,地域包括ケアの展開において高齢者のリハビリテーションセンターとして重要な資源である.老年期を生きる方々のさまざまな暮らしの課題に向き合い,自宅・地域を含めて多様な暮らし方(大げさに言うと生きざま)に触れることのできるフィールドとなっている.日本作業療法士協会(以下,OT協会)の「作業療法5・5計画」により,徐々にではあるが,地域への注目は高まっているという実感がある.確かに現状では主なフィールドを医療法関連施設とするOTが大半を占めているかも知れない.しかし,複数施設に勤務している者も少なくなく,その多くは地域にかかわっていると聞く.また,老健等,地域向け求人は確実に増え,OTの活躍の場は広がっている.今まさに,地域はOTを必要としているのである.

 臨床実習には見学実習・評価実習・評価統合実習(インターン実習)があるが,国家試験を経て現場に出るまでにどんな実践場面に触れるのか,どんなOTに(役割行動モデルとして)出逢えるのかは,OTとして社会で生きていくであろうOT学生にとって大きな意味があろう.また,専門職集団として後進育成は私たちの専門性を左右する重要な課題である.

 先達が私たちに伝え,導いてくれたように,後進を導き,育て,応援したい.

  • 文献概要を表示

Key Questions

Q1:地域における臨床実習の制約とは?

Q2:地域領域に求められる実習のあり方とは?

Q3:解決すべき教育的課題とは?

はじめに

 一般社団法人日本作業療法士協会は,2013年(平成25年)6月に「第二次作業療法5カ年戦略(2013〜2017)」の実践計画を示し,重点的スローガンを「地域生活移行・地域生活継続支援の推進〜作業療法5・5計画〜」とした.これはOTの5割を地域に配置するという計画であり,その背景には,地域住民が自立した生活を営めるよう,医療,介護,予防,住まい,生活支援サービスが切れ目なく提供される「地域包括ケアシステム」の実現に代表される社会ニーズに応えるべく,職能団体としてその姿勢を表す意図があったと理解する.一定の成果があったものの,現状では医療法関連施設への就業者が75.6%(休業中と非有効データの人数を除いて算出した領域別割合)を占め〔2016年(平成28年)3月31日現在〕1),目標値とは大きく乖離した状況にあり,期中とはいえ実現には程遠い状況にある.

 また,2010年(平成22年)4月30日付の厚生労働省医政局長通達(医政発0430第1号)による「作業療法の範囲」において,「理学療法士及び作業療法士法第2条第2項の『作業療法』については,同項の『手芸,工作』という文言から,『医療現場において手工芸を行わせること』といった認識が広がっている.以下に掲げる業務については,理学療法士及び作業療法士法第2条第2項の『作業療法』に含まれるものであることから,作業療法士を積極的に活用することが望まれる.①移動,食事,排泄,入浴等の日常生活活動に関するADL訓練,②家事,外出等のIADL訓練,③作業耐久性の向上,作業手順の習得,就労環境への適応等の職業関連活動の訓練,④福祉用具の使用等に関する訓練,⑤退院後の住環境への適応訓練,⑥発達障害や高次脳機能障害等に対するリハビリテーション」(抜粋以上)としている2).これらは決して病院・診療所に限定されるものではなく,むしろ地域生活移行・地域生活継続支援の中で,その技能がより発揮されるのではないか.現に,いわゆる「地域」においてOTのニーズは高まる一方である.

 ところが,「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」の第2条では,「臨床実習を行うのに適当な病院,診療所その他の施設を実習施設として利用し得ること」,「実習施設における臨床実習について適当な実習指導者の指導が行われること」,同指定規則の別表には,「臨床実習十八単位以上」,「実習時間の三分の二以上は病院又は診療所において行うこと」が明記されている.

 職能団体として生活領域への配置を増やしていく目標や,厚生労働省による作業療法の範囲の解釈等に鑑みても,病院・診療所以外の「地域の領域」での臨床実習時間が総数の1/3未満に制約されるということに矛盾はないのだろうか.

 こうした法的根拠のもとに制約された状況で,どの程度の学生が地域の現場に触れる機会があるのか定かではないが,地域の現状(その魅力も含めて)を知ることなく卒業する学生も多いのではないか.学生が就職先を検討する際には,実習中の経験も大きな要因となる.先の5カ年戦略の実現,すなわち,地域分野のOTを増やすためにも,地域領域に従事するOTに望まれる技能の習得を教育目的の一つと見定め,そのために必要な教育カリキュラムや内容を精査し,臨床実習を含む卒前教育システムの抜本的な見直しとともに,臨床実習を通じて地域作業療法の意義や魅力を啓発する環境を整備する必要があるのではないか.

 本稿ではこうした課題も踏まえ,株式会社創心會(以下,弊社)での臨床実習の取り組みを紹介しつつ,地域領域の臨床実習施設が果たすべき役割と,実習生に何をもたらし得るのか,その可能性を探ってみたい.

提言

  • 文献概要を表示

 特定非営利活動法人那須フロンティアは,「メンタルヘルスを中心としたまちづくりへの寄与」を目的に,栃木県那須塩原市で1999年(平成11年)から活動をしている.障害者総合支援法に基づく相談支援事業や,就労移行支援事業を中心とした事業と,NPO事業としてボランティア事業,後援会事業,後援会事業,まちづくり(黒磯駅前活性化等)事業を行っている.この地域の精神障害者の地域生活支援のニーズとして,①障害者の就労支援,②精神科病院の入院患者の地域移行支援・定着支援,③こころの病気や障害についての啓発がある.この3つの地域のニーズは,どれもが多様性と個別性を求められるために,地域の文化,企業,人を知り,協働しないと支援ですぐに行き詰まってしまう.そうなってはユーザーにも見捨てられてしまうだろう.だから,ゆずり葉は地域の人とのコミュニケーションを大切にしている.何よりスタッフ自身も,地域とのつながりを築き,まちづくりをしていくことが,単純に「面白い」のである.

あなたにとって作業療法とは何ですか?・第24回

  • 文献概要を表示

作業療法とは,再び生きる力を取り戻すための「心と身体」の旅である.私はともに泣きともに喜ぶ「同行二人」でありたい.

 私は,OTという仕事に出会って本当に感謝しています.地域の総合病院で急性期から回復期・維持期を20年経験し,地域でリハの受け皿を創りたい一心で起業し,12年が経過しました.

 現在,「あなたを愛で支えます」を合言葉に,12職種90名のスタッフで,鹿児島県出水市と薩摩川内市,熊本県水俣市においてデイサービスと訪問看護,小児発達支援事業,介護士付ゆったり旅「愛たび倶楽部」「マイたび倶楽部」,地域カフェ「ゆい」,ピザ窯「ゆいまーる」体験事業,介護予防ワンコイン運動教室,運動重視型短時間デイサービス「スタジオ ムーブ」等を展開しています.

  • 文献概要を表示

リハ科医からみた作業療法のこの10年と今後

 リハ医療・医学においては,この10年の間に人口の高齢化,障害者の増加,災害支援等,多くの課題への対応とともに他職種との連携が図られた.1992年(平成4年)医療法の医療提供の理念の一つに“リハビリテーション”が明記され,1997年(平成9年)には「リハビリテーション科」が標榜科に認められた.同年には介護保険法制定,2000年(平成12年)には回復期リハビリテーション病棟が制度化された.これらの経緯を背景にリハの認識もさらに高まり,2004年(平成16年)「高齢者リハビリテーション研究会」において急性期のリハ医療不足,漫然と行われているリハ医療,医療から介護への連携システムや在宅リハの不足等が課題として取り上げられた.これを機に,急性期病院における早期リハ,リハ連携システムの構築,在宅リハの充実等に目が向けられるようになった.

 2006年(平成18年)の診療報酬改定では療法別の区分を廃止し「疾患別リハビリテーション料」の評価体系が導入されることとなり,疾患別に算定日数上限が設けられた.OTが算定できない領域も当初はあったが,関係者の尽力により算定可能となった.在宅復帰が促進され在宅障害者も増加するにつれ,在宅におけるリハの役割は変化しつつあり,維持期リハは生活期リハと表現されるようになってきた.

講座 薬物治療のアップデート・第6回【最終回】

てんかんの診断と薬物治療 西田 拓司
  • 文献概要を表示

CHECK POINT

□てんかんの診断はどのように行うのか?

□てんかんの薬物治療の基本は?

□新規抗てんかん薬にはどのようなものがあるのか?

てんかんとは

 てんかんは有病率が1%近く,頻度の高い神経疾患である.2005年に国際抗てんかん連盟(ILAE)と国際てんかん協会が発表したてんかんの定義において,てんかんは脳の病気であり,てんかん発作が繰り返し起こる素因があること,そして神経学的,認知的,心理的,社会的帰結を示すことを特徴とするとされた.従来,てんかんのある人には,身体的,精神的,心理社会的な併存障害や問題が多いことが知られており,作業療法をはじめとするリハが行われてきた.2005年のてんかんの定義により,てんかんはてんかん発作のみならず,その他の併存障害や心理社会的な諸問題も治療・支援の対象であることが明確に示されたといえる.つまり,作業療法等,リハは,てんかんの薬物療法や外科治療と同じく,てんかん医療の重要な位置を占める.てんかんのリハを担うOTは,てんかんの病態,診断,治療の知識を習得したうえでリハを行う必要がある.

 今回,てんかんの診断,薬物治療について概説し,特に近年,本邦で使用可能となった新規抗てんかん薬について述べる.

『作業療法ジャーナル』50巻記念エッセイ受賞者発表!!

  • 文献概要を表示

弊誌50巻を記念したエッセイ作品 「私と作業療法ジャーナル」 の公募にたくさんのご応募をいただき,ありがとうございました.厳正なる選考の結果,受賞作は以下の3本に決定致しました.これからも私どもは作業療法士の皆さんと共に歩んでいきたいと思います.変わらぬご愛顧のほど,よろしくお願い申し上げます.

連載 作業療法を深める ②マインドフルネス

  • 文献概要を表示

はじめに

 近年世界的に注目を集めている“マインドフルネス”という言葉をご存知だろうか.日本においても徐々に認知度が高まってきてはいるが,現状では聞いたことがない,あるいは言葉だけは聞いたことがあるが具体的な内容等を知る機会がなかったという読者も少なくないだろう.

 本稿では,本誌の性質に沿うよう留意しながら,マインドフルネスという古くも新しいアプローチを紹介する.

多職種を交えたリハビリ事例検討会・第6回

  • 文献概要を表示

事例提示

Aさん,50代,男性.身長185cm,体重88kg.要介護2.妻,次男,長女との四人暮らしで,主介護者は妻と次男.

生活歴,職歴:病前は運送業(長距離トラック運転手で地方へ荷物を運んでいた)に従事しており,自宅へ帰ることが少なく,家族とのかかわりは少なかった.

趣味:フィギュア収集,鉄道,釣り

病歴・経過:2013年秋に脳出血を発症し,入院.その後,在宅復帰し,2014年11月まで機能・活動中心の訪問リハを受けていた.しかし室内での転倒をきっかけに屋外歩行に対する恐怖感が強くなり,デイケア以外の外出機会はなくなった.訪問リハスタッフの退職に伴い,屋外活動の獲得を目的に当事業所へ移行となった(2015年4月).

 介入を継続することで恐怖感が軽減したので,訪問リハ(週1回)での外出訓練を導入.ケアマネジャーと協働し,ヘルパー(週1回)と情報共有をしつつ,身体介護(外出介助)に移行した.また,自発的な外出に向け,自立支援センター(自力で週1回外出)とも協働し,喚語困難に対してSTによる介入を開始した.

処方薬(朝-昼-夜-就寝前):ニフェジピン20mg(降圧剤)2-0-2-0,イミダプリル塩酸塩5mg(降圧剤)2-0-2-0,ファモチジン10mg(胃薬)2-0-2-0,ロキソプロフェンNa錠60mg(消炎鎮痛剤)3-3-3-0

  • 文献概要を表示

Abstract:学童期の高次脳機能障害児とその家族に対して集団リハビリテーションプログラムを行い,その効果について検討した.プログラムは「こどもグループ」,「家族グループ」,「集団リハグループ」の3つから構成され,児は社会的スキルの向上を,家族は障害理解と対応方法の習得をねらいとした.なお参加前後での変化について,脳外傷者の認知行動障害尺度と,家族への質問紙,スタッフによる行動観察の経過記録を用いて効果判定を行った.結果,児の不適応行動は残存していたが,一部社会的スキルが向上し,家族は障害理解が深まり,児に対する対応の変化を認めた.集団リハグループはポジティブな行動支援を目指して行われ,児も家族も成功体験を得られたことが,それぞれの変化をもたらしたと考えられた.そして「家族が変わる」支援によって,児への適切な支援につながることが示唆され,家族支援の重要性が再確認された.

--------------------

表紙のことば/今月の作品

わたしたちの作業療法

研究助成テーマ募集

第52巻表紙作品募集

次号予告

学会・研修会案内

Archives

編集後記 澤 俊二
  • 文献概要を表示

 1999年(平成11年)に理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則が改正されてから17年.その間,超高齢化・少子化の時代を迎え,介護保険制度,回復期リハ病棟開始,地域包括ケアシステムの構築が謳われた.精神保健法の改正,認知症予防の徹底と認知症者への治療拠点の確立と地域ぐるみでの取り組み強化等,目まぐるしく法律や制度が変わっていった.しかし,PT・OT教育はまったく変わらずで,現実の変化とは大きなギャップが生じている.すなわち,社会とのギャップであり,教育により新たな社会への貢献ができない状態が続いてきたのである.

 これらの課題と向きあう意味も込め,本号の特集は,「臨床実習の到達点を考える」とした.到達点についてさまざまな提案,思いが述べられた.また,実習法も同様である.学校養成施設の考え方も同様である.そして,病院や施設での実習と,訪問リハ等の実習では実習形態も実習目標も到達点も視点を異にする.

基本情報

09151354.50.13.jpg
作業療法ジャーナル
50巻13号 (2016年12月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0915-1354 三輪書店

文献閲覧数ランキング(
5月3日~5月9日
)