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Key Questions
Q1:臨床実習における課題は何か?
Q2:トップダウンアプローチに基づく積み上げ型教育の特徴は?
Q3:クリニカル・クラークシップ型臨床実習のメリットとは?
はじめに
OT養成教育の大きな役割は,未来の実践を担い,変化に対応できるOTの育成にある.OTの実践は,医療職としての心身機能の回復に焦点を当てた従来の介入から,対象者を生活者として支える包括ケアの提供者へと役割が変化している.その中で,意味ある作業の実現や生活行為向上マネジメント(MTDLP)等,作業ベースの実践が推奨され,臨床実習のあり方も大きく変わりつつある.
一方で,学生の質の変容や効果的教育法の模索から,臨床実習でも従来型の経験主義的な,あるいは伝統的徒弟制による教育法にも限界が生じ,客観的臨床能力試験(objective structured clinical examination:OSCE)や,課題解決型学習または問題解決型学習(project-based-learning or problem-based learning:PBL),クリニカル・クラークシップ(clinical clerkship:CCS)等の臨床的な課題解決型学習法を導入する等,多くの教育的な工夫もなされている.OTは臨床的な技術の習得とともに,生活者として支援する論理的な思考が求められることから,実践的な技術習得訓練という視点のみならず,思考できる人材を「教え育てる」視点が重要と考えられる.
東北福祉大学(以下,本学)のリハビリテーション学科は設置して9年目と比較的新しいが,養成校や臨床実習での教育経験豊富な教員が揃ったことから,開学時より学生教育の方向性や臨床実習のあり方に関して議論を重ね,共通認識をつくってきた.学科設置4年後の完成年度には新カリキュラムを導入し,トップダウンアプローチに基づく積み上げ型でコンピテンシー重視の臨床実習を構築してきた.
本稿では,臨床実習における課題や,本学の臨床実習の形態や取り組み,到達点の考え方を紹介するとともに,その影響についても若干触れたいと考えている.
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