看護学雑誌 27巻3号 (1963年3月)

特集 肝臓病

肝臓病とは 高杉 年雄
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 新聞に肝臓の薬の広告が出ていない日は珍しいぐらいで,時に強肝剤を飲んでいるから安心だとて酒をがぶがぶ飲んでいる人を見かけることもある。肝臓は肌汁を分泌して消化管での脂肪吸収を助けるだけでなく蛋自、脂肪,糖質,ビタミン代謝の中心をなし,さらにホルモン,電解質,水の代謝にも関与し,主た消化管から吸収され,あるいは体内で生じたいろいろな有害物質を解毒するなど,その機能は驚くほど多方面にわたっている。このように重要な臓器なので肝臓はかなりの予備力を持っており、肝臓の一部がおかされても残った健全な部分がその機能を代償するので,肝機能障害は容易には現われないだけでなく,また肝臓の半分ぐらいを切除してももとの大きさに再生する力を持っている。なお肝障害時肝臓の各機能は一様に侵されるものではなく,たとえば胆道が閉塞して胆汁分泌がうまく行なわれなくなっても,代謝あるいは解毒機能などはあまりおかされないようなことも多いものである。

1.肝臓病の存在を知るには

 肝臓病を疑わせるものとしては黄疸,肝腫脹,腹壁静脈拡張,腹水そのほかいろいろある。

肝臓病の病形分類 奥平 雅彦
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 日本語では物事がたいせつな場合に「肝心」あるいは「肝腎」なことと表現される。このように肝臓や心臓,腎臓は諸臓器の機能の協調により健康体が保たれるなかでも,とくに重要な臓器と考えられてきたようである。

 肝臓は腹腔の右上部を占め,前肝間膜により左右の両葉に分かれており,その重量は体重の約50分の1(たとえば体重60kgの人の肝重量は1200〜1300g)であり,単独の臓器としては容積がも,っとも大きなものである。そして,通常の時でも全身の血液の約1/4〜1/5は肝臓内にあるといわれ全身の流血量の調節にあずかっている。周知のように,肝臓は「生体の兵站部」と形容されているように,あらゆる栄養を門脈によって集めて極めて多種多様な機能を有しているため,肝臓の機能障害は全身の栄養および代謝に大きな影響をあたえ,胆汁の生成とその分泌に障害が起これば黄疸(過ビリルビン血症のことで,臨床的にはこれによって起こる皮膚や粘膜の黄染がその標識となる)が発生し,肝臓の病変により肝内血管に変化が起こると流血量の調節失調が起こり,門脈高血圧を招来することになる。

肝臓病の治療 大北 速男
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はじめに

 肝臓は人の体の中では最大の臓器で,それだけ重要な働きをもっているわけです。そのおもなものをあげてみますと,糖質,蛋白,脂肪の代謝,これは食物から摂取した栄養を自分の体に都合のよいように造り上げたり,分解したりするもっとも大事な働きです。その他胆汁の生成と排泄,解毒作用,ホルモンや水,電解質の代謝,血液の凝固にも関係し,また体の流血量の調節も行なうといわれております。したがって肝臓が悪くなるといろいろの体の変調が現われてきます。

 このように肝臓は重要な働きをする器官であるためもあるのでしょう。肝臓は実際に必要な力以上の余力をもっており,また再生する力が旺盛です。肝臓を一部(1/3〜1/2)切り取っても,もとと同じ組織が増殖してもとの重さになります。人の体でこんな器官はほかにはありません。このように予備力と再生力をもっていることは治療の上にもありがたい面です。肝臓の一局部が侵される肝臓癌などでは肝臓の働きはほとんど侵されません。しかし全部が一様に侵される肝炎や肝硬変などでは,働きもそこなわれます。

輸血後肝炎 三辺 謙
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1.はじめに

 ビールス性肝炎は肝疾患のうちでもっとも多い疾患であるが,これに2種類ある。伝染性肝炎(infectious hepatids)と血清肝炎(serum hepatitis)とである。この両者はともに黄疸を主症状とするもので,黄疸が現われてからみたのでは,いずれとも区別がつかないが,おのおのの病原体ビールスが異なっており,感染が起こってから発病に至るまでの潜伏期間に差があり,発病のときの症状もよくきいてみれば多少ちがっているのである。

 くわしいことはあとで述べるが,伝染性肝炎の方は,原因であるビールスA(Virus IH)が患者の糞便中にあり,それが口からはいって感染をおこすのに対して,血清肝炎の方のビールスB(Virus SH)は患者の血液の中だけにいて,糞便にも尿にも出てこない。したがって血清肝炎は何かの必要があって全血輸血をしたあととか,血漿を輸液したあとに起こる。

肝臓を強くする薬とは 高橋 晄正
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 《心臟が強い》ということばは昔からありましたが《臟が強い》というのは,どういうことを意味するのでしょうか。肝臓には,いろいろな毒物—体内でできるものも,体外からはいり込むものもあります—を解毒する働きを持っているのですが,毒物の力が強すぎるとか,毒物の量が多すぎるとかした場合には,肝臓はくたびれてしまって《弱い肝臓》になり,それが極端にたると,《肝臓が悪い》という状態になる,というように考え,ある薬をつね日ごろから飲んでいると,肝臓はちょっとやそっとの毒物ではやられなくなる—これを《肝臓を強くするくすり》あるいは《強肝剤》というというのがその言い分のようです。

 かりにそのような強肝剤があるとしても,それはウイルスの感染によって起こる流行性肝炎や血清肝炎,あるいは肝硬変の治療には,何の役にも立たないでしょう。というのは,このような急性肝炎や肝硬変の場合の肝傷害の起こるしくみは,上にあげたような解毒作用の低下とは,とくに関係がないからです。つまり,強肝剤というものが存在するとしても,必ずしも治療剤となるというわけのものではないことになります。

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 近ごろは肝臓病のはやりで—はやりというのは肝臓病が流行しているとか肝臓病の者が多くなったという意味でなく,やたらに肝臓病が口にされるという意味で—臨床上いちおうの問題にはなろうが,実際はそれほどのことはない。ましてや強肝製剤・強壮剤の新薬攻勢が気勢をあげるほどに肝臓の薬が効果をもち,また健康に必須のものとは思われない。

 むしろ逆に最近の著しい新薬のラッシュに巻き込まれて,とかくおろそかにされがちなのは,一般新薬による肝障害など毒性の確認である。ことにその慢性用途についての評価には長日月の経験が必須とされるのに,実際はその余裕もなく次から次へと新薬なるものが売られている始末である。

肝臓病食事上の注意 小林 一二野
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 肝臓は人体にとって,非常に重要な機能,すなわち新陳代謝,解毒,胆汁分泌などの作用を行なっております。この肝臓が,病的状態になりますと,これらの機能に障害が起こってまいります。肝臓病の時にみられる,いろいろな症状は,このような機能異常によるものが多いのです。したがって肝臓病の治療にあたっては,これらの機能異常に注意し,これに応じた食事ならびに薬物療注を行なわなければなりません。肝臓病の中には,食事療法と安静のみで薬剤の必要がないものがあるとまでいわれており,いかに食事療法がたいせつであるかがわかります。

蛋白質

 食物中の蛋白質は,腸においてアミノ酸に分解されて吸収され,肝臓にて再び人体に必要な蛋白に合成されます。肝臓病の時にはこの代謝機能が衰えているから肝臓の負担を軽減する意味において,低蛋白低脂肪食事療法がもっぱら行なわれてきました。しかし,その後蛋白質は,破壊された肝臓の修復作用は重要であるだけでなく,肝臓のグリコーゲン保持にも,きわめてたいせつであります。また肝疾患の時に低蛋白血症も認められるので,しだいに蛋白質の必要性が認識されてきました。ことにアミノ酸の一種であるメチオニンは抗脂肝性作用があり,意義深いものです。高蛋白高カロリー食事療法は,1941年patekの報告以来一大転換をきたし,現在では広く応用されるようになりました。

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 肝臓疾患はいろいろな原因によっておこされ,それぞれに治療が行なわれるが,不幸にして昏睡にいたった場合に,その予後は昏睡の程度によらず,肝実質障害の程度によることが多い。いずれにしても肝性昏睡がおこれば,その原因と思われるものに対して治療の全力がそそがれるが,治療開始が早期であるほど予後の良好なことが認められている今日,肝疾患患者の状態観察と正確な医師への報告が,より早くみつけることになるので大事な点である。

 肝性昏睡がおこる場合,その動きがはっきりと認められることもあるが,だいたいは肝疾患が悪化して行き,つまり黄疸指数の上昇で,著明な黄疸が急激にあらわれたりする時におこることがあるので,看護する場合も,毎日の皮膚,眼球結膜の黄疸の状態には注意すべきである。また,このような場合にしばしば誘因となるものがいくつかあげられている。

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1.肝炎の自覚症について

 一般にビールス性肝炎,流行性肝炎の急性期(黄疸前期)では,発熱,胃腸症状その他の自覚症があるが,黄疸期に移行すれば自覚症が軽快する。潜伏期が数週間あるが,この期間に全身倦怠,食飲不振,下痢,嘔気・嘔吐があるが,他の疾患とまぎれやすく,発熱をもって始まっても,本人は感冒その他の疾患と思いやすく,数日経過を延引させて行くうちに,ひどい食欲不振や黄疸が現われて,始めて医師を訪れることが多い。まして急性肝炎の軽症,または黄疸をともなわない不全型については,なおさら自覚症状を欠くので気づかない場合が多く,血清肝炎に至っては,自覚症状がまったくなく,肝機能検査が陽性となって始めて治療を強要される例が多い。

2.急性肝炎の予後と看護および指導の必要性

 急性肝炎の予後は決して楽観を許さず,急性期から急に肝性昏睡にたおれるもの,慢性化に向かい,ついには肝硬変にまで移行するものなどが明らかになってきた。さらに肝炎の完全治癒は精査によれば意外に困難で,未治癒のまま放置すれば,再発,再燃を繰り返し,慢性化の速度を早めることも知られている。肝炎の治癒判定は臨床上かなり困難で,肝機能がいちおう正常化した後にもなお肝の組織学的変化は完全に治癒していないことが報告されている。そこで肝炎では,早期の徹底した治療と行き届いた看護が必要であるが,同時にその回復期および遷延性肝炎患者への療養指導もじゅうぶんに行なうことが望ましい。

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 腹水の貯留を来たす原因は,(1)門脈性高血圧症,すなわち肝硬変症や肝静脈血栓症(2)低蛋白症(3)血中にナトリウム貯留を来たす場合(4)毛細管透過性の亢進(癌性腹膜炎アレルギー変化)(5)リンパ系の変化である。この腹水の発現はいずれにしても疾病の進行につれて著明となる場合が多い。医師はその診断をし,またその症状に対して治療を行なうが,看護婦の立場からその症状に対する看護の面について,いろいろ考えなければならぬ点も少なくない。

 たとえば腹水のため,呼吸困難や圧迫による疼痛を訴える場合には,できる限り楽な体位をとることを教えることが必要である。したがって腹水,のために生ずる諸現象をあらかじめ知っておかなければならない。

肝機能の検査の介助 加納 君子
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 肝機能検査法の種類ははなはだ多く,そのいずれを選ぶべきか問題となる。しかし看護婦としては第1表のように医師から指示された検査の準備を整え,正確に検査物を採取し,病理試験室に提出し,また成績表を保管するなど検査物に対して始めから終わりまで大きな責任があるので,医師の指示する検査法については,第2表のように深い知識が必要である。

 しかしここでは本院で日常臨床的にもっとも多く利用されているものについて,その種類を大別し,それぞれについて採取時の具体的注意事項をのべたいと思う。

統計

人口のうごき 西 真楠
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 一国の人口は出生・死亡と人々の入国・出国とによって,その数と構造が変化する。とくにわが国では第二次世界大戦直後の出生ブームによる高出生率と,その後の出生率の激減,これに加えて死亡率の急激な低下があいまち,人口は世界に類をみない速度で老齢化しつつある。このことは図に示すとうりである。したがって,老人対策を考えなければならないが,それより前に就学人口・就労人口の増加にともなう教育問題や就労問題が大きく横たわっている。

 なお図にみられるように,わが国の人口は昭和43年ごろには1億を突破し,昭和70年ごろを頂点として,再び減少に移るものと考えられているが,昭和70年ごろより人口が減少するのは,人口の老齢化に伴う出生数の減少と,死亡数の増加の結果である。

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 波荒い日本海の砂に埋れ,風雪にさらされても,あしたは必ず芽を出し,地中に深く根をはって耐え栄える〈はまぐみ〉のように,この子らも育ってくれることを願って名づけられた新潟県肢体不自由児施設《はまぐみ学園》(園長河野左宙,副園長志賀正之,婦長山田ヤヨヒ)には,現在110名の手足の不自由な子どもたちが元気で日夜療養に励んでいます。

 新潟県約4000名の肢体不自由児の唯一の療育センターとして昭和33年7月,県民の強い要望と支援によって設立されたこの学園は,青い海,みどりの松林を背景にたてられ,新潟市の中心街より徒歩で15分,松風と潮騒の奏でる,閑静な環境のなかにあります。

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 昨年の8月,私は吉田タキノさんの著書,「光のように風のように」を送っていただいた。私は昨夏のとくべつの暑さと,またとくべつの忙しさのために,評判のこの著書を,読もう読もうと思いながら延引していた。先ごろ,講演旅行の列車の中で読み出して,ついに手放すことができず,出先きの宿で,夜をあかして読んでしまった。看護婦さんたちはみんな読んでいられるにちがいない。もしそうでなかったら読むべき書だと思う。いや,看護婦さんだけではない,すべての人に読んでもらいたいと思う。何ともいえない,恐ろしい迫力のある書だ。

 結核に生命をもやしつくしてしまう1人の女性のけなげな斗いと,それをそばで,全力をつくして心身をすりへらしてみとる人の付添看護婦の斗い—それは,何ということばでいい表わしてよいのかわからないほど,凄絶なものである。そこにはもはや,看護という仕事,病との斗い,というものの姿よりは,生命そのものが,むき出しにみえるのである。その生命の前で,無力な人間が,それでも徹底的に,最後の瞬間まで生命の炎の絶えることとたたかわねばならない,それが人間にあたえられた義務なのである。その義務を100パーセントに果たそうとしたこの患者とこの看護婦のたたかいに,私は頭を垂れて,敬意を表さないではいられない。

連載

新薬のはなし 増山 善明
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 今回はいわゆる紙胞代謝賦活剤といわれるものの中から,チトクローム製剤とアスパラギン酸塩製剤とをとりあげてみることとしましょう。

連載 詩人の話・9

高村光太郎の愛情 山田 岩三郎
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千鳥と遊ぶ智恵子

 人っ子ひとり居ない九十九里浜の砂浜の砂にすわって智恵子は遊ぶ無数の友だちが智恵子の名をよぶ。ちい,ちい,ちい,ちい,ちい—砂に小さな趾あとをつけて千鳥が智恵子に寄って来る。口の中でいつでも何か言ってる智恵子が両手をあげてよびかえす。ちい,ちい,ちい—両手の具を千鳥がねだる。智恵子はそれをぱらぱら投げる。群れ立つ千鳥が智恵子をよぶ。ちい,ちい,ちい,ちい,ちい—人間商売さらりとやめて,もう天然の向うへ行ってしまった智恵子のうしろ姿がぼっんと見える。二丁も離れた防風林の夕日の中で松の花粉をあびながら私はいつまでも立ち盤す。

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 看護婦不足対策については,今さらここであらためて論を弁ずるまでもないが,地方における実状を披歴して,その深刻さを知っていただき,行政的立場にある者,現職にある者,看護学生として勉学している者,さらに医師をはじめとする医療従事者の方々とともに,今いちど考えてみて,地方看護行政のあり方について御指導,御批判を賜わりたいと思います。

 三重県下における不足数は看護婦1,556,准看護婦702であるが,必要看護婦数を決定する要素は,病院の内容と職員の能力のうえに法的規制すなわち医療法に基づくものと社会保険診療報酬に定められている基準看護制によるものとがあるが,これらの要素を加味して算出した場合は,さらに不足数は増大する。16の准看護学校と3の高等看護学校の卒業者数はその需要を満たすに微々たる存在である。また,しかしながら現在より定数を増加し,学校を増校しても,希望者がなければ意味はない。魅力ある学校にするには,教育制度の改善がだいいちであるが,これは中央に任すとして,現実の問題と真向からぶっかっていこうと思う。

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I.緒言

 最近,小児病陳での看護におげる精神衛生の問題がさまざまな角度から論議され,本誌上その他においても,すでに小児病棟管理についてこの領域での問題点が指摘されている。一般におとなが入院する場合,その疾患,外傷などの原因を患者自身がよく認識し,治療の目的を本人自身で自覚して,治療者(医者)と被治療者(患者)間の治療関係はまず疾患の回復を目ざす点で相互に一致した理解のもとに結ばれるものである。しかしながら小児の場合には幼少であればあるほど,治療目的が自覚されることが少なく.患児の意志や理解とは逆に,不本意なまま入院することが多い。そのため,おとな以上にまた自らおとなとは異なった精神衛生上の問題を包含していると考えねばならない。とくに完全看護の組織化された総合病院では,たとえば,小児がはじめて両親のもとをはなれるような機会として入院が体験されたり,本来,動ける子どもの活動的な心性が他の子どもの安静によって極度に抑制されたりする場合が多いのである。換言すれば,入院は小児にとって多かれ少なかれ,これまでの経験に基づく社会的適応のあり方を急激に変更せざるを得ないような機会をもたらすものと思われる。

これからの病院食器 森田 百合子
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人間のあるところ食器あり

 結核のメッカとして有名な東京都北多摩郡清瀬町の国立療養所のすぐそばを流れる「ヤナセ川」という川があります。広がってゆく東京の運命らしく,武蔵野の雑木林をぬい,土橋の下をくぐり,川岸に大根やねぎを洗うお百姓の姿を点存させたこの川も,今や流れゆるやかな風情から石垣に守られた下水堀のような川にと変化してしまいましたが,この川の改造工事の現場からは「繩文土器」が,あるいは微細な破片で,あるいは原型をしのばせる大きさで数多くほり出され,療養の散歩をたのしむ患者さんが見事なコレクションを所有しているというような話もきいています。

 このような土器の時代より,さらにさかのぼって,人類がやっと火をつかって料理することを覚えた大昔から,人間か何かたべる時にそれをいれるもの,すなわち食器をもっていたということは疑いもありません。

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 悲しむことをやめよ。

 ほほえみを忘れるな。

 そして窓には,いつも一本の花を飾ろう。

 “闘病”という重い荷物をせおって,ともすれば暗くしずんでいく病院の中の人々の窓に,ぽっかりと,親しみやすく,明るい,小さなあかりをつけてくれたのが,文集《ほほえみ》であった。

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 第11回共済医学会総会は昭和37年10月23日,24日の2日間,福岡市において開催された。共済学会は国家公務員共済組合連合会が主催して開かれるもので,国家公務員共済病院,共済関係の診療所によって構成されており,毎年1回総会がもたれている。その発表される内容は医療面から看護,検査,栄養,薬局,放射線,事務と病院内業務全般にわたっている。

 2日間にわたって第1会場は福岡市中央公民会館,第2会場は福岡県町村会館の2か所が準備されていた。そこは県庁,市役所のあるいわば官庁街ともいうべきビル街の中央にあった。博多駅には当番病院から受付係が出張しており,宿その他の世話にあたっていた。すでに印刷物により宿泊する宿の家号,所在地,道順などが知らされてあったが,知らぬ土地で受けたこの心づかいはたいへんありがたかった。

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 昨年の11月,日本応用心理学会の第4回大会が,東京世田谷の農大で開催された。この学会のプログラムを見て,私たちは思わずおどろきの目をみはった。第1会場の研究発表はナースによって占められていた。「病院内における看護相談」「看護相談における看護婦の養成と資質」「保健所における看護相談の内容」「看護関係の種類とあり方」「面接の技術,継続訪問における面接」こうした演題がずらりと並び,発表はもちろん現場のナース。「看護研究学会」以外の学会でこれだけの演題がとり上げられたことは,じつに注目に価することである。そして研究討議の中にも「看護相談」のテーマがとり上げられて,病院関係者や心理学者とともに,多勢のナースが発言して,「看護相談」とは何か,今後の方向づけをどうしたらよいかなどの問題が検討されたのであった。

 研究発表も,討議の内容もおよそ看護を深めようとする人々にとっては興味深いものであった。にもかかわらず,出席者はほとんど「看護心理研究会」のメンバーであり,参加人員もわずか30人あまりであったことは,たいへん残念に思われた。今後は,このような学会に看護問題がとり上げられていることを大勢の看護関係者に知ってもらい,みんなでこうした研究をのばしていきたいものである。

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論文の形

 さて,いよいよ研究が終わって,論文を書くわけであるが,一般に次の順序で筆を進めていくと,自分でも頭の中で整理しやすいし,人にもよくわかる。まず,だいいちに研究に当たっての目的があるはずであるから,これを明確にしておく必要がある。この場合,先人がすでに行なったことについても,参考としてあげておく。次に研究の方法,材料,期間などについて述べる。研究の方法については,具体的に記載しなければならない。ついで結果をありのまま出して,この部分で図表をもっと頻繁に活用する。この場合,他人の業績を掲げる必要のあるときは,その図表の出所を明瞭に記載する。前記の卒業論文でも他人の図表をかかげて,何らの断わりもしないものがところどころに見られた。また,図表に表題のないものが多く,図表には必ず番号と表題をつける必要がある。印刷などによって公にされるときは,出所を明らかにしないことは,著作権の侵害でもある。とくに他人の著書や論文から写真などの参考として引用する場合は,その原著者の許可を受けるべきである。

 自分の研究結果を述べるに当たっては,その事実を述べて,とくにそのデータが何を物語っているかをありのままに卒直に記載する。その結果についての解釈はあまり述べない方がよい。解釈についてはむしろ,次の項目すなわち「考察」なり,「考擦」なりで,じゅうぶんに過去の研究を引用して,自己批判を含めて,得られた結果について解釈を下す。

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荒れし手に嫁ぎゆく娘の手を執れば

温もり通うしばらくの間を

 〔評〕初句に母なる人の苦労の日々が秘められている。感慨のこもった作。

海外の看護

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 去年の夏,機会があって石油の王国クエイトと古いオリエントの歴史をもつイランの両国を訪れ,公衆衛生と医療事情を調査,見学して歩いた。

 アラビア海からさらに細長くはいり込んだペルシァ湾(アラビア諸国の人びとはこれをアラビア湾という)のいちばん奥に,イラクとサウジアラビヤにはさまれた小さな石油王国クエイトがある。その南西部にはアラビアの広大な砂漠が控え,ペルシァ湾やクエイトに砂漠を吹ぎ込んでくる。

Medical Topico 医学の話題

テレメーター,他 X
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 遠隔測定装置のこと。「テレ・メーター」の「テレ」は「テレビジョン」の「テレ」であって,「遠い]という意味の接頭語であり,「メーター」は測定装置をあらわすことばである。

 患者を優秀な設備をもつ病院へ入院させることは,理想的治療を行なうための第一歩と考えられているが,それが不可能な場合,やむを得ず医師が往診するとか船医のようにつきそっていくとか次善の策を講ずることになる。しかし,それさえ不可能な場合にはどうするか。その答が「テレメークー」である。

Nursing Study

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 私たちは小児科病室に実習について,ことに新生児の疾患に興味を感じ,何か研究するのによい症例はないかと思っていました。たまたま腹満と嘔吐をおもな症状とした乳児が入院して来ましたので,対症看護の立場から研究をしてみましたのをここにのべて,皆さまの御批判を仰ぎたいと思います。

付録

看護手順〔24〕
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 6.採血部位をアルコール錦で消毒する。

 7.採血が行なわれる。

基本情報

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看護学雑誌
27巻3号 (1963年3月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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