特集 肝臓病
肝臓病とは
高杉 年雄
1
1北海道大学医学部
pp.14-17
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911870
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新聞に肝臓の薬の広告が出ていない日は珍しいぐらいで,時に強肝剤を飲んでいるから安心だとて酒をがぶがぶ飲んでいる人を見かけることもある。肝臓は肌汁を分泌して消化管での脂肪吸収を助けるだけでなく蛋自、脂肪,糖質,ビタミン代謝の中心をなし,さらにホルモン,電解質,水の代謝にも関与し,主た消化管から吸収され,あるいは体内で生じたいろいろな有害物質を解毒するなど,その機能は驚くほど多方面にわたっている。このように重要な臓器なので肝臓はかなりの予備力を持っており、肝臓の一部がおかされても残った健全な部分がその機能を代償するので,肝機能障害は容易には現われないだけでなく,また肝臓の半分ぐらいを切除してももとの大きさに再生する力を持っている。なお肝障害時肝臓の各機能は一様に侵されるものではなく,たとえば胆道が閉塞して胆汁分泌がうまく行なわれなくなっても,代謝あるいは解毒機能などはあまりおかされないようなことも多いものである。
1.肝臓病の存在を知るには
肝臓病を疑わせるものとしては黄疸,肝腫脹,腹壁静脈拡張,腹水そのほかいろいろある。
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