特集 肝臓病
肝臓病の病形分類
奥平 雅彦
1
1東京大医学部
pp.17-19
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911871
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日本語では物事がたいせつな場合に「肝心」あるいは「肝腎」なことと表現される。このように肝臓や心臓,腎臓は諸臓器の機能の協調により健康体が保たれるなかでも,とくに重要な臓器と考えられてきたようである。
肝臓は腹腔の右上部を占め,前肝間膜により左右の両葉に分かれており,その重量は体重の約50分の1(たとえば体重60kgの人の肝重量は1200〜1300g)であり,単独の臓器としては容積がも,っとも大きなものである。そして,通常の時でも全身の血液の約1/4〜1/5は肝臓内にあるといわれ全身の流血量の調節にあずかっている。周知のように,肝臓は「生体の兵站部」と形容されているように,あらゆる栄養を門脈によって集めて極めて多種多様な機能を有しているため,肝臓の機能障害は全身の栄養および代謝に大きな影響をあたえ,胆汁の生成とその分泌に障害が起これば黄疸(過ビリルビン血症のことで,臨床的にはこれによって起こる皮膚や粘膜の黄染がその標識となる)が発生し,肝臓の病変により肝内血管に変化が起こると流血量の調節失調が起こり,門脈高血圧を招来することになる。
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