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看護研究と論文の書き方(2)—《論文を書くときの作法》
土屋 健三郎
1
1慶応大学衛生学公衆衛生学
pp.64-65
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911888
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論文の形
さて,いよいよ研究が終わって,論文を書くわけであるが,一般に次の順序で筆を進めていくと,自分でも頭の中で整理しやすいし,人にもよくわかる。まず,だいいちに研究に当たっての目的があるはずであるから,これを明確にしておく必要がある。この場合,先人がすでに行なったことについても,参考としてあげておく。次に研究の方法,材料,期間などについて述べる。研究の方法については,具体的に記載しなければならない。ついで結果をありのまま出して,この部分で図表をもっと頻繁に活用する。この場合,他人の業績を掲げる必要のあるときは,その図表の出所を明瞭に記載する。前記の卒業論文でも他人の図表をかかげて,何らの断わりもしないものがところどころに見られた。また,図表に表題のないものが多く,図表には必ず番号と表題をつける必要がある。印刷などによって公にされるときは,出所を明らかにしないことは,著作権の侵害でもある。とくに他人の著書や論文から写真などの参考として引用する場合は,その原著者の許可を受けるべきである。
自分の研究結果を述べるに当たっては,その事実を述べて,とくにそのデータが何を物語っているかをありのままに卒直に記載する。その結果についての解釈はあまり述べない方がよい。解釈についてはむしろ,次の項目すなわち「考察」なり,「考擦」なりで,じゅうぶんに過去の研究を引用して,自己批判を含めて,得られた結果について解釈を下す。
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