特集 肝臓病
肝障害と殊に関係のある薬物
橘 敏也
1
1聖ルカ国際病院内科
pp.29-32
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911875
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近ごろは肝臓病のはやりで—はやりというのは肝臓病が流行しているとか肝臓病の者が多くなったという意味でなく,やたらに肝臓病が口にされるという意味で—臨床上いちおうの問題にはなろうが,実際はそれほどのことはない。ましてや強肝製剤・強壮剤の新薬攻勢が気勢をあげるほどに肝臓の薬が効果をもち,また健康に必須のものとは思われない。
むしろ逆に最近の著しい新薬のラッシュに巻き込まれて,とかくおろそかにされがちなのは,一般新薬による肝障害など毒性の確認である。ことにその慢性用途についての評価には長日月の経験が必須とされるのに,実際はその余裕もなく次から次へと新薬なるものが売られている始末である。
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