特集 肝臓病
肝臓病食事上の注意
小林 一二野
1
1都立豊島病院内科
pp.32-34
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911876
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肝臓は人体にとって,非常に重要な機能,すなわち新陳代謝,解毒,胆汁分泌などの作用を行なっております。この肝臓が,病的状態になりますと,これらの機能に障害が起こってまいります。肝臓病の時にみられる,いろいろな症状は,このような機能異常によるものが多いのです。したがって肝臓病の治療にあたっては,これらの機能異常に注意し,これに応じた食事ならびに薬物療注を行なわなければなりません。肝臓病の中には,食事療法と安静のみで薬剤の必要がないものがあるとまでいわれており,いかに食事療法がたいせつであるかがわかります。
蛋白質
食物中の蛋白質は,腸においてアミノ酸に分解されて吸収され,肝臓にて再び人体に必要な蛋白に合成されます。肝臓病の時にはこの代謝機能が衰えているから肝臓の負担を軽減する意味において,低蛋白低脂肪食事療法がもっぱら行なわれてきました。しかし,その後蛋白質は,破壊された肝臓の修復作用は重要であるだけでなく,肝臓のグリコーゲン保持にも,きわめてたいせつであります。また肝疾患の時に低蛋白血症も認められるので,しだいに蛋白質の必要性が認識されてきました。ことにアミノ酸の一種であるメチオニンは抗脂肝性作用があり,意義深いものです。高蛋白高カロリー食事療法は,1941年patekの報告以来一大転換をきたし,現在では広く応用されるようになりました。
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