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これからの病院食器
森田 百合子
1
1厚生省医務局国立療養所課
pp.54-56
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911884
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人間のあるところ食器あり
結核のメッカとして有名な東京都北多摩郡清瀬町の国立療養所のすぐそばを流れる「ヤナセ川」という川があります。広がってゆく東京の運命らしく,武蔵野の雑木林をぬい,土橋の下をくぐり,川岸に大根やねぎを洗うお百姓の姿を点存させたこの川も,今や流れゆるやかな風情から石垣に守られた下水堀のような川にと変化してしまいましたが,この川の改造工事の現場からは「繩文土器」が,あるいは微細な破片で,あるいは原型をしのばせる大きさで数多くほり出され,療養の散歩をたのしむ患者さんが見事なコレクションを所有しているというような話もきいています。
このような土器の時代より,さらにさかのぼって,人類がやっと火をつかって料理することを覚えた大昔から,人間か何かたべる時にそれをいれるもの,すなわち食器をもっていたということは疑いもありません。
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