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小児病棟における保母の役割(1)
坂本 竜生
1
,
江口 とみ子
2
1九州厚生年金病院臨床心理室
2九州厚生年金病院
pp.50-53
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911883
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I.緒言
最近,小児病陳での看護におげる精神衛生の問題がさまざまな角度から論議され,本誌上その他においても,すでに小児病棟管理についてこの領域での問題点が指摘されている。一般におとなが入院する場合,その疾患,外傷などの原因を患者自身がよく認識し,治療の目的を本人自身で自覚して,治療者(医者)と被治療者(患者)間の治療関係はまず疾患の回復を目ざす点で相互に一致した理解のもとに結ばれるものである。しかしながら小児の場合には幼少であればあるほど,治療目的が自覚されることが少なく.患児の意志や理解とは逆に,不本意なまま入院することが多い。そのため,おとな以上にまた自らおとなとは異なった精神衛生上の問題を包含していると考えねばならない。とくに完全看護の組織化された総合病院では,たとえば,小児がはじめて両親のもとをはなれるような機会として入院が体験されたり,本来,動ける子どもの活動的な心性が他の子どもの安静によって極度に抑制されたりする場合が多いのである。換言すれば,入院は小児にとって多かれ少なかれ,これまでの経験に基づく社会的適応のあり方を急激に変更せざるを得ないような機会をもたらすものと思われる。
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