medicina 52巻13号 (2015年12月)

特集 抗血栓療法—おさえておきたい最新のエッセンス

中村 真潮
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 わが国は高齢社会の時代となり,生活習慣病の増加も手伝いアテローム血栓症や心房細動に伴う脳塞栓症,さらには静脈血栓塞栓症などのさまざまな血栓性疾患が急増している.血栓とは,本来,障害された血管を修復して出血から生体を守り,血管破綻部位からの病原微生物の侵入を防ぐために人類が獲得した生体防御機構である.これが何らかの理由により制御されないと病的な血栓が形成され,血管閉塞を生じて臓器を障害する.近年は栄養過多やライフスタイルの変化,あるいは高齢化により,この止血機構が相対的に過剰となり疾病の増加につながっている.

 病的な血栓により発症した疾患,すなわち血栓症を主に薬剤により治療や予防するのが抗血栓療法であり,抗血小板薬や抗凝固薬,血栓溶解薬が用いられる.従来,アスピリンやワルファリン,未分画ヘパリン,ウロキナーゼ等が抗血栓療法の中心だった.しかし,これらは一定の有効性を示すものの,効果が不安定であったり出血の合併症を生じやすかったりと,種々の問題点が指摘されてきた.このため,従来薬の欠点を補う新しい薬剤の開発が精力的に行われ,最近,多くの新規抗血栓薬が使用できるようになった.臨床試験の結果を見る限りその効果は明らかであり,臨床的有用性は疑いのないもののように思える.

特集の理解を深めるための29題

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中村 脳・心血管疾患の予防・治療として抗血栓療法の必要性が高まっています.実際,非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(non-vitamin K antagonist oral anticoagulants:NOAC)の登場により,一般の臨床医でも抗血栓療法を行う機会が増えています.その一方で,実臨床では抗血栓療法の対象として,高齢者,合併症のある患者が多く該当し,ガイドライン通りに抗血栓療法実施の可否を判断することが難しいことも現実です.本日は,抗血栓療法の現状,ベネフィット・リスクの考え方,抗凝固療法と抗血小板療法との併用,今後の課題などについて,抗血栓療法に詳しいお二人にお話をうかがいます.

抗血栓療法オーバービュー

抗血栓療法オーバービュー 中村 真潮
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ポイント

●抗血栓療法には,抗凝固療法,抗血小板療法,血栓溶解療法がある.

●抗血栓療法の主な対象疾患は,冠動脈疾患,心房細動,脳血管障害,静脈血栓塞栓症,末梢動脈疾患などである.

●特殊な状況下での抗血栓療法や,抗凝固療法と抗血小板療法の併用では,ベネフィット・リスクを十分に検討する.

血栓症の病態をみる

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ポイント

●動脈血栓症は主に動脈硬化巣の破綻に伴う血栓(アテローム血栓)の形成により発症する.

●アテローム血栓は血小板とともに多量のフィブリンを含み,それにはプラークに存在する組織因子(血液凝固の開始因子)が重要な役割を果たしている.

●静脈血栓の肉眼的に白色を呈する部は血小板とフィブリンに富み,赤色を呈する部は血小板とフィブリンの網状構造に赤血球が取り込まれた構築をしている.

●発症に至る静脈血栓はアテローム血栓と比べてはるかに大きく,血流のうっ滞や凝固能亢進など血栓の成長に関与する因子が重要である.

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ポイント

●凝固反応には,組織因子が引き金となり開始する外因系凝固反応と,陰性荷電物質との接触により開始する内因系凝固反応の2つの異なった経路がある.

●血栓上における線溶反応は,組織型プラスミノゲンアクチベータによってプラスミンが効率よく生成され,プラスミンはα2プラスミンインヒビターに阻害されることなく効率的にフィブリンを溶解する.

●血管内皮細胞は,血液の流動性を維持するため多岐にわたる抗血栓性作用を保持しており,その障害は血栓傾向となる.

抗血栓薬の特徴を知る

抗血栓薬 総論 窓岩 清治
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ポイント

●ヘパリン類およびフォンダパリヌクスは,アンチトロンビンに結合しその中和作用を増強させる間接型抗凝固薬である.

●ワルファリン療法は,PT-INRによる薬効モニタリングを行いながらdaily dose法により導入を行う.

●NVAF(non-valvular atrial fibrillation,非弁膜症性心房細動)患者の脳卒中の予防には,CHADS2スコアを参考にしてワルファリンやDOACs(direct oral anticoagulants,直接型経口抗凝固薬)の適応を判断する.

●非心原性脳梗塞の再発予防には,抗凝固薬よりもアスピリンなどの抗血小板薬を使用する.

●早期発症の非心原性脳梗塞やTIAに対して,アスピリンとクロピドグレルなど抗血小板薬を2剤併用する治療法の有効性が示されている.

●脳梗塞急性期においてアルテプラーゼの静脈内投与による血栓溶解療法が行われる.

抗血栓薬とモニタリング 西川 政勝
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ポイント

●抗血栓薬のモニタリングは,通常,効き過ぎによる出血イベント,および効果不十分(不応症)による虚血性イベントを予防するための最適治療を目的としている.

●抗血小板療法のモニタリングは,主として血小板凝集計で行い,効き過ぎ,至適治療域,不応症の情報をpoint-of-careとして行われているが,探索的段階である.

●ワルファリンのモニタリングについては,PT-INR/TTR(time in therapeutic range)が用いられ,臨床現場で使われている.

●新規経口抗凝固薬のモニタリングは種々のものが提案されているが,臨床的にはまだ検討段階である.

抗血栓薬の特徴を知る 【抗凝固薬】

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ポイント

●ヘパリンは強力な抗凝固注射薬として汎用されているが,反面,出血性副作用が問題となる.

●ヘパリンは,アンチトロンビンを介して複数のセリンプロテアーゼ型凝固因子を不活化する間接的抗凝固薬である.

●低分子量ヘパリンは,ヘパリンの抗凝固作用の解明をもとに出血性副作用軽減を目指して開発された薬剤である.

●フォンダパリヌクスは,出血性副作用を軽減したアンチトロンビンを介した特異的Ⅹa阻害薬である.

●出血性副作用が軽減された抗凝固薬であっても出血イベント時での止血困難には注意が必要である.

ビタミンK阻害薬 和田 英夫 , 松本 剛史
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ポイント

●静脈血栓症の治療ならびにその予防には,ワルファリン療法が最も有効な治療法の1つである.

●他の抗凝固薬は活性化凝固因子を抑制するが,ワルファリンにより活性低下した凝固因子が産生される.

●ワルファリン療法のモニターにはPT-INRが有用であるが,病態に合わせて治療域を決定する必要がある.

●大出血あるいはそのリスクが高いときは,ワルファリンの減量あるいは中止を行い,必要なら凝固因子の補充を行う.

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ポイント

●NOACにはダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンの4種類がある.

●NOACはワルファリンと比べて脳出血の副作用が著しく少ない.

●脳梗塞の予防効果と出血の副作用減少を両立させるためには,NOACを正しい用法用量で使用することが重要である.

抗血栓薬の特徴を知る 【抗血小板薬】

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ポイント

●抗血小板薬として頻用されるアセチルサリチル酸(アスピリン®)は,COX-1の非可逆的阻害薬であり,チエノピリジン誘導体はADP受容体P2Y12の非可逆的阻害薬である.

●アセチルサリチル酸とチエノピリジン誘導体は虚血性イベント発症を予防するが,出血性合併症の増加は避けられず,両者を考慮して適応症例を選択すべきである.

●シロスタゾールはPDE3阻害薬であり,血管拡張作用および抗血小板作用をもつ.

抗血栓薬の特徴を知る 【血栓溶解薬】

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ポイント

●血栓溶解療法にはプラスミノーゲンアクチベータが使用される.

●血栓溶解療法時の出血にはさまざまな要因がかかわる.

●凝固・線溶因子の変動をマーカーとして,適切な投与量を考慮する姿勢も必要である.

抗血栓療法で治す 【虚血性心疾患】

急性冠症候群 中川 義久
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ポイント

●急性冠症候群(ACS)は,冠動脈のプラークが破綻し血栓が生じることで発症する.

●ST上昇型急性心筋梗塞では,一刻も早い血行再建の達成をサポートする薬剤が鍵となる.

●ACSへのPCI(percutaneous coronary intervention,経皮的冠動脈インターベンション)は,抗血小板薬が効いた状態で施行するように努め早期に投与する.

●抗血栓薬の投与は,血栓症予防と出血性合併症のバランスを考えるべきである.

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ポイント

●冠動脈疾患患者における心血管イベント抑制(二次予防)において,抗血小板薬の効果は明らかである.

●数ある抗血小板薬のなかでも,アスピリンには心血管イベント抑制効果に関して豊富なエビデンスがある.

●冠動脈疾患のない患者における心血管イベント抑制(一次予防)において,抗血小板薬の効果は明らかとはいえない.

●アスピリンは糖尿病患者で追加のリスクのある患者に対する心血管イベント一次予防として投与が推奨されている.

抗血栓療法で治す 【不整脈】

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ポイント

●新規に抗凝固薬を導入する場合,NOACを最大限考慮する.

●ワルファリンは「オーダーメイド」,NOACは「既製品から選ぶ」薬である.

●各抗凝固薬の選択には,エビデンスから一定の傾向があるものの,患者の価値観が重要である.

●特にリスクが高い患者において,常に治療域(効いているか)および安全性(効き過ぎていないか)を意識する.

抗血栓療法で治す 【弁膜疾患】

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ポイント

●弁置換術後早期は血栓塞栓が特に発生しやすい.

●機械弁を用いた弁置換術後はワルファリンを目標INR2.0〜3.0で投与するべき.

●リスクの低い大動脈弁置換術後では目標INRを2.0〜2.5に下げてもよい.

●ワルファリンに加えて,アスピリンの併用は血栓のリスクの高い患者に行う.

●生体弁や弁形成術後でも術後約3カ月はワルファリンを投与すべきである.

●弁置換術後,僧帽弁狭窄症ともにNOAC(新規経口抗凝固薬)の投与は推奨されない.

抗血栓療法で治す 【脳血管疾患】

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ポイント

●再発予防には心原性脳塞栓症では抗凝固療法を,非心原性脳梗塞では抗血小板薬を用いることが多い.

●急性期では抗血栓療法中の出血脳梗塞や消化管出血へ十分な注意を払う.

●慢性期の抗血小板薬としてクロピドグレル,シロスタゾール,およびアスピリンが勧められる.アスピリンは頭蓋内出血と消化管出血に注意を払う.

●非弁膜症性心房細動(NVAF)例では頭蓋内出血が大幅に少ない非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)がワルファリンよりも勧められる.

●脳静脈・静脈洞血栓症や奇異性脳塞栓症では,病態の改善や再発予防を目的に抗凝固療法を行う.

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ポイント

●脳梗塞急性期患者に対する血栓溶解薬として認可されているrt-PA製剤はアルテプラーゼのみである.

●rt-PA静注療法は,脳梗塞発症後4.5時間以内のすべてのタイプの脳梗塞に適応がある.

●rt-PA静注療法を行う際には適正治療指針を厳守することで有効な効果が期待できる.

●脳梗塞患者全体でのrt-PA静注療法の実施率は低く,施行頻度の増加には脳卒中啓発や医療機関のrt-PA静注療法実施体制の構築が急務である.

抗血栓療法で治す 【静脈血栓塞栓症】

静脈血栓塞栓症の一次予防 藤田 悟
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ポイント

●開腹手術や下肢人工関節置換術は,25〜50%の患者に無症状の深部静脈血栓症が発生しており,その一部が有症状の肺血栓塞栓症を誘発させる.

●予防法の選択は,ガイドラインを参考にしつつ個々の患者の静脈血栓塞栓症と出血のリスクを十分評価したうえで行う.

●周術期の一次予防に使用できる抗凝固薬は,未分画ヘパリン,ワルファリン,フォンダパリヌクス,エノキサパリン,エドキサバンの5剤である.

●アスピリンは,静脈血栓塞栓症に対する保険適用はない.

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ポイント

●肺塞栓症と深部静脈血栓症は一つの連続した病態であり,両者を合わせて静脈血栓塞栓症と称する.

●静脈血栓塞栓症治療の第一選択は抗凝固療法であり,初期治療には従来,非経口薬が使用されてきた.

●ワルファリンによる長期治療では少なくとも3カ月間投与し,リスクによってはより長期間にわたって投与する.

●非ビタミンK阻害経口抗凝固薬は,静脈血栓塞栓症の治療で従来薬よりも出血リスクの少ない薬剤として期待される.

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ポイント

●血行動態が不安定な急性肺血栓塞栓症例には血栓溶解療法を積極的に行う.

●合併症低減と通常量と同等の有効性を目指し,低用量の血栓溶解療法が議論されている.

●血栓溶解療法により急性肺血栓塞栓症例の自覚症状は速やかに改善する.

抗血栓療法で治す 【末梢動脈疾患】

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ポイント

●PAD患者では心疾患,脳血管障害を合併している場合も多く,薬剤選択に際しては生命予後改善効果も考慮すべきである.

●間欠性跛行に対してはシロスタゾールが唯一,跛行距離改善のエビデンスが示されている薬剤であるが,監視下運動療法の併用が必要である.

●重症虚血肢(critical limb ischemia:CLI)の治療目標は,疼痛緩和と創傷治癒による救肢である.基本的に血行再建術(血管内治療もしくはバイパス手術)が治療の第一選択である.

抗血栓療法で治す 【特殊な病態】

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ポイント

●DICはさまざまな基礎疾患によって凝固系が活性化され,全身の微小血管内に微小血栓が多発する病態である.

●DICの基礎疾患は多岐にわたるが,3大基礎疾患として感染症,造血器腫瘍,固形癌が挙げられる.

●DICの診断には,旧厚生省DIC診断基準(1988年改訂版)と急性期DIC診断基準が本邦では主に使用されている.

●DICの治療には,「科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサス」を活用する.

抗リン脂質抗体症候群 家子 正裕
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ポイント

●抗リン脂質抗体症候群(APS)分類基準は確定診断の基準であり,治療開始基準ではない.

●臨床症状のない抗リン脂質抗体(aPL)陽性者は通常,経過観察である.

●妊娠などにおけるaPL陽性(ハイリスクaPL)例は,臨床症状がなくとも抗血栓療法の適応である.

●臨床症状はあるが,APS分類基準を満たさないaPL陽性者も治療対象となる.

●APSの二次予防はワルファリン療法が主体だが,動脈血栓症例では抗血小板薬の単独または併用も考慮される.

日常診療で知りたい抗血栓療法

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ポイント

●妊娠中および分娩後は,血液凝固系が亢進するため,非妊時に比べ静脈血栓塞栓症の発症率は高くなる.

●静脈血栓塞栓症の発症率は,その女性の有するリスク因子に負うところが大きく,リスク因子を正確に把握することが重要である.

●静脈血栓塞栓症の抗血栓療法は,リスク因子を個々に検討したうえで適切な方法を選択する.

●ワルファリンは,胎児への催奇形性などの問題があり,妊娠中の使用は控え,妊娠前から使用している場合は,へパリンに変更する.

癌患者における抗血栓療法 向井 幹夫
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ポイント

●静脈血栓症は癌患者の予後を左右する合併症の1つであり,急速に増加している.

●癌症例に伴うVTE(静脈血栓塞栓症)は癌の進展そのものに関連した凝固異常が原因の1つである.

●癌症例では化学療法に関連したVTEの頻度が増加している.

●VTEに対する新抗凝固薬の導入は従来とは異なる新しいストラテジーが注目される.

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ポイント

●大手術に対する周術期抗血栓療法管理は,血栓症発症と出血リスクとのバランスを取ることである.

●原則は,十分な薬剤中止と血栓発症リスクの高い症例におけるヘパリン置換である.

●ヘパリン置換は出血の可能性を念頭に置き,厳密な管理を行う.

●NOACの場合は,薬剤の半減期,腎機能に応じた薬剤中止期間の調整が必要である.

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ポイント

●個々の患者ごとに血栓塞栓症のリスクと出血のリスクを評価し,休薬の可否を決める.

●生検・出血低危険度の内視鏡処置は,抗血栓薬1剤なら休薬なく施行してよい.多剤内服中の場合でも,状況によっては内服継続のまま施行可能である.

●出血高危険度の内視鏡処置は,アスピリンまたはシロスタゾールであれば休薬なく施行してよい.

●その場合,事前に十分な説明を行い,出血が生じた際にも対処可能な環境下でのみ行うべきである.

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ポイント

●ガイドラインでは,抗血栓薬継続下での抜歯が推奨されている.

●ワルファリン継続下で抜歯を行う際には,PT-INR値が3.0以下であることを確認し,適切な局所止血処置を行う.

●抜歯以外の歯科外科手術に関しては,抗血栓薬継続下に処置可能か否かのエビデンスが不足している.

透析患者と抗血栓療法 猪阪 善隆
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ポイント

●透析患者は,心房細動の罹患率が高く,脳卒中発症リスクも高い.

●透析患者の脳血管障害は,一般人と比較して脳梗塞に比べて脳出血の頻度が高い.

●血液透析患者では,心房細動に対するワルファリン治療は出血のリスクが高い.

●ワルファリンは血管石灰化を促進するため,心血管合併症のリスクを増大させる.

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ポイント

●心房細動の脳梗塞予防には抗凝固療法が最適である.

●ステント治療後のステント血栓症予防には抗血小板薬2剤(DAPT)が最適である.

●心房細動例に対するステント治療において抗凝固薬+DAPTの3剤投与がよいと考えられるが,臨床データにおいては出血合併症が多発するばかりか,ステント血栓症も脳卒中も増加する.

●現在のところ,最適な抗凝固および抗血小板療法の確立された組み合わせはない.

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第1の機能:医師-患者関係の構築

 医師-患者関係の構築には,入室時の観察,自己紹介,緊張緩和のアイスブレイキング,診療に関する合意形成が必要です.非言語的コミュニケーション(体の動き,顔の表情,声の調子,アイコンタクトなど),共感,パートナーシップ,支援,尊重といった基本的技法を要します.

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 循環器診療における問題点について抵抗なく読めるようにエッセイ風の文調で書き綴り好評を博している『あなたが心電図を読めない本当の理由』や『循環器治療─この薬をつかう本当の理由』などの著者である村川裕二先生が構成・編集に腕をふるった快著である.おおよそ循環器病の臨床は不整脈,虚血性心疾患,弁膜症・心不全などそれぞれ専門性が高く,また新しい治療薬やデバイス,治療法なども次々と導入されており,循環器専門医といえども自信をもって診療することができる守備範囲は限られる.しかしながら,近年,高齢化とともに循環器疾患の危険因子となる生活習慣病を有する症例も増加しており,循環器を専門としない臨床医もさまざまな循環器疾患を合併する患者の診療にあたる機会も多くなっていると思われる.本著はそのような場合に起こってくる多くの疑問点に対し,明快な解決と解説を示している.

 本書の優れた特徴は,まず,構成が従来の系統的な枠組みにとらわれずオムニバス形式となっており,どこからでも読みやすいという点である.循環器の本を読むときに,心血管系の解剖や心筋細胞の電気生理から入るのでは辟易することが多いのに対し,本書はどこでも本を開いた所から興味をもって抵抗なく入っていくことができる.また,各チャプターの最初に「結論から先に」として臨床医が認識しておくべき必要最小限の情報が箇条書きで示されており,読者はその根拠と解説をあらかじめ答えがわかった状態で読み進んでいくことになるため,理解が容易になっている.そして,最後に「Take Home Message」としてチャプター全体のエッセンスが明示されている.実際の画像やまとめの表,エビデンスを示す図などが随所に配置され,視覚的な理解を促す配慮がなされている.

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 感染症は目に見えない微生物との戦いだ.肺炎,尿路感染症,そして風邪.よく出会う感染症も,肉眼ではその微生物は残念ながら見えない.たまに「自分の手にはMRSAは絶対に付いていないから」と感染対策の場面に限って見えるかのように言う先生がいらっしゃるが,肉眼的には黄色ブドウ球菌どころか感受性なんてさらに見えやしないので注意したい.

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 本書は,呼吸器分野の診療で遭遇する,素朴ではあるがよくある疑問に対して,エビデンスやガイドラインを紹介しながら,それらに対する筆者の見解を交えつつわかりやすく解説している.

 私たち臨床医は患者の診療を行うに当たって,さまざまな臨床データを参考にしながら行っている.いわゆるエビデンスに基づいた医療が現代医学の基本であることは言うまでもない.しかし,どのようなエビデンスを基に診療を行えばよいのか,あるいはエビデンスを目の前の患者にどの程度適応すればよいのか,ふと立ち止まってしまう場面も多いのが現実である.

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「medicina」第52巻 総目次

基本情報

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medicina
52巻13号 (2015年12月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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