medicina 40巻4号 (2003年4月)

今月の主題 緊急時に画像診断を使いこなす

画像検査の使い方

画像検査の位置付け 武田 多一
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ポイント

・緊急時には,状況把握と安全確保,ABCD対応が優先される.

・緊急時の画像検査は,救急処置の一部として施行される場合と,傷病を診断・治療する過程で施行される場合がある.

・確定診断や治療方針決定は,病歴,身体所見,血液尿検査,画像検査などの結果を総合して行われる.

・画像検査では,何を(What),なぜ(Why),いつ(When),どこで(Where),誰が(Who),どのように(How)検査するかに留意する.

画像診断の使い方

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ポイント

・画像診断を含めて,ある検査を行った際に得られた結果の解釈は,検査前確率の高さによって変わる.

画像検査の特性 齊田 幸久
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ポイント

・単純X線撮影は,骨を含めた石灰化や空気の診断に優れている.

・CTでの出血の診断には,非造影の検査が必要である.

・MRIでの血腫の見え方は,時期によって変化する.

・膿瘍内のガスは,消化管や気道との交通,またはガス産生菌感染を示す.

・腸管壁内気腫症が,腹腔内遊離ガスを合併することがある.

 緊急時の画像診断には,時間的制約に加えて患者の全身状態による種々の制限がある.その分,適応する画像検査の特性をあらかじめよく承知し,予測される特徴的画像所見に精通しておく必要がある.ここでは,症候からみた各種モダリティの特性と選択,および血腫と膿瘍,ガス像などの画像所見の特徴について概説する.

救急処置後の画像診断

心肺蘇生法 滝口 雅博
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ポイント

・心肺蘇生法実施中には画像診断は行えないが,患者が蘇生された後には画像診断が行われる.

・単純X線写真はスクリーニング的意義を含めて有用である.また,単純CT,MRIで得られる情報は少ないが,マルチスライスCTは三次元画像を作成できて有用である.

・超音波診断は,循環動態が不安定な患者でも画像診断が可能であり,有用である.

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ポイント

・中心静脈カテーテルはできるだけ上大静脈系から挿入する.

・画像診断ではカテーテルの位置確認と合併症(気胸,血胸,縦隔血腫など)に注意する.

・肺動脈カテーテルは挿入後もカテーテルが自然に進むことがあり,画像診断上注意が必要である.

胸腔ドレナージ 奈良 理 , 浅井 康文
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ポイント

・緊急時の気胸や血胸(胸水)の仰臥位正面胸部単純X線写真の特徴を理解する.

・胸腔ドレナージ施行後は,直ちに胸部単純X線写真を撮影・読影し,チューブの位置と効果を診断する.

・ドレナージチューブが葉間に挿入されていることが推察できる三徴を理解する.

・緊張性気胸を疑った場合には,胸部単純X線撮影を待つことなく,胸腔穿刺もしくは胸腔ドレナージを施行する.

緊急処置後の画像診断

気管挿管 山口 均 , 島崎 修次
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ポイント

・気管挿管・気管切開は確実な気道確保の方法であるが,迅速性,確実性が要求される.したがって,処置前後の画像,特に胸部単純X線写真による診断,チューブの確認,合併症の確認は必須である.

・胸部CTや気管支内視鏡も,補助診断として有用である.

・気管挿管に代わる気管切開,輪状甲状切開・穿刺術は,異物,喉頭蓋炎などの物理的狭窄があるような例外的症例を除いて,緊急時には行わない.

鑑別診断のための画像診断

脳梗塞を疑う 川上 英孝 , 中島 孝
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ポイント

・脳梗塞を疑ったら病歴,神経学的所見から診断・治療計画を考えて,必要な画像検査を行う.

・CTで出血を否定でき,脳梗塞の初期変化がないときはMRI拡散強調画像が診断上,有用である.

・アテローム血栓性脳梗塞と脳塞栓を鑑別するために,神経超音波検査とMRAは必須の検査手段である.

・中大脳動脈などの主幹動脈の再開通療法は治験段階にあり,各種の条件を満たすことが必要である.

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ポイント

・頭蓋内出血は,発症様式が明らかなものや脳局所症状のあるものは診断されやすいが,患者の情報がなく,意識障害や頭痛のみを呈する場合は鑑別診断が必要である.

・ほとんどの場合,頭蓋内出血病変は頭部CTで診断可能である.

・突然の経験したことのない頭痛,急性・亜急性に発症し進行する頭痛や神経症状を伴う頭痛は症候性頭痛が疑われるので,頭部CT検査が不可欠である.

・CTで頭蓋内出血を認めたならば,可及的速やかに専門医に紹介し,その後の検査や治療を進める.

髄膜炎を疑う 青木 眞
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ポイント

・「腰椎穿刺の前には必ず頭部CT検査が必要である」という観念から自由になることである.臨床像を適切に把握・分析することにより,多くの症例で頭部CT検査施行前に腰椎穿刺を安全に行うことが可能である.

・髄膜炎は内科エマージェンシーであり,治療開始のタイミングを遅らせない.可能な限り,病院到着から30分以内に抗菌薬(必要によっては抗ウイルス薬も)開始する.

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ポイント

・上気道閉塞をきたす疾患は,緊急時には気道確保という点で同じ対処を行う.

・状況より気道異物がはっきりしている場合は,画像診断にとらわれず,異物除去を直ちに行うべきである.

・急性喉頭蓋炎を診断するには,速やかに喉頭ファイバースコープ検査ならびに頸部側面単純X線検査にて,喉頭蓋の腫脹の所見を見逃さないことが肝要である.

深頸部感染症を疑う 菊地 茂
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ポイント

・深頸部感染症は頸部の隙に沿って進展する.

・対応を誤ると縦隔炎,敗血症,気道閉塞,大血管の破綻などの重篤な合併症を起こす.

・深頸部感染症の診断,排膿ルートの決定には,造影CTが有用である.

・切開,排膿の適応があれば,迅速に施行する.

・細菌検査を行う際には,嫌気培養も同時に行う.

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ポイント

・外傷患者に対しては,頸椎外傷の可能性があれば頸椎固定を施行する.

・信頼できる患者か否かを判断する.

・可能な限り,頸椎単純X線3方向撮影を行う.

・X線上異常がなくても,不安定型頸椎損傷や頸髄損傷は否定できない.

・骨傷の診断にはCT再構築画像が有用で,頸髄損傷や軟部組織損傷の診断にはMRIが有用である.

気胸を疑う 松村 理司
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ポイント

・外傷性気胸や医原性の気胸を除いて自然気胸と呼び,原発性と続発性とに分ける.

・気胸は,病歴と身体診察で疑い,胸部単純X線像で確定診断する.

・胸部CT像は,気胸と紛らわしい巨大囊胞の鑑別に役立つ.また続発性の場合の原因疾患の検証にも役立つ.

・外傷性や機械呼吸中に医原性に発生しやすい緊張性気胸は,特有の臨床像で見抜く.画像診断に時間を割かない.

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ポイント

・肺炎様の症状や身体所見を認めた場合は,胸部単純X線検査で陰影の性状や拡がりを確認する.びまん性陰影を呈したり,呼吸器系の基礎疾患(肺癌,肺気腫など)を有し,より詳細な検討が必要な場合に,胸部CT検査を行う.

・肺炎の画像所見は,区域性に分布する融合傾向をもつ浸潤影,びまん性のスリガラス状陰影,あるいは両者の混在した陰影など,さまざまである.

・肺炎の質的診断や重症度判定,鑑別診断を画像所見のみで行うことは困難であり,他の所見と総合して行う必要がある.

肺塞栓を疑う 野口 善令
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ポイント

・病歴・身体所見,リスクファクター,肺塞栓以外に症状を説明できる診断が存在するかどうか,の3つの視点から,肺塞栓の検査前確率を推定できる.

・肺塞栓の臨床的疑いが中等度の場合は,非侵襲的画像診断が肺塞栓の診断に有用である.

・肺塞栓の臨床的疑いが低い場合には,非侵襲的画像診断の所見が極端に異常でなければ安全に肺塞栓を除外診断できる.

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ポイント

・心タンポナーデの臨床症状として,Beckの3徴,奇脈,Kussmaul徴候,頸静脈怒張などが教科書には記載されているが,救急外来・ERでの観察は困難である.

・さらに,出血性ショックを伴う多発外傷では,頸静脈怒張をきたすことは稀であり,外傷性心タンポナーデの診断は難しい.

・このため,外傷初期診療ガイドラインではエコーでの鑑別を必須としている.

急性心不全を疑う 伊賀 幹二
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ポイント

・心不全であるかどうかを総合的に判断する.

・診断は画像診断のみならず,病歴・診察所見を加味する必要がある.

・心不全は原因により治療法が異なるので,常にその原因を考える.

・急変に対応できる体制で,最初の検査を考える.

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ポイント

・解離の進展範囲でStanford分類などにより病型が分類されており,臨床症状,治療方法,予後も大きく異なる.

・臨床症状には解離による疼痛,大動脈破裂および虚血症状などがあり,きわめて多彩である.

・本症の病態の理解と,特徴的な臨床症状と胸部単純X線写真での縦隔陰影拡大より,本症の可能性をまず考える.

・確定診断には,超音波検査やCT検査が必要である.

・治療は降圧・鎮痛を行い,急性Stanford A型解離では一般に,緊急に外科的治療を必要とする.

食道破裂を疑う 篠澤 洋太郎
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ポイント

・嘔吐などの食道内圧上昇を契機とした胸部を中心とした痛み,持続・増強する炎症所見・呼吸困難を呈する場合,食道破裂を疑う.

・胸部単純X線で胸水貯留,縦隔陰影の拡大,縦隔気腫(V-signなど),皮下気腫に注目.

・胸部CT,食道造影で汚染度を含めた確定診断を行う.

・破裂後の経過時間,全身性炎症反応,汚染部のドレナージの可否等で,対応を決める.

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ポイント

・消化管出血を疑った場合は内視鏡検査が第一選択であり,出血源が明らかとなれば,速やかに内視鏡的止血法を行う.

・ショック例では,内視鏡的止血法や抗潰瘍療法だけではなく,一時止血後の貧血・凝固機能・低蛋白血症の改善などを含めた,総合的な集中治療とフォローアップ内視鏡検査が重要である.

腹腔内出血を疑う 木村 昭夫
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ポイント

・腹腔内出血の最も簡便な画像診断は超音波検査(ultrasonography:US)である.

・USによる腹腔内出血検出の感度は80~90%であり,反復施行が良い感度をもたらす.

・腹部CTは,呼吸循環の不安定な患者には,原則的に施行すべきではない.

・腹腔内出血の所見と急速輸液に対する反応から,開腹適応を決定する.

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ポイント

・腹痛患者の診察の際は,緊急手術の適応となる疾患を念頭に置いて診療にあたる.

・腹腔内遊離ガスの確認は,立位か左側臥位の単純X線撮影,または腹部CTを施行する.

・各検査を有機的に組み合わせ,総合的に鑑別診断を行う.

・バイタルサインが不安定な場合は,必要最少限の検査で手術適応を判断し,手術のタイミングを逃さない.

イレウスを疑う 安田 是和
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ポイント

・イレウスの診断は,腹部身体所見,立位・臥位の腹部単純X線撮影が契機となるが,正確な診断のためには腹部超音波検査,腹部造影CTの組み合わせが必要である.

・イレウスを疑ったら,診断を進めると同時に補液を開始し,脱水の補正に努める.

・手術適応の有無を念頭に置きつつ,診断と治療を行う.

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ポイント

・急性期の急性膵炎の画像診断は,診断(除外診断を含む),成因検索,重症度診断のために行う.

・急性膵炎を疑った場合:腹部,胸部の単純X線,腹部エコー(ultrasonography:US),CTなどによって,膵の変化と他の疾患の有無を確認する.

・成因診断として,USやCTによって胆石の有無を確認する.

・重症度診断のためにCTは必須であり,可能であれば造影CTを行う.膵の壊死の程度や炎症の広がりを評価する.

急性胆囊炎を疑う 寺井 親則
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ポイント

・急性胆囊炎は日常臨床で比較的多く遭遇する救急疾患で,重症例はドレナージや緊急手術の適応となる.

・腹部超音波検査は急性胆囊炎の診断に有用であるが,病歴を詳細に聴取し,身体所見を正確に診ることがより大切である.

・治療法には,保存的治療,ドレナージ療法,外科治療がある.手術手技では腹腔鏡下胆囊摘出術が標準術式であるが,胆汁性腹膜炎では開腹胆囊摘出術の適応となる.

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ポイント

・急性虫垂炎の画像診断には腹部超音波検査が有用であるが,熟練を要する.

・腹部超音波検査で診断が困難なときや腹膜炎が強いときは,腹部造影CT検査を行う.

・腹部単純X線検査は糞石,腸閉塞の診断ができ,手術においても補助的役割がある.

尿路結石を疑う 井村 洋 , 中村 雄介
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ポイント

・尿路結石の緊急時の診療は,尿路結石の合併症および尿路結石以外の重症疾患の確認が主体になる.

・尿路結石の画像診断のゴールドスタンダードは単純ヘリカルCTである.

・腹部単純X線写真,腹部エコーの陰性所見だけでは,結石の存在を除外できない.

・結石の予後予測および治療選択に,画像診断による結石のサイズと位置の確認が役立つ.

深部静脈血栓を疑う 宜保 昌樹
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ポイント

・血栓症の背景となる病歴聴取が重要.

・下肢症状で発症する場合と,下肢症状がなく肺血栓症で発症する場合とでは,検査のアプローチが異なる.

・超音波検査は画像検査の第一選択.

・静脈造影は,緊急時の検査よりも病態の確認に有用.

・CT,核医学検査は,肺塞栓と静脈血栓症を同時に診断可能.

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ポイント

・急性の下肢痛を主訴に搬送された場合,急性動脈閉塞などの血管性疾患を念頭に置き,6時間以内のgolden time に非血管疾患を除外しながら,早急に診断および処置を進める.

・動脈閉塞が血栓症か塞栓症を,症状経過や心臓超音波検査などで鑑別する.

・血管造影は,侵襲がやや大きいが,閉塞,狭窄部位や程度を詳細に判定でき,また治療方針の決定およびその後の血栓溶解療法や血管拡張術などの血管内治療もでき,最も有用である.

・緊急性が低い場合は,侵襲の少ない血管超音波検査,MRA,三次元CTなども有用である.

椎間板ヘルニアを疑う 稲福 徹也
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ポイント

・腰痛に神経根症状を伴う場合に,椎間板ヘルニアを疑う.

・腰痛に馬尾症候群を伴う場合は,緊急手術を念頭に,至急CT/MRI検査を施行する.

・単純性腰痛で危険因子のある者には,血沈と腰椎単純X線検査を施行する.

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ポイント

・背部痛に引き続いて起こる知覚障害,運動失調,筋萎縮,進行性痙性麻痺,膀胱直腸障害は,転移性脊髄腫瘍を疑わせる重要な所見である.

・単純X線写真は簡便であり,早期の鑑別診断に有用である.

・MRI上,特徴的な像を示すので,可能であれば緊急で行うべき検査である.

・診断確定後,早期のステロイド投与が神経症状改善につながる.

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ポイント

・壊死性筋膜炎は,激痛を伴って急速に進行する重篤な全身感染症である.

・夏・冬に季節的な発症原因がある.特に,V. vulnificusによるものは東京以西に多く発生する.

・肝硬変は本症発生に関係が深い.

理解のための32題

演習・腹部救急の画像診断(10)

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Case

 症 例:57歳,男性.

 主 訴:右腰痛,嘔吐.

 既往歴:緑内障にて内服加療中.

 現病歴:夕食後に突然,右腰痛,側腹部痛が出現した.その後,痛みは一時的に軽減するが持続し,嘔吐も出現したため,救急外来を受診した.

 現 症:体温36.9℃,血圧160/90mmHg.脈拍85回/min.意識清明.右背部から側腹部に自発痛あり.右腰部の叩打にて疼痛あり.

 検査所見:WBC9,000/μl,AST14IU/l,ALT20IU/l,LD196IU/l,CPK389IU/l,Amy120mg/dl,尿酸5.7mg/dl,Ca8.5mg/dl,CRP0.98mg/dl.尿検査;pH6.0,比重1.020,赤血球多数/各視野,白血球10~19/各視野.図1に腎尿管膀胱単純X線撮影(KUB)写真,図2に腹部CT像を示す.

救急神経症候の鑑別とマネジメント(4)

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重症患者に生じた意識障害の原因

 ICU入室患者や一般病棟の重症患者には,しばしば意識障害をはじめとする神経系合併症が加わる.ICU入室患者の場合,神経系合併症が加わると入室期間と死亡率はともに2倍となる.内科系あるいは外科系重症患者に意識障害が加わった場合に考慮すべき原因病態を,表1および表2に示す1)

発症年齢による意識障害の特徴

 高齢者における意識障害の特徴は,以下のようにまとめられよう.

 (1) 感染症,脱水,代謝性疾患,水・電解質代謝異常など脳以外の病変により,容易に意識障害をきたしやすい.

 (2) このため,基礎疾患の治療により可逆的な意識障害例もよくみられる.

 (3) 脳血管障害,特に脳梗塞と代謝性要因が比較的多い.

 (4) 薬剤過多などの医原性の意識障害も多い.

 (5) しばしば多臓器にわたる基礎疾患を有する.

 (6) 自発性低下や意欲減退での発症や,痴呆や精神症状の合併により発見が遅れやすい.

 (7) 経過中にせん妄を生じやすい.

 (8) 経過中に感染症,脱水,心不全を合併しやすい.

 (9) 広範な脳虚血発症後の予後は,実際には若年者よりも不良である.

カラーグラフ 手で診るリウマチ(4)

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 変形性関節症(osteoarthritis:OA)は,きわめてありふれた関節症である.ある年齢に達すると,皆この関節症をもっているといって差し支えない.ただし,症状の出る人と,出ない人がいる.症状はとりわけ女性に強く出る.40歳代,50歳代の女性で,手の先端部の関節に痛みを訴えてきたら,まず確率的にこの疾患と考えてよい.それほどに多い.

 OAの関節症は,手の第1関節のDIP関節(distal interphalangeal joint)と,第2関節のPIP関節(proximal interphalangeal joint)に現れる(図1).

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問題 331

 症 例:54歳,女性,清掃員.

 主 訴:呼吸困難,cyanosis.

 家族歴:特記すべきことなし.

 既往歴:19歳,虫垂炎.50歳,Ménière病.52歳,肺炎.54歳,高血圧症.

 生活歴:喫煙1箱/日×30年,ペット飼育歴なし.

 現病歴:7月23日にシロアリ駆除を行い,翌24日悪寒戦慄出現.25日前医入院(WBC8,900mg/dl,CRP18.0mg/dl).異型肺炎を疑われ,エリスロマイシンを投与されるが,39℃台の発熱持続.26日から呼吸困難が出現し,徐々に増強.cyanosisが出現したため当院へ転院.努力呼吸.cyanosis著明.肺野全体にベロクロラ音を聴取(WBC 13,400/μl,CRP20.7mg/dl).著明な低酸素血症を認め,人工呼吸管理となった.心エコー上,駆出率43%と低下.心筋炎としてIABP(大動脈内バルーンパンピング)下に,利尿薬とステロイドパルス療法を併用.心不全は徐々に軽快し,8月1日には駆出率60%にまで回復し,呼吸状態も改善した.左下葉の心陰影との境界部に,淡いスリガラス状の陰影が残存.聴診では水泡音を聴取した.当院入院~退院後の胸部単純X線(図1~3)およびCT(図4)を示す.

基本情報

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medicina
40巻4号 (2003年4月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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