救急神経症候の鑑別とマネジメント(4)
急性期意識障害のneuro-critical care(後編)
永山 正雄
1
1東海大学医学部神経内科
pp.748-753
発行日 2003年4月10日
Published Date 2003/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102614
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重症患者に生じた意識障害の原因
ICU入室患者や一般病棟の重症患者には,しばしば意識障害をはじめとする神経系合併症が加わる.ICU入室患者の場合,神経系合併症が加わると入室期間と死亡率はともに2倍となる.内科系あるいは外科系重症患者に意識障害が加わった場合に考慮すべき原因病態を,表1および表2に示す1).
発症年齢による意識障害の特徴
高齢者における意識障害の特徴は,以下のようにまとめられよう.
(1) 感染症,脱水,代謝性疾患,水・電解質代謝異常など脳以外の病変により,容易に意識障害をきたしやすい.
(2) このため,基礎疾患の治療により可逆的な意識障害例もよくみられる.
(3) 脳血管障害,特に脳梗塞と代謝性要因が比較的多い.
(4) 薬剤過多などの医原性の意識障害も多い.
(5) しばしば多臓器にわたる基礎疾患を有する.
(6) 自発性低下や意欲減退での発症や,痴呆や精神症状の合併により発見が遅れやすい.
(7) 経過中にせん妄を生じやすい.
(8) 経過中に感染症,脱水,心不全を合併しやすい.
(9) 広範な脳虚血発症後の予後は,実際には若年者よりも不良である.
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