臨床皮膚科 71巻11号 (2017年10月)

連載 Clinical Exercise・122

Q考えられる疾患は何か? 竹之内 辰也
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症例

患 者:48歳,女性.

主 訴:臍部の腫瘤

既往歴:30歳時に肺炎

家族歴:特記すべきことなし.

現病歴:3か月前より臍部の腫瘤を自覚し,徐々に増大した.近医皮膚科より紹介され受診した.

初診時現症:臍窩に一致して23×18mm,弾性硬の淡紅色腫瘤を認めた.表面は多結節性で境界不明瞭,可動性は不良であった(図1).局所を含めて全身的にも自覚症状は全く認めなかった.

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 本誌で「若手の皮膚科女性が望む理想のイクボス像」について執筆する機会をいただいた.なんて恐れ多い,という気持ちが半分,子育てと皮膚科医を両立,時には趣味も楽しみながら働き続けた自身の道のりに多少の興味を抱いていただいたからかと少し嬉しくも思った.

 イクボスたるもの「職場で共に働く部下のワークライフバランスを考える.部下のキャリアと人生を応援し,自らも仕事と私生活を楽しむ.同時に,組織の業績・結果の責任を考える」必要があるらしい.そんな理想像を思い描きながら働くイクボスならぬ医師ボスなんて存在するのか!

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要約 46歳,男性.以前より高度の肥満あり.39℃台の発熱と左下肢の有痛性の腫脹で入院となった.身長170cm,体重219kg,body mass indexは75.7と極度の肥満を認めた.左下腿は高度に腫脹し,乳頭状に増殖した表皮が敷石状を呈していた.プロカルシトニン値は171ng/mlで,抗フィラリア抗体は陰性であった.Elephantiasis nostras verrucosa(ENV)に蜂窩織炎と敗血症を合併した症例と診断し,大量の抗菌薬投与で症状,検査値は改善した.リンパ管シンチグラフィーを行うと運動後にリンパ流は認められるものの,安静にすると患側のリンパ流が消失した.自験例は極度の肥満者のENVに発症した敗血症を伴った重症の蜂窩織炎で,高度なリンパ浮腫の存在と,局所の不潔環境を放置したために重症化したと考えた.治療に関して,高度肥満者の有効な抗菌薬の投与量を見積もる上で補正体重の算出が有用であった.極度の肥満者の少ない本邦では自験例は稀な重症感染例と考えた.

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要約 51歳,男性.25年前に肺結核の既往あり,1型糖尿病を合併していた.数か月前より左足背に紅斑が出現した.前医にて蜂窩織炎と診断され,抗菌薬加療されたが,紅斑は拡大し,潰瘍化したため当科を紹介され受診した.初診時,左足背に圧痛を伴うびまん性の発赤腫脹と黒色壊死組織を伴う潰瘍を認め,下腿には皮下硬結を伴う紅斑が散在していた.CT angiographyでは脛骨・腓骨動脈に閉塞を認め,閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans:ASO)を合併していた.左下腿紅斑の病理組織像は小葉性脂肪織炎,乾酪壊死を伴う類上皮細胞性肉芽腫と血管炎を認めた.活動性の肺病変はなかったが,ツベルクリン反応は強陽性,T-SPOT®陽性から,ASOの合併のため重症化したBazin硬結性紅斑と診断した.抗結核薬4剤とプレドニゾロン,アルプロスタジルの投与にて潰瘍は上皮化し略治した.Bazin硬結性紅斑では,正確な病態の把握と必要に応じた適切な追加治療が重要であると考えた.

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要約 37歳,女性.2015年4月末より6日間バリ島に滞在した.帰国時に筋肉痛,肘関節痛,腹部に小紅斑が出現し,翌日には40℃の発熱があった.他院でデング熱が疑われたが,非構造蛋白(NS1)抗原は陰性であったため,発症4日目に当院に入院となった.チクングニアウイルス遺伝子検査およびIgM抗体が陽性であり,チクングニア熱と確定診断した.発症8日目で解熱し,発症11日目には発疹はほぼ消退した.近年,チクングニア熱は海外での流行の拡大がある.本邦の報告例はすべて輸入感染症であるが,媒介蚊の1つヒトスジシマカは日本にも生息しており,今後デング熱のような国内流行の可能性がある.流行を防ぐために,早期診断が必要である.

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要約 症例1:59歳,女性.抗セントロメア抗体陽性.手指の皮膚硬化に加え,腹部,背部,上腕に境界明瞭な発赤を伴う皮膚硬化がみられた.症例2:54歳,女性.自己免疫性肝炎で通院加療中.抗セントロメア抗体と抗RNP抗体陽性.Raynaud現象に引き続き手指の軽度硬化の他,腹部および背部,大腿に境界明瞭な発赤を伴う皮膚硬化がみられた.いずれもmorphea様皮疹を伴った全身性強皮症と診断した.2例とも逆流性食道炎があり,間質性肺炎と肺高血圧症はなかった.2症例の腹部のmorphea様皮疹からの皮膚生検組織像では血管周囲の炎症細胞浸潤と真皮の膠原線維の増生がみられた.これまでに診断名に違いはあるものの,同様の臨床像を呈する症例が多数報告されている.全身性強皮症の皮膚症状の一型としてmorphea様の皮膚病変が出現しうることを示唆するものであると考える.

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要約 33歳,女性.初診の約2年前に左Ⅳ指爪の変形が出現した.近医で湿疹に伴う爪変形と診断されステロイド軟膏を外用するも爪甲剝離と指尖の紅斑が新たに出現した.約1年後には両Ⅰ指の爪も変形し,別の近医でレーザー治療,ワイヤー挿入を施行されたが無効だった.さらに別の近医で爪乾癬を疑われて当科を紹介され受診した.初診時現症は右Ⅰ指に爪甲剝離を,左Ⅰ,Ⅱ,Ⅳ指に爪甲剝離と爪甲白濁と油滴変色を,左Ⅰ指に爪甲下角質増殖を,左Ⅲ指に爪甲剝離を軽度認めた.左Ⅰ,Ⅱ指の指尖部には鱗屑を伴う紅斑を伴い,爪甲の両側縁部は側爪郭の皮膚に食い込んでいた.両手指のNAPSIは28だった.爪以外には皮疹はなかった.左Ⅰ指爪床下の紅斑を生検した.病理組織像で棍棒状の表皮突起の延長,表皮肥厚,不全角化,Kogoj海綿状膿疱がみられ,爪乾癬と診断した.エキシマライトを合計6か月間157,000mJ/m2照射してNAPSIは12まで改善した.爪乾癬の治療としてエキシマライトが有効であった.

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要約 86歳,女性.当科初診1年半前より労作時呼吸困難があり,縦隔・肺門部リンパ節腫脹,末梢肺野結節影を認めた.アンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme:ACE)とリゾチームは高値であった.縦隔リンパ節生検でサルコイドーシスと診断され,当院呼吸器内科で無治療経過観察中だった.当科初診2か月前より右下腿屈側に軽度の疼痛を伴う潰瘍を生じ,近医で抗潰瘍薬を外用したが難治なため当科を紹介され受診した.同部位に壊死組織を伴う比較的境界明瞭,虫食い状,小豆大の潰瘍を認めた.各種抗潰瘍薬を外用したが難治なため皮膚生検を施行した.潰瘍底の真皮浅層から中層の血管周囲に類上皮細胞,巨細胞を混じる肉芽腫があり,サルコイドーシスに伴う下腿潰瘍と診断した.ステロイド外用で改善に乏しく,ステロイド内服し,潰瘍は内服26週で上皮化した.皮膚サルコイドで潰瘍を生じるものは稀だが,難治性下腿潰瘍をみた際にはサルコイドーシスを鑑別に加える必要がある.

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要約 80歳,女性.水疱性類天疱瘡に対してプレドニゾロン(PSL)とジアフェニルスルホン(DDS)を併用して治療した.入院経過中,ステロイド性糖尿病に対して血糖降下薬を投与し,退院後は近医で糖尿病治療を継続した.PSL 5mg/日,DDS 50mg/日を維持量として経過観察中に,近医での糖尿病治療が終了した.その後,DDSを中止したところ,HbA1cが突然高値を示した.経過中のHb値は正常範囲内であり,DDSによる不顕性溶血でHbA1cが見かけ上,低値を示していたと考えた.DDSの添付文書の副作用欄には溶血性貧血の記載はあるが,HbA1cの低下は記載されていない.また,DDSの保険適応疾患は皮膚科領域の疾患のみであるため,皮膚科医以外はDDSに馴染みがない.DDSを使用する機会の多い皮膚科医は十分に認識しておくとともに,糖尿病管理を依頼する内科医に啓発する必要があると考えた.

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要約 62歳,男性.初診2か月前より全身に自覚症状を欠く紅斑・丘疹が出現した.近医を受診し治療したが改善しないため当科に紹介された.初診時,顔面を除く体幹,四肢に母指頭大までの浸潤を触れる紅斑・丘疹を認めた.病理組織所見は真皮全層から皮下組織にかけて核異型を呈する芽球様単核球の密な浸潤を認め,免疫組織染色ではMPO,lysozyme,CD33,CD43,CD45,CD4が陽性,CD3,CD5,CD8,CD10,CD20,CD30,CD56,CD68(PGM-1),CD79a,CD123,CD138,Cyclin D-1,bcl-2,TdT,GranzymeB,TIA-1,EBER in situ hybridizationが陰性であったことからmyeloid sarcoma(MS)と診断した.しかし初診3週間後より全身の皮疹が消退傾向を示したため患者が通院および精査を希望せず,さらなる全身検索は施行できなかった.初診時の血液検査では末梢血を中心に異常は認められず急性骨髄性白血病の存在は疑われなかったが,今後急性骨髄性白血病を発症する可能性が高いと思われた.播種状紅斑や丘疹などの皮疹が先行するMSは稀であり,このような臨床を呈するMSの認識が必要であると思われた.

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要約 19歳,男性.約5年前に右下腿に小結節が出現し,初診2か月前より急速に増大してきたため当科を受診した.初診時,右下腿に径35×40mm,高さ20mm,表面平滑でドーム状に隆起する紅色囊腫様の隆起性病変が認められた.病理組織学的には,真皮内に表皮と連続性がなく,内部に充実性部分を有する大型の囊腫が存在していた.充実性部分はclear cellとepidermoid cellが乳頭状,シート状の増殖を示していた.Clear cellはPAS染色陽性,一部の腫瘍細胞でCEA陽性,S100蛋白陰性であった.本症例は急速に増大したため悪性をも疑ったが,腫瘍細胞は異型性に乏しく,p53陰性,Ki-67 labelling indexは5%以下であり,悪性は否定された.以上より,本症をsolid-cystic hidradenomaと診断した.急速に増大した一因として,外傷や過度な体重負荷などの外的刺激が考えられた.

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要約 53歳,男性.約30年間のアルコール多飲歴がある.初診6年前に近医にて頸部の脂肪腫を切除された.初診時,後頭部から頸部にかけて弾性軟の皮下腫瘍があり,buffalo hump様の特異な外観を呈していた.MRIで脂肪腫と診断し,可及的に皮下腫瘍摘出術を施行し,病理組織学的に異型性のない成熟脂肪細胞の増生を認めた.臨床所見と合わせて良性対称性脂肪腫症と診断した.その後,両側上腕,両肩,下腹部の脂肪腫を切除した.初診から10年後,両側乳房が巨大化し,経過と触診から脂肪腫と診断した.翌年,両側乳房の脂肪腫の切除を希望したため可及的に切除し,乳頭・乳輪は乳頭・乳輪遊離移植術を用いて再建した.乳頭・乳輪を再建できたため,術後,患者の満足が得られた.渉猟しえた限り両側乳房に良性対称性脂肪腫症による巨大な脂肪腫病変が生じた報告は少なく,文献的考察を含めて報告する.

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要約 58歳,男性.初診の1年6か月前より左腹部に結節が出現,徐々に拡大したため2013年7月当科を紹介され受診した.初診時,左腹部に25×15mm,高さ12mmの有茎性,表面に凹凸のある光沢を帯びた弾性やや軟の黒色の単発性結節を認めた.結節の一部はびらん,痂皮を伴っていた.臨床的にエクリン汗孔腫,基底細胞癌,悪性黒色腫などを鑑別に挙げ切除した.病理組織学的に層状に腫瘍細胞胞巣を認め,胞巣内には囊腫状の空胞構造を認めた.最外層は表皮に一部連続し,細胞が柵状に配列しており,腫瘍細胞は好塩基性で核分裂像を散見した.以上より囊腫型基底細胞癌と診断した.基底細胞癌が有茎性を呈する例は比較的稀であり,その発生機序にはさまざまな要因が関わっているとされている.自験例では外的刺激と囊腫状の構造が関連していると考えた.外的刺激を受けやすい場所に有茎性の黒色腫瘤を認めた場合,基底細胞癌を念頭に置き,ダーモスコピー検査などを施行し鑑別する必要があると考えた.

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要約 61歳,女性.数か月前から肛門左側に皮疹を自覚し,当科を紹介され受診した.初診時,主として肛門左側に拡がる浸軟した紅斑局面内に有茎性腫瘤を認めた.病理組織像では胞体の明るい細胞が表皮内・真皮内へ増殖・浸潤し,鑑別として乳房外Paget病と,肛門管癌等のPaget現象を考えた.過去の報告では,肛囲で有茎性腫瘤を呈する頻度は後者のほうが高く,前者と主に術後療法が異なるため,鑑別が重要となる.自験例では免疫染色にて腫瘍細胞がcytokeratin(CK)7とGCDFP-15に陽性,CK20陰性を示し,有茎性腫瘤を呈する稀な乳房外Paget病と診断しえた.便秘や子宮脱術後などの因子が関与し特異な臨床像を呈したと推察した.有茎性腫瘤を呈する乳房外Paget病は,急速に増大する傾向があり,リンパ節転移を認める頻度が高いため,早急に転移巣の検索を行い治療することが必要と考える.

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要約 64歳,男性.59歳時,根治的左腎摘除術を施行された.病理組織学的にはclear cell carcinomaで病期はpT2bN0M0であった.経過観察中,術後4年で前胸部に腫瘍を認めたため,当科を受診した.前胸部の皮疹は10×6mm大の血痂の付着した紅色腫瘍で局麻下に全摘術を施行した.病理組織学的に腎切除標本と比較した結果,左腎細胞癌の皮膚転移と判明した.全身検索にて脳,肺,肝,副腎に多発転移巣を認めた.当院泌尿器科にてアキシチニブ10mg/日の投与が開始され,3か月で転移巣の縮小傾向を認めたが,9か月でエベロリムス10mg/日内服へ変更となり,皮膚転移出現後1年6か月で永眠した.腎細胞癌の皮膚転移は腎摘後比較的長期間を経て発症する.その血行性転移のメカニズムから遠隔転移に対する化学療法が開発されている.血管腫様外観を呈する皮膚転移巣の発見が遠隔転移発見の契機となり予後の改善に寄与すると思われた.

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欧文目次

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 CD1aはヒトのLangerhans細胞(Langerhans cell:LC)に特徴的に発現する蛋白であるが,発現がヒトに限られるため,その意義や機能の検討が進んでいなかった.一方で,CD1aを含むCD1ファミリーによる脂質抗原提示を受けるCD1拘束性T細胞が,major histocompatibility complex(MHC)による蛋白質抗原提示を受ける一般的なT細胞以外に存在することが知られている.筆者らは,脂質が皮膚炎症を起こす機構に,LC上のCD1aからの脂質抗原提示によるT細胞活性化が関与していると考え,皮膚組織中でLCにのみヒトCD1aを発現するCD1a遺伝子導入(CD1a-tg)マウスを用いて検討した.

 その分子構造からウルシオール脂質をCD1aによって提示される抗原の候補と考え,ウルシオール脂質を用いたウルシ皮膚炎モデルでCD1a-tgおよび野生型マウスを比較した.すると,CD1a-tgマウスで皮膚肥厚が増悪し,IL-17産生およびIL-17/22共産生のCD4陽性T細胞を含む炎症細胞の皮膚浸潤が増加した.これらは抗CD1a抗体投与によって抑制されたことから,CD1a依存性と考えられた.In vitroにて,CD1aを介したウルシオール脂質抗原提示がT細胞のIL-17および22産生を促進することも確認した.イミキモド誘発乾癬モデルでもCD1a-tgおよび野生型マウスを比較し,CD1a依存性に皮膚炎の増悪とIL-17および22産生CD4陽性T細胞の浸潤の増加が起こることを確認した.さらに,ウルシ皮膚炎罹患者および乾癬患者の末梢血の細胞を用いた培養実験を行い,ヒトの炎症性皮膚疾患においてもT細胞がCD1aから抗原提示を受け,IL-17および22の産生が起こしている可能性を示した.

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 本研究では,天疱瘡に対し,リツキシマブをadjuvant therapyの第一選択薬として使った場合の完全寛解率,治療関連有害事象を,ステロイド単独治療と比較した.

 25施設での,前向き,多施設共同の無作為化比較試験で,対象は18〜80歳の新規に診断された天疱瘡の未治療の患者で,観察期間は3年間である.対象は無作為に次の2群に分けた.①ステロイド単独投与群:1.0〜1.5mg/kg/日の経口ステロイドを単独で12〜18か月間投与(44例),②リツキシマブ・短期ステロイド併用群:リツキシマブをday 0,14に1,000mg,12か月目,18か月目に500mg経静脈投与し,より少量のステロイド短期間投与(0.5〜1.0mg/kg/日を3または6か月かけて漸減)を組み合わせた(46例).

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 ●どんな本か?

 本書はひとことで言うと,既に雑誌『臨床皮膚科』に論文としてきちんとまとめられた症例の中から,特に重要と考えられる疾患100症例を抜粋し,クイズ形式でまとめたものである.

 100症例は,皮疹から14の章に分けられ,各問には,難易度を表す★が1〜3個付けられている.各症例,表に臨床写真を中心とした問題,ページをめくると裏に組織所見と解説というパターンで構成されている.

次号予告

あとがき 戸倉 新樹
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 都内を歩いていたら,犬猫の皮膚科専門病院の看板が目に留まった.われわれはホモ・サピエンスの皮膚科医であるが,この看板の皮膚科医の対象は種が異なる.犬猫は古今東西広く飼われ,実用化され,愛玩され,「犬派か猫派か」などと人間の趣向を大別させるぐらい身近なペットである.時には飼い主にとってペットロスを起こすほど不可欠な存在にもなる.犬猫皮膚科を見て,「ペットここまで極めり」と言わんばかりのインパクトを感じた.しかしすぐさま思ったことは,儲かるほど患者というか患犬や患猫は訪れるのだろうか,ということである.まあ都会なら情報を得やすく,溺愛するペットのためなら皮膚病の診察だけでも専門の病院にかかるであろう.

 皮膚科の雑誌でも時に,犬のアトピー性皮膚炎,菌状息肉症,天疱瘡・類天疱瘡の記事を見ることがあり,もちろん真菌症は有名である.さらにマダニは犬に付きやすく,ヒトに対してもいくつかの疾患を起こす.犬に皮膚病が多いのは事実であるし,またヒトの皮膚病と共通性が高く,したがって疾患としてはよく研究されている.

基本情報

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臨床皮膚科
71巻11号 (2017年10月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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