Japanese
English
症例報告
激しい腹痛と肝機能障害を伴い重症化した内臓播種性水痘・帯状疱疹ウイルス感染症の1例
A case of visceral disseminated varicella zoster virus infection with severe abdominal pain and liver dysfunction
野澤 優
1
,
朝倉 涼平
1
,
山上 淳
1
,
天谷 雅行
1
,
舩越 建
1
Yu NOZAWA
1
,
Ryohei ASAKURA
1
,
Jun YAMAGAMI
1
,
Masayuki AMAGAI
1
,
Takeru FUNAKOSHI
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
内臓播種性水痘・帯状疱疹ウイルス感染症
,
激しい腹痛
,
免疫不全患者
Keyword:
内臓播種性水痘・帯状疱疹ウイルス感染症
,
激しい腹痛
,
免疫不全患者
pp.1095-1100
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206229
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要約 40歳,女性.水痘既往はないがワクチン接種歴はある.関節リウマチ,Sjögren症候群,IgA欠損症が併存症にあり,メトトレキサート8mg/週の内服中であった.水痘が疑われる児との接触後,前胸部の水疱と腹部違和感が出現し,紅暈を伴う小水疱は全身に多発した.腹痛増悪のため救急搬送となり,特徴的な皮疹から水痘と診断し,緊急入院した.激しい腹痛と血液検査での肝逸脱酵素上昇を認め,体幹部造影CT検査と腹部超音波検査を実施したが器質的な異常所見は認めなかった.経過から水痘による腹痛,肝機能障害と考えアシクロビル倍量投与を2週間行い,症状は軽快した.臓器障害を伴う水痘は内臓播種性水痘・帯状疱疹ウイルス感染症と呼ばれる.腹痛や背部痛で発症することが多いために診断や治療が遅れ,致命的となりうる.腹痛や背部痛を伴う水痘患者を診た際には本症を考え,早期に高用量アシクロビル投与を開始すべきだと考える.
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