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あとがき
戸倉 新樹
pp.938
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205238
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都内を歩いていたら,犬猫の皮膚科専門病院の看板が目に留まった.われわれはホモ・サピエンスの皮膚科医であるが,この看板の皮膚科医の対象は種が異なる.犬猫は古今東西広く飼われ,実用化され,愛玩され,「犬派か猫派か」などと人間の趣向を大別させるぐらい身近なペットである.時には飼い主にとってペットロスを起こすほど不可欠な存在にもなる.犬猫皮膚科を見て,「ペットここまで極めり」と言わんばかりのインパクトを感じた.しかしすぐさま思ったことは,儲かるほど患者というか患犬や患猫は訪れるのだろうか,ということである.まあ都会なら情報を得やすく,溺愛するペットのためなら皮膚病の診察だけでも専門の病院にかかるであろう.
皮膚科の雑誌でも時に,犬のアトピー性皮膚炎,菌状息肉症,天疱瘡・類天疱瘡の記事を見ることがあり,もちろん真菌症は有名である.さらにマダニは犬に付きやすく,ヒトに対してもいくつかの疾患を起こす.犬に皮膚病が多いのは事実であるし,またヒトの皮膚病と共通性が高く,したがって疾患としてはよく研究されている.
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