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CD1aはヒトのLangerhans細胞(Langerhans cell:LC)に特徴的に発現する蛋白であるが,発現がヒトに限られるため,その意義や機能の検討が進んでいなかった.一方で,CD1aを含むCD1ファミリーによる脂質抗原提示を受けるCD1拘束性T細胞が,major histocompatibility complex(MHC)による蛋白質抗原提示を受ける一般的なT細胞以外に存在することが知られている.筆者らは,脂質が皮膚炎症を起こす機構に,LC上のCD1aからの脂質抗原提示によるT細胞活性化が関与していると考え,皮膚組織中でLCにのみヒトCD1aを発現するCD1a遺伝子導入(CD1a-tg)マウスを用いて検討した.
その分子構造からウルシオール脂質をCD1aによって提示される抗原の候補と考え,ウルシオール脂質を用いたウルシ皮膚炎モデルでCD1a-tgおよび野生型マウスを比較した.すると,CD1a-tgマウスで皮膚肥厚が増悪し,IL-17産生およびIL-17/22共産生のCD4陽性T細胞を含む炎症細胞の皮膚浸潤が増加した.これらは抗CD1a抗体投与によって抑制されたことから,CD1a依存性と考えられた.In vitroにて,CD1aを介したウルシオール脂質抗原提示がT細胞のIL-17および22産生を促進することも確認した.イミキモド誘発乾癬モデルでもCD1a-tgおよび野生型マウスを比較し,CD1a依存性に皮膚炎の増悪とIL-17および22産生CD4陽性T細胞の浸潤の増加が起こることを確認した.さらに,ウルシ皮膚炎罹患者および乾癬患者の末梢血の細胞を用いた培養実験を行い,ヒトの炎症性皮膚疾患においてもT細胞がCD1aから抗原提示を受け,IL-17および22の産生が起こしている可能性を示した.
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