臨床皮膚科 68巻6号 (2014年5月)

連載 Clinical Exercise・81

Q考えられる疾患は何か? 笹平 摂子
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症例

患 者:61歳,男性

主 訴:軀幹,四肢の皮疹

既往歴:高血圧(37歳時),心内膜炎(58歳時)

家族歴:父,長兄に脳血管障害,次兄に肺癌

現病歴:5月中旬に38℃台の発熱が約10日間続き,その後,両側手関節に淡紅色皮疹が出現した.6月初旬には全身に皮疹が拡大した.6月下旬より左眼の霧視に気付いた.7月初旬に受診した.

現 症:顔面を含む全身に小豆大までの淡紅色斑と粟粒大前後の淡紅色丘疹が播種し,腹部の淡紅色斑には融合傾向がみられた(図1a).手掌・足底には半米粒大から大豆大の鱗屑を付す赤銅色,浸潤のある紅斑が多発し,一部融合していた(図1b).粘膜疹なし.両鼠径部に大豆大までのリンパ節を数珠状に触知した.

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 私が勤務する病院は,病床数416,急性期医療に力を入れている公立病院で,現在皮膚科常勤医は私を含めて4名,皮膚科患者数は,1日平均,外来100人,入院10人です.

 22年前,初代皮膚科医長として赴任しましたが,臨床経験がたった6年の右も左もわからない未熟な新米医長で,自分の皮膚科医としての知識や技術の獲得に精いっぱいで,当初は一緒に仕事をする先生(最初は皮膚科2人でした)の指導について考える余裕もありませんでした.ですから,出張病院の部長としての自覚を持ち,自身がやるべきことを,実際に実行しはじめたのは,10年ぐらい前からだと思います.

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要約 43歳,男性.初診1か月前より口内炎を自覚した.当科初診時,前額部・前胸部・背部などにびらんを認め,頭部のびらんは脱毛を伴っていた.前頭部の毛髪は,抜毛テストで容易に引き抜くことができた.抜去された毛髪検体の直接蛍光抗体法(direct immunofluorescence:DIF)所見では,付着する外毛根鞘の細胞間にIgGの沈着を認めた.脱毛部の病理組織所見では,外毛根鞘内に棘融解像がみられた.ELISA法で抗デスモグレイン(Dsg)1,3抗体価が高値であり,尋常性天疱瘡と診断した.加療によるpemphigus disease area index,抗Dsg抗体価の低下とともにテストで抜毛される範囲が縮小した.また,毛髪検体へのIgG沈着もみられなくなった.尋常性天疱瘡で脱毛をきたすことは稀だが,棘融解により外毛根鞘を付着する成長期脱毛がみられるのが特徴的である.抜毛テストおよび得られた検体のDIFは,低侵襲かつ簡便な手法であり,抗Dsg抗体に起因する病態を,臨床的・免疫学的に評価できるため,今後,病勢把握および診断の一助となる可能性が示唆された.

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要約 27歳,女性.2012年4月にフキノトウ,アボカド,キャベツ,チーズの入ったパスタを摂取後,口唇の腫脹,嘔気,動悸,全身に膨疹が出現し,2時間後に意識消失した.特異的IgE抗体(class)ではヨモギ4,オオブタクサ4,フランスギク4,タンポポ4,アボカド2であった.プリックテストでは,フキノトウ雄花(加熱,非加熱とも)2+,アボカド2+,キャベツ2+,ヨモギ2+であった.口含み試験ではフキノトウのみ陽性であり,フキノトウによる口腔アレルギー症候群から進展したアナフィラキーショックと診断した.フキノトウのアレルゲンは熱に対し安定であることが示された.また全身性の強い症状が出現したことより,クラス1食物アレルギーと考えた.即時型アレルギーは生死に関わる場合があるため原因の検索は重要である.再投与試験は重篤な症状を誘発する可能性があるが,慎重に可能な限り対応する必要があると考える.

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要約 82歳,女性.初診1年半前より関節リウマチに対してアバタセプトの投与を開始した.その半年後より全身に小豆大から爪甲大までの軽度鱗屑を伴う角化性紅斑が出現した.アバタセプトの休薬で皮疹は消退したが,原病が増悪したため同薬剤の投与を再開したところ皮疹が再発した.病理組織所見は表皮の軽度肥厚と不全角化,角層内の好中球浸潤に加え,軽度の液状変性,真皮浅層の帯状のリンパ球浸潤を認め,乾癬型反応と苔癬型反応が混在していた.病理組織所見と,アバタセプトの投与時期と皮疹の出現が一致していること,再投与で皮疹の再燃を認めたことより自験例をアバタセプトによる乾癬様皮疹と診断した.アバタセプトはT細胞の活性化を抑制する生物学的製剤である.一方,Th17細胞の分化を促進する可能性も報告されており,免疫修飾能を有するアバタセプトにより非典型的な乾癬様皮疹が誘導されたと考えられた.

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要約 65歳,男性.20年以上前から軀幹,四肢に角化性紅斑が出現し尋常性乾癬と診断された.身長163cm,体重91kgと高度の肥満あり,さらに高血圧,糖尿病を合併していた.乾癬に対し副腎皮質ホルモン剤および活性型ビタミンD3製剤外用,2009年からエトレチナート30mg/日内服,2010年からナローバンドUVB照射(15か月間で総照射量約30J/cm2)を施行したが効果不十分で,アダリムマブを初回80mg,その後40mg/2週の投与を開始した.皮疹はPASIスコア20.6から3週後には2.1と速やかに軽快した.また血圧は導入前平均166/105mmHgであったが,3週後以降の平均血圧は139/92mmHgと改善した.乾癬は高血圧,糖尿病,肥満,高脂血症といったメタボリック症候群の合併率が高く,心筋梗塞などによる死亡率が高いことが知られている.乾癬を全身性炎症性疾患として捉え重症例に対しては効果的な全身治療が必要であると考えられた.

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要約 38歳,女性.数か月前より立位で両踵に直径数mmで常色の多数の無痛性丘疹が出現し,臥位で消失した.超音波検査では,踵に体重をかけると,脂肪組織と等エコーの小塊が真皮内にみられたが,力を取り除くとこの小塊は消失した.病理組織学的検査では,異型性のない脂肪細胞からなる皮下脂肪織の小塊が真皮膠原線維間に認められた.以上の所見から自験例をpiezogenic pedal papules(PPPs)と診断した.本症の誘因として踵への荷重が挙げられているが自験例でもBMIが25.9とやや高値を示していた.文献を渉猟したが,PPPsに対して超音波検査を施行した例は,本邦では,舛岡らが報告した1例と自験例のみである.両者とも荷重時に,脂肪織の真皮内への突出を認め,超音波検査は診断に有用な低侵襲の検査であると考えられた.

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要約 65歳,女性.1999年より他院で間質性肺炎の診断でプレドニゾロン(PSL)60mg/日を開始され,2007年より当院内科にて通院中であった.経過中,上眼瞼,手指,肘頭,膝蓋の紅斑が明瞭となり,当科を紹介された.初診時,PSL 8mg/日投与中であった.皮膚筋炎を疑い,2008年に肘頭,2011年には手指の紅斑を生検するも,いずれも真皮上層血管周囲の軽度のリンパ球浸潤のみであった.筋症状はなく,腫瘍マーカーは正常範囲内であった.抗核抗体は80倍で,免疫沈降法にて抗EJ抗体が陽性であることが判明し,抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体症候群と診断した.PSL 5~10mg/日の内服にて皮疹,間質性肺炎ともに進行は認めなかった.特発性の間質性肺炎として既にステロイド投与を受けている症例では,皮膚筋炎としての臨床像が顕性化しにくい可能性もあり,筋炎特異抗体について積極的に検討する必要があると考えた.

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要約 71歳,男性.初診の6か月前より15kgの体重減少を認め,3か月前から皮疹が出現したため当科を受診した.初診時,前額,口唇,前腕,体幹に丘疹が多発散在し,舌に半透明の丘疹および紫斑を認めた.病理組織像では粘膜下層に無構造物質が沈着し,コンゴーレッド染色で橙色に染色された.血清および尿中にBence Jones蛋白κ型M蛋白が検出され,骨髄生検では形質細胞が9.0%と増加していた.頭部X線で骨の打ち抜き像を認めた.上・下部消化管内視鏡では異常所見はなかった.多発性骨髄腫に合併したALアミロイドーシスと診断し,MD療法(メルファラン0.22mg/kg,デキサメタゾン40mg/日)を開始したが,呼吸不全,心不全のために2か月後に永眠した.舌病変を認め,かつ多発性骨髄腫に合併した症例は予後が悪く,早期診断および治療が重要であると考えた.

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要約 63歳,女性.50歳時に子宮体癌,62歳時に上行結腸癌の既往があり,父に胃癌,姉に卵巣癌の家族歴がある.2年前から左頰に皮疹が出現し増大したため当科を受診した.13×8mmのびらん,痂皮を伴う橙黄色結節を認めた.病理組織学的に表皮から連続性に泡沫状胞体をもつ脂腺細胞と基底細胞様細胞が混在する胞巣を認め,脂腺上皮腫と診断した.Muir-Torre症候群を疑い,DNAミスマッチ修復遺伝子蛋白の免疫組織化学染色を施行した結果,腫瘍細胞核におけるhMLH1発現欠失を認めた.hMSH2と比べhMLH1遺伝子異常によるMuir-Torre症候群の頻度は低い.DNAミスマッチ修復遺伝子蛋白の免疫組織化学染色は比較的容易かつ迅速にスクリーニングできるため,その結果を踏まえ,遺伝子検査を検討するのがよいと考えた.

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要約 35歳,男性.1年前より左第2指PIP関節橈側に腫瘤が出現し徐々に増大した.初診時,径8mm大の常色で表面平滑な弾性軟の圧痛を伴う皮膚結節を認めた.病理組織学的に,表皮と連続しない境界明瞭な充実性腫瘍を真皮内に認め,腫瘍は多層性上皮で裏打ちされた腺管と大小さまざまの囊腫,間質で構成されていた.上皮系マーカーサイトケラチンAE1/AE3およびEMAが腺管構造に一致して陽性であった.囊腫壁は乳頭状・櫛状構造を呈し,内部には好酸性無構造物と層状角化物を伴っていた.細胞異型や核分裂像を認めず,良性腫瘍のpapillary tubular adenomaと診断した.一方,指趾端部に好発する周囲への浸潤傾向の強い乳頭状増殖を示す低悪性度汗腺系腫瘍としてdigital papillary carcinomaがある.両者は病理組織学的に鑑別されるが,papillary tubular adenomaと診断されても核分裂像が3/HPF以上の症例や核異型を伴う症例は経過観察が必要であると考えた.

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要約 70歳,女性.5年程前より生じた右大腿の結節を主訴に来院した.ドーム状に隆起する弾性硬の褐色結節で,皮下に腫瘤を触知した.ダーモスコピーにて皮膚線維腫に特徴的なcentral white patchないしはnetworkと,辺縁のdelicate pigment networkに加え,中央部には白もやがかった赤~青紫色の無構造領域を認めた.エコーでは境界明瞭で内部比較的均一な低エコー病変がみられた.病理組織所見は,典型的な皮膚線維腫の所見に加え,真皮内に好塩基性の腫瘍塊を認め,腫瘍塊内部に大小の空隙が多数みられた.空隙の内部には赤血球が充満しており,また空隙の壁はCD34陰性と血管内皮細胞を欠いていた.以上よりaneurysmal fibrous histiocytomaと診断した.低エコー病変,ならびにダーモスコピーで認めた赤~青紫色の無構造領域は,真皮内の赤血球を充満した空隙を反映しているものと思われ,診断の一助となると考えた.

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要約 86歳,女性.数年前より左足底に異物感を認め圧痛を伴うようになり受診した.左足底に径12mmの圧痛を伴う弾性硬の皮下結節を認めた.病理組織学的所見にて小血管腔を多数認め,類円形の核を持つα-SMA染色陽性の好酸性の細胞が線維の増生を伴い錯綜していた.また結節内に石灰沈着を伴っており,石灰沈着を伴う血管平滑筋腫と診断した.本症の石灰沈着の機序は確立した説はないが,易刺激部で長期経過した際に石灰沈着を伴うという説や,膠原線維が占める割合が多い際に二次性変化として硝子様変性を経て石灰沈着に至るとする説が唱えられている.足部に発生した血管平滑筋腫の本邦報告22例の統計からは,石灰沈着が50%と本症全体の報告に比較し高率に認めており,前者の説が示唆された.一方で自験例は病理組織学的に硝子性変化が比較的強く,後者を否定するものではなかった.本症の石灰化には複合的な要因が考えられる.

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要約 64歳,男性.慢性腎不全に対し左前腕内シャントが作製され,血液透析中であった.当科初診4日前,左手背を飼い猫に引っ掻かれ,潰瘍が生じた.発熱がみられ,近医でミノサイクリンを投与されたが,創周囲に発赤,腫脹,紫斑,水疱,膿疱が生じ,当科を受診した.CRPは高値であり,創部培養検査でCapnocytophaga canimorsusPasturella multocidaなどが検出された.ドリペネム水和物の投与により解熱し,CRP値は漸減したが,左手背の潰瘍は壊死組織を除去しても,むしろ拡大し悪化した.臨床経過や潰瘍周囲の皮膚灌流圧(skin perfusion pressure:SPP)の低下からsteal症候群と診断し,左前腕内のシャント閉鎖術を行った.その後,潰瘍周囲のSPPは上昇し,潰瘍の縮小傾向がみられ,創面は閉鎖した.血液透析患者のシャント側に難治性潰瘍が生じた場合,steal症候群を考慮する必要があり,診断には非侵襲的なSPPが有用であると考えられた.

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要約 61歳,男性.1951年(1歳時)に頭部に熱傷を受傷した.1986年,後頭部上方の熱傷瘢痕に有棘細胞癌を生じ,拡大切除術および分層植皮術を施行した.2011年4月より後頭部左側の熱傷瘢痕に半球状に隆起した鶏卵大の皮下腫瘤を触知し,当科を再受診した.単純MRI画像にて皮下にT1強調像で中等度信号,T2強調像で軽度高信号を呈する23×15mm大の境界不明瞭な占拠性病変を認めた.全摘生検を行い,病理組織学的にS100蛋白陽性,HMB-45陽性の異型細胞がびまん性に増殖していた.また,皮下腫瘤上に認めた色素斑では表皮基底層にS100蛋白陽性,HMB-45陽性の異型細胞が胞巣を形成し,真皮網状層まで浸潤していた.色素斑を原発巣,皮下腫瘤を衛星病巣と考え悪性黒色腫stageⅢb(pT1aN2cM0)と診断した.DAC-Tam療法を6クール施行し,術後2年の経過で再発,転移を認めていない.稀ながら熱傷瘢痕に,同時性ないし異時性に複数の種類の皮膚癌を生じることがあり注意を要する.

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要約 59歳,台湾人男性.6年前より右足に結節性病変が出現し,徐々に増大した.初診時,右足背内側には中央に暗紅色調の角化性局面を伴う線状の結節病変を認めた.右下腿には静脈瘤があった.血液検査上明らかな異常はなく,HIV抗体も陰性であった.病理組織所見は表皮に過角化を認め真皮全層にわたりスリット状の血管が増殖していた.血管壁を構成する細胞は紡錘形や多角形であり,核腫大を認めたが著しい異型はなく,免疫染色でCD31/CD34/D2-40は陽性,一部HHV-8が陽性であった.以上より古典型Kaposi肉腫と診断した.自験例のように過角化を伴うKaposi肉腫には下腿にリンパ浮腫を伴うことが多く,間質に漏出した蛋白質が慢性炎症とさまざまなgrowth factorの産生を促し,線維化と過角化をもたらすものと推測されている.Kaposi肉腫には種々の組織学的亜型があり,さまざまな臨床像を呈する点に留意することが重要である.

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要約 72歳,男性.約10年前より背部に皮疹を生じ,徐々に拡大した.初診時,顔面を除くほぼ全身に魚鱗癬様の鱗屑を付す紅褐色斑があり,大腿部で目立った.表在リンパ節は触知しなかった.病理組織では,密で層状に堆積した正常角化,顆粒層減少に加え,異型リンパ球の表皮内浸潤がみられた.異型リンパ球はCD3,CD4陽性,CD8陰性で,T細胞受容体Cβ1鎖,Jγ鎖の遺伝子再構成を認めた.sIL-2R 1,220U/mlと上昇,抗HTLV-1抗体陰性.リンパ節腫脹や悪性腫瘍を疑う所見はなかった.魚鱗癬様菌状息肉症と診断し,ナローバンド(NB)UVB療法により皮疹は軽快した.1か月後に前額などに毛包性丘疹が生じ,異型リンパ球の毛包への浸潤を認めたため,内服PUVA療法に変更した.その後皮疹は改善し,NBUVBを週1回0.8J/cm2照射している.魚鱗癬様菌状息肉症は魚鱗癬が唯一の症状のことがあり,臨床像のみでは後天性魚鱗癬との鑑別は難しい.後天性に生じた魚鱗癬様の皮疹では,本症も念頭に置く必要がある.

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要約 32歳,男性.15年来の次第に拡大する右下腿潰瘍を主訴に当科を受診した.右下腿の全周に疼痛の乏しい最大24cm長の潰瘍を認め,病理組織学的には真皮の毛細血管増生,線維化,浮腫状肉芽組織および血管周囲性の形質細胞主体の炎症細胞浸潤がみられた.超音波検査で右下腿の表在静脈と穿通枝に逆流と拡張が確認された.使用歴のある外用剤によるパッチテストはすべて陰性であった.グルコース122mg/dl,血清IgA 507mg/dl以外に血算,生化学検査値に異常はなかった.以上より,不全穿通枝による静脈うっ滞性潰瘍(CEAP分類はC6EpAnPr)と診断した.弾性包帯による圧迫療法に加えて,内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術,小伏在静脈高位結紮術および植皮術を施行し,7か月間再発なく経過している.難治性下腿潰瘍を診察した場合,不全穿通枝による静脈うっ滞性潰瘍を鑑別診断の1つとして考えるべきである.不全穿通枝を伴う症例では,創合併症の少ない術式である内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術は有力な治療法の1つであると考えた.

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要約 2000年1月から2012年12月の間に,当科において臨床経過,病理組織所見からアナフィラクトイド紫斑病(anaphylactoid purpura)と診断された4~90歳の113症例において,若年群,成人群,高齢群に分類し比較検討を行った.消化器症状,関節症状は若年群で高率に認めた.腎症状は高齢群に多く有意差を認め,紫斑病性腎炎も高齢群に多く認められた.腎症状出現時期に関し,紫斑出現時期と一致しない症例もみられた.高齢群では若年群よりも上気道炎症状の出現が低率であった.血清IgA増加は高齢群で多く認められ有意差を認めた.本検討では総じて本邦における既存の報告と同様の結果を得た.高齢群では症状が遷延,重症化し,ステロイド内服治療を要する例が多く,注意が必要であると思われた.

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欧文目次

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 これまでに,進行期悪性黒色腫患者において,抗CTLA-4(cytotoxic T lymphocyte antigen-4)抗体であるイピリムマブ(ipilimumab)は全生存期間を延長させることが,抗PD-1(programmed cell death protein-1)抗体であるニボルマブ(nivolumab)は持続的な腫瘍縮小効果があることが示されている.いずれの薬剤もT細胞による抗腫瘍免疫反応を賦活化することで腫瘍縮小効果をもたらすと考えられている.

 本論文では,ニボルマブとイピリムマブの併用療法につき第Ⅰ相臨床試験を実施しその安全性および有効性につき検討された.

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日  時 2014年11月2日(日)9:00~18:00/1日目

           3日(祝)9:00~13:00/2日目

会  場 北海道大学医学部学友会館「フラテ」

     〠060-8638 札幌市北区北15条西7丁目

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 近年,進行期の悪性黒色腫の治療において,BRAF阻害剤(BRAFi)やMEK阻害剤(MEKi)といった,MAPK経路構成分子を標的とした分子標的薬の有効性が国外にて示され,本邦でも治験が進められている.この論文では,16症例において,組織免疫学および分子組織学的に,BRAFi単剤療法(ベムラフェニブ)およびBRAFi/MEKi併用療法(ダブラフェニブ/トラメチニブ)の効果を考察している.検討は,治療開始前と治療開始後10日目および14日目に腫瘍を生検して行われた.考察結果の要約としては,黒色腫抗原発現を増加させる,腫瘍免疫に好ましい微小環境を形成し,他の免疫療法とのシナジー効果を期待できるということであった.具体的には,MART-1,gp100,TYRP-1,-2といった腫瘍抗原蛋白の発現亢進がmRNA発現,組織免疫染色で確認され,同様に組織免疫染色にて浸潤CD8T細胞が増多していることが確認された.CD4細胞の浸潤の増加は認めなかった.また,BRAFi単独療法が奏効した後に増悪した症例において,増悪時に認めた腫瘍抗原の発現および浸潤CD8細胞の低下が,MEKiの追加投与後に再度上昇することが確認された.分子免疫学的には,腫瘍環境において,IL-6,IL-8といったメラノーマにおいて免疫抑制性と考えられているサイトカインの低下およびグランザイムやパーフォリンといった細胞傷害顆粒の増加を認め,腫瘍免疫に望ましい環境となっていることが考えられた.一方で,T細胞の疲労マーカーと考えられているTIM-3,PD-1,リガンドであるPD-L1も増加しており,著者は今後の治療の改善のポイントとなるのではないかと考えていた.このように,本論文では,BRAFiおよびMEKiの微小環境への影響を確認・考察し,今後,免疫療法や他薬剤との併用による治療効果増大の可能性を示している.

次号予告

投稿規定

あとがき 渡辺 晋一
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 先日の東京支部の皮膚科学会で,「日本の皮膚科治療の問題点―世界標準治療との違い」のシンポジウム講演を行ったところ,演者として来日していた中国,韓国,台湾,タイの先生から,なぜ日本は昔からある世界標準薬が使用できないのか,との質問を受けた.それは,日本の指導的立場にある医師の多くに利益相反がある,または皮膚科治療を知らない可能性があると答えたところ,納得していた.もし日本の医師が前者であれば患者に対する背信行為であり,後者であれば皮膚科医の資格がないことになる.米国では臨床,教育,研究の3種類の教授がおり,それぞれ役割分担がある.しかし,日本では研究業績がある人が教授になることが多い.実際,日本の皮膚科教授の多くは,留学経験があるが,いずれも研究目的で,基礎医学に留学していることも少なくない.このような研究者は,患者をみても検査材料としてとらえてしまい,さんざん血液や皮膚を採取したあとに,手に負えなくなると内科に送るという習慣が身に付いてしまいがちである.しかし,日本ではいったん皮膚科教授になれば,臨床や教育も行わなければならない.そのため,過去の治療を踏襲するか,製薬会社に治療の教えを乞うことになる.当然,製薬会社は自社製品の売り上げのために,このような研究者を取り込み,利用する.その結果,日本の皮膚科治療は利益相反に基づく影響が大きくなり,世界標準治療は無視されることになる.そして,この治療が医局員や学会員に教えられる.実際,非常識な治療をしていた開業医に,どうしてそんな治療をするのか質問したところ,学会の講演で聞いた治療法であると言われた.学会が不適切な治療を教えているのであれば,由々しき問題である.私は重症のアトピー性皮膚炎患者をたくさん見ているが,その原因のほとんどは不適切治療によるもので,最強のステロイド外用剤で治療すれば,1~2週間で劇的に改善し,その後はスキンケアを行うだけで長期間コントロールができ,副作用もない.アトピー性皮膚炎患者をよくすると,治験の対象にならず,また研究のための検査材料を採取することができなくなるために,不適切な治療をしているのであろうかと勘ぐりたくなってくる.このままでは,日本の皮膚科は世界から取り残され,その存在意義をなくしてしまう.日本の皮膚科治療が欧米はもちろん,アジア諸国より劣っているのにもかかわらず,今まで何もできなかった反省を込めて,このあとがきの筆を下ろすことにする.

著作財産権譲渡同意書

基本情報

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臨床皮膚科
68巻6号 (2014年5月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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