Japanese
English
症例報告
猫に引っ掻かれ生じた手背の傷が難治性の潰瘍となったsteal症候群の1例
A case of steal syndrome with an intractable skin ulcer on the hand caused by cat scratch
新津 佳恵
1
,
原 武
1
,
行徳 英一
1
,
石本 達郎
2
,
村尾 靖子
3
Yoshie NIITSU
1
,
Takeshi HARA
1
,
Eiichi GYOTOKU
1
,
Tatsuro ISHIMOTO
2
,
Yasuko MURAO
3
1県立広島病院皮膚科
2県立広島病院移植外科
3村尾皮ふ科クリニック
1Division of Dermatology, Hiroshima Prefectural Hospital, Hiroshima, Japan
2Division of Surgery, Hiroshima Prefectural Hospital, Hiroshima, Japan
3Murao Dermatology Clinic, Hiroshima, Japan
キーワード:
人工透析シャント
,
steal症候群
,
皮膚灌流圧
Keyword:
人工透析シャント
,
steal症候群
,
皮膚灌流圧
pp.437-440
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412104027
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要約 64歳,男性.慢性腎不全に対し左前腕内シャントが作製され,血液透析中であった.当科初診4日前,左手背を飼い猫に引っ掻かれ,潰瘍が生じた.発熱がみられ,近医でミノサイクリンを投与されたが,創周囲に発赤,腫脹,紫斑,水疱,膿疱が生じ,当科を受診した.CRPは高値であり,創部培養検査でCapnocytophaga canimorsus,Pasturella multocidaなどが検出された.ドリペネム水和物の投与により解熱し,CRP値は漸減したが,左手背の潰瘍は壊死組織を除去しても,むしろ拡大し悪化した.臨床経過や潰瘍周囲の皮膚灌流圧(skin perfusion pressure:SPP)の低下からsteal症候群と診断し,左前腕内のシャント閉鎖術を行った.その後,潰瘍周囲のSPPは上昇し,潰瘍の縮小傾向がみられ,創面は閉鎖した.血液透析患者のシャント側に難治性潰瘍が生じた場合,steal症候群を考慮する必要があり,診断には非侵襲的なSPPが有用であると考えられた.
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