Japanese
English
今月の症例
棘融解による成長期脱毛を伴った尋常性天疱瘡の1例
A case of pemphigus vulgaris with anagen effluvium due to acantolysis
入來 景悟
1
,
森本 亜里
1
,
山上 淳
1
,
天谷 雅行
1
,
柳澤 宏人
2
,
奥野 哲朗
3
,
大山 学
1
Hisato IRIKI
1
,
Ari MORIMOTO
1
,
Jun YAMAGAMI
1
,
Masayuki AMAGAI
1
,
Hiroto YANAGISAWA
2
,
Tetsuro OKUNO
3
,
Manabu OHYAMA
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
2深谷赤十字病院皮膚科
3奥野皮膚科
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Department of Dermatology, Fukaya Red Cross Hospital, Fukaya, Japan
3Okuno Dermatology, Kumagaya, Japan
キーワード:
尋常性天疱瘡
,
脱毛
,
蛍光抗体直接法
,
normal anagen effluvium
,
hair Nikolsky現象
Keyword:
尋常性天疱瘡
,
脱毛
,
蛍光抗体直接法
,
normal anagen effluvium
,
hair Nikolsky現象
pp.389-394
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412104016
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要約 43歳,男性.初診1か月前より口内炎を自覚した.当科初診時,前額部・前胸部・背部などにびらんを認め,頭部のびらんは脱毛を伴っていた.前頭部の毛髪は,抜毛テストで容易に引き抜くことができた.抜去された毛髪検体の直接蛍光抗体法(direct immunofluorescence:DIF)所見では,付着する外毛根鞘の細胞間にIgGの沈着を認めた.脱毛部の病理組織所見では,外毛根鞘内に棘融解像がみられた.ELISA法で抗デスモグレイン(Dsg)1,3抗体価が高値であり,尋常性天疱瘡と診断した.加療によるpemphigus disease area index,抗Dsg抗体価の低下とともにテストで抜毛される範囲が縮小した.また,毛髪検体へのIgG沈着もみられなくなった.尋常性天疱瘡で脱毛をきたすことは稀だが,棘融解により外毛根鞘を付着する成長期脱毛がみられるのが特徴的である.抜毛テストおよび得られた検体のDIFは,低侵襲かつ簡便な手法であり,抗Dsg抗体に起因する病態を,臨床的・免疫学的に評価できるため,今後,病勢把握および診断の一助となる可能性が示唆された.
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