臨床雑誌内科 123巻3号 (2019年3月)

特集 この薬,一生続けるんですか?

特集のねらい

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 昨今,各領域でガイドラインが整理され,各種疾患に対して必要な内服薬が整理されつつある.たとえば,心筋梗塞後の場合にはaspirin(Class I),ACE阻害薬(Class IまたはIIa),β遮断薬(Class IまたはIIa),スタチン(Class IまたはIIa)がほぼ必須とされているため,心筋梗塞後であれば少なくともこれら4剤は内服することになる(4剤はミニマムで実際にはもっと多くなる).一方で高齢化社会が進む今日,高齢者はさまざまな持病を抱えているため,受診する診療科の領域も多岐にわたる.そのため,内服しなければならない薬剤の数が10剤を超えることも珍しくはなく,20剤を超えることも起こりうる.当然,そういった状況になれば患者側の内服アドヒアランスは低下し,薬剤費用も高額になる.大学病院など専門診療科をはしごしていた患者の病態が安定すると,一般内科医に紹介されることはしばしばあるが,一般内科医が内服薬を中止するという判断は容易ではない.専門診療科でフォローの予定があればよいが,フォローの予定がない場合に一般内科医は困り果てることになる.

循環器系薬剤

warfarin 坂倉 建一
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Summary

▪warfarinの中止を検討するためには,どのような理由でwarfarinが処方されているかを確認する必要がある.

▪心臓人工弁(機械弁)の場合,原則としてwarfarinは中止できない.

▪心臓人工弁(機械弁)以外でwarfarinが処方されているときは,リスクとベネフィットを総合的に判断したうえで中止も検討する.

DOAC 石田 岳史
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Summary

▪現時点で,DOACの “やめどき” を明記しているガイドラインは存在しない.

▪リアルワールドデータでは,重度のフレイルを呈している超高齢者へのDOAC処方は控えられている傾向がある.

▪肺血栓塞栓症の既往があるがん患者へのDOAC処方は副作用がない限り継続する.

▪DOAC中止の判断は,症例ごとに脳卒中予防効果と出血リスクを勘案し,キーパーソンを交え患者と医療者で意思決定することが望ましい.

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Summary

▪経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は,安定冠動脈疾患患者では半年から1年間,急性冠症候群患者では1年間の継続が推奨されている.

▪PCI施行後のDAPT期間においては,チエノピリジン系薬剤の継続使用が必要である.

▪出血リスクが高い症例においては,3ヵ月の短期DAPTが推奨されており,早期のチエノピリジン系薬剤中止も検討される.

▪PCI後,抗血小板薬は最低1剤の継続が必須であり,チエノピリジン系薬剤が単剤投与されている患者では永続投与が必要である.

ACE阻害薬 上嶋 健治
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Summary

▪ACE阻害薬は心不全患者のQOLや予後を改善するエビデンスの豊富な一次選択薬の一つである.

▪基本的には忍容性が保たれている場合には継続して使用すべきと考える.

▪空咳などACE阻害薬に特徴的な副作用が出現した場合には,ARBなどへの切り替えを考慮する.

▪低血圧が生じた場合にはほかの降圧薬を中止・減量し,自覚症状や臓器障害の有無も検討して,可能であれば少量でも継続使用を試みる.

β遮断薬 谷本 周三
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Summary

▪高齢化と医療の高度化に伴い,多種多剤内服(ポリファーマシー)が常態化しつつある.

▪循環器領域で主に取り扱うことの多いβ遮断薬は,予後改善のみならず症状再発や再入院リスクを抑制する目的で投与されていることがあり,減量・中止を検討するのが難しい薬剤といえる.

▪ポリファーマシーを避けることのみを目的とせず,適応と投与目的を明確化することが,内服継続の可否を判断するのに重要である.

抗不整脈薬 藤野 紀之
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Summary

▪不整脈疾患への薬物治療は,いくつかの仮説とその検証によって新たなエビデンスが生まれてきた.

▪これまでにわかったことは,「不整脈患者=治療が必要」ではないということである.

▪不整脈治療において最も大切なことは,患者の生命予後とQOLを考慮しながら治療法を選択することである.よって,年齢や新たに発覚した疾患によって同じ患者でも治療法も変わることがある.

▪抗不整脈薬は,長期間服用する薬剤ではない.副作用の多さから先生方は処方するのに躊躇する.適応疾患,投薬量,相互作用を頭に入れておけば怖がらずに使用できる.

▪本稿では,使用頻度の高いpilsicainide(サンリズム)をはじめ,使いやすい薬剤を中心に概説する.

硝酸薬 田邉 康宏
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Summary

▪硝酸薬およびnicorandilの適応は,安定狭心症,心筋梗塞の二次予防,冠攣縮性狭心症の場面ごとにガイドラインで定められている.

▪日常臨床において,硝酸薬およびnicorandilの中止が可能と考えられる場面はあるが,中止により病態の悪化がないことを厳重に経過観察することが重要である.

利尿薬 末永 祐哉
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Summary

▪心不全患者においてうっ血は再入院の最大の原因であり,そのコントロールのために利尿薬は頻用されている.

▪利尿薬には心不全に対して好ましくない作用があり,それが予後悪化に関与している可能性がある.

▪安定している心不全患者において,利尿薬を減量することによる好ましい効果を認める可能性があるが,これまでの研究結果は必ずしも一致していない.

▪安定している心不全患者であったとしても,利尿薬を減量もしくは中止することは症状の増悪をきたす可能性があり,非常に慎重に行う必要がある.

呼吸器系薬剤

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Summary

▪COPDの吸入薬治療において,長時間作用性β2刺激薬(LABA)や長時間作用性抗コリン薬(LAMA)といった長時間作用性気管支拡張薬がある.

▪COPDにおける吸入ステロイド(ICS)導入,継続については議論がある.

▪最新の本邦のガイドライン(2018年)では,COPD安定期治療薬の第一選択薬はLAMAまたは/およびLABAとされており,ICS併用は喘息合併の場合に用いるといった位置づけとなっている.

▪COPDの世界的治療指針GOLD2019では,ICS併用が有効な患者について,「初期治療」と「follow up治療」の2つのアルゴリズムのなかに記載されている.

▪気管支喘息の要素をもつACOでは喘息要素を考慮しICSの併用が重要である.

吸入ステロイド(喘息) 檜澤 伸之
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Summary

▪喘息ガイドラインでは一定期間の良好なコントロールが得られた場合,治療のステップダウンを行うことが推奨されているが,吸入ステロイド(ICS)の完全な中止までは推奨されていない.

▪増悪リスクがなく,低用量ICS単独の治療下においても6ヵ月以上症状がないような場合,中止を考慮することは可能かもしれない.

▪その際には呼吸機能検査,末梢血好酸球数,FeNO検査,気道過敏性検査などによって,気道炎症や気流閉塞の状態を客観的に把握したうえで中止することが望ましい.

▪患者の病態がICSに本当に反応しているのかどうかを考えることも重要であり,いわゆる非好酸球性喘息においてはICSの中止が必ずしも病態の悪化につながらない可能性もある.

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Summary

▪ステロイド療法は間質性肺炎治療の中心であるが有害事象も多い.

▪再燃を繰り返す病態もあり,ステロイド療法の中止が困難な場合もある.

▪間質性肺炎には薬剤性肺障害のように原因除去が最大の治療となる病態もあり,安直に原因不明(特発性)とはせず,原因や背景因子のスクリーニングを尽くしたうえでの長期的な治療戦略を立てることが大切である.

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Summary

▪非結核性抗酸菌症では,肺MAC症が最も高率である.

▪肺MAC症の特効薬はなく,治療終了時期も症例ごとに異なる.

▪肺MAC症のうち空洞を有する症例では,結節気管支拡張型に比較し予後は悪いことが報告されており,安易な治療終了の決定は行うべきではない.

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Summary

▪かつて予後不良の疾患であったびまん性汎細気管支炎(DPB)は,erythromycin(EM)少量長期療法によりその治療成績は劇的に改善した.しかし,治療期間についての明確な基準はないのが現状である.

▪実際の臨床においては,DPBと診断したら早期にEM少量長期療法を開始するのが望ましい.治療期間については,まず6ヵ月間EMを投与し効果を判定するのが妥当である.有効と考えられた場合は,さらに治療を2年間まで継続し,その後中止して経過を観察する.治療中止後,再度悪化を示す場合にはEMの投与を再開し,長期にわたって継続するのが望ましい.

▪症状改善があっても,初期から広範な気管支拡張や呼吸不全を伴う場合は,2年間にこだわることなくEMを継続するほうがよい.

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Summary

▪抗真菌薬による治療が長期化しやすい肺真菌症として肺アスペルギルス症,肺クリプトコックス症などがある.いずれも症状が非特異的であること,治療効果を判定する検査法に乏しいことなどがあげられる.

▪一方で,抗真菌薬長期投与に由来するさまざまな負の要因も存在するため,主治医は肺真菌症の治療を続けていくにあたり,ガイドラインなどに記載されている一般的な治療期間を超えた後は,常に抗真菌薬中止の時期について検討をし続けるべきであると思われる.

糖尿病・内分泌系薬剤

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Summary

▪ビグアナイド薬は肝糖産生抑制,骨格筋糖取り込み促進などにより血糖降下作用を発揮する.

▪ビグアナイド薬は2型糖尿病治療における第一選択薬の一つとなる薬であり,用量依存性に血糖降下作用は増強し,肥満の有無にかかわらず有効である.

▪ビグアナイド薬の重篤な副作用として乳酸アシドーシスがあるが,適切に使用すれば乳酸アシドーシスの危険性は低い.

▪高齢者に対してビグアナイド薬を使用することにより血糖を改善させるだけでなく,低血糖,心血管疾患の発症,死亡を減少させる利益をもたらすことが期待される.

▪腎機能障害がある者や75歳以上の高齢者ではより慎重な判断が必要である.

インスリン 森武 美帆 , 川浪 大治
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Summary

▪インスリン離脱を考慮する場合,患者のインスリン依存性の有無を調べる必要がある.

▪インスリン分泌能の指標として,外来診療では空腹時C-ペプチドの活用が有用である.

▪インスリン離脱困難な患者については,患者背景に応じて継続可能な注射方法を工夫する必要がある.

▪インスリン療法から経口血糖降下薬への切り替えを行う際には,患者背景を考慮した薬剤選択が必要である.

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Summary

▪αグルコシターゼ阻害薬は,上部小腸からの炭水化物吸収を遅らせ,食後血糖値の上昇を抑制し血糖コントロールを改善させる薬剤である.

▪多くの臨床試験の結果から,食後高血糖を是正することにより2型糖尿病や心血管疾患の発症を抑制することも報告されている.

▪副作用が強い場合や開腹手術を行うとき,腎機能悪化時,服薬アドヒアランス不良のときなどには,内服中止を考慮する必要がある.

SGLT2阻害薬 高池 浩子
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Summary

▪大規模臨床試験の結果が相次いで発表され,SGLT2阻害薬の心血管イベント抑制効果など多面的臓器保護作用が明らかになってきた.

▪SGLT2阻害薬の中止を検討するタイミングとして,再発する尿路・性器感染症や陰部瘙痒感,ケトーシス,血管内脱水,腎機能の低下などがある.

▪腎機能の低下とともに血糖改善作用は減弱するが,心・腎保護作用や体重減少作用は期待できる可能性がある.

▪SGLT2阻害薬は発売後まもない薬剤であり,今後長期内服で予期せぬ副作用が出現する可能性もある.「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」や添付文書を参考にしてやめどきを考える.

スルホニル尿素(SU)薬 関谷 元博
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Summary

▪SU薬は膵β細胞からのインスリン分泌を促すことで血糖低下を図る経口血糖降下薬である.

▪古くから使用されてきた薬剤でその効果も強力であるが,遷延性の低血糖や長期内服による膵β細胞の疲弊をきたすような,いわゆる二次無効などの問題を考慮しつつ選択されるべき薬剤である.

▪腎機能障害や高齢者ではとりわけ低血糖のリスクも高い.

▪糖尿病治療薬の開発が進み,病態に応じた治療薬の選択が望まれる昨今,十分な理解に基づきSU薬の選択,あるいは多剤への切り替えが適正に行われることが期待されている.

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Summary

▪血清尿酸値7.0mg/dL以上で高尿酸血症と診断する.

▪高尿酸血症は,沈着症として痛風関節炎などを惹起するのみならず,慢性腎臓病(CKD)や高血圧症などの心血管リスクであるため,その管理は重要である.

▪投薬開始は,生活習慣の改善を前提とする.痛風関節炎・結節を合併する例においては積極的に考慮する.また,尿酸値9.0mg/dLでは速やかに薬物療法が必要である.

▪尿酸降下薬には,生成抑制薬と排泄促進薬があり,これらは病型(生成過剰型12%,排泄低下型65%)に合わせて適宜選択する.

▪薬剤治療により血清尿酸値が7.0mg/dL以下を常に維持でき,生活習慣の修正が適っている例では薬剤の中止・減量は可能である.一方,内服下でも7.0mg/dL以上の例,いったん中止・減量後に再び高値を呈する例には再投与を考慮する.また,尿酸の適正管理は4.0~6.0mg/dL台を維持することとされ,薬剤治療中に極端な低値を呈した場合にも休薬や減量が好ましい.

消化器系薬剤

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Summary

▪プロトンポンプ阻害薬(PPI)はその有効性から,消化性潰瘍,逆流性食道炎,低用量アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制などに広く使用されている.

▪PPIの長期投与は,胃がん,認知症,肺炎,骨折などとの関連が報告されている.

▪リスクのない症例でのHelicobacter pylori除菌成功後の消化性潰瘍再発予防,H. pylori除菌成功後の慢性胃炎,逆流性食道炎のうち粘膜障害が軽度のびらん性逆流性食道炎,非びらん性逆流性食道炎では漫然としたPPI投与の中止を考慮できる.

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Summary

▪胃・十二指腸潰瘍の薬物治療は,Helicobacter pyloriの除菌療法以外ではPCABやPPIなどの酸分泌抑制薬が第一選択薬であり,防御因子増強薬はそれらの薬剤が使用できない場合に限られる.

▪維持療法においては,消化性潰瘍診療ガイドラインでも一部の防御因子増強薬が推奨されている.

▪上部消化管のNSAIDs潰瘍治療や再発予防に関しては,一部の防御因子増強が推奨されているが,下部消化管の粘膜障害予防にはいまだ一定の見解は得られていないのが現状である.

▪一般的に実地臨床現場で防御因子増強薬を中止してもよい場合は,消化性潰瘍治療でPPIなどの酸分泌抑制薬と併用している場合,除菌後の潰瘍再発で処方している場合,機能性ディスペプシアに使用している場合,慢性胃炎で酸分泌抑制薬と併用している場合などである.

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Summary

▪便秘症の治療は,世界消化器病学会が提唱するガイドラインが示すように,段階的に投薬調整をすることが望ましい.

▪わが国では,保険適用の問題や適正使用への意識の低さから,マグネシウム製剤および刺激性下剤の使用頻度が明らかに高く,漫然とした長期処方例もまれではない.

▪高マグネシウム血症や薬剤耐性・精神的依存性の観点から,マグネシウム製剤および刺激性下剤の長期投与は厳に慎むべきである.

▪長期処方例に対しては,近年保険適用となった上皮機能変容薬やポリエチレングリコール(PEG),胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬の導入を行いながら漸減・中止を試みるのが現実的である.

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Summary

▪ウルソデオキシコール酸(UDCA)とは,胆汁酸のなかで最も高い細胞保護作用を有する胆汁酸を製剤化したものである.

▪UDCAは利胆作用(胆汁分泌促進)や置換効果(胆汁中のUDCA量の増加)により肝障害を改善する.

▪胆石に対する治療では,UDCA治療後も胆石の再発や新規胆石の出現を予防する目的でUDCAを継続投与することが望ましい.

▪C型慢性肝炎では,根治療法(インターフェロン治療,インターフェロンフリー(DAAs)治療)によりC型肝炎ウイルス(HCV)を排除できれば,UDCAは中止可能である.

▪原発性胆汁性胆管炎(PBC)では,UDCAは長期継続投与が必要であり,中止はできない.

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 坂倉 近年,医療の専門分化が進み,各分野でエビデンスに基づいた治療,必須の薬剤が整理されてきています.それ自体は歓迎すべきことですが,複数の併存疾患の治療がなされている患者さんに出くわしたとき,専門領域以外の薬剤を続けなければいけないのか,それとも減量・中止してよいのか,判断に迷うことも少なくないと思います.いろいろな診療科で処方を受けている患者さんが「受診が大変なので1ヵ所でみてほしい」と希望されたとき,果たして自身の専門領域以外の薬剤をやめてもよいものか,高齢化が進むなか,こうしたケースに遭遇する実地医家の先生方はたくさんいらっしゃると思います.

Book Review

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 人口高齢化に伴う患者数の増加と心血管病をはじめとする健康状態への影響の大きさという観点から,今や国民病として広く認識されるようになった慢性腎臓病(CKD)に対して,10年ぶりに日本腎臓学会,日本透析医学会,日本医師会,患者団体および関連学会などで構成される “腎疾患対策検討会” が開催され,今後のCKD対策の方針が改定された(平成30年7月).また,平成28年度に認められた「糖尿病透析予防指導管理料腎不全期患者指導加算」は,平成30年度からCKDG3bまで対象が拡大された.さらに平成30年度から,「腎臓病療養指導士制度」が創設されるなど,今まで個別かつ経験的に行われてきたCKD患者に対する医療の提供体制が,さまざまな面から見直され,政策的にも整ってきたといえる.

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 血管腫・血管奇形は,乳児から高齢者まで幅広い年齢層に生じる疾患で,日常診療においても形成外科・皮膚科・小児科・小児外科を中心に,さまざまな診療科で比較的目にする機会があるものと思われる.

連載 プライマリーケア医のがんの診かた ~かかりつけ患者さんのがんと共にたたかうために~

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 がんの薬物療法で最も懸念される重篤な有害事象の一つとして骨髄抑制による白血球減少と,それに伴う感染症が知られています.患者さんが発熱を主訴に来院して「抗がん剤治療中です」と申告された場合,診療する側としては心配になってしまいますよね.最近は,支持療法の進化や医療機関におけるがん治療の診療スキルの向上からがん薬物療法を外来で実施するケースが多くなってきています.そのため,白血球が減少している期間も自宅で過ごす患者さんが多くいらっしゃいます.発熱は日常的な症状ではありますが,そのなかでもとくに抗がん剤治療中の患者さんが注意すべき発熱性好中球減少症(febrile neutropenia:FN)について概説していきたいと思います.

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Clinical Presentation

 症 例:76歳,男性.

 主 訴:反応がなくなってきた.

 本山 元来,几帳面で真面目な性格でした.X年3月初旬,一人で買い物ができなくなり,重複買いがみられるようになりました.4月にはテレビのリモコン操作ができなくなり,6月に他院脳神経外科を受診,そのときのADAS-COG-J(アルツハイマー病評価尺度,認知行動・日本版)は7/70点,MMSE(Mini-Mental State Examination)は29/30点と保たれていましたが,頭部MRIで軽度の脳萎縮を指摘されgalantamine 16mgが開始となりました.7月には道に迷うようになり,9月ごろより尿失禁出現,10月には口唇傾向や着衣失行がみられるようになりました.

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 は じ め に dabigatranは,非弁膜症性心房細動における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の予防薬として2011年に発売されたトロンビン阻害薬である.その後,Ⅹa阻害薬であるrivaroxaban,apixaban,edoxabanが発売され,これらは直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOAC)として近年,多くの患者に対して処方されている1).「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 直接経口抗凝固薬(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補2017」によれば,DOAC内服中の患者において粘膜生検や出血低危険度の消化器内視鏡処置を行う場合には,DOACの休薬をせずに施行してもよいとされている2).また,内視鏡的胃粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)を含めた出血高危険度の消化器内視鏡処置を行う場合には,当日のみDOAC服用を休薬したうえで処置を行うことが可能である.このような背景から,DOAC服用を継続,もしくは短期間のみ休薬した患者に対する消化器内視鏡検査および内視鏡処置の件数は今後,ますます増加すると予想され,DOACに関連した消化管の有害事象を知っておくことが重要である.

 今回われわれはESD後にダビガトラン起因性食道炎(dabigatran induced esophagitis:DIE)を発症した症例を経験したので報告する.

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 は じ め に 化膿性胸鎖関節炎の起因菌は,Staphylococcus aureus(49%),Pseudomonas aeruginosa(10%),Brucella類(7%),Escherichira coli(5%)の順で多いとされている1).一方,院内発症の菌血症の起因菌のうちEnterococcus属は16%を占めると報告されているが2),化膿性胸鎖関節炎の起因菌としてEnterococcus属の報告は皆無である.今回われわれは,腰椎すべり症術後に軽度意識障害,左肩関節周囲の疼痛と腫脹があり,造影CTにて胸鎖関節に膿瘍を認め,血液培養よりEnterococcus faecalisを検出した症例を経験したため,文献的考察を加えて検討した.

基本情報

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臨床雑誌内科
123巻3号 (2019年3月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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