Japanese
English
投稿 症例
早期胃がんの内視鏡治療後にダビガトラン起因性食道炎を呈した1例
Dabigatran-induced esophagitis diagnosed after endoscopic treatment of early gastric cancer
岩室 雅也
1
,
川野 誠司
1
,
河原 祥朗
2
,
田中 健大
1
,
岡田 裕之
1
M. Iwamuro
1
,
S. Kawano
1
,
T. Tanaka
2
,
H. Okada
1
,
Y. Kawahara
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
2岡山大学病院光学医療診療部
pp.465-468
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika123_465
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は じ め に dabigatranは,非弁膜症性心房細動における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の予防薬として2011年に発売されたトロンビン阻害薬である.その後,Ⅹa阻害薬であるrivaroxaban,apixaban,edoxabanが発売され,これらは直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOAC)として近年,多くの患者に対して処方されている1).「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 直接経口抗凝固薬(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補2017」によれば,DOAC内服中の患者において粘膜生検や出血低危険度の消化器内視鏡処置を行う場合には,DOACの休薬をせずに施行してもよいとされている2).また,内視鏡的胃粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)を含めた出血高危険度の消化器内視鏡処置を行う場合には,当日のみDOAC服用を休薬したうえで処置を行うことが可能である.このような背景から,DOAC服用を継続,もしくは短期間のみ休薬した患者に対する消化器内視鏡検査および内視鏡処置の件数は今後,ますます増加すると予想され,DOACに関連した消化管の有害事象を知っておくことが重要である.
今回われわれはESD後にダビガトラン起因性食道炎(dabigatran induced esophagitis:DIE)を発症した症例を経験したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2019