臨床雑誌内科 111巻5号 (2013年5月)

到来 二人に一人脳卒中時代

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近年,日本人の脳卒中は脳梗塞の比率が4分の3を占め,病型別にはラクナ梗塞の割合が減り,アテローム血栓性脳梗塞が増えている.また,高齢化により心原性脳塞栓症も増加している.脳卒中治療は,新規抗血栓薬の登場や血管内治療の進歩により,新たな局面を迎えている.しかし,次々と発表されるグローバル臨床試験の結果をそのまま日本人に適応してよいか,慎重な検討が必要である.最近では,リスク・ベネフィットが重要視されており,頭蓋内出血頻度が高い日本人ではより安全な抗血栓薬が求められ,日本を含めたアジア人でのエビデンスの蓄積が待たれる.

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急性期脳梗塞に対する血栓回収デバイスは,2010年にMerci retrieverが,2011年にPenumbra systemが認可された.本器材は,t-PA静注療法にて効果が得られなかった場合,あるいはt-PAの禁忌例において,発症8時間以内であれば適応となる.血栓回収療法によって再開通率の向上を認め,転帰の改善が期待されている.適応の決定にはMRIやCTによる厳密な評価が必須である.次世代のデバイスとしてすでに欧米ではステントタイプのデバイスが主流となっている.

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脳卒中が今後増えるかどうかの最大のポイントは,いわゆる2025年問題,すなわち超高齢社会到来の影響である.後期高齢者が激増しても脳卒中は直線的には増えない.なぜなら,脳卒中データバンクの集計では出血性脳卒中は加齢とともに減少し,脳血栓症も後期高齢者ではむしろ減少する.加齢とともに直線的に増加するのは心原性脳塞栓症のみである.したがって,2025年の超高齢社会にもっとも増えているのは心原性脳塞栓症である可能性が高く,脳卒中の中で最多の病型となっていると思われる.

脳卒中の危険因子と対応法 寺山 靖夫
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脳出血・脳梗塞の発症にもっとも大きく関与する因子は高血圧であり,脳梗塞の発症に関しては心疾患,喫煙,糖尿病,脂質代謝異常,肥満,過度の飲酒,ストレスなどが続く.発症予防には,これらの危険因子を包括的にコントロールすることが必要である.脳卒中の一次・二次予防として推奨される降圧薬としては,Ca拮抗薬,ARB,ACE阻害薬,利尿薬などがあげられる.β遮断薬は脳血流を低下させるものがあり推奨されていない.心房細動は心原性脳塞栓症のもっとも大きな危険因子であり,原因の8割を占める.また,心房細動発症の危険因子としても高血圧,糖尿病,肥満,喫煙があげられ,心原性脳塞栓症の予防にはこれらの危険因子の管理が重要である.若年者の脳卒中は頻度としては多くないが,発症後に患者や家族に長期にわたり負担がかかり,社会生活における問題を引き起こすこと,また高齢者と異なり,特殊な原因により発症することが多いことから,専門的な知識が必要である.

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脳卒中の初期対応は「重症度」よりも,脳卒中であるか否かの「診断」が重要であり,脳卒中であればたとえ軽症例であっても緊急対応を要する.脳卒中を疑う5つの症状,疑似脳卒中の否定,まれな原因による脳卒中について問診,診察を行うが,血栓溶解療法の適応が推定される症例では,顔面神経,Barreサイン,言語評価のみの簡便な診察(FAST)にとどめて緊急搬送を優先する場合もある.問診,診察から明確に脳卒中と考えられるもの,頸動脈や頭蓋内動脈に閉塞性病変を有する者,心房細動など塞栓源を有する者,過去に脳卒中の既往がある者,crescendo TIAは,脳卒中再発,増悪の高リスク群として早急に専門医と連携する.

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脳卒中超急性期には,画像診断による病型診断(脳出血,クモ膜下出血,脳梗塞),脳梗塞であればrt-PA血栓溶解療法の適応か否かを迅速に見極める.頭部X線CTでは早期虚血変化(EIC)の広がりをASPECTS(10点法)で評価する.MRIでは拡散強調画像(DWI)を標準化し,EICはASPECTS+W(11点法)で評価する.CTのEICがDWIで検出されないこともあるので注意が必要である.ASPECTS+W低値は頭蓋内出血のリスクとなる.血管閉塞部位の同定にはMR血管造影や頸部血管エコー,胸部大動脈解離の除外には頸部血管エコーが役立つ.検査に時間を浪費することのないよう心掛ける.

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TIAは脳梗塞に高率に移行する緊急疾患であり,早急な診断・治療・入院加療などを要する急性虚血性脳血管症候群である.非専門医におけるTIAの診断法としてABCD2スコアがあるが,拡散強調画像MRIなどが必要な場合も多く,TIAが疑われた際は,早急に専門医を受診させるべきである.そのためには脳卒中の非専門医-専門医-専門病院を結ぶ新たな地域連携を構築する必要がある.神奈川脳神経科医会では,フリーアクセスであり,MRIやCTなどの画像機器が充実した日本の医療体制に適したTIA地域連携(TIAクリニック構想)構築を目指している.

脳卒中と紛らわしい症状 城倉 健
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他の神経症候を伴わず,起立や歩行も可能なめまい患者ならば,脳卒中の可能性は低い.突発する激しい頭痛や,他の神経症候を伴った頭痛は,脳卒中を念頭に置いて検査を進める.半身のしびれや,口唇と手のしびれは,脳卒中が原因かもしれない.意識消失発作は一過性脳虚血発作(TIA)ではなく,失神かてんかんが原因のことが多い.橈骨神経麻痺やBell麻痺は,脳梗塞疑いで受診することがある.てんかんや低血糖による片麻痺は,MRI拡散強調画像で高信号がみられるため要注意である.

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大脳基底核,視床,橋などにMRIのT2強調画像で高信号を呈する直径1.5cm未満の病巣があればラクナ梗塞を疑う.DWIでも高信号であれば急性期病変なので,たとえ無症状でも入院管理が望ましい.Gd造影陽性であれば,脱髄,血管炎,腫瘍などの鑑別が必要である.無症候ラクナ患者にはまず適切な血圧管理が重要であり,さらに糖尿病,脂質異常症などの危険因子があれば抗血小板薬の使用も考える.梗塞巣が1.5cm以上の場合,分布が大脳皮質や,分水嶺領域,極端な左右差のある場合には頸動脈を含めた主幹動脈病変の評価を行い,抗血小板薬の適応を考える.心電図によるチェックで,NVAFが見つかれば経口抗凝固薬の適応となる.T2*強調画像で描出されるmicrobleedsがあれば,脳出血の発症予防のために血圧管理をより厳格に行い,抗血栓治療(抗凝固薬,抗血小板薬)はリスク・ベネフィット判定後に開始する.

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2005年10月にrt-PA(alteplase)が認可され,2012年8月31日からは適応時間も3時間から4.5時間に拡大された.病態に関係なく行われる超急性期治療のスタンダードを解説し,その治療後に行われる病態に応じて行われる急性期治療,とくに薬剤の具体的な使い方を病態別に解説する.

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脳出血急性期の治療としては血圧管理が重要であり,収縮期血圧180mmHg未満または平均血圧130mmHg未満を維持することが推奨される.抗凝固療法中に合併した脳出血に対して,プロトロンビン複合体や遺伝子組換え活性型凝固第VII因子が今後期待される.高血圧性脳出血の再発予防には,拡張期血圧75~90mmHg以下の血圧管理が勧められる.

脳梗塞の抗凝固療法 矢坂 正弘
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脳梗塞の既往は脳梗塞再発の大きなリスクであるのみならず,頭蓋内出血の大きなリスクでもある.したがって,再発予防を図る場合,頭蓋内出血の予防も併せて考慮する.新規経口抗凝固薬(NOAC)は,warfarinと比較して脳梗塞予防効果は同等かそれ以上,大出血発現率は同等かそれ以下,頭蓋内出血は大幅に少ないため,非弁膜症性心房細動の脳梗塞予防ではNOACをまず考慮し,投与できない場合にwarfarinを選択する.dabigatran,rivaroxaban,apixabanの選択は,各薬剤と患者の特徴を十分に考慮し,個々の症例で判断する.warfarinのよい適応は,非弁膜症性心房細動以外の心疾患で抗凝固療法の適応時,NOAC投与禁忌時,生理的凝固阻止因子欠損時などである.

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現在,日本では非心原性脳梗塞の二次予防治療として,aspirin,clopidogrel,cilostazolの3種の抗血小板薬が主に使用されている.効果,副作用,費用などの観点からそれぞれに利点があり,患者ごとに適切な抗血小板薬が選択されるべきである.clopidogrelはもっとも強い脳梗塞予防効果を有すると考えられている.cilostazolは出血性合併症の頻度が少ないとされ,出血のリスクが高い患者がよい適応となる.積極的にそれらを選択する理由がなければ,費用対効果の高いaspirinを検討する.抗血小板薬の併用療法は,高リスクを有するアテローム血栓性機序の患者では有用かもしれない.しかし,ラクナ梗塞では出血のリスクが高まるため推奨されない.

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脳卒中ユニットでは脳卒中専門の医師と看護師,専任コメディカルが協調して早期リハビリテーション(リハ)を安全かつ効率的に行うチーム医療を実践する.脳卒中ユニットで治療された患者は一般病棟入院と比べて在院日数が短いだけでなく,退院後の介護度,施設入所率,死亡率が低いことが実証されている.歩行・ADL改善と同様,嚥下障害の評価,リハは重要であり,とくに誤嚥性肺炎予防には口腔清拭,上半身斜めギャッジアップ,咳嗽指導や体位排痰などが行われる.

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かかりつけ医と専門病院との病診連携(第一世代の医療連携)から疾病ごとの医療連携(第二世代の医療連携)の時代になっている.脳卒中診療では,(1)かかりつけ医,(2)急性期病院,(3)回復期のリハビリテーション(リハ)専門病院,(4)維持期の病院・施設の4つによるシームレスな医療連携,さらに医療と介護の連携が必要である.この連携強化のために地域連携パスが運用され,治療とともにリハの継続が必要である.診療ネットワークの構築や地域連携パスによって脳卒中診療の均てん化を図らなければならない.そのためには急性期病院の水平連携によって地域連携パスを一本化して,地域全体のデータ収集を行う仕組みづくりが必要である.また,そのデータの解析によって改善点をみつけることにより,治療成績の向上が見込まれる.

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高齢者では慢性腎臓病(CKD)の割合が高くなるため,厳格な降圧療法を要する例が増える.心房細動(AF)ではリスクを踏まえて抗凝固療法を検討する.心原性脳梗塞の予防において,抗血小板薬はwarfarinの代用治療にはならない.投与されているスタチンについては不可避な場合を除き中止しない.一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞急性期のもっとも軽いスペクトラムと捉え,可及的速やかに専門医を受診させる.一般医家こそ,治療継続の要である.

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慢性期脳卒中患者の診療において,内科的管理とともに,機能障害,活動制限,参加制約から構成される障害に対する視点が重要となる.機能障害に関しては,近年,慢性期であっても片麻痺,高次脳機能障害などの改善が可能という報告が増えつつあり,適切なリハビリテーション機会の提供が求められる.長期にわたり良好な状態を維持していくためには,廃用症候群,痙縮,摂食・嚥下障害などの適切な管理がポイントとなる.活動制限については,患者のADLを的確に把握し,適切な介入,介護保険などを用いた支援を行う必要がある.社会的な関わりや復職など,参加制約についても,医師が積極的に関わることが望ましい.

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本人の意思確認ができない場合,情報共有-合意モデルに則ったコミュニケーションを進め,本人の意向と人生にとっての最善に適う選択を目指す.意思確認ができるかどうかをまず判別してから,それぞれの場合に応じた意思決定プロセスの進め方をする必要は必ずしもない.昏睡状態や意識混濁により明らかに参加できない場合を除き,本人も交えた意思決定プロセスを進め,その中で本人の力に応じて意思ないし気持ちをどう尊重するかを考えていく.医学的視点での判断だけに基づくのではなく,これを踏まえつつも,本人の人生にとって何が最善かという観点で,選択をする.

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経頭蓋磁気刺激(TMS)はFaradayの電磁誘導の法則をその原理としており,頭蓋骨を通過した磁場が大脳皮質内で渦電流を発生させることで,ニューロンに影響を与える.反復性TMS(rTMS)はその刺激頻度により大脳皮質の興奮性に与える影響が異なり,5Hz以上の高頻度rTMSが大脳の興奮性を亢進させるのに対して,1Hz以下の低頻度rTMSは逆にこれを抑制する.脳卒中後上肢麻痺に対してrTMSを治療的に用いる場合,病側大脳への高頻度rTMSと健側大脳への低頻度rTMSの適用が考案されている.急性期脳卒中患者を対象としたわれわれの検討結果からは,健側大脳への低頻度rTMSと比して病側大脳への高頻度rTMSのほうが,麻痺側上肢運動機能に対してより有益な効果を発揮するものと思われた.

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微小脳内出血(MBs)は脳卒中の再発,予後判断を行うためのマーカーと考えられる.現時点では,MBs保有症例への抗血小板薬使用について大きな問題はないが,抗凝固療法は脳内出血の発症リスクを上昇させる可能性がある.MBs保有症例には,脳内出血の発症リスクの低い薬剤を使用するべきである.MBsは,脳血管性認知機能障害を表すマーカーと考えられる.とくに皮質-皮質下MBsと,Alzheimer型認知症との関連が報告されている.

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81歳女。慢性糸球体腎炎に対し血液透析を導入し経過良好であったが、導入5年後から右胸水が認められ、胸腔穿刺し排液を行っていた。胸水の性状は滲出性胸水としてのLightの診断基準を満たしていた。adenosine deaminase活性(ADA)は上昇し、抗酸菌は塗抹陰性で、細胞診も陰性であった。採血検体からQFT-3Gが陽性であったため、呼吸器内科へ紹介とした。胸腔穿刺でADAの高値、リンパ球/好中球比0.75以上、さらにQFT-3Gが陽性であることから、結核性胸膜炎を疑い、抗結核薬の投与を行った。INF、RFP、EBおよび末梢神経障害予防のためピドキサールを開始したところ、右胸痛と発熱は軽快した。胸水培養により結核菌が1コロニー検出されたため、結核性胸膜炎と診断された。投薬開始2ヵ月からEBを中止し、INH+RFPの9ヵ月間投与を予定し、化学療法2.5ヵ月目には、胸水は消褪し軽度の胸膜肥厚のみ残存し、左肺の結節影は縮小した。肺の再膨張は良好で、CRPは下降し経過は良好である。

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61歳女。40歳代にバセドウ病を発症し、約5年間チアマゾールを内服し寛解していた。今回、甲状腺中毒症を認め、バセドウ病の再燃が疑われチアマゾールを開始したが、検査所見より甲状腺クリーゼが疑われた。また、洞性頻脈に対しプロプラノロール10mgを静注後に救急搬送された。甲状腺クリーゼと診断し、チアマゾール20mgを6時間ごとに経静脈的に投与し、ヒドロコルチゾンを投与した。続いて無機ヨードを投与した。頻脈に対し、プロプラノロールの経静脈的間欠投与を行った。入院2日目に症状は悪化し、意識レベルは低下、昏睡となり、低拍出性心不全を呈したため人工呼吸管理を行った。頻脈是正のためランジオロールの持続静注を、脈拍100bpm未満を目標に10γまで増量維持した。入院3日目に洞性頻脈から頻脈性心房細動を呈したが、除細動により洞調律まで回復した。脈拍のコントロールに従い血圧維持も可能となり、駆出率の改善も認め、循環動態が安定し、入院5日目にランジオロールをプロプラノロールの持続静注へと切り替え、入院6日目に抜管した。

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60歳代女。1ヵ月前に甲状腺癌で甲状腺左葉の切除術を施行されていた。今回、吐血を主訴に来院し、緊急内視鏡にて胃穹窿部に潰瘍を有する粘膜下腫瘍を認め、潰瘍からの出血に対しエタノール局注をヒートプロープで止血後入院した。内視鏡にて胃穹窿部大彎側に潰瘍を有する粘膜下腫瘍様の腫瘤を認めた。腹部CTでは、胃穹窿部位に深い潰瘍を有する造影効果のやや低い腫瘤を認めたが、遠隔臓器に転移は認めなかった。臨床所見よりGISTを疑い、第12病日に外科にて胃部分切除術を施行した。胃U領域に径5cm大の可動性のある隆起性病変を認め、腹水、播種はなく腫大リンパ節も認めなかった。病理組織的所見では、粘膜下組織から固有層にかけて、楕円形の核を有する紡錘形の腫瘍細胞が束状を呈し、錯綜性に増殖していた。c-kit、CD-34は陽性、SMA、S-100は陰性、MIB index 10%、核分裂像5個/50視野以上で、GIST、高リスクと診断された。術後46日目からイマチニブ400mg/dayを投与開始したが、浮腫、皮疹の副作用が強く投与2週間後に中止とした。その後、再発はなく現在も通院中である。

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57歳女。52歳時に甲状腺腫大を指摘され紹介受診したが、甲状腺機能に異常はなく、腺腫様甲状腺腫が疑われた。甲状腺穿刺吸引細胞診でも悪性所見はなく経過観察していた。約1年5ヵ月後、甲状腺機能は正常であったが、抗Tg抗体と抗TPO抗体が陽性で、TSAbは正常、徐々に甲状腺の増大を認めた。細胞診はclass2であった。さらに約1年後の甲状腺99mTcシンチでPlummer病を疑ったが、甲状腺機能は正常であった。2年後に動悸が出現し、甲状腺中毒症を初めて指摘された。軽度の眼球突出、甲状腺腫大(右>左)、表面不整、弾性硬で圧痛はなくリンパ節は触知せず、甲状腺99mTcシンチでは、右葉に結節様の集積および左葉の淡い集積を認めた。TRAbも陽性であり、Basedow病の合併が考えられ、Marine-Lenhart症候群と診断した。甲状腺薬の内服を開始し、甲状腺機能は正常化したが、甲状腺右葉の結節は徐々に増大し、5年後に甲状腺右葉切除を施行した。病理所見では、結節部はコロイドとの接合部に吸収空胞を認め、結節部での甲状腺ホルモン産生亢進を疑った。術後は甲状腺機能低下症となりlevothyroxine75mgの補充を行った。TRAbは陰性化し、Basedow病の再発はなく、摘出組織にTSH受容体遺伝子の変異は認めていない。

基本情報

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臨床雑誌内科
111巻5号 (2013年5月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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