発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013200739
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60歳代女。1ヵ月前に甲状腺癌で甲状腺左葉の切除術を施行されていた。今回、吐血を主訴に来院し、緊急内視鏡にて胃穹窿部に潰瘍を有する粘膜下腫瘍を認め、潰瘍からの出血に対しエタノール局注をヒートプロープで止血後入院した。内視鏡にて胃穹窿部大彎側に潰瘍を有する粘膜下腫瘍様の腫瘤を認めた。腹部CTでは、胃穹窿部位に深い潰瘍を有する造影効果のやや低い腫瘤を認めたが、遠隔臓器に転移は認めなかった。臨床所見よりGISTを疑い、第12病日に外科にて胃部分切除術を施行した。胃U領域に径5cm大の可動性のある隆起性病変を認め、腹水、播種はなく腫大リンパ節も認めなかった。病理組織的所見では、粘膜下組織から固有層にかけて、楕円形の核を有する紡錘形の腫瘍細胞が束状を呈し、錯綜性に増殖していた。c-kit、CD-34は陽性、SMA、S-100は陰性、MIB index 10%、核分裂像5個/50視野以上で、GIST、高リスクと診断された。術後46日目からイマチニブ400mg/dayを投与開始したが、浮腫、皮疹の副作用が強く投与2週間後に中止とした。その後、再発はなく現在も通院中である。
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