発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013200737
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81歳女。慢性糸球体腎炎に対し血液透析を導入し経過良好であったが、導入5年後から右胸水が認められ、胸腔穿刺し排液を行っていた。胸水の性状は滲出性胸水としてのLightの診断基準を満たしていた。adenosine deaminase活性(ADA)は上昇し、抗酸菌は塗抹陰性で、細胞診も陰性であった。採血検体からQFT-3Gが陽性であったため、呼吸器内科へ紹介とした。胸腔穿刺でADAの高値、リンパ球/好中球比0.75以上、さらにQFT-3Gが陽性であることから、結核性胸膜炎を疑い、抗結核薬の投与を行った。INF、RFP、EBおよび末梢神経障害予防のためピドキサールを開始したところ、右胸痛と発熱は軽快した。胸水培養により結核菌が1コロニー検出されたため、結核性胸膜炎と診断された。投薬開始2ヵ月からEBを中止し、INH+RFPの9ヵ月間投与を予定し、化学療法2.5ヵ月目には、胸水は消褪し軽度の胸膜肥厚のみ残存し、左肺の結節影は縮小した。肺の再膨張は良好で、CRPは下降し経過は良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2013