発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013200740
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57歳女。52歳時に甲状腺腫大を指摘され紹介受診したが、甲状腺機能に異常はなく、腺腫様甲状腺腫が疑われた。甲状腺穿刺吸引細胞診でも悪性所見はなく経過観察していた。約1年5ヵ月後、甲状腺機能は正常であったが、抗Tg抗体と抗TPO抗体が陽性で、TSAbは正常、徐々に甲状腺の増大を認めた。細胞診はclass2であった。さらに約1年後の甲状腺99mTcシンチでPlummer病を疑ったが、甲状腺機能は正常であった。2年後に動悸が出現し、甲状腺中毒症を初めて指摘された。軽度の眼球突出、甲状腺腫大(右>左)、表面不整、弾性硬で圧痛はなくリンパ節は触知せず、甲状腺99mTcシンチでは、右葉に結節様の集積および左葉の淡い集積を認めた。TRAbも陽性であり、Basedow病の合併が考えられ、Marine-Lenhart症候群と診断した。甲状腺薬の内服を開始し、甲状腺機能は正常化したが、甲状腺右葉の結節は徐々に増大し、5年後に甲状腺右葉切除を施行した。病理所見では、結節部はコロイドとの接合部に吸収空胞を認め、結節部での甲状腺ホルモン産生亢進を疑った。術後は甲状腺機能低下症となりlevothyroxine75mgの補充を行った。TRAbは陰性化し、Basedow病の再発はなく、摘出組織にTSH受容体遺伝子の変異は認めていない。
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