臨床雑誌整形外科 72巻3号 (2021年3月)

  • 文献概要を表示

は じ め に

 スノーボードの普及に伴いスノーボード脊椎外傷の危険性が指摘されてきた1~9).特にsnow park(SP)では,オリンピックをはじめとした国際大会やWinter X Gamesなどのメディア露出によって,レクリエーションレベルのスノーボーダーがプロ選手を真似てジャンプを試みるようになってきている10,11).その結果,SPでのスノーボード脊椎外傷を含む重篤な外傷の機会が一般滑走コースと比べて増えているとの報告があり7~9),脊椎外傷を含めた外傷の予防を目的に啓発活動や安全対策がすすめられてきた12~18).しかし,これらの取り組みが脊椎外傷の発生の減少に効果的か否かの厳密な研究はほとんど行われておらず6),いまだ有効な安全対策を模索中との報告がある18)

 本研究の目的は,新潟県妙高・赤倉スキー場地区におけるスノーボード脊椎外傷の手術例を調査し,さらなる安全対策を検討することである.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 びまん性特発性骨増殖症(DISH)は,脊椎が癒合していることにより,軽微な外傷で脊椎損傷を起こす症例が多い.さらに初診時の単純X線像で診断が困難な症例も多く,入院加療を行ったにもかかわらず経過中に骨折が転位し,遅発性麻痺を生じた症例も報告されている1,2).またDISHに伴う脊椎損傷では3-column injuryを伴いやすく,骨折転位および遅発性麻痺の発生の予防のために可及的早期の手術的治療が推奨されている.しかし特に高齢者では,全身状態や合併症によっては保存的治療を余儀なくされる症例も存在する.DISHに伴う脊椎損傷に対しての保存的治療の報告は少なく,その適応および限界についてはいまだ一定の見解が得られていない.

 本稿では,当院で保存的治療を行ったDISHに伴う脊椎損傷例の治療経過をもとに,その適応と限界,保存的治療の注意点を検討した.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 脊椎手術において術中脊髄モニタリング[経頭蓋電気刺激筋誘発電位:Br(E)-MsEP(MEP)]は,術中脊髄障害に伴う運動神経のモニタリングが可能であり,感度も高いために汎用されている.一方で,術前より麻痺を有する症例や,手術時間が5時間を超える長時間手術では,偽陽性アラームが発生するため,特異度の低さが問題視されている1~4).そのため,術中脊髄モニタリングはmultimodal monitoringが推奨され5),当院では一般的なMEP刺激方法のsingle train stimulation(STS)法に併用して,Jorneeらが波形振幅増強法として報告したdouble train stimulation(DTS)法6)を用いている.

 本研究の目的は,STS法で真陽性であった症例と偽陽性であった症例のSTS導出波形とDTS導出波形を比較し,DTS法併用の有用性を検討することである.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 脊髄および馬尾腫瘍の症状において痛みは患者の生活の質(QOL)を低下させる重要な因子である.脊髄・馬尾腫瘍には痛みが原因で手術にいたるものが多いが,手術までの待機期間に著明な疼痛があり,疼痛のコントロールに難渋した神経鞘腫の症例が多い印象があった.脊髄・馬尾腫瘍由来の痛みやしびれなど多彩な症候について述べた報告は散見されるが1~3),痛みの強度に関連した因子(組織型や大きさなど)を検討した報告は少ない.本研究では,脊髄および馬尾腫瘍による痛みの強度に関連した因子を調査し検討する.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 骨粗鬆症の診断に有用な骨密度測定は,二重エネルギーX線吸収法(DXA)を用いて腰椎と大腿骨近位部の2部位での測定が推奨され,その結果は低いほうで判断するとされている1).しかし,両者の値に大きく乖離がみられる症例があり,その際に,本当に低いほうで判断してよいか悩むことがしばしばある.われわれは,乖離の大きい症例を調査し,その要因について検討したので報告する.

  • 文献概要を表示

 本稿を書いている2020年11月の終わり,巷では新型コロナウイルス感染症が流行の第3波を迎え,再び保健所や医療機関の体制ひっ迫が危惧されている.思い起こせば3月,4月ごろの第1波では全国で1日数百人の新規患者数の集計があったにもかかわらず,保健所からのPCR結果はFaxを利用して集計されていたため集計の遅れや間違いが話題となり,きわめて “アナログ” な行政の状況が露呈した.また,コロナ禍は,少なくともわが国ではあたり前ではなかった「テレワーク」を現実の世界に無理やり持ち込み,中には100%テレワークの会社が出現したり,大手人材派遣会社がメインオフィスを淡路島に移転するなど,ビジネスの世界に大きな変革をもたらし始めている.しかしその一方で,捺印のために出勤せざるをえないといった企業や,書面による処理が多すぎて,結果,事務職はテレワーク不可となっている公官庁も多いと聞く.また,遅れているわが国のキャッシュレス決済を推進するために2019年に行われたポイント還元キャンペーンにも増して,COVID-19の流行は非接触で支払いができるいわゆる「スマホ決済」を推しすすめる結果になったといえよう.そんな中,2020年9月に発足した菅内閣がデジタル庁の設置を決めるなど,行政がさらにこのデジタル化の波を推しすすめようとしている.

私論

整形外科と医療AIの今後 圓尾 圭史
  • 文献概要を表示

 近年,医療AI(artificial intelligence)が注目されている.特に2010年代になりディープラーニング(深層学習)が発明されたことによって,医療AIの研究が急激に増えている.整形外科領域では画像診断やロボット支援手術などへの応用が期待されている.特に画像診断は臨床応用されていて,外傷による骨折の診断や,脊椎領域では鑑別がむずかしい骨粗鬆症性の椎体骨折と転移性脊椎腫瘍,化膿性脊椎炎は整形外科医や脊椎脊髄外科専門医でもdoctor’s delayは誰もが経験したことがある疾患で,その診断精度が上がれば有効なツールとなる可能性がある.

  • 文献概要を表示

 Lynch症候群とは,大腸癌や子宮内膜癌などの悪性腫瘍が多発する常染色体優性遺伝の遺伝性腫瘍症候群である.Lynch症候群では,DNAミスマッチ修復系(DNA mismatch repair)で機能するミスマッチ修復蛋白質(mismatch repair:MMR)の遺伝子異常により,DNA複製時に生じる核酸塩基のミスマッチを校正する機能の低下が生じる.その結果,さまざまな関連癌の発症リスクが高いことが知られているが,肉腫を合併した症例報告は少ない.本稿では,Lynch症候群患者に未分化多形肉腫を合併したまれな症例を経験したので文献学的考察を加えて報告する.

  • 文献概要を表示

 骨外性骨肉腫(extraskeletal osteosarcoma:ESOS)は,発生頻度が全悪性軟部腫瘍の約1~2%,骨肉腫の2~5%であり,非常にまれな疾患である1).ESOSは,通常大腿や殿部の深部組織または後腹膜腔に発生するが,皮下組織を含めた浅層発生は非常にまれである1).われわれは,下腿皮下に発生したESOSの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

  • 文献概要を表示

 母趾指節間関節脱臼(IP関節脱臼)は文献上比較的まれな外傷である1).われわれは2例を経験し,背側小切開により整復を行ったので報告する.

  • 文献概要を表示

 現在のがんクリニカルシークエンス(CS)検査では,通常100を超えるがん関連遺伝子の変化(体細胞変異や遺伝子増幅・欠損,マイクロサテライト不安定性,融合遺伝子_DNA検査でも一部イントロン領域の評価で解析可能)を一度で解析することができる.開発当初はホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍検体のDNA検体検査で始まったが,並行してRNA検体での解析サポート体勢(融合遺伝子同定率向上のため)もすすみ,現在では循環腫瘍検体(ctDNA)よりも検査可能となっている1~3).その解析データはゲノム情報,対応する治療薬が付記されたレポートとして返却される1,2)

  • 文献概要を表示

は じ め に

 骨・軟部腫瘍手術に対する診療報酬点数は,ほかの手術の診療報酬点数と比較して低いことが以前より指摘されている1).本研究では当科における骨・軟部腫瘍手術の診療報酬点数を調査し,整形外科の骨・軟部腫瘍以外の各領域(他領域)と比較して,骨・軟部腫瘍手術の診療報酬点数が妥当であるか否かを評価した.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 大腿骨頚部骨折に対する後方アプローチでの人工骨頭置換術において,術後脱臼は重大な合併症であり,頻回脱臼に移行すると悲惨な結果をもたらす1).大腿骨頚部骨折例の約3割に認知症を合併していた報告もあり2),術後の脱臼予防肢位が遵守できない可能性が懸念される.

 近年脱臼予防を目的に,短外旋筋のうち梨状筋~下双子筋を温存する短外旋筋共同腱温存法(conjoined tendon preserving posterior:CPP)が考案され3),良好な成績を収めている.当院におけるCPP法の成績を,従来の後方アプローチと比較したので報告する.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 仙腸関節はわずかな動きを有し,脊柱の根元で衝撃吸収装置として機能している1,2).上半身の重さに耐えながら,地面から下肢に伝わる衝撃を緩和させる仙腸関節は,直立二足歩行を行う人体にとって必要不可欠な構造である.繰り返しや不意の動作で,仙腸関節に微小な不適合が生じると,仙腸関節由来の腰殿部・下肢痛が生じる.現時点ではこの関節不適合による機能障害(仙腸関節障害)をCTやMRIなどの画像検査でとらえることは困難であるが,arthrokinematic approach(AKA)博田法3)やSwing石黒法4)に代表される種々の徒手療法により,仙腸関節の動きを誘導することで仙腸関節由来の痛みが軽快する事実は,この病態の存在を裏づけている.

 仙腸関節障害はone finger testで上後腸骨棘をさす腰殿部痛を有し,約半数に鼡径部痛を伴い,椅子坐位時疼痛増悪,sacroiliac joint(SIJ)shear test陽性など,症状が非常に特徴的であり,最終的には仙腸関節ブロックの効果をみることで確定診断できる5).しかし画像所見に乏しいことから,この疾患の認知が広まるまでには時間を要した.

 古賀ら6)は近年,臨床的に重症と判断される仙腸関節障害例に骨single-photon-emission computed tomography/computed tomography(SPECT/CT)検査を行った結果,関節軟骨下骨で慢性的に骨代謝が亢進していることを示した.本研究では,当院の仙腸関節障害例に対して行った骨SPECT/CTの有用性を検討した.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 Lateral lumbar interbody fusion(LLIF)と経皮的椎弓根スクリュー(percutaneous pedicle screw:PPS)を組み合わせて行う前後合併手術では,従来,体位変換を行いdual-positionでのPPS挿入が主流であった.しかしながら,術中に体位変換を要すことから煩雑であり,海外ではロボットを用いたLLIF後のsingle positionでのPPS挿入が報告されるようになっている1)

 われわれもLLIF後のdual-positionでのPPS挿入の問題点を考慮し,これまでガイドワイヤレスなPPSシステムを用いた透視下single positionでのPPS挿入や,術中CTナビゲーションを用いたsingle position surgeryを報告してきた2~4)

 本稿では,新たな脊椎手術デバイスの一つとしてわれわれが注目している電動ハンドピースシステムを用いた側臥位PPS手術について,その経験や有用性を報告する.

Vocabulary

  • 文献概要を表示

 大腿骨コンポーネント回旋設置異常とは,一般的に人工膝関節全置換術(TKA)において,軸断面(axial plane)で大腿骨コンポーネント設置が目標よりも異なる角度に設置された場合に使用する.単顆型人工関節置換術(UKA),膝蓋大腿関節置換術(PFA)においても使用される.

連載 革新的技術がもたらす小児運動器難病の新展開――基礎から臨床へ

  • 文献概要を表示

は じ め に

 先天性側弯症(congenital scoliosis:CS)は,先天的な脊椎の奇形に起因する側弯症である.その発症頻度は1,000出生あたり0.5~1人(0.05~0.1%)とされている.一方,脊椎肋骨異形成症(spondylocostal dysostosis:SCDO)は,10椎体以上に及ぶ多発椎体奇形,多発肋骨奇形を合併するまれな骨系統疾患である1~4).両疾患ともに,変形が重度に進行すると整容上の問題だけでなく,胸郭不全症候群といった致命的な病態を引き起こす可能性がある.早期の外科的介入が必要になることも少なくない.肋骨異常を伴うCS,SCDOは厚生労働省の指定難病とされている5,6)

連載 X線診断Q&A

X線診断Q&A 松浦 晃正
  • 文献概要を表示

Question

 症 例.16歳,男.

 主 訴:左足関節痛.

 家族歴・既往歴:特記すべきことはない.

 現病歴:スケートボードをしていた際,左足関節を捻り受傷した.近医受診後,精査・治療を目的に当院を紹介され受診した.

 身体所見:左足関節の強い疼痛を訴え,独歩困難であった.同部位に腫脹および圧痛を認めた.

 X線所見:図1に当院初診時左足関節X線像を示す.

連載 卒後研修講座

  • 文献概要を表示

は じ め に

 後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament:OPLL)は,椎間板の背側で脊椎椎体の後縁を連結する後縦靱帯が骨化,肥厚することにより脊椎管の前方から狭窄をきたし,脊髄または神経根の圧迫障害をきたす疾患である.部位は頚椎が最多であるが,胸椎や腰椎にも生じうる.頚椎OPLLは,男女比約2:1で男性に多く,40歳以上の中高年に好発する.逆に胸椎OPLLは1:2で女性に多いことが知られている.日本では頚椎疾患の外来患者のうち1.9~4.3%で単純X線像上後縦靱帯骨化を認めたという報告があり1),諸外国の報告(中国人0.2~1.8%,米国人0.12%,ドイツ人0.1%,イタリア人1.8%,台湾人3.0%)に比べると日本人に多い疾患と考えられる.また,家系調査により高率に多発家系が存在することがわかり,本症の成因に遺伝的背景があることが明らかとなっている2)

 頚椎にOPLLが存在する場合,半数近くの症例で胸腰椎にもOPLLが存在する.またOPLL患者では,前縦靱帯骨化を中心として広汎に脊柱靱帯骨化をきたすびまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:DISH)を高頻度に合併することも知られており,また棘上靱帯や黄色靱帯の骨化の合併も多いことから,脊柱靱帯骨化の一部分症としてとらえる考えもある.骨化が起こる要因として,全身的骨化素因,局所の力学的要因,炎症,ホルモン異常,カルシウム代謝異常,糖尿病,慢性外傷,椎間板脱出,全身的退行変性などが報告されている.

 OPLLが存在しても必ずしも有症状であるわけではなく,OPLLによる神経圧迫により症状を呈する患者はむしろごく一部である.しかしいったん神経症状が発症すると進行性であることが多く,適切な検査,診断,治療が必要となってくる.実際の発症には脊椎の動きが加わった動的要素の関与も大きい.OPLLは黄色靱帯骨化症とともに厚生労働省の指定する「指定難病」になっており,現在,約35,000人が登録されている.

連載 専門医試験をめざす症例問題トレーニング

  • 文献概要を表示

 症例1.85歳,女.

 主 訴:右股関節痛.

 既往歴:特記すべきことはない.

 現病歴:家の中で転倒し,右股関節痛が出現した.体動困難であるため,当科に救急搬送された.

 初診時所見:全身状態は良好であるが,歩行不能であり,股関節単純X線像で転位のある右大腿骨転子部骨折を認めた.

 腰椎(L2-L4)骨密度:若年成人平均値(YAM)の72%.

  • 文献概要を表示

【要 旨】

 研究デザイン:後ろ向き観察研究.

 背 景:国際的にはmodified JOA score(mJOA)が広く用いられるが,日本をはじめ東アジア諸国では日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準(JOAスコア)が依然として用いられている.しかしJOAスコアの精神測定学的特性は依然としてよく理解されていない.

 目 的:JOAスコアの臨床的に意義のある最小変化量(MCID),許容可能重症度(PASS)などの精神測定学的特性を明らかにすること.

 対象および方法:教育病院単施設における頚髄症に対する椎弓形成術例を後向きに調査した.術前後のJOAスコアを記録し,平林法による改善率を計算した.カットオフ値はanchor-based methodによるROC曲線解析で求めた.術後に健康状態が改善したか否か,治療に満足しているか否かを質問票により調査し,それぞれを外的基準として最小可検変化量(MDC),MCIDおよびPASSのカットオフ値を計算した.

 結 果:合計101例を解析に用いた.術前JOAスコアは平均10.3(標準偏差2.4),術後は平均13.4(標準偏差2.5)であり,平均改善率は44%であった.全体の68%が術後に健康状態が少なくとも「少しよくなった」と回答し,66%が治療に対して少なくとも「やや満足」と回答した.ROC曲線解析を行った結果,MDC,MCIDは2.5であった.またPASSは14.5,臨床的に意義のある最小改善率は52.8%であった.

 結 論:頚髄症患者におけるJOAスコアのMDC,MCID,PASSをanchor-based methodによるROC曲線解析で報告した.

  • 文献概要を表示

【要 旨】

 目 的:投球障害の予防に関するガイドラインではオフシーズンの取得を推奨しているが,その有効性を証明した報告は少ない.本研究では,オフシーズン期間が成長期肘障害の発症に与える影響について調査した.

 対象および方法:野球肘検診に参加した680例の学童期野球選手を対象とした.肘障害に関連する因子で調整した多変量解析を用い,オフシーズン期間と肘痛,内側上顆下端障害,および離断性骨軟骨炎との関連を調査した.

 結 果:肘痛と内側上顆下端障害の発症リスクは,オフシーズン期間1ヵ月以上の群で有意に減少した.一方で,離断性骨軟骨炎はオフシーズン期間と有意な関連はなかった.

 結 論:成長期肘障害の発症予防には,1ヵ月以上のオフシーズン取得が望ましい.

  • 文献概要を表示

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で,56年ぶりの東京オリンピック・パラリンピックは残念ながら延期となった.しかしこの状況においても,野球やサッカーなどのプロフェッショナルスポーツをはじめ,多くの試合が実施されている.先のみえない不安感と閉塞感のなかにあるわれわれに,今年も喜びや感動を与えてくれた.

  • 文献概要を表示

 2020年の米国骨代謝学会(American Society for Bone and Mineral Research:ASBMR)は,9月11日(金)~14日(月)に米国シアトルでの開催が予定されていたが,新型コロナウイルスの影響でweb開催となった.それでも998の一般演題(2019年より11.5%減)が発表され,そのうち118演題が口演に選ばれた.本稿ではこの学会のトピックスを中心に,最近の世界の骨粗鬆症治療および骨代謝研究の最新情報を概説する.

学会を聞く

第54回日本側彎症学会 谷口 優樹
  • 文献概要を表示

1.は じ め に

 2020年11月6日(金)~8日(日)に自治医科大学の竹下克志会長のもと,第54回日本側彎症学会が開催された.本学会の前身は1968年に徳島大学の山田憲吾会長により開催された側彎症研究会であり,その後1985年には日本側彎症研究会,1994年には日本側彎症学会と名称が変更され,日本の脊椎外科の発展を担ってきた歴史ある学会である.竹下先生は私にとっては東京大学整形外科脊椎グループで脊柱変形に関するイロハを教えていただいた師匠であり,その竹下先生が今回この歴史ある日本側彎症学会を開催されるということで,私個人にとっても開催前から非常に思い入れの強い学会であった.

 本学会のテーマは「よく見て・よく聞いて・よく話す」とあり,竹下先生の所属されている自治医科大学のある栃木県の日光東照宮では「見ざる・言わざる・聞かざる」という三猿が非常に有名であるが,もともと学会開催を予定していた埼玉県(大宮で開催を予定)では秩父神社の「よく見て・よく聞いて・よく話す」お元気三猿が親しまれているということで開催地の縁でこのテーマとしたとのことであった.患者さんと談笑しながらよく話を聞いて,信頼関係を築いていた竹下先生の診療姿勢とも重なり,竹下先生らしいよい学会テーマだな,と感じた次第である.

  • 文献概要を表示

1.は じ め に

 第35回日本整形外科学会基礎学術集会が,山本謙吾(東京医科大学整形外科学分野主任教授)会長により2020年10月15日(木),16日(金)に開催された.2020年はじめより国内外において新型コロナウイルス感染症が蔓延し,その後も感染者が増加した.そのため,Live-Web開催が選択された.ライブ配信が2020年10月15日(木)~10月16日(金)で,一部オンデマンド配信が2020年10月17日(土)~11月16日(月)に行われた(図1,2).

喫茶ロビー

尾崎良胤博士とDr. Lovett 濵 弘道
  • 文献概要を表示

 筆者は先に本欄(72巻2号)において「若き俊秀の死」を著し,恕にして穆如清風の人,第2代京都大学整形外科教授尾崎良胤博士の3年間(1915年5月~1918年4月)の滞米生活について記した.“My Trip Through the United States” なる日記は,ボストンにおいて正式に整形外科を学ぶべく,Yale大学からHarvard大学に移動した日以降,Massachusetts総合病院(Dr. Brown),Boston小児病院(Dr. Sever,Dr. Lovett),Robert Brigham病院(Dr. Painter),Boston市立病院(Dr. Rogers)など,代表的な整形外科病院を歴訪した際の手術・処置・症例検討会などの見学記録である(図).日記に登場する医師はおそらく当時新進気鋭の方々であったと思われるが,Boston小児病院のDr. SeverがSever病に名を残した人であろうと推測された以外,思い当たらなかった.筆者の元同僚,森永敏博氏はわが国のリハビリテーション(リハ)草創期に米国から派遣された外国人教師による教育を受け,その後インディアナ大学大学院に進み,日本理学療法士協会日本代表も務めた人であるが,「Dr. Lovettは “徒手筋力検査法” を創案したとされる方ではないか」と関連資料を送ってこられた.筆者も昔,プラスチックリングで留められた独特の装丁になる,茶表紙の『徒手筋力検査法(第2版)』(Lucille Daniels, Marian Williams, Catherine Worthingham著,津山直一,東野修治共訳)を教材として用いたのは覚えているが,Dr. Lovettまでは思い至らなかった.

基本情報

24329444.72.3.cover.jpg
臨床雑誌整形外科
72巻3号 (2021年3月)
電子版ISSN:2432-9444 印刷版ISSN:0030-5901 南江堂

文献閲覧数ランキング(
4月12日~4月18日
)