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日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準のminimum clinically important differenceおよびpatient acceptable symptom state
Minimum clinically important difference and patient acceptable symptom state of Japanese Orthopaedic Association score in degenerative cervical myelopathy patients
加藤 壯
1
S. Kato
1
1東京大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., The University of Tokyo, Tokyo
キーワード:
degenerative cervical myelopathy
,
JOA score
,
minimum clinically important difference
Keyword:
degenerative cervical myelopathy
,
JOA score
,
minimum clinically important difference
pp.279-281
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_279
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【要 旨】
研究デザイン:後ろ向き観察研究.
背 景:国際的にはmodified JOA score(mJOA)が広く用いられるが,日本をはじめ東アジア諸国では日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準(JOAスコア)が依然として用いられている.しかしJOAスコアの精神測定学的特性は依然としてよく理解されていない.
目 的:JOAスコアの臨床的に意義のある最小変化量(MCID),許容可能重症度(PASS)などの精神測定学的特性を明らかにすること.
対象および方法:教育病院単施設における頚髄症に対する椎弓形成術例を後向きに調査した.術前後のJOAスコアを記録し,平林法による改善率を計算した.カットオフ値はanchor-based methodによるROC曲線解析で求めた.術後に健康状態が改善したか否か,治療に満足しているか否かを質問票により調査し,それぞれを外的基準として最小可検変化量(MDC),MCIDおよびPASSのカットオフ値を計算した.
結 果:合計101例を解析に用いた.術前JOAスコアは平均10.3(標準偏差2.4),術後は平均13.4(標準偏差2.5)であり,平均改善率は44%であった.全体の68%が術後に健康状態が少なくとも「少しよくなった」と回答し,66%が治療に対して少なくとも「やや満足」と回答した.ROC曲線解析を行った結果,MDC,MCIDは2.5であった.またPASSは14.5,臨床的に意義のある最小改善率は52.8%であった.
結 論:頚髄症患者におけるJOAスコアのMDC,MCID,PASSをanchor-based methodによるROC曲線解析で報告した.
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