総合診療 29巻9号 (2019年9月)

特集 “ヤブ化”を防ぐ!—外来診療 基本の(き)

山中 克郎
  • 文献概要を表示

さまざまな診療ガイドラインは随時更新され、新たなエビデンスが世界各国から続々と報告されるなか、「専門外」の分野で根拠に基づく治療を行うことは困難です。

また、“日本だけの独特な治療法”も存在します。

そうしたなかで、“ヤブ医者”になってしまうこと(ヤブ化)を防ぐには、絶え間ない学習が必要です。

本特集では、時間をかけることなく簡単に最新のエビデンスを学習できるよう、外来でよく遭遇するコモンディジーズの「標準的診療」を図表やアルゴリズムも用いて端的に解説しました。

あなたは“ヤブ化”していませんか?

【総論】

  • 文献概要を表示

“ヤブ化”は、気づかぬうちに進むもの…。

そこで、総合診療領域における代表的な臨床問題を、10問つくってみました。

〈5問以上〉不正解の場合は、ヤブ化が進んでいるおそれがあります!?

あなたもチェックしてみよう。(選ぶべき選択肢はすべて1つです)

  • 文献概要を表示

 誰もが「ヤブ化したくない」に違いありません。では、いろいろ「検査」しておけば、「診療ガイドライン」や「エビデンス」に従っておけば、ヤブ化は防げるでしょうか? 答えは否です。適切な診療を行おうと、ヤブ化しないためにしていたはずのことが、むしろヤブ化につながっているとしたら、どうすればよいのでしょう? 実は、ヤブ化とは無縁に見える先生方もヤブ化を恐れ、日々努力・工夫をされています。そこで、自らの臨床において、また教育において、いかにヤブ化を防いでいるか、語り合っていただきました。医師としての“基本の(き)”に立ち返る座談会です。(編集室)

【コモンディジーズに対する標準的診療】

❶認知症 山中 克郎
  • 文献概要を表示

亜急性に認知症が進行している場合には、“治療可能”な認知症がないかどうかを確認することが最も重要である。

❷頭痛 小林 奏
  • 文献概要を表示

◦頻度が高く、繰り返す頭痛である「緊張性頭痛」と「片頭痛」を適切に見分け治療する。「私、片頭痛持ちなんです」に即トリプタンはヤブ医者確定。

◦「二次性頭痛」を見逃さない(特に、治療開始が遅れると致死的になる・重症化する・日常生活に支障が出る病態をすばやく見つける)。頭痛のレッドフラッグサイン(表1)に注意。

❸めまい 小林 奏
  • 文献概要を表示

◦「失神寸前状態(presyncope)」「出血」「貧血」「脱水」「不整脈」を見逃さない。「脳幹・小脳梗塞」は、神経所見が乏しく頭部CT/MRI画像で所見がなくても、すぐ否定しない。

◦末梢性めまいの「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」「前庭神経炎」「Ménière病」の典型的症状を把握する(Ménière病は、耳鼻科での精査で確定診断がつく疾患であり、耳鼻科医以外が勝手に診断できない)。

◦問診では「vertigo」「dizziness」「disequilibrium」「light-headedness」の判別が困難なことがある。症状が強い時は問診をとりにくいが、「眼振」があればpresyncopeを除外できる。水平性の眼振が著明であれば、vertigoと判断できる(Frenzel眼鏡使用が望ましい)。

❹上気道炎 宮里 悠佑
  • 文献概要を表示

◦かぜ患者を正しく「かぜ」と診断すること。そのためには、かぜの典型例を知り、「かぜに似た別の疾患」を正しく除外することが重要である。かぜとかぜに似た別の疾患を見分けるには、「のど」「鼻」「下気道」の症状を明確に分けて聴取する。

◦かぜに抗菌薬は処方しない。かぜの治療は、対症療法と「説明」の処方。

◦バイタルサインやgeneral appearanceから「敗血症」を疑った場合は、すぐに紹介。

❺咽頭痛 宮里 悠佑
  • 文献概要を表示

抗菌薬治療が必要な「細菌性咽頭炎」を見抜くことが最も重要である。また、致死的な咽頭炎“killer soar throat”を見逃さず、すぐ高次医療機関に紹介すること。

❻高血圧 宗像 源之
  • 文献概要を表示

◦より早期から厳格な降圧を24時間にわたって行う!

◦「二次性高血圧」を見逃さない!

◦降圧薬の積極的適応を理解する!

❼糖尿病 下谷 陽子
  • 文献概要を表示

糖尿病を疑った際、まずは「高血糖緊急症」を除外する。糖尿病と診断した場合には、個々人に応じて治療目標の設定・治療法の選択を行い、それを適宜見直していく。漫然とHbA1cだけをチェックするのではなく、定期的な合併症評価も行う。メトホルミンの副作用を過剰に恐れない。

❽脂質異常症 宗像 源之
  • 文献概要を表示

◦脂質異常症の数値を治療することではなく、「動脈硬化性疾患予防」が治療の本質であることを理解する!

◦リスク評価のために、“文明の利器”を用いる!

◦安易な薬物療法はせず、生活習慣の改善をおろそかにしない!

❾気管支喘息 松村 榮久
  • 文献概要を表示

治療の基本は、気道の慢性炎症をコントロールすることであり、吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroids : ICS)単剤もしくは長期間作動型β2刺激薬(long acting beta-2 agonist : LABA)との配合剤(ICS/LABA)を主軸に治療する。抗ロイコトリエン薬・テオフィリン薬・ツロブテロール貼付剤は、ICSを補完する薬剤であり、原則として単独で使用しない。他の抗アレルギー薬は効果が乏しく、使用しない。

❿慢性咳嗽 松村 榮久
  • 文献概要を表示

咳嗽は、持続期間により、3週間未満の「急性咳嗽」、3週間以上8週間未満の「遷延性咳嗽」、8週間以上の「慢性咳嗽」に分類される。「肺癌」「肺結核」「間質性肺炎」「心不全」など、予後に関わる疾患を見逃さないことが最重要である。それらが除外された狭義の慢性咳嗽において、最も頻度の高い疾患は「咳喘息」であり、次いで「胃食道逆流症」「副鼻腔気管支症候群」である。咳喘息には、吸入ステロイド薬、胃食道逆流症にはPPI(プロトンポンプ阻害薬)、副鼻腔気管支症候群にはマクロライドの少量持続投与(原則としてエリスロマイシン)にて診断的治療を行う。

⓫便秘 中野 弘康
  • 文献概要を表示

便秘患者に、「センノシド」や「ピコスルファート」などの大腸刺激性下剤を、漫然と処方することなかれ。一方で、treatable(治療可能)な便秘症を見逃してはならない!

⓬下痢 中野 弘康
  • 文献概要を表示

患者の訴える“下痢”が医療者の理解する“下痢”と必ずしも同じではないことがあり、詳細な病歴聴取が求められる。下痢の性状と持続期間に注目する。「急性下痢」の大半が自然寛解しうる感染性腸炎であるため、いきなりの抗菌薬投与は御法度。一方、「慢性下痢」は感染症以外の原因がほとんどである。

⓭腰痛 下谷 陽子
  • 文献概要を表示

病歴と身体所見でレッドフラッグサインを確認し、“筋骨格系の障害以外を原因とする腰痛”を見逃さないようにする。また、鎮痛目的での漫然としたNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の投与は避ける。

⓮腎機能障害 會田 哲朗
  • 文献概要を表示

◦尿検査から鑑別診断を絞ることが可能であり、「尿沈渣」特に「円柱」に敏感になることが重要である。

◦以前の腎機能を確認し、「急性腎障害」「亜急性腎障害」「慢性腎臓病」のいずれに相当するかを考えることは、原因疾患の鑑別に有用である。

⓯尿路感染症 小澤 廣記
  • 文献概要を表示

◦「無症候性細菌尿」に抗菌薬を処方しない

◦バイタルサインに注意し、「敗血症」が疑われる場合など、紹介のタイミングを逃さない。

⓰高尿酸血症 會田 哲朗
  • 文献概要を表示

高尿酸血症を認めた場合、過去に「痛風関節炎」や「尿路結石」を起こしたことがないかどうか、病歴聴取を行う。高尿酸血症を認めたというだけで、尿酸降下薬を処方してはならない。

⓱関節痛 中本 洋平
  • 文献概要を表示

◦関節痛は、「関節内」に原因がある場合と「関節周囲」の支持組織(付着部、腱、滑液包)に原因がある場合に大別され、それぞれ原因疾患が異なるため(図1)、問診と身体診察で痛みの主座を区別することが重要である。発症から時間が経っていると、身体所見だけで主座を区別できないことも多く、発症経過を詳しく問診する。

◦関節炎に対して培養検査(血液、関節液)も行わず、広域抗菌薬を使用しない。

⓲下腿浮腫 中本 洋平
  • 文献概要を表示

すぐに利尿薬を処方せず、原因を診断することが最も重要である。

⓳皮膚・軟部組織感染症 小澤 廣記
  • 文献概要を表示

病変の深さに注目し、致死的な「壊死性筋膜炎」を見逃さない

Editorial

  • 文献概要を表示

 今春から、会津若松(福島県)で勤務を始めた。福島県は東西に長い。会津は福島県の西3分の1を占めるだけであるが、その面積は千葉県に匹敵する。東には、磐梯山と猪苗代湖がある。南西には、尾瀬国立公園が広がっている。「夏が来れば思い出す はるかな尾瀬 遠い空♪」と唱歌にも歌われた、あの尾瀬である。

 会津の悲しい歴史は150年前にさかのぼる。戊辰戦争により、会津の町は新政府軍によって破壊され、女性や子どもを含め約3,000人が犠牲となった。若松城を守るために戦った10代の若者たちが自害した、白虎隊の悲惨な物語を知る人も多いであろう。平和な時代に暮らしていると、日本の平和は永遠に続いているように思われる。たった150年前、日本は内戦状態だったのである。戦争は絶対にしてはいけない。

GM Group Dynamics・8

  • 文献概要を表示

日本のプライマリ・ケア領域(家庭医療、総合診療、総合内科)の「臨床研究」のレベルを国際水準に引き上げるべく、日本プライマリ・ケア連合学会、米国内科学会日本支部、日本臨床疫学会がタッグを組み、2019年12月「Primary Care Research(PCR)Connect」を起ち上げる予定だ。

 わが国からのプライマリ・ケア研究の発信は、国際的にみて非常に少ないのが現状だ。われわれの調査(プライマリ・ケア連合学会誌 40 : 126-130, 2017)によれば、本領域の主要国際学術誌における日本からの論文のシェアは0.15%にすぎない。日本のプライマリ・ケアの学術的基盤を形成し、その質を向上させるためには、臨床研究の推進が不可欠だ。たとえば北米では、研究活動に特化した「NAPCRG(North American Primary Care Research Group)」が学術集会を開催し、質の高い学際的な研究発表や、若手研究者に対するエキスパートからの形成的フィードバックが行われている。日本でも、こうした海外での活動を参考に、3学会が協力しPCR Connectとして取り組む。各学会の代表は草場鉄周氏(日本プライマリ・ケア連合学会)、柴垣有吾氏(米国内科学会日本支部)、福原俊一氏(日本臨床疫学会)、また実行委員会を筆者・青木拓也(京大大学院)のほか、家研也氏(聖マリ医大)、金子惇氏(浜松医大)、春田淳志氏(筑波大)、高田俊彦氏(ユトレヒト大、白河総合診療アカデミー)、佐田憲映氏(岡山大、高知大)が担う(写真上)。

What's your diagnosis?[201]

  • 文献概要を表示

病歴

患者:54歳、女性

主訴:発熱、下痢

現病歴:入院10日前から4日間、県外で単身赴任中の夫宅で過ごした。6日前より38℃台の発熱、1日5回程度の水様性下痢、両側大腿外側の紅斑が出現(図1)。紅斑は1日中続き、消退する時間はなかった。4日前、咽頭痛と嚥下時痛が出現。3日前、発熱が続き、下痢が30回程度に増えたため、近医を受診。急性腸炎の疑いで抗菌薬(セフジトレン)とロキソプロフェン、整腸薬を処方された。その後も症状が改善しないため、当院を受診した。

ROS陰性:悪寒戦慄、頭痛、鼻水、咳嗽、喀痰、呼吸困難、嘔吐、腹痛、関節痛

既往歴:カニ鍋で蕁麻疹(15年前)

常用薬:なし

生活歴:喫煙なし、機会飲酒。海外渡航歴なし、ペット飼育歴なし、sick contactなし、生もの摂取なし。性交渉:夫のみ。最終1カ月前

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・33

  • 文献概要を表示

CASE

患者:80歳台、女性。

主訴:右膝関節痛、後頸部痛、発熱、意識レベル低下。

現病歴:ADL(activities of daily living)は自立しており、入院3日前まで普段通りに過ごしていた。入院2日前より全身倦怠感を自覚。入院前日に後頸部痛、右膝痛で体動困難となり、臥床していた。入院当日に家族が訪問すると返事もあまりできず、反応が悪いため、当院へ救急搬送された。

既往歴:高血圧症、脂質異常症、腎盂腎炎、子宮全摘術後(子宮筋腫)。

内服歴:ニフェジピン徐放剤1日40mg 1錠、カンデサルタン1日4mg 2錠、ニコランジル1日5mg 1錠。

生活歴:飲酒なし、喫煙なし。息子と2人暮らし。

ROS(+):左足は元々小さく、右足に負担はかかっていた。

ROS(−):難聴なし、体重減少なし、寝汗なし、最近の食欲低下なし。

みるトレ Special・33

  • 文献概要を表示

患者:30歳台、男性。ネパール人。

主訴:左陰囊腫大

現病歴:8カ月前から左の陰囊が腫大していることを自覚し、近医を受診した。穿刺が行われたが改善がなく、当院を紹介受診した。

既往歴:特記事項なし

アレルギー:なし

海外渡航歴・居住歴:ネパールのダパという地方都市で出生し、2年前まで暮らしていた。その後、日本に移住し、外国人居住者として、現在は新宿区に住んでいる。過去2年間は、ネパールへの渡航歴はない。

身体所見:左陰囊腫大を認める(図1)。

血液検査:好酸球増多は認めない。ある疾患が疑われ、夜間に採血を行ったところ、全血のギムザ染色にて図2のような所見が認められた。

指導医はスマホ!?|誰でも使えるIT-based Medicine講座・9

  • 文献概要を表示

 時は20XX年、IGSコーポレーションでは、研修医ロボットを開発した! その名も、成長するAI搭載型ロボット「森川くん2号」。

 森川くん2号と一緒に、ITを活用して自分をヴァージョンアップしよう!!

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!|胸腹痛をきたす“壁”を克服しよう・6

  • 文献概要を表示

Case

患者:53歳、男性。主訴は前胸部痛。

現病歴:1年前から間欠的な左前胸部痛が出現した。誘因ははっきりしないが、ソファーで休んでいる時に疼痛が出現することもある。今回はレクリエーションでバドミントンをしていたところ、左胸部〜左肩痛が出現したため受診した。冷汗や嘔気はない。肩を動かしても痛みは増強しない。

喫煙歴:20本/日×33年。

既往歴:特記すべきことなし。

検査:12誘導心電図、胸部単純X線写真、血液検査に異常所見を認めない。頸部MRIにてC4/5、C5/6レベルで脊柱管狭窄と神経根圧迫が疑われた(図1矢印)。

55歳からの家庭医療 Season 2|明日から地域で働く技術とエビデンス・25

  • 文献概要を表示

オープンorクローズ

開かれた質問に答えるのは疲れる

 半年ほど前、私は入院生活を余儀なくされたのですが、その際に感じたことの1つに、医療者の開かれた質問(open-ended questions)に患者として答える、あるいは語ることはけっこう疲れる、ということがあります。

 微熱による倦怠感と創部の痛みによりベッド上でグッタリしていた時、若い看護師さんが夜のラウンドで来室し、「藤沼さん、今日はいかがですか〜?」と笑顔いっぱいに声をかけられました。そして、夕方から今までの状態の変化を説明しようと記憶をたどったのですが、なかなかまとまりません。物語ること自体が大変だったのです。そして、「そうですね〜、相変わらずです。頑張ってます!」などと、妙な答えをしてしまったのでした。

総合診療専門医セルフトレーニング問題・22

  • 文献概要を表示

セッティング

都市部にある300床規模の総合病院。

三銃士共導法・9

  • 文献概要を表示

 今回は、実際に全国の若手医師に向けて臨床教育を展開している三銃士レクチャーでの手法をお伝えしましょう。何か特別なものがあるわけではありませんが、指導する側もされる側も、なるべくプラスとなる点が多いように工夫しています。

  • 文献概要を表示

 2019年5月15〜18日、京都国際会議場にて、WONCA(World Organization of Family Doctors)のアジア太平洋地区(Asia Pacific Region:APR)が開催されました。本誌でも告知させていただきましたが1)、おかげさまで多くの方々にご参加いただき、成功裏に終えることができました2)。本稿では、本大会の概要を報告するとともに、特にKeynote Speech❸の演者の1人であった飯野奈津子氏(NHK解説委員室 解説主幹)のメッセージを紹介し、日本の総合診療専門医に対する今後の期待で締めくくりたいと思います。

投稿 GM Clinical Pictures

  • 文献概要を表示

CASE

患者:40歳、男性。 社会生活歴・家族歴:特記すべきことなし。

現病歴:2日前より右下腹部痛が出現し、近医で診察を受けたが、症状が軽快しないため当科を受診した。なお、6週間前に当院の検診でバリウムを用いた胃X線検査を受けていたが、問題となる所見はなかった。既往歴として12歳の時に虫垂切除。

身体所見:バイタルサインは正常であり、右下腹部に圧痛を認めるものの、腹部は平坦・軟で、反跳痛は認めない。

検査所見:WBC 15,200/μL、CRP 7.5mg/dLと炎症マーカーが上昇していたが、

腎機能や肝機能は正常で、腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)も正常範囲内であった。

画像所見:腹部超音波検査(図1)、腹部〜骨盤部単純CT(図2)。

  • 文献概要を表示

CASE

患者:93歳、女性。

現病歴:急性硬膜下血腫に対する手術後の摂食機能障害に対して、約7年前に経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG)が行われ、現在は施設に入所して当院の訪問診療を受けている。胃瘻カテーテルは24Frのバンパー・ボタン型が使用されており、1カ月前に定期的なカテーテル交換を終えたばかりであった。昨日まで胃瘻カテーテルの可動性に問題はなかったが、今朝から急に回転させることができなくなったため、当科を緊急受診された。診察すると、カテーテルは回転だけでなく、押したり引いたりすることもできず、動かせなくなっていた。

既往歴:80歳脳梗塞、85歳急性硬膜下血腫に対する手術。

社会生活歴・家族歴:特記すべきことなし。

身体所見:バイタルサインは正常であり、体表に異常は認めなかったが、胃瘻カテーテルの外部

ストッパーと皮膚との距離は5mmほどで、余裕がなくなっていた。

画像所見:上部消化管内視鏡検査(図1)。

#総合診療

#今月の特集関連本❶

#今月の特集関連本❷

#今月の特集関連本❸

#今月の特集関連本❹

#今月の特集関連本❺

#今月の特集関連本❻

#今月の特集関連本

#医学書院の新刊

  • 文献概要を表示

 感染症に関する書籍はあまたあるが、「外来診療」に特化したものはそれほど多くない。本書は、大学病院の感染制御部の副部長としても、感染症関連の書籍の著者としても活躍目覚ましい羽田野義郎先生、そして、感染症への造詣も深く、奈良県の医療・教育を地域から牽引するやわらぎクリニックの副院長である北和也先生という、業界の衆望を担うリーダーらのもとに完成した“外来における感染症診療の実践的テキスト”である。感染症科の専門外来の診療ではなく、「一般(内科)診療」のなかで出合う外来での感染症の指南書であるため、読者対象は広い。いわゆる“総合診療”的に、症状や健康問題に分け隔てなく対応するうえで必ず出合うであろうコモン〜比較的コモンな感染症の問題にフォーカスを絞っている。

 章立ても、第1章の基本疾患(かぜ、インフルエンザ、気管支炎・肺炎、尿路感染症、皮膚軟部組織感染症、性感染症など)、第2章の対応を知っておくべき疾患(パルボウイルスB19感染症、麻疹と風疹、ムンプス、HIVなど)、第3章の緊急疾患(髄膜炎、敗血症、椎体炎、化膿性関節炎など)、第4章の長期マネジメントが重要な疾患(結核、非定型抗酸菌症)、第5章の外来診療の感染症関連で知っておきたいこと(高齢者対応、小児対応、妊産婦、渡航者、感染対策、外来静注、ワクチン)と、広範かつ網羅的で、プロブレム・オリエンテッドな構成になっている。そのため、現場で欲しい標準的な情報へのアクセスが容易と言える。この網羅性と硬派さは羽田野先生のアイディアなのだろう。

  • 文献概要を表示

 “赤本”と言えば、自分の望む大学を受験する際に、その大学の入試の特徴を伝え、最も強力にその大学への入学を導いてくれる「究極の勉強本」である。では、白石吉彦先生の書いたこの赤本はどうだろうか?

 これもまた「究極の勉強本」である。

--------------------

目次

読者アンケート

次号予告

『総合診療』バックナンバーのご案内

お得な年間購読のご案内

基本情報

21888051.29.9.jpg
総合診療
29巻9号 (2019年9月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

前身誌

文献閲覧数ランキング(
11月11日~11月17日
)