#総合診療
#書評:—《ジェネラリストBOOKS》—トップランナーの感染症外来診療術
志水 太郎
1
1獨協医大・総合診療医学
pp.1115
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202265
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感染症に関する書籍はあまたあるが、「外来診療」に特化したものはそれほど多くない。本書は、大学病院の感染制御部の副部長としても、感染症関連の書籍の著者としても活躍目覚ましい羽田野義郎先生、そして、感染症への造詣も深く、奈良県の医療・教育を地域から牽引するやわらぎクリニックの副院長である北和也先生という、業界の衆望を担うリーダーらのもとに完成した“外来における感染症診療の実践的テキスト”である。感染症科の専門外来の診療ではなく、「一般(内科)診療」のなかで出合う外来での感染症の指南書であるため、読者対象は広い。いわゆる“総合診療”的に、症状や健康問題に分け隔てなく対応するうえで必ず出合うであろうコモン〜比較的コモンな感染症の問題にフォーカスを絞っている。
章立ても、第1章の基本疾患(かぜ、インフルエンザ、気管支炎・肺炎、尿路感染症、皮膚軟部組織感染症、性感染症など)、第2章の対応を知っておくべき疾患(パルボウイルスB19感染症、麻疹と風疹、ムンプス、HIVなど)、第3章の緊急疾患(髄膜炎、敗血症、椎体炎、化膿性関節炎など)、第4章の長期マネジメントが重要な疾患(結核、非定型抗酸菌症)、第5章の外来診療の感染症関連で知っておきたいこと(高齢者対応、小児対応、妊産婦、渡航者、感染対策、外来静注、ワクチン)と、広範かつ網羅的で、プロブレム・オリエンテッドな構成になっている。そのため、現場で欲しい標準的な情報へのアクセスが容易と言える。この網羅性と硬派さは羽田野先生のアイディアなのだろう。
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