Hospitalist 7巻1号 (2019年3月)

特集 外来マネジメント

  • 文献概要を表示

ホスピタリストはもともと,「病棟専任医師」という概念で米国から始まりました。彼らの多くは外来診療をまったく行わず,入院患者に専念することで入院診療の効率化に貢献しています。

 日本では,病院勤務医は比率の大小はあるにせよ,外来と入院診療を両方こなしている場合が大半ではないかと思います。従来,医学部時代から初期研修まで,救急外来や病棟を中心に研修が行われ,外来のやり方・外来特有の疾患の診断・治療などを体系的に教わる機会はなく,卒後3年目にもなれば,見よう見まねで外来デビューしていました。幸い,最近では学生時代から外来実習を経験することもまれではなくなり,2020年からは初期研修制度で一般外来研修が必修化されます。

  • 文献概要を表示

患者と医療との接点を考えると,外来が最も身近な「場」といえるかもしれない。筆者自身,幼少期には「医療機関=外来」という印象だった。もちろん,入院や在宅も重要だが,外来がもつ機能や役割は多岐にわたっており,医療サービスにおいてはゲートキーパー的役割も含めた欠かせない診療形態である。米国のホスピタリストは入院診療に特化した専門職で,主戦場が入院・病棟であり,外来診療は担当しないことが多い。一方,日本では,入院診療のみに従事しているホスピタリストは少なく,何かしらの形で外来に携わっていることが多いと思われる。

 本稿で外来診療のすべてを語ることは不可能だが,その全体像や多様な機能を俯瞰し,改めて入院や救急外来,診療所や病院との違いについて考察する。また,「ホスピタリストに求められる外来診療」という切り口で,外来診療の変化とその可能性についても紹介したい。

  • 文献概要を表示

本稿では米国における研修医(レジデント)の外来研修の実際,指導医から見た研修指導の実際について,筆者の経験(家庭医療科レジデント,老年内科フェロー,指導医)もふまえて書き記していきたい。

  • 文献概要を表示

2020年度から,初期研修でも4週以上の外来研修が必修化される。医師臨床研修制度の見直しに関する報告書1)には,到達目標として「頻度の高い症候・病態について,適切な臨床推論プロセスを経て診断・治療を行い,主な慢性疾患については継続診療できる」と記載されている。外来教育の必要性が差し迫るなか,医学生や初期研修医,総合診療・総合内科の専攻医に,どのように教育を行えばよいのだろうか。

  • 文献概要を表示

関節痛は,筋骨格疾患をもつ患者のなかでも最も多い訴えの1つだが,病態・症候は多彩で鑑別診断は幅広い。病院によっては専門科の内科外来に紹介されるケースもあるが,専門科不在のため,ホスピタリストが外来で診る場合も少なくない。

 本稿では,頻度の高い4つの関節炎の症例を通して,病歴・身体診察のポイントなど関節痛へのアプローチについて解説する。

  • 文献概要を表示

しびれをきたす疾患は数多くあり,その原因を突き止めるのは必ずしも容易ではない。本稿では,日常診療において悩みやすい「しびれ」の原因をどう論理的に追及していくか,コモンな手根管症候群から多発神経障害での神経内科コンサルトまで,症例をもとにひもといていきたい。

  • 文献概要を表示

めまい疾患で最も頻度が高いのは,良性発作性頭位めまい症benign paroxysmal positional vertigo(BPPV)であり,疑い例も含めると外来患者の約半数に認められる1)。海外では,恐怖性姿勢めまい症phobic postural vertigo(PPV)や片頭痛関連めまいも高頻度であるという報告もあるが,これらの疾患概念は日本であまり普及しておらず,正確に診断されていないと考えられる。

 本稿では,めまいの鑑別として,眼振観察によって診察可能であるBPPVの各種タイプ,そして高頻度に見逃されていると考えられる,PPVと片頭痛関連めまいについて概説する。

  • 文献概要を表示

外来診療において,「手がふるえる」「声がふるえる」などさまざまなふるえが観察されるが,患者が訴えない,困っていないなどで,きちんと評価されずに済まされているケースが少なからずあるのではないだろうか。ふるえは数ある不随意運動のなかで最も外来での遭遇頻度が高く,かつ,背景疾患に対する治療介入の余地がある。ふるえのなかには本態性振戦essential tremor(ET)だけでなく,Parkinson病Parkinson's disease(PD),薬剤性,代謝性疾患などが背景に隠れており,ポイントを絞った病歴聴取と診察で診断可能なことが多い。

 本稿では外来診療でふるえに遭遇した場合を想定し,ほかの不随意運動との比較をしながらより効率的なアプローチで評価を行うべく,背景疾患の診断から治療までの一連の流れについて症例を通じて議論していく。

  • 文献概要を表示

歩行障害の原因は視力の問題,精神疾患,心疾患,感染症,代謝性疾患,神経筋疾患と多岐にわたる。臨床医が,これらの疾患のどれに該当し歩行障害をきたしているか判断するのは,挑戦的な課題である。健常者を対象とした研究1)では,20歳代の人と比べ70歳代になると,20〜30%の歩行速度や歩幅の減少が認められる。歩行やバランス障害は年齢とともに上昇し,60〜69歳では人口の10%,80歳以上では60%以上に異常を認めるといわれている2)

 本稿では歩行障害の鑑別の仕方を示しつつ,比較的多い筋骨格系・血管・神経筋疾患に絞って,頻度の高い歩行障害について解説していく。

  • 文献概要を表示

頭痛は外来でよく診る症候であるが,90%は一次性頭痛であり,二次性頭痛は10%とされる。もちろん救急外来では二次性頭痛を見逃してはならないが,一般外来では一次性頭痛に対応することが多い。また一般外来,頭痛外来,救急外来など診療場所によっても異なるが,頭痛のみが主訴の場合は8割以上が片頭痛1)との報告がある。

 本稿では初めに頭痛全体を概観したのち,片頭痛について誤診されやすい背景や,疫学,臨床症状など基本的知識を整理する。続く後半では,片頭痛の誤診パターンから診断を考えていきたい。さらに治療についても概説する。

  • 文献概要を表示

認知症はさまざまな原因によって生じ,その内訳は報告によって若干異なるが,おおむねAlzheimer病,血管性認知症,Lewy小体型認知症,前頭側頭葉変性症の順に頻度が高く,これらは合わせて4大認知症とよばれる。これらの疾患の診断・治療にはまだ明らかになっていない部分も多く,診療ガイドライン間で推奨する内容にも差がある。今回は,そのような認知症診療についてPros(賛成),Cons(反対)の両者の立場から検討してみる。

  • 文献概要を表示

一般外来において身体症状を訴えて受診するも,身体診察や各種の検査からは異常が見つからず,メンタルの問題を疑われるケースは少なくない。

通常は器質的疾患を除外してから精神疾患を考えるのが原則である。しかし実際の臨床現場では,身体症状が精神疾患の症状の1つとして出現したり,身体と精神双方の問題が同時に存在することもあり得る。例えば味覚異常で外来を受診した患者において,血清亜鉛値が若干低いがうつ状態にある場合など,身体問題もありそうだがうつ病を否定できないこともある。

 したがって,一般内科医,ホスピタリストとしては,身体症状を呈する患者からいかに精神科の問題を見極めていくか,どのようなケースは精神科へ紹介すべきかについて理解しておく必要がある。本稿では,精神科医の立場から述べてみたい。

  • 文献概要を表示

内科受診患者のなかで,疾患頻度として精神疾患は非常に多い。一般人口でうつ病は10%にみられるといわれ1),また,うつ症状で初めて受診する診療科は内科が64.7%と最も多い2)。当然のことながら,患者の訴えから「典型的な精神疾患」と思っても,内因性疾患による症状である可能性にはいつも注意が必要である。また,「よくある精神疾患」と「よくある内因性疾患」は併存もあり得ることにも注意したい。

 本稿では3つの症例をもとに,精神疾患と間違えやすい内因性疾患にどのようにアプローチすべきか考えていきたい。

  • 文献概要を表示

外来診療において浮腫の訴えは非常に多いが,心,腎,肝,甲状腺疾患の原因検索までで思考停止していないだろうか。浮腫の原因は多岐にわたり,これら4病態が占める割合は決して高くはない。一方,慢性静脈不全chronic venous insufficiency(CVI)は,日本では見逃されがちだが,原因として比較的多いことが知られている。

 腫瘍におけるTNM分類に倣って,CVIには国際的にCEAP分類が使用されているが(表1)1),海外の疫学情報2)によると,CVIの有病率は,毛細血管拡張を伴うC1は最大80%,静脈瘤を伴うC2は20〜64%,浮腫を伴うC3を含むC3〜C6が5%,皮膚に潰瘍を伴う最重症の状態のC5+C6で約1〜2%と報告されている。また,日本は含まれていないが世界の各地域別に調べた9万人のCVI患者での解析3)では,浮腫を伴うC3は,14.7%(女性16.6%,男性10.1%)にみられた。

 本稿では全身性浮腫の鑑別をいかに漏れなく行うか,上肢などの部分的な浮腫をみたときにどうアプローチするか,の大きく2項目に分け,症例を通して紹介する。

  • 文献概要を表示

腰痛を訴える患者は非常に多い。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)乱用の原因となっているわりに,重要な運動を指導していなかったり,MRIをすぐに撮り,症状とは関連がない椎間板ヘルニアと診断している症例も多いと思われる。ほとんどの腰痛はそれで何となくうまくいっているようにみえてしまうのだが,果たして本当にそれでよいのだろうか?

 本稿では,薬や画像でごまかさず,頻度をふまえた適切なアプローチができるように,腰痛症について解説する。

  • 文献概要を表示

外来診療には多種多様な疾患を抱えた患者が多くやってくるが,そのなかで爪にどれだけ注目して診察を行っているだろうか。ばち指clubbingや匙状爪spoon nailなどが有名であるが,それ以外にも爪に関する所見は数多く存在する。多くの病態を反映する窓として爪を診察できるように,本稿では,爪と全身疾患との関係について述べていく。

  • 文献概要を表示

「身体の健康障害」という切り口にもかかわる総合診療医は,その背後に隠れている複雑な事情をもつ重大なアルコール使用障害を予見したうえで,不適切な飲酒をスクリーニングし,必要に応じて専門治療へとつながなくてはならない。

 一方で,アルコール使用障害が起きたときに,専門家の支援はいつも側にあるわけではない。専門家以外の1人1人の医療者が,即座に,アルコール使用障害をもった人が適切な専門的支援を受けられるよう支援することが重要である。そのために,総合診療医はアルコール使用障害の特徴を知るとともに,自身ができる介入方法を知っておく必要がある。

 本稿では,アルコール使用障害のスクリーニング方法に触れ,初期支援方法としてのメンタルヘルス・ファーストエイド(MHFA),介入方法としてのブリーフ・インターベンション(BI)を紹介する。

  • 文献概要を表示

種々の社会的事情などから対策が遅れている日本では,いまだ,例えば「喫煙者が減少しているにもかかわらず,肺がん死者数が増加している,すなわち,喫煙と肺がん死は関係がない」などという論を支持する者もいる。このような誤解が生じる背景には,喫煙の開始から各種疾患の発症までには数十年のタイムラグがあり,喫煙者の減少が各種疾患の減少に寄与するにもそれなりの時間がかかることすら理解されていない実情があるのではなかろうか。

 日本のタバコ消費のピークは1996年(平成8年)の3483億本1)であり,そこから20年あまりを経た現在は,まさに喫煙関連疾患の発症者・死亡者がピークを迎えている時期と考えられる。

  • 文献概要を表示

気がつけば,本連載も1年を超えて継続することができたようです。ウケが悪いから一発終了!という可能性も当初は危惧していましたが,ここまで続けてこられたのも読者の皆さまのおかげです。さて,今回は「教育」をテーマに2つのセミナーを取り上げてみたいと思います。

  • 文献概要を表示

2019年3月2日,名古屋大学医学部附属病院で悪性腫瘍をテーマに第10回JHNセミナーを開催しました。当日は全国から87名にご参加いただきました。プログラム前半は,腫瘍内科の先生方による特別講演および招聘レクチャー,後半は当院での症例をベースとしたワークショップ3本立ての構成といたしました。

 腫瘍内科の先生方による講演では,内科医としての心構えから始まり,がん患者さんとどうかかわるべきかといった基本的な理念,免疫チェックポイント阻害薬やその副作用といったがん治療の最前線,非専門の内科医ががん患者さんの診療にあたるときの具体的な注意点など,がん患者さんとのかかわりのなかで必要なことを幅広く学びました。その後のワークショップでは,参加者は3つのグループに分かれ,当院での症例をベースとして,がん患者さんの診療にあたるなかで起こる具体的な問題について,グループ内で話し合いながら進行しました。プログラム前半で学んだことをふまえ,追加知識についてのレクチャーも受けながら,それぞれの参加者の現場でどう活かしていくのかについて話し合いました。

 昼から始まり夕方まで,悪性腫瘍について濃厚に学ぶことができた半日となりました。

  • 文献概要を表示

1.Laparoscopic cholecystectomy versus percutaneous catheter drainage for acute cholecystitis in high risk patients(CHOCOLATE):multicentre randomised clinical trial. BMJ 2018;363:k3965. PMID:30297544

[研究デザイン]

多施設オープンラベル無作為化並行群間対照優越性試験

[背景・目的]

高リスクの急性胆石性胆囊炎において,腹腔鏡下胆囊摘出術が経皮的胆囊ドレナージ術(PTGBD)と比較して合併症,死亡を有意に減少するか評価する。

[対象]

東京ガイドラインに基づいて診断された18歳以上の胆石性胆囊炎の患者(オランダの11病院,2011年2月〜2016年1月:早期に終了)

[介入・方法]

基準を満たす患者を病院ごとに層別化し,LC群(腹腔鏡下胆囊摘出術を施行)とPC群(PTGBDを施行)に無作為に割り付けた(隠蔽化あり,患者-検者非盲検)。

[プライマリアウトカム]

1年以内の死亡率と次の重大な合併症:1か月以内の感染症と心臓・呼吸器系合併症,1年以内の再介入の必要性(急性胆囊炎と関連した手術,放射線治療,内視鏡治療),1年以内の胆道系疾患の再発(ITT解析)

  • 文献概要を表示

Chiba Clinical Skills Boot Campは「臨床研修で修得すべきフィジカルを極める!」をテーマとし,すべての臨床医に求められる諸専門領域の身体診察技術ならびに,それらを統合的に実施する技能を集中的に研鑽することを目的とした初期臨床研修医向けセミナーである。

 NPO法人千葉県医師研修支援ネットワークが主催となり,総合病院国保旭中央病院,亀田総合病院,東京ベイ・浦安市川医療センター,千葉大学医学部附属病院など県内屈指の研修病院が連携し,卓越した指導医によるセッションが展開される。第3回目となった2018年度は,同年12月9日にホテルポートプラザちばにて開催,主に千葉県で研修中の初期研修医と指導医の計71名が参加した。

--------------------

目次

掲示板

次号目次

基本情報

21880409.7.1.jpg
Hospitalist
7巻1号 (2019年3月)
電子版ISSN:2433-510X 印刷版ISSN:2188-0409 メディカル・サイエンス・インターナショナル

文献閲覧数ランキング(
8月12日~8月18日
)