特集 外来マネジメント
【各論】
10.浮腫—主な4つの病態と,よく見逃されている慢性静脈不全(CVI)!
工藤 仁隆
1
Masataka KUDO
1
1飯塚病院 総合診療科
pp.127-136
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900651
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外来診療において浮腫の訴えは非常に多いが,心,腎,肝,甲状腺疾患の原因検索までで思考停止していないだろうか。浮腫の原因は多岐にわたり,これら4病態が占める割合は決して高くはない。一方,慢性静脈不全chronic venous insufficiency(CVI)は,日本では見逃されがちだが,原因として比較的多いことが知られている。
腫瘍におけるTNM分類に倣って,CVIには国際的にCEAP分類が使用されているが(表1)1),海外の疫学情報2)によると,CVIの有病率は,毛細血管拡張を伴うC1は最大80%,静脈瘤を伴うC2は20〜64%,浮腫を伴うC3を含むC3〜C6が5%,皮膚に潰瘍を伴う最重症の状態のC5+C6で約1〜2%と報告されている。また,日本は含まれていないが世界の各地域別に調べた9万人のCVI患者での解析3)では,浮腫を伴うC3は,14.7%(女性16.6%,男性10.1%)にみられた。
本稿では全身性浮腫の鑑別をいかに漏れなく行うか,上肢などの部分的な浮腫をみたときにどうアプローチするか,の大きく2項目に分け,症例を通して紹介する。
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