日本看護診断学会誌（看護診断） 7巻1号 (2002年3月発行)

選択した文献の文献概要を表示する書誌情報をダウンロードする

すべて選択

巻頭言筒井　裕子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.5

PDF(827KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　日本看護診断学会はこれまでに11回のカンファレンスを開催し，その活動は大きく発展してきている．

　看護診断発足の地アメリカの北米看護診断協会（NANDA）は25周年記念カンファレンスを迎え，NANDA，NIC（看護介入），NOC（看護成果）のリンケージを図っていくことが強く唱われた．

日本看護診断学会第7回学術大会報告　21世紀―看護診断・介入・成果の実証

【会長講演】

成果の見える看護江本　愛子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.6-11

PDF(1062KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　わが国の文献に初めて“看護診断”という言葉が紹介されてから，ほぼ四半世紀が経過した．日本看護診断研究会が設立されたのが，ちょうど10年前の1991年6月8日である．2000年までに4回の看護診断研究会と，6回の学術大会が開催され，本日，第7回日本看護診断学会学術大会を迎えることができた．研究会を含め，わが国の看護診断に関する学術的な活動は10年という節目を経過し，21世紀の新たな局面を迎えている．

　この10年間に，看護診断はわが国の看護職者の間にある程度定着をみせている．先駆的な取り組みをしてきた施設では，看護実践を導くためのアセスメントガイドや新しい実践記録様式，あるいは記録監査様式などを独自に作成し，その結果を公表できる段階に入っている．わが国においては，臨床と比較すれば教育の場での活用が遅れているものの，看護診断は理念や導入の論議から一歩踏み込んで“実証”の時代に入ったといってよいであろう．そこで，この21世紀初の第7回日本看護診断学会学術大会のテーマを「看護診断・介入・成果の実証」とした．

　「優れた看護診断は看護活動を成功に導く1つの鍵である」と言ったのはベルンツバイクである¹⁾．この言葉は，優れた看護診断と介入，成果のつながりと，その結果を強調している．それらが十分リンクした実践は，結果として見える成果をもたらす1つの鍵なのではないだろうか．大会長講演に際し，「成果の見える看護」と題して，成果が見えるようになるための看護診断の課題について考察したい．

【招聘講演】

1．Movement toward a Standardized Nursing Language and its Background 7巻1号 , 2002年3月 , pp.12-17

PDF(832KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　Movement toward the development of a standardized nursing language has been continuous and evolving. Since the first conference on the classification of nursing diagnosis was held in St. Louis, Missouri (Gebbie & Lavin, ¹⁹⁷⁴⁾, there have been a series of classifications systems, data sets and nomenclatures generated to organize and define nursing language. Currently, the challenge has been to link these systems into a language system that can be used by nurses around the world. This challenge is intensified by the fact that as a discipline nursing lacks consensus around basic philosophical questions such as“WHAT IS NURSING?”As a result, nursing practice is often defined and described by actions nurses perform (that is what nurses do) rather than how nurses think.

1．標準看護用語への動きとその背景松木　光子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.18-23

PDF(996KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　看護標準用語開発への動きは，継続しかつ進展していっている．看護診断分類に関する最初のカンファレンス（Gebbie & Lavin, 1974）がミズーリ州セントルイスで開催されて以来，看護用語を組織し定義するための一連の分類システム，データセットや命名法が開発されてきた．最近，これらのシステムを用語システムに連携させ，世界中の看護婦が活用できるための挑戦が行われている．この挑戦にあたり，「看護とは何か」という基本的理念において一致がないという事実に直面している．その結果，看護実践としては看護婦たちがどう考えるかよりも，看護婦たちの行う行為をしばしば定義し，記述している．

2．The Development and Testing of the Functional Health Pattern Assessment Screening Tool (FHPAST) 7巻1号 , 2002年3月 , pp.24-31

PDF(841KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　The evolution of nursing science has been slow and gradual. While most of the language used to describe the science has focused heavily on describing what nurses do, recent trends seem move the discipline into strategies that reflect on the knowledge used to ground the science and guide interventions. The emphasis placed on the need for nurses to articulate contributions to patient care outcomes has placed renewed exploration on the language used by the discipline to describe the conceptual focus of practice and interventions used to relieve patient suffering and promote healing.

　There are several descriptions used to categorize different philosophic perspectives used to clarify nursing's disciplinary focus and guide the development nursing content. These have been described as Knowledge as Problem Solving, Knowledge as Process and Integrated Knowledge as Cosmic Imperative (Jones, ¹⁹⁹⁷⁾.

2．機能的健康パターンを用いたアセスメントスクリーニングツールFHPASTの開発と検証江川　隆子 , 本田　育美 7巻1号 , 2002年3月 , pp.32-40

PDF(1073KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　看護学の発展は，漸進的でゆっくりとしたものであった．これまで看護学を説明するのに用いられてきた用語のほとんどは，看護者が何をするのかということを記述することに焦点が当てられてきた．しかし，ここ最近の傾向は，看護学の基礎となる知識や介入を導く知識を反映した内容が盛り込まれるように変わってきたと思われる．それは，ケアの成果に対する貢献を明確に示そうという看護者のニーズに重点が置かれており，患者の苦しみを緩和し，癒しを促進するために行われる実践と介入の概念を記述するにあたり，専門家たちが用いる用語を新たに探究するというものであった．

　これまで看護学の専門領域を明確にし看護内容の発展を導くために用いられてきた記述とは異なる理念として分類されるものであり，そのような記述がさまざまに存在している．これらの理念には，“問題解決としての知識”，“プロセスとしての知識”，“宇宙の不可欠なものとしての統合された知識”があげられる（Jones, 1997）．

【特別教育講演】

Connectedness―A Concept for Understanding and Enhancing Spiritual Well-being 7巻1号 , 2002年3月 , pp.41-47

PDF(851KB)

有料閲覧

文献概要を表示

Ⅰ．Introduction

　Nursing scholars around the world generally agree on three basic points: First, that (1) nursing is a human science; second, that (2) humans are bio-psycho-social-spiritual and cultural beings; and third, that (3) promotion of optimal health or wellness in human beings is nursing's ethical and social mandate.

　Focus on the whole person is not new to nursing. Indeed, it is part of our heritage from Florence Nightingale. Nightingale demonstrated concern for the well-being of the total person (and the family), for creating a healthy environment, and for the development of nursing's role in promoting the health and well-being of individuals and families. With this heritage nursing has maintained commitment to promotion of health and wholeness as its primary concern. That commitment is affirmed in nursing science literature although with diverse viewpoints of what health as wholeness is, how it can be studied, or even promoted. Thus, current debate in nursing is not about the importance or primacy of wholeness, but about its mystery, and about which frameworks best support knowledge development related to wholeness. Imbedded in our attempts at knowledge development is the exploration of cultual influences on our understanding of wholeness, and in identifying nursing approaches to promoting wholeness.

結合性―スピリチュアル・ウエルビーイングを理解し高めるための概念野島　良子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.48-56

PDF(1070KB)

有料閲覧

文献概要を表示

Ⅰ．はじめに

　世界中の看護学者は，第一に，看護は人間科学である；第二に，人間は生物-心理-社会-精神的な存在であり，かつ文化的な存在である；第三に，人間の健康を最高度に増進させることは倫理的，社会的義務である，という3つの基本点において一致した考えをもっています．

　人間の全体性（whole person）に焦点を合わせることは，看護では目新しいことではありません．これはFlorence Nightingaleから引き継がれてきた遺産の一部です．Nightingaleはトータルな個人（と家族）のウエルビーイングに，健全な環境を創り出すことと看護の―すなわち，個人と家族の健康とwell-beingの増進をはかる役割ですが―発展に深い関心を示しています．この遺産に基づいて，看護は健康と人全体（wholeness）両方の増進を第一義的な関心として，かかわり続けてきました．このかかわりは，全体性としての健康とは何か，それはどのように研究できるだろうか，あるいはどのように増進できるだろうかといった点で見方に相違があるにせよ，看護科学の諸文献のなかでは確認されております．このように，看護において現在なされている議論は，人全体の重要性，あるいは卓越性についての議論ではなく，その神秘性についてと，どの概念枠組みが人全体に関する知識の開発を支えてくれるだろうか，ということについてなのです．知識を開発しようとしている私たちの試みには，本来人全体についての私たちの理解に与える文化的な影響の探求と，人の全体性を増進していくための看護の接近方法の同定が伴っています．

　この探求を進めるためには，生物学的，心理社会的，文化的存在としての人間存在の複雑で多次元的な本質を認めることが不可欠です．人間の生物学的，心理社会的側面はもうずっと以前から受け入れられ，看護ケアの概念枠組みのなかへ統合されてきています．スピリチュアルな側面，文化的側面は十分に認識されてきていますが，こうした領域にかかわる知識や実践は，依然として限られています．それにもかかわらず，職能団体（ICN）も規制団体（JCAHO）もスピリチュアルケアを看護実践のなかへ統合するよう，奨励しています．JCAHO（病院設置基準委員会と組織の合同委員会）は，現在，国際的に機能していますが，すべての患者にスピリチュアルケアが提供されるよう要請しています．ICN（国際看護婦協会）（1973）は，ナースは各個人の価値，習慣，スピリチュアルな信念が尊重される環境を増進していくべきであると述べています．

　スピリチュアル・ニーズに関してアセスメントし，介入するのは看護の責任です．しかしながら，ナースたちがあまり教育と訓練上の準備ができていないと感じている実践領域です．事実，すべてのナースが，ナースはスピリチュアルケアができる，あるいは当然するべきであると考えているわけではないのです．合衆国で186人の実践に携わっているRN（正看護婦）を対象に行ったある研究では，（回答者の）97％がナースは患者のスピリチュアルケアに取り組むべきだと信じているけれども，実際にそれをするための教育と訓練上の準備ができていると感じているのは，たったの66％にすぎません（Treloar, 1999）．そのうえ，現在の職員配置パターンは，ナースを身体的あるいは心理社会的ニーズに対するケアで精一杯な状態においているのであって，いわんやスピリチュアルケアをする状態ではないのです．しかし，看護の理論家や教育者たちが自分の役割を果たし，ナースたちがケアに関してスピリチュアルな側面について十分な教育を受けるならば，スピリチュアルケアは看護実践の統合された部分となってくることが可能だし，また，そのために多くの時間が余分に必要になるということはないのだと，文献などでは論じられています（Oldnall, 1996）．

　本日，この学会では，看護実践はいかにすれば人間のスピリチュアルな癒しを増進していくことができるか，ということについて考えていく予定です．スピリチュアリティと人としての全体性（human wholeness）の概念と，こうした概念に関連した看護診断について考察することを通して，この作業を進めていくつもりです．最後に，結合性の概念を私たちの知識の基盤や実践に関連づけて考察してしめくくりたいと思います．看護，言い換えれば人間のスピリチュアルな次元と，この領域におけるアセスメントと介入における看護の役割について，みなさんと一緒に考える機会をもてることを歓迎します．

【事例セッション報告】

看護診断の妥当性の検討―同僚相互評価を用いて大竹　芳子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.57-58

PDF(869KB)

有料閲覧

文献概要を表示

［プレゼンター］開田有紀子，阿部征子（亀田総合病院）

［評価者］渡辺八重子，曽我辺洋子（亀田総合病院）

［コメンテーター］鈴木恵子（三育学院短期大学看護学科）

　妥当性の高い看護診断を行うことにより，質の高い個別の看護ができる．看護診断能力を高める1つ方法として，他者が導き出した看護診断を“評価”する方法がある．

　評価をするためには，事例を看護診断概念の知識をもとに，自分で論理学の筋道に沿ってクリティカルに考え，結論を導き出さなければならない．

【フォーラム】

1．看護診断・介入・成果―今日の焦点大島　弓子 , 岩井　郁子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.59

PDF(845KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　21世紀の医療・看護は，患者の主体性が強調されることや医療経済の効率性が厳しく論議されるなど，多くの点で変革が求められている．このような現状のなかで，看護職者がその専門性を発揮して，これらの変革に対応した看護を実践を通して実証していく必要性が急務でもある．

　「看護診断」に関する課題もその理論性の多様な論議を土台として，その実証を明確にしていくことが重要であろう．

2．日本文化に即した看護診断用語上鶴（佐藤）　重美 7巻1号 , 2002年3月 , pp.60-61

PDF(887KB)

有料閲覧

文献概要を表示

文化とは何か

　文化人類学者のEdward Hall¹⁾は，「人間の生活のあらゆる側面における行動や反応を導くもの」と文化を定義している．「日本文化に即した看護用語」を考える前に，日本と北米の看護にみられる文化的な差異を明確にしておかなければならない．といっても，2つの文化が異なっているらしいことはさまざまな場面で感ずるが，一言で表すとなると容易ではない．不変という視点でみれば，日本には島国独特の土地風土，環境，四季の移り変わりがある．そのなかで生活している日本人は，自然を受け入れ，自然と一体化し，変化に対し敏感に反応している．だから，日本のナースには独特な繊細さ，察しや思いやりがあるのではないか．このように，日本と北米の看護にさまざまな違いがあることは否めない．

3．IT時代における電子カルテと看護診断山下　美由紀 7巻1号 , 2002年3月 , pp.62-65

PDF(1163KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　1999年4月22日に厚生省（当時）から診療録などの電子媒体による保存が認められた．看護記録も診療録の一部であることから，適正な電子看護記録のあり方や課題の検討が必要になってきた．そこで，看護診断を用いた看護記録を電子化するためにどのような取り組みを行ったのか，当院のシステム構築の実際を踏まえて報告し，今後電子看護記録を開発するための参考に供したい．

4．協働と連携における看護診断用語の課題―看護診断用語に関する医師サイドからの一考察川村　雅文 7巻1号 , 2002年3月 , pp.66-68

PDF(931KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　看護診断は，看護をより客観性の高いもの，すなわち看護学へと発展させていくためのツールとして重要と考える．

　看護行為を評価するには，その対象を明確に規定する必要がある．これは病名（診断名）があって初めて治療行為が正当化されることと同じであろう．

5．看護実践国際分類（ICNP）の動向と今後の課題岡谷　恵子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.69-72

PDF(924KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　1989年に国際看護婦協会（ICN）は，看護実践を表す世界共通の言語を確立することを決議し，1990年にプロジェクトを発足させました．看護実践国際分類（ICNP）のプロジェクトは，国や人種や文化を越えて，また時と場所を越えて，世界中のあらゆるところで提供されている看護ケアの比較ができるように看護実践のすべてを定義し，世界共通の言語を構築しようという21世紀の看護の次なる進歩を目指す壮大なものです．ICNPとは，International Classification for Nursing Practice（看護実践国際分類）の頭文字をとって略したものですが，同時に看護実践国際分類の開発に取り組むICNのプロジェクトをも指しております．

【交流セッション】

A．クリティカルケアと看護診断藤村　龍子 , 松田　美紀子 , 雄西　智恵美 , 江川　幸二 , 早野　智子 , 東　利江 , 石井　まり子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.73-75

PDF(917KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　クリティカルケアが必要な人は，なんらかの要因によって身体の組織・臓器に障害をきたしている．また，自分の存在が脅威にさらされ，強度の不安や恐怖を体験している．多くは呼吸・循環・代謝障害や意識障害を伴っているために，自己防御機能も低下している．同様に，患者家族のケアニーズも高い状況にある．ここでは，速効性と，正確な病態診断・看護診断に基づいた治療や看護介入が求められる．

　これまで，クリティカルケア領域の看護診断用語の開発には，医学的病態診断用語が多く使用され，困難な障壁があった．

B．リハビリテーション領域への看護診断導入の課題石鍋　圭子 , 石川　ふみよ 7巻1号 , 2002年3月 , pp.76-78

PDF(946KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　リハビリテーション領域の交流セッションでは，看護診断の導入・活用状況について，石鍋・石川の報告を受けて，約80名の参加者が活発な意見交換を行った．参加者の大半はリハビリテーション病院または関連の深い診療科の病棟看護婦であったため，臨床場面で直面している具体的な問題が提起され，各施設でのさまざまな取り組みが紹介された．

C．在宅ケアにおける看護診断の活用と今後の課題草刈　淳子 , 鹿渡　登史子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.79-80

PDF(918KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　近年医療・看護の在宅化が進むなかで，さまざまな問題を抱えつつ開始された介護保険制度も，2年目を迎えた．医療・保健・福祉の多職種協働の場である在宅でこそ，看護の専門性の明示から看護診断の活用は大いに望まれるところだが，実際に看護診断を導入しているところは少ない．昨今の訪問看護の現場は，介護保険制度で開発されたケアマネジメントツールなどの導入が必須課題であり，看護診断の活用まではとても手が回らないのが実情であろう．過去2回の在宅ケア領域看護診断検討会のヒアリングにおいても，看護診断の必要性，有効性はわかるが，導入までの余裕がないとの意見が聞かれていた．

　そこで，このセッションでは，在宅領域で看護診断を使用している日本大学板橋病院ホームケア相談室のプレゼンテーションを糸口にして，在宅ケアにおける看護診断の活用と今後の課題について，参加者と検討を行った．

D．助産診断の実際―学生指導を通して青木　康子 , 齋藤　益子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.81-84

PDF(960KB)

有料閲覧

文献概要を表示

趣旨

　ウェルネス型看護診断の代表ともいうべき助産診断が，助産婦教育のカリキュラムに登場したのは平成元年であり，歴史は非常に浅い．したがって，助産診断についての考えや教育内容・教育方法について各教育機関の自由裁量で教育が行われている．また，病院では実在型看護診断が普及し，ややもすれば健康の維持増進に対応するウェルネス型の看護診断を主流にしなければならない産科棟や新生児室も包含しかねない状況にある．

　一方，わが国では開業助産婦がもつ助産診断の伝統があり，ウェルネス型看護診断では先駆的である．それらを見直すことが助産婦の独自性を確保する大きな要因である．

　今回は，実践活動に密着した助産診断の確立を目指して発足した日本助産診断・実践研究会が開発した助産診断類型を活用した教授-学習活動の実践例をもとに，ウェルネス型看護診断としての助産診断についての互いの認識を語り合い，教育・実践の現場での今後の有り様をともに考えたい意図から交流集会の場を希望し，その場を得ることができた．

E．産業看護と臨床看護の連携のための看護診断荒木　郁乃 , 河野　啓子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.85-86

PDF(904KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　今回の交流セッションの目的は，臨床の看護職の方々との連携に焦点を当て，臨床看護の視点から産業看護診断についてのご意見をいただき，産業看護診断をより完成度の高いものにすることであった．

　セッションではまず，産業看護の本質論と産業看護診断の開発過程について紹介した．次に，臨床看護職と産業看護職の連携についての事例を示し，それらをもとに全体討議を行い，今後の方向性を探った．

F．看護基礎教育における看護診断の教授/学習中木　高夫 , 小澤　雪絵 7巻1号 , 2002年3月 , pp.87-88

PDF(859KB)

有料閲覧

文献概要を表示

プログラム

　最初の名古屋大学医学部保健学科看護学専攻における看護診断関連の教育について，ファシリテーターの中木からプレゼンテーションがあった（詳細は，「看護診断」4(2), 125-126, 1999）．

　その後，4グループ各10名程度に分かれてグループワークを行った．小澤が参加したグループの内訳は大学2名，看護専門学校教員8名（うち看護診断を取り入れている学校は2校）であった．

【ワークショップ】

介入・成果につなげよう看護診断古橋　洋子 , 岡崎　寿美子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.89-90

PDF(871KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　日本看護診断学会でワークショップを取り入れて4回目を迎える．企画は企画委員会で行い，岡崎と古橋が担当した．目的を「効果的な看護実践をするために看護診断の定義や診断指標をグループを通しながら理解を深められる」こととし，より臨床の現場で使えるように考えた．検討した診断名は，使用頻度の高い11項目を抽出した．

　参加受付は開場と同時に行ったが，10時30分にはすべての項目が定員の11名に達してしまい，大勢の方が参加できず，大変迷惑をかけてしまった．どうしても参加したいという希望が多く，会場で急遽グループメンバーとして討議に加わってもらい参加人数は121名になった．

　スケジュールは，学会2日目の13時30分から16時30分の4時間で，グループ討議は90分，グループ発表は5分程度で全グループがOHPを使って発表した．発表後に，コメンテータの小笠原先生から助言を受け，理解を深めることができた（表1）．

【原著】

ボディイメージの変化に対処していく周手術期患者の「力」とその具体的方略に関するマイクロ・エスノグラフィー藤崎　郁 7巻1号 , 2002年3月 , pp.91-102

PDF(1236KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　乳房または甲状腺を摘出する患者の周手術期にフィールドワークを行い，病気や手術によって自分の身体に急激な変化が起こったとき，人は身体とボディイメージの変化にどのように対処していくのかという問いについて考察した．患者たちは，術前から「否認の方略」「棚上げの方略」「理由探しの方略」「セレモニーの方略」「取り込みの方略」「報奨の方略」をうまく駆使し，身体に関する知覚や感覚のさまざまな変化を「回復のストーリー」のなかに回収して，前向きなボディイメージをつくりあげていく力をもっていた．また，その途中で一時的に身体への注目度や関心が増大して，看護診断〈ボディイメージ混乱〉の状態と近似する諸反応が出現することがあっても，多くの場合は回復のストーリーを強化・成熟させ，自らの力でボディイメージの混乱状態を回避できるということもわかった．

わが国の看護記録にみるNANDA看護診断〈不安〉に対する看護介入および看護成果の実態―NOCとNICを骨組みとして作成した分析枠組みを用いて松浦　真理子 , 黒田　裕子 , 柳井田　恭子 , 三沢　伸明 , 増田　光代 7巻1号 , 2002年3月 , pp.103-112

PDF(1133KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　本研究の目的は，わが国の看護記録にみる看護介入と看護成果の実態を明らかにすること，さらにNICとNOCの必要性を追究することである．NANDA看護診断〈不安〉に対する看護介入および看護成果の記録の実態を分析するために，NICを基礎に「看護介入の分析枠組み」を，NOCを基礎に「看護成果の分析枠組み」を作成した．37事例を分析した結果，看護介入は5下位尺度のすべてに複数該当し，この該当パターンより看護介入は16カテゴリーを抽出し，看護介入の特徴を明らかにした．看護成果は4下位尺度のうち，3下位尺度に複数該当し，この該当パターンより看護成果は13カテゴリーを抽出し，看護成果の特徴を明らかにした．今後，NICを参考にして看護介入を考えていくことで，看護診断に向けられた介入の意図や方向を明確化できること，さらにNOCを参考にすることで看護成果の選択肢を増やしていくことが可能となることが示唆された．

【実践報告】

看護基礎教育における看護診断の学習プログラムの評価清水　妙子 , 志賀　厚子 , 河原田　栄子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.113-118

PDF(1021KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　本校では，1992年より看護診断の学習をカリキュラムのなかに組み入れ，組織的に取り組んできた．学内演習と臨地実習で用いる頻度の高い診断名は，両者とも〈セルフケアの不足〉〈安楽の変調〉〈感染のリスク状態〉であった．これらは，マズローのニーズの序列から考えると，下位のニーズに含まれる基本的な看護に関連する診断名であり，繰り返し学習されることで理解が深められていた．臨地実習における3つの時期（基礎看護実習終了時，2年実習終了時，3年実習終了時）における診断プロセスの学習到達度は，検定により評価点が上昇しているといえる．また，2年次でほぼ当校の到達点に達成していた．これらは学習プログラムの効果である．評価点の低い項目は，「判断，問題の確認」「共同問題との鑑別」であった．これは，学生が実践力を高める過程で表面化してくる問題であり，今後の課題である．

【日本看護診断学会用語検討委員会報告】

看護診断を導入した看護基礎教育カリキュラムに関する検討：文献的考察黒田　裕子 , 野島　良子 , 小田　正枝 , 菊地　登喜子 , 近田　敬子 , 中木　高夫 , 新道　幸惠 7巻1号 , 2002年3月 , pp.119-127

PDF(1120KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　日本看護診断学会用語検討委員会は，看護基礎教育カリキュラムへの看護診断の取り入れに関する調査結果を受けて，看護診断を取り入れたカリキュラム・モデルをわが国おいて早急に開発する必要があると考えた．そのために今回早くから看護診断をカリキュラムに取り入れている米国の関連文献をレビューした．米国では1980年代より看護診断を基礎教育に取り入れる動きがみられるようになり，1990年代にはこの傾向が定着してきた．それ以降，今日にかけては，看護診断を取り入れた効果を測定する研究へと変化していることがわかった．さらに，基礎教育への看護診断の具体的な取り入れを，1）コア大学における教育プログラムの査定内容の例証，2）FrischらによるNANDA分類システムを基礎としたカリキュラム開発の例証，3）ロウレル大学看護学部の学部3年生に限定したカリキュラム部分改正の例証の3つを中心として紹介し，考察した．

【日本看護診断学会研究推進委員会報告】

在宅ケア領域における看護診断をめぐる課題草刈　淳子 , 青木　康子 , 岩井　郁子 , 江本　愛子 , 大島　弓子 , 藤村　龍子 , 古橋　洋子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.128-132

PDF(1002KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　研究推進委員会では，これからは各専門領域固有の問題について明らかにし，研究推進していくことが重要と考え，在宅ケア領域について第1回看護診断検討会を平成11年度末に開催した．訪問看護婦・保健婦の看護診断用語使用群と未使用群により，この領域独自の問題について自由討議形式で話し合いをしたのちに，研究推進委員が項目別に課題の抽出・整理を行った．概して，介護保険施行にあたってMinimum Data Setが導入され，それに慣れるのに精一杯で，看護診断の意義はわかるが，さらに看護診断用語を取り入れる余裕がない実態が明らかにされた．また，現在の看護診断名が翻訳もので，日本の実情に合いにくい面があることも指摘され，在宅ケア現場で使いやすいものに改定されることが導入を進めるうえでも期待された．平成12年度末に開催した第2回検討会では，クリティカルケア領域検討会で初めて採用したフォーカスグループ面接法（焦点集団面接法）を使うこととし，在宅ケア領域用に設問を一部修正し，ヒアリングにより実情把握を行った．ヒアリングメンバーは，第1回検討会に出席した訪問看護婦半数に，新たに実施している施設1名および大学教師2名を加え，研究推進委員もそれぞれ役割を分担して実施した．設問毎に各メンバーの意見を問い，テープとフィールドノートにより確認した．自由討議と比較し，はるかに深い意見交換がなされ，この領域独特の問題と共通問題が抽出された．

クリティカルケア領域における看護診断をめぐる課題―フォーカスグループメソッドによるアプローチからの考察藤村　龍子 , 岩井　郁子 , 江本　愛子 , 大島　弓子 , 古橋　洋子 , 青木　康子 , 草刈　淳子 7巻1号 , 2002年3月 , pp.133-139

PDF(1072KB)

有料閲覧

文献概要を表示

　The purpose of this study is to clarify the specific task concerning nursing daiagnoses in critical care nursing. Japan Society of Nursing Diagnosis, the research committee used a method of focus-group interview of 6 expert nurses to pick out tasks. They pointed out such problems as cultural disparity in defining characteristics, incomprehensible term due to translation, and ambiguity of daignostic validity while approving the value as a common and standard nursing language. In addition, who and how to take responsibility after being diagnosed, nurses' inadequate ability to diagnoses and so on we were so pointed out. Particularly, in the critical-care settings where prompt and correct clinical judgment should be regarded as a grave concern, it was pointed out that the nurses were in a state of difficulty in differntiating and making a decision among nursing diagnoses, collaborative problem and potential complication, and that they were seeking a constructive method to solve it. A debates was conducted to develop diagnostic labels related to a delay in post-operative recovery, and syndrome nursing diagnoses. It was confirmed that although introducing an electronic nursing records must be necessary to process information, future development of some softwares was awaited since the present minimum database was not completed sufficiently at the moment.

--------------------

看護診断ラベル訳語（案） 7巻1号 , 2002年3月 , pp.140-146

文献概要を表示

都合により閲覧が許可されていません

日本看護診断学会理事会報告，評議員会報告，総会記録 7巻1号 , 2002年3月 , pp.147-159

文献概要を表示

都合により閲覧が許可されていません

日本看護診断学会会則 7巻1号 , 2002年3月 , pp.160-163

文献概要を表示

都合により閲覧が許可されていません

日本看護診断学会誌『看護診断』投稿規定 7巻1号 , 2002年3月 , pp.164

文献概要を表示

都合により閲覧が許可されていません

2002年度日本看護診断学会研究助成に関する募集 7巻1号 , 2002年3月 , pp.165

文献概要を表示

都合により閲覧が許可されていません

評議員名簿／編集後記 7巻1号 , 2002年3月 , pp.166

文献概要を表示

都合により閲覧が許可されていません

基本情報

日本看護診断学会誌（看護診断）
7巻1号
(2002年3月発行)

電子版ISSN：2758-643X 印刷版ISSN：1341-3007 日本看護診断学会

お気に入り登録(雑誌)
お気に入り登録(号)
最新号をみる

バックナンバー ( 閲覧可 )

30巻(2025年)
29巻(2024年)
28巻(2023年)
27巻(2022年)
26巻(2021年)
25巻(2020年)
24巻(2019年)
23巻(2018年)
22巻(2017年)
21巻(2016年)
20巻(2015年)
19巻(2014年)
18巻(2013年)
17巻(2012年)
16巻(2011年)
15巻(2010年)
14巻(2009年)
13巻(2008年)
12巻(2007年)
11巻(2006年)
10巻(2005年)
9巻(2004年)
8巻(2003年)
7巻(2002年)
6巻(2001年)
5巻(2000年)
4巻(1999年)
3巻(1998年)
2巻(1997年)
1巻(1996年)

文献閲覧数ランキング(
10月20日～10月26日
)

第1位看護師の便秘に対するケア選択の実態―診断指標，原因・関連因子，ケア選択の分析を通して市川香史,大島弓子,門井貴子日本看護診断学会誌（看護診断） 13巻 1号 pp. 28-37 (2008年3月15日) 日本看護診断学会
第2位看護師のACP（Advance Care Planning）支援行動の実際と影響要因橋本容子,長谷川智子日本看護診断学会誌（看護診断） 26巻 1号 pp. 4-12 (2021年3月15日) 日本看護診断学会
第3位日々の看護実践から研究の問い（リサーチクエスチョン）を産み出す片山由加里,中嶋智子,曽田陽子,佐々木真紀子,矢田眞美子,大島弓子日本看護診断学会誌（看護診断） 24巻 1号 pp. 64-72 (2019年3月15日) 日本看護診断学会
第4位地域包括ケアに携わる看護職の引き継ぎに用いる看護サマリー活用の実態酒井志保日本看護診断学会誌（看護診断） 27巻 1号 pp. 4-14 (2022年3月15日) 日本看護診断学会
第5位 2. 手術室看護師が立案した周手術期におけるハイリスク患者の看護診断の特徴青池智小都,長谷川智子日本看護診断学会誌（看護診断） 24巻 1号 pp. 12-22 (2019年3月15日) 日本看護診断学会
第6位オレムのセルフケア不足理論に基づく看護診断過程渡邉和子日本看護診断学会誌（看護診断） 4巻 1号 pp. 70-72 (1999年3月15日) 日本看護診断学会
第7位日本における人々の尊厳を保持する看護ケア：看護実践研究のメタエスノグラフィ片山由加里,萩本明子,木村洋子日本看護診断学会誌（看護診断） 30巻 1号 pp. 18-28 (2025年5月15日) 日本看護診断学会
第8位 2．危機理論と看護診断プロセス山勢博彰日本看護診断学会誌（看護診断） 14巻 1号 pp. 58-63 (2009年3月15日) 日本看護診断学会
第9位 3. わが国の看護診断研究における概念分析の現状と課題—概念分析の国内文献レビューを通して西澤和義,大島弓子日本看護診断学会誌（看護診断） 24巻 1号 pp. 23-31 (2019年3月15日) 日本看護診断学会
第10位精神科看護領域における“思考過程混乱”の概念分析の再検討武政奈保子,白石壽美子,篠原百合子,佐野陽子,谷田部佳代弥,茂木泰子,鹿澤京子,山勝裕子,酒井克子,野村知恵日本看護診断学会誌（看護診断） 14巻 1号 pp. 5-14 (2009年3月15日) 日本看護診断学会

年間購読申込

日本看護診断学会誌（看護診断） 7巻1号 (2002年3月発行)

日本看護診断学会第7回学術大会報告 21世紀―看護診断・介入・成果の実証

【会長講演】

【招聘講演】

【特別教育講演】

【事例セッション報告】

【フォーラム】

【交流セッション】

【ワークショップ】

【原著】

【実践報告】

【日本看護診断学会用語検討委員会報告】

【日本看護診断学会研究推進委員会報告】

--------------------

基本情報

バックナンバー ( 閲覧可 )

文献閲覧数ランキング( 10月20日～10月26日)

日本看護診断学会第7回学術大会報告　21世紀―看護診断・介入・成果の実証

文献閲覧数ランキング(
10月20日～10月26日
)