日本看護診断学会・第30回学術大会報告 【シンポジウム・1】
看護の質を保証する看護実践の教育とは
本田 裕美
1
Yumi Honda
1
1東京医科大学病院
1Tokyo Medical University Hospital
pp.50-54
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134130070300010050
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I. はじめに
日本に「看護診断」が紹介され,看護診断論争が起きたのは1980年代のことである.論争に関する文献では「看護師が診断する」「診断する責任」という部分に注目が集まっていた.その後,看護診断は看護過程の一段階に位置づけられ,診断に関する教育は看護過程と一緒に根付いてきた.看護診断は,「診断する・支援する・問題解決を成果として確認する」という考えとともに,看護過程なくしては使うことができないという認識も同時に浸透し,現在でも「診断するプロセス」を中心に「看護過程」の中に存在している.特に臨床においては,「看護診断」=「診断するプロセスなしには使用できない」との認識は根深い.
看護診断は看護の専門性を表す大切な共通用語であるが,筆者はこれからの看護診断は「診断する」思考プロセスの中にだけあるのではなく,即時判断とその実践の根拠として活用すべき方向にあると捉えている.日本の医療提供の現状と今後を見つめ,看護の「質」を保証する看護実践の教育のあり方と看護診断に対する位置づけについて述べたいと思う.
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