LiSA 24巻4号 (2017年4月)

徹底分析シリーズ 麻酔科医のプロフェッショナリズムを考える

巻頭言 髙田 真二
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「プロフェッショナル」と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?その名を冠したテレビ番組があるように,「プロ」のイメージは一般にも広く浸透していますが,今回は言葉の本来の意味から麻酔科医のプロフェッショナリズムを考えます。なんだか難しそうだなあって? 確かに。だってプロフェッショナリズムに唯一の正解はないのだから。誰しもが日々の実践の現場で格闘し,上手くいったことも上手くいかなかったことも含めて自分の経験を振り返り続ける中で,自分にとってのプロフェッショナリズムを追い求めているのです。

 毎年4月号は,新しく麻酔科医の道を歩み始めた仲間たちにまず身につけてほしい麻酔科医の「基本のき」といえるテーマを取りあげてきました。プロフェッショナリズムもその一つです。これまでと少し違うのは,プロフェッショナリズムは新人だけでなく,ベテランであっても生涯学び続けなければならない目標であるという点です。これから何十年と続く皆さんの麻酔科医としての人生の伴走者として,私たちも共に山の頂を目指したいと思います。本特集がその良き道標となることを願っています。

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Question 0

あなたの医師としての“プロフェッショナル度”はどのくらいか。

 a. 10%

 b. 30%

 c. 50%

 d. 70%

 e. 90%

これは,臨床医の“プロフェッショナル度”を評価する究極の質問である。本稿を読んだ後にもう一度自分で同じ質問を投げかけてほしい。

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医師の養成課程(医学教育モデル・コア・カリキュラムや臨床研修制度の到達目標)や生涯教育課程(日本医師会の生涯教育のカリキュラム)において,現在,プロフェッショナリズムは最も重要な学修目標とされている。このことは,医療現場を取り巻くさまざまな状況の変化によって,患者,社会の医師に対する態度や行動が変化したり,また,医師自身の態度や行動が変化したりしているためかもしれない。例えば,頻発する医療事故とそれに対する医師の不適切な対応などのために,患者,社会は医師に対する信頼を低下させている可能性がある。この医師はプロフェッショナルなのか?という不信感を患者がもったとしたら,患者は安心して自分の身をその医師に任せることはできず,患者に有益な医療は成り立たない。

 個人個人の医師がプロフェッショナリズムを備え,また医師集団が全体としてプロフェッショナリズムを備え,それを患者,社会が理解することで,両者のよりよい関係が構築される。その信頼を得る責任がわれわれ医師にはある。その基盤となるのがプロフェッショナリズムへの理解である。

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近年では再生医療,生殖医療分野の技術革新が目覚ましく,人の手によりヒトを創ることも現実味を帯びてきている。科学技術の革新はとどまるところを知らず,ヒトへの応用を求める声は圧倒的に大きくなっている。しかし,社会全体の価値観を無視した科学者の暴走により,人権が軽視されてきたことを,過去の歴史は伝える。「倫理」は,なにやら難解な空想や,古代の哲学者だけのものではない。プロフェッションに必要な“生きた”医療倫理がそこにある。

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「プロフェッショナルとは」「プロフェッショナリズムとは」……明確な答えを出しにくい問いだが,すでに読者は「プレテスト」や「臨床現場での学び方」で基本的な概念を理解したと思う。本稿では,これから麻酔科専門医をめざす読者とともに「麻酔科医のプロフェッショナリズム」を本音で考えたい。プロフェッショナリズムに関する総論的考察1)は,1年前の本誌徹底分析「麻酔科医として歩み始めたあなたへ」の「専門医のその先に:プロフェッショナルに求められるもの」で述べたので,あわせてご参照いただきたい。

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前稿では,患者の安全が脅かされているときに麻酔科医が「笛を吹く」ことの重要性を述べた。笛を吹く相手は,危険な(無謀な)手術をやり続ける外科医だけだろうか?もし,同じ組織の麻酔科医が患者安全を脅かしているとしたら?外部(外科医)に対して厳しく笛を吹き続けるプロフェッショナルな麻酔科医が,もし身内の問題を見て見ぬふりをしていたとすれば,その麻酔科医のプロフェッショナリズムとはいったいなんだろうか?医師憲章の10の責務にある「プロフェッショナルの責任を果たす責務」とはどういう意味なのだろうか?

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私がLiSAの創刊に携わったのは,もう20年以上も前のことです。

 創刊後,しばらくして,自分の手術・麻酔体験を連載したのは懐かしい思い出ですが,今回も私事から始めますことをご容赦ください。なぜか,『LiSA』の記事を依頼されると,手術を受ける羽目に陥る気がしてなりません。

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significant event analysis(SEA)とは,プロフェッショナリズムの学修方法の一つである1)。その起源は,1950年代にFlanaganによって開発された米国空軍における危機管理トレーニングcritical incident technique(CIT)とされている2)。CITは,1980年代には,医療現場で起こった重大事象の分析に使用された。そして現在,CITはSEAへと形を変え,医療現場において医師のプロフェショナリズム学修に活用されている。

 SEAは,事例や症例に関して,①当事者が深く振り返り,②言語化し,③今後の改善に対する提言をする,という一連の流れで行われる。一人で行うこともあるし,チームで行うこともある。医療現場において多人数でSEAを行う場合は,チーム内のコミュニケーションの改善やチーム力の向上,チームの教育にメリットがあるとされている2)

 筆者は医療教育の専門家ではないし,もちろん危機管理の専門家でもない。しかし,麻酔においてはプロフェッショナルになりたい,プロフェッショナリズムにのっとって行動したいと思うし,少なくともそれを目指して日々臨床に取り組んでいる。こんな一般的な麻酔科医が,SEAをどのように考え,どのように実践しているか,ありのままをお伝えしたい。

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significant event analysis(SEA)を用いて効果的な振り返りをすることで,個々の行動変容を促すとともに,医療そのものの質の向上や,患者やその家族はもちろん,診療にかかわる医療従事者側の安全性の向上をも期待できる。これは,広義のquality improvementの一環としても重要な手法である。

 今回,私が日本で経験した苦い出来事を取り上げたい。6年前の一件であるが,今でも頻回に思い出しては,自分の中でさまざまな面からの「振り返り」を無意識に行っている。さらに今回は,NHSスコットランド教育局が新しく提唱するEnhanced SEAという手法で掘り下げてみたい。これまでSEAの問題点として,個人の失敗やミスそのものにフォーカスし,建設的なフィードバックに欠けること(blame culture)や悪いアウトカムを生じた事象を取り上げた当事者が周囲からのネガティブフィードバックにより精神的なケアを必要とする状態に陥ること(“second victim”syndrome)がよく取り上げられてきた。Enhanced SEA はhuman error theoryを取り入れて,個人の「後ろめたさ」や「ネガティブな印象付け」にフォーカスしないよう,周囲とのかかわりや環境因子などを取り込み,より客観的な分析につなげていこうとする手法である。個人の感情や行動変容といった“self”レベルに問題をとどめることなく,より全体的な改善につなげていくことこそがSEAの核である,と考える。

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●1 意義深い出来事

九州大学経済学府大学院産業マネジメント専攻,別名 九州大学ビジネス・スクール(略称QBS)に2008年度から2年間在学し,経営学修士号(MBA)を取得した。1年目に会計や企業倫理などの必修基礎科目を履修(写真1),2年目には応用科目に加え中村裕昭教授主催のゼミで経営の実践研究にあたり,財務分析のスペシャリストである教授に議論を挑んではねじ伏せられた1)。夕刻から開講する「夜学」スタイルで,学業と医師業を危ういバランスで両立させながらの道のりだった。

「白熱教室」として知られたマイケル・サンデルの講義の如く,QBSでも核となるのはディスカッションだ。同期生には有名企業の幹部候補生や弁護士,公認会計士さらに個人経営者や自治体職員など,多彩な顔ぶれが並んだ。ビジネス知識ゼロの引け目もあり,最初は発言のきっかけさえつかめなかったが,それが大きな誤りだと気づいたのは,内外の「実例」を題材に,背景の異なる参加者が述べ合う「ケース・メソッド」において。その目的は「用意された正解」への到達ではない。「専門家」しかもち得ないユニークな意見を統合し,まったく新しいアイディアを生み出すことである。要は,積極的に参加することに意義があると解釈し,麻酔科医としての経験をもとに意見すると,これが高く評価された。例えば,一足制移行の議論が遅々として進まなかったが,院長に働きかけたことですみやかにまとまった事例などを交えて,病院内で新規提案を行う際はより上位の上司に具申するほうが効果的だという話をすると,「垂直型組織におけるトップダウンの有効性」を示すものとして好評だった。閉講後の講義室に有志が居残りディスカッションを続ける気風もあり,これに加わることもあった。留学生との合同科目では公式言語が英語とされ,しばしばこれにも向き合った。

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国境なき医師団Médecins Sans Frontières(MSF)は,紛争地や自然災害の被災地で病院を運営,あるいは支援し,医療を受けにくくなってしまった人々へ緊急医療援助を提供している。MSFの活動で強く特徴づけられるのは,救急医療,外科手術を提供しているところだ。手術があるなら麻酔もあり,麻酔科医が求められる。MSFの麻酔科医として登録された筆者が初めて派遣されたのは,内戦が続くイエメンだった。

徹底分析シリーズ 続 痛み治療の素朴な疑問に答えます3

巻頭言 馬場 洋
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本特集は結果的に“素朴な疑問”というよりも,回答者を悩ませるような設問が多くなってしまい,4月号も例外ではありません。

 リドカインの静脈内投与は帯状疱疹後神経痛などの神経障害性痛には少なくとも一時的には有効であることが多いですが,具体的な投与法,量,施行頻度,継続期間などが明記されているガイドラインはありません。私個人としては,気管支喘息患者に星状神経節ブロックや頸部胸部硬膜外ブロックをして喘息発作を起こされたことはありませんが,点滴ルートをとろうとして駆血帯を巻いただけで喘息発作を起こされた経験があります。喘息発作については,単に交感神経ブロックで説明できるほど簡単なものではないと感じていました。「アスピリンはピリンという言葉が含まれているがピリン系ではない」と,昔はよく言われたものですが,今は医師側の誤解よりも患者側の勘違いが問題となるようです。脊椎手術後の神経ブロックも悩ましい問題です。脊椎手術後で硬膜外腔がなくなっている,あるいは明らかに癒着していると思われる部位から硬膜外穿刺をする人はいないでしょうが,皮切部位から1〜2分節離して硬膜外穿刺をすると,意外と簡単に硬膜外腔に到達できることもあります。硬膜外膿瘍(感染)のため椎弓切除術をして除圧した後,どれくらい経過すれば脊髄刺激電極(異物)を入れてもよいのでしょうか。

 まだまだ,グレーゾーンの多い痛みの治療ですが,悩ましい疑問に回答していただいた執筆者には心から御礼申し上げます。2015年の初編と今回の続編が麻酔科医およびペインクリニシャンに有益な情報を与えてくれることを期待しつつ,本特集を終えたいと思います。

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リドカインの神経障害性疼痛に対する有用性については,静脈内投与と局所投与の二つの投与法に関する報告がある。本稿のテーマは「神経障害性疼痛にリドカインをどのように使えば効果的ですか」なので,まずはリドカインの位置づけを確認し,次いで各々の投与法に関する報告と有用性を確認していこう。

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星状神経節ブロックstellate ganglion block(SGB)や頸部胸部硬膜外ブロックは,頸部および胸部の交感神経を遮断することにより副交感神経優位の状況となる。気管支喘息の患者では,自律神経のバランスの異常により喘息発作が引き起こされると考えられていたため,以前から気管支喘息患者へのSGBの適応に関しては,賛否両論がある。気管支喘息の病態生理にもとづき,これまでの研究から,これらの施行の是非を検討する。

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ペインクリニック外来の新患患者に,あるいは麻酔の術前診察時に,必ず問診をするアレルギーの有無。その際に,“ピリン禁”とは,しばしば聞かれる言葉である。“ピリン禁”の患者に使ってはいけない薬は何か。それ以外に注意点はないか。痛みを診るペインクリニシャンにとって,周術期の鎮痛を図る麻酔科医にとって,これは基本的かつ重要な問題である。足元をすくわれないための知識をまとめてみた。

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アクセス可能かは術式によります。固定術と除圧術,前方手術と後方手術で大きく違います。くも膜下穿刺は後方固定術後だと不可能,後方除圧術後だと可能です。硬膜外麻酔は後方固定術後,除圧術後ともに不可能です。前方手術の場合はすべて問題なく可能です。腫瘍・感染の脊椎手術後の穿刺は禁忌,術中硬膜損傷を起こしている例では要注意です。

連載

Editorial拝見
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The New England Journal of Medicne

Editorial:

Thompson IM Jr. Improved therapy for PSA recurrence after prostatectomy. N Engl J Med 2017;376:484-5.

Article:

Shipley WU, Seiferheld W, Lukka HR, et al. Radiation with or without antiandrogen therapy in recurrent prostate cancer. N Engl J Med 2017;376:417-28.

■前立腺癌に対する基本的治療法は?

前立腺癌は加齢とともに増加し,食事の欧米化に加え,腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)検査の導入による診断技術の向上により,罹患者数は増加している。日本においては,前立腺癌の罹患者数は年間10万人と推定されている。限局性癌の場合には,手術療法と放射線療法が行われる。局所進行癌では放射線療法とホルモン療法の併用が行われる。治療後のフォローアップにはPSAの定期検査が行われる。前立腺癌の再発は,前立腺床や骨盤に多く起こる。前立腺癌が再発すると,PSAの上昇が認められる。前立腺全摘後の救済療法としては,一般的に救済放射線療法と救済内分泌療法が選択される。内分泌療法としてはGnRHアゴニスト療法や,抗アンドロゲン療法が用いられる。

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●Summary

全身麻酔導入後に,麻酔科医が手術室を退室中に麻酔回路が外れ,患者は低酸素症に陥った。麻酔科医の過失が刑事事件として取り扱われたが,最終的に過失は認められなかった。

連載 blockstories 超音波ガイド下末梢神経ブロック 実践49症例 その後

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「超音波ガイド下末梢神経ブロック②実践25症例」1)(2016年4月発行)で,超音波「プレスキャン」の意義について解説した。脊柱管ブロック(硬膜外・脊髄くも膜下ブロック)に際し,穿刺に先立って超音波診断=プレスキャンを行うことで適切な穿刺深度や刺入角度を予測でき,手技の確実性と安全性が向上する。例として膝関節鏡手術を挙げ,プレスキャン併用の硬膜外麻酔を最適な選択肢として示した。このとき,超音波ガイド下大腿神経ブロックfemoral nerve block(FNB)を,いわゆるプランBとして紹介したが,このプランBが環境によってはプランAになり得ることを示したい。

連載 漢方の歩き方 レーダーチャートで読み解く痛みの治療戦略:第28回

臨床応用編 口腔内の痛み 矢数 芳英
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矢:前回は,神経障害性疼痛でした。今回は,口腔内の痛みです。

荒:ペインクリニックではあまりみない領域です。三叉神経痛や非定型顔面痛などに関連して,口腔内の痛みがある患者さんを診ることはありそうですけど。

福:でも,緩和医療として,化学療法による口内炎による痛みを診ることはよくあると思います。

矢:そうですね。ペインクリニックにも口腔内の痛みを訴える患者さんはやって来ますが,やはり口腔外科のほうが症例は豊富なので,今回は当院の口腔外科の先生*1にも症例提示(症例1,3)に協力してもらいました。今回も,病態から治療戦略を考えていきましょう(図1)。

連載 今日も山日和:雲の上の診療所

第15座:西穂高診療所 佐藤 真司
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北アルプスの玄関口の診療所

西穂高岳は長野県と岐阜県の県境に位置し,山麓には上高地,新穂高温泉郷などの観光地があり,周囲には活火山の焼岳をはじめとして霞沢岳,笠ヶ岳,前穂高岳に囲まれ,北アルプスの玄関口でありながらダイナミックな岩稜を体験することができる。

 上高地から入山することも可能であるが,岐阜県側から新穂高ロープウェイに乗車すると登山口まで比較的容易にアプローチでき,その中継地点にある通年営業の西穂山荘の設備も充実していることから,年間を通して登山者の多い山域である。また,西穂高岳山頂から奥穂高岳に向かう縦走路は,日本アルプス登山道の中でも三大難所の一つとされ,山のエキスパートでも侮れない魅力を有する。アクセスが容易なだけに,初級者から上級者まで,さまざまな登山者が入山することも特徴である。

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はへほ調music scene

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春である。桜である。この原稿掲載号が全国に数えるほどしかいない絶滅危惧種のLiSA定期購読者に配送される日は,新年度の初日なのである。胸高鳴らせて麻酔科後期研修の門を叩いたのに手術室へ通されることもなく,朝早くから桜の樹の下で花見の場所取りをさせられている新人レジデント達は,茣蓙に座るのも疲れ果て,医局にあった得体の知れない黄色い表紙(早春にふさわしい菜の花カラーである)の雑誌のページを繰りつつ昼間から安酒をあおっているのである。

 このイエロージャーナル,一見「臨床に役立ちそう」な,しかし実際は「セイタカアワダチソウ」程度しか役に立たない記事で埋め尽くされている。そんな中「掃き溜めに鶴」と言える珠玉の一編を汗水垂らして書いている人物は,酒宴の毛氈ではなく針の筵に座っているのである。企業の「春闘」にならって筆者が一文字につき1円の微々たる賃上げを要求し,菅原道真公が詠んだように「東風」が吹いても某編集嬢は文字通り「婆耳東風」で労使交渉の結末は火を見るよりも明らかである。

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今回は,2017年4月14日,15日に日本区域麻酔学会 第4回学術集会が開かれる名古屋です。愛知医科大学病院 麻酔科の大川 葉月先生に地元住民だからこそ知る名物,お土産,観光地などの情報をご紹介いただきます。旅のお供に是非LiSAを!

Tomochen風独記

㉘ 健康保険制度 山本 知裕
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今回は,ドイツの健康保険制度(Krankenversicherung)について紹介します。日本では,国民皆保険制度をベースとして,さらに癌や心疾患などの高額な医療費に備えたい人は,いろいろな保険会社が提供している医療保険を個人の考え方や予算で上乗せしていきます。ところが,ドイツの健康保険制度は根本からシステムが異なります。

当世 問はずがたり

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もし,今,目の前にトラがいたら,その恐怖ははかりしれません。でもそれが,パソコンに浮かび出たトラなら,「トラか」という以外,何の感情もわかないでしょう。突き詰めると,ライブかそうでないかの違いはそこに行き着くはずです。バーチャルリアリズムが進歩して,どれほど現実そっくりの体験ができるようになっても,本物ではないという部分で,そのもっている価値は,ほとんどなくなってしまいます。

 なにもこれは最新のバーチャルリアリティーに限ったことではなく,従来,私たちが整形美人に対して感じている違和感もそこへ行きつくのでしょう。理論的にはより純粋であるはずの人工ダイヤの価値が低いのも同様の理由です。なので,学生はわざわざ高い授業料を払って,ネット配信の講義ではなく,土曜日の私の生講義を受けに来ます。彼らの人間としての本能がそうさせるのです。目の前にトラ(大トラではありません,念のため)を見て,初めて,知識が印象付けられることを彼らは知っています。

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from LiSA

基本情報

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LiSA
24巻4号 (2017年4月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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