症例ライブラリー 波形を読む
まとめ:生情報の意義と要約による落とし穴
内藤 祐介
1
Yusuke NAITO
1
1奈良県立医科大学 麻酔科学教室
pp.772-773
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320080772
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われわれは,麻酔に限らず日常においても,観察された事象をそのままではなく,要約して伝えることで情報伝達をスムーズにしている。例えば,自院を紹介する際には「1日あたりの外来患者数」「入院ベッド数」「年間手術件数」などの数値がよく用いられる。これらの指標は,病院の特徴を端的に伝えるうえで有用ではあるが,同時に,背景にある膨大な情報を削ぎ落とし,ある一部分のみを強調して伝えている。これは時として情報をゆがめてしまう危険もはらんでいる。
今回取り上げた「生波形」*もまさにその象徴である。波形から得られる数値化された情報は確かに便利ではあるが,実際の波形を見ることでしか得られない情報があることを,ここまで読み進めてきた読者は十分に理解されただろう。まとめとなる本稿では,循環モニタリングの代表格である肺動脈カテーテルを例に,生波形を“読む”ことの重要性についてあらためて考察したい。
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