症例ライブラリー 波形を読む
巻頭言
内藤 祐介
1
1奈良県立医科大学 麻酔科学教室
pp.747
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320080747
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- 文献概要
麻酔科医が日々目にするモニターには,絶えず情報が表示されている。心拍数,血圧,酸素飽和度,呼吸数,BIS値などの「数値情報」は,麻酔管理において即時的な判断には欠かせない。しかし,これら数値がどのようなアルゴリズムによって得られているのか,あるいはどのような前提の上に成り立っているのかに意識が向くことは少ない。言い換えれば,われわれは数値という結果のみを受容し,その背景にある生成の過程で本来得られたはずの情報を享受できていない可能性があるのだ。心電図波形から心筋虚血を検出するのと同様,SpO2,A-Line,CVPなども,その値の根拠となる「生波形」から得られる情報は多く,それらは,患者の状態をより詳しく教えてくれる。そこで本特集は,五つの生体信号に着目し,“数値”だけでは掴みきれない情報を生波形から探ってもらった。シナリオを通じて,波形の背後にある生理・病態を読み取り,判断の一助とする視点を読者とも共有したい。
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